ASD児と緘黙児--類似する特性?

先週の金曜日、ASD児専門校の子ども達に付き添って、近隣の名門私立校に行ってきました。学校同士の交流があり、わが校のセカンダリー(12~16歳)の子ども達を対象にしたワークショップを開催してくれたのです。うちのクラスからも、6年生の子が3人参加しました。

地下鉄利用ということもあり、総勢16名の子どもに付き添いの大人がぞろぞろ…。スタッフの息抜きも兼ねた、学年末のイベントのひとつだったよう。

16世紀から続くという歴史ある名門校を訪問してみて、学校施設や人材の充実ぶりに驚かされました。広々とした敷地内に立派な校舎や専門の施設が点在し、専用のテニスコートやアスレチックグランドも。入学試験の難度が高く、学費もかなり高額らしいのですが、この充実度だったら納得という感じ。いや、ケタ違いにすごい!

最初に案内されたスポーツグランドではテニスの授業中でしたが、体育の先生じゃなくて、テニス専用のコーチが教えてるんです。生徒数は20名ほどなのに、助手が2名。各教科についても、えり抜きの優秀な教師陣と助手を揃えているだろうことは、容易に想像できました。

ワークショップはスポーツコーチ、D&T(デザイン&技術)教師、そして科学者(後で調べたら、結構有名な方でした!)が担当。スポーツで汗を流した後は、立派なD&T教室でミニLED懐中電灯作りに取り組みました(PC搭載のレーザーカッターで製作したキーホルダーのお土産つき)。最後の科学講座は、液体窒素などを使って次から次へと実験を繰り広げるスリリングな内容。おしまいに子ども達を部屋の隅に退去させ、ものすごい大音響で風船を爆発させたのには度肝を抜かれました。

どのセッションもプロ意識の高さが伝わってくる内容で、毎日こういう授業を受けてる子ども達がイギリスの将来を担っていくんだなと、感慨深かったです。予算の少ない公立の学校では、こうはいかないでしょう…。

話は変わりますが、このイベントを通じて感じたのは、緘黙児と似た傾向の子がいるということ。

スポーツイベントでソフトフハードル走をした際、付き添っていたグループの女の子が逃げ腰に…。やったことがないと不安がるので、「柔らかいハードルだから当たっても痛くないよ」 「一緒に走ろうか?」と声をかけ、手をつないでスタート。ひとつ目のハードルを飛び越えた後、ひとりで走っていくことができました。その後の競技でも「また一緒に来て」と頼まれて、一緒に走ったのですが、私の方が遅かったので自信がついたと思います(笑)。

また、最後の記念撮影では、ひとりだけ撮影拒否の子が…。いくらスタッフが誘っても頑として動かないので、そのままに。でも、担任が「じゃあ、写真撮って」と声をかけ、撮影側として参加させることに成功しました。

緘黙児と大きく違ったのは、D&T教室で男子生徒が我先にと手を挙げて質問に答えていたこと。得意分野に関する知識は、半端ないものがあります。実に堂々と答えるので、何だか誇らしかったです。

2011年にマギー・ジョンソンさんの緘黙支援ワークショップに参加した際、「緘黙児とASD児の特性は重なるところがあるので、ASD児に有効な支援はSM児にも役に立つことが多い」と話されてました。その資料とメモを見つけ出して、もう少し詳しく説明できたらいいなと思ってます。

 

息子の緘黙・幼児期2~3歳(その3)

引っ込み思案が定着?

息子が生後6ヶ月を過ぎた頃から、少しずつ少しずつ仕事に復帰し始めました。幸いにも殆どが在宅ワークで、外出する日数は限られていたので、最初は夫と義母、そして親しいママ友に頼んでやりくりしていました。自宅に来てもらえれば、大体は機嫌よく過ごせていたと記憶しています。

2歳半になった頃、近くに住むチャイルドマインダーさんに1週間に1度預けることにしました。お弁当を持参し、彼女の自宅で同年代の女の子と2人一緒に一日お世話してもらうというもの。初めは、「今日もいい子にしてたわ」と、ほとんど問題はありませんでした。

が、2ヶ月目に入ったところで、「急に泣き出して、全くおさまらず本当に困った」と、迎えにいった途端に訴えられ…(その気持は痛いほど解るけど)。この日は新メンバーが入り、いつもと違う環境だったとか。

「普段他の子ども達と遊ばせてるの?」と訊かれ、ちょっとカチンと来てしまいました。息子が集団に溶け込めるよう、私なりに頑張ってきたのに~!

翌週は少しマシだったようですが、息子が行くのを嫌がるようになったため、預けるのを断念。次からは、必要な時だけ臨時でベビーシッターさんに来てもらうようにしました。若い日本人女性が来てくれた際は、もうべたべたに甘えまくり!彼女が帰る時に大泣きするという事態も発生しました。

こうして、公の場では引っ込み思案、でも気を許せると思った人とはすぐ親しくなって自己主張する、という不思議なパターンができあがったのでした。

この頃から、親しかった日本人の友達が3歳になって私立の幼稚園に通うようになり、今までのように頻繁に遊べなくなってしまいました。また、それまで通っていた小規模のプレイグループが閉鎖し、少し遠くですが日本人もいる規模の大きいグループに参加することに。

大体2時間半くらいの会で、前半は私の側を離れず、大抵はミニカーで遊ぶというパターン。おやつタイムを挟んだ歌の時間は、みんなで集まって円座に座り、曲に合わせて振りをつけながら”Old McDonald”などの童謡を歌います。でも、息子はやる気全くナシ…。仕方がないので、ずーっと手を添えてやらせていました。

それが家に帰ると、お気に入りのアニメ番組の曲を大声で歌いながら踊ってたりするんですよね….。君は一体何なんだ~?! その後も、できないのかと思っていたら、人目につかないところでやってたりと、母親としてはフラストレーションがたまる状況が重なりました。

さて、プレイグループも後半になると徐々に緊張も解けてくるのか、だんだん行動範囲が広がります。そして、お片づけの時間になって母親達が玩具を倉庫に運び始めると、やる気全開になって、他の子ども達と追いかけっこごっこに夢中になるという…エンジンがかかるのが遅すぎ。

このプレイグループが公園に面した教会で開かれていたので、帰り際に公園で残った子達と少し遊ぶのが楽しかったようです。

その頃、日本人親子が集まる絵本の会にも参加していたんですが、スイカ割り大会ではただ一人頑として動かず…涙。その後、誕生会でスイカ割りをしてみたら、先頭に立ってやってました….やぱり、公の場だと 「できないかも?」「失敗したら嫌」という不安が人一倍強いようでした。

関連記事:

息子の緘黙・幼児期2~3歳(その1)

息子の緘黙・幼児期2~3歳(その2)