ヨークシャーの夏休み(その3) ハワード城と高架橋

もう10月も半分を過ぎてしまいましたね。イギリスでは日がどんどん短くなって、今月27日には夏時間から冬時間に変わります。天気が悪い日が続くので、お日様が顔を出すとほっとします。これからもっと暗くなると思うと、ちょっと憂鬱…。

さて、またまたヨークシャーの夏休みの続きです。

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カースルハワード(Castle Haward)

家族旅行の5日目は、朝早めにアパートを出て車でヨーク郊外へ。数多くのTVドラマや映画のロケ地になっているカースルハワードは、イギリスでも稀にみるバロック様式の壮麗なカントリーハウス。18世紀初頭に3代目カーライル伯爵、チャールズ・ハワード氏が建て、その後10世代に渡って受け継がれてきた私邸です。1940年に火災があり、現在の建物の大部分は20世紀に復元されたものだとか。ちなみに「カースル(城)」と名がついていますが、軍事的な機能はなく厳密には城ではありません。 

現地で北イングランドに住む友だちと待ち合わせ、まずは屋敷内から見学。今も13代目カーライル伯爵の住まいとなっているため、公開されているのは一部のみ。それでも充分広くて見どころ満載!特に、正面玄関にあるグレートホールのドームは圧巻(写真左)で、壁からドームまでギリシア神話をモチーフにした天井画が見事。彫像がずらりと並ぶ大理石の回廊や、豪華な調度品を設えた各部屋から、当時の貴族の暮らしが見えてきます。でも、こんなに広いと冬はめっちゃ寒いだろうな…といらぬ心配をしてしまう私でした。

8800エーカー(約36平方k㎡)の広大な敷地内には、庭園、湖、プレイグランド、森林、寺院、ボートハウス、農地などが。移動の手段として、トラクターが牽引するカラフルなケリーカーが走っています。1850年に造られたアトラスの大噴水が見事なフォーマルガーデン、壁に囲まれたウォールガーデンに加え、ガーデンセンターも。カフェやギフトショップ、地元の食材を売るファームハウスなど、設備が充実しています。

この後、この地方の食の町と言われるマルトン(Malton)へ。ヨークシャーのケーキやクッキーなどを買い込み、カフェでコーヒータイムを楽しみました。

ナーレスボロ(Knaresborough)

翌日は、ヨークの街を後にして西方へ。ハロゲートの東側に位置するナーレスボロ(Knaresborough)という町に向かいました。この日の午後、リーズ北部に住む友達夫婦の家を訪ねることになっていて、その友だちが是非立ち寄るよう勧めてくれたのです。渓谷にかかる高架橋と田舎町の美しい景色が有名とのことで、すごく楽しみでした。

まずは、渓谷の崖の上に建つナーレスボロ城の城趾を見学。崖側に歩いていくと、町のシンボルとなっている高架橋を見下ろす絶景が目の前に!絵葉書のように美しく、思わず激写してしまいました(^_^;) そこから急な傾斜の路を下ってネッド川の畔にたどり着き、川岸のパブでランチタイム。おとぎ話のような風景にすっかり満足し、その後また崖路を登って、駐車場まで戻ったのでした。

初めて訪ねたリーズの友人宅は石造りで、廃材を再生利用した趣味の良い室内や庭造りに感心することしきり。ご主人自ら屋根裏部屋を改装、今は地下室を改造中とのこと。庭で鶏を飼っているとは聞いていたのですが、「えっ、レグホン?!」と驚くほど立派な鶏が!ご主人が作ったという鶏小屋も大きくて立派でした。翌日カナダに出発とのことで、卵が余っているからとその場でバナナケーキを焼いてくれて、お土産に卵を1ダースも!夕食のデザートの苺とバナナケーキ、すごく美味でした。

車で友人宅に行く途中パラパラと雨が降りましたが、夏の北イングランドでは珍しく雨に降られたのはこの日のみ。それでも、一度も傘を使わずにすんだのでした。

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ヨークシャーの夏休み(その2)ヨークシャー彫刻公園とヨークの街

あっという間に10月に突入してしまいました。雨混じりの曇り空が続く中、週2回ほど秋晴れの日がやってきて、樹木の色もだんだん変わりつつあります。今年は冷夏だったから、紅葉は少ないかも…。

さて、駆け足でヨークシャーでの夏休みの続きです。

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ヨークシャー彫刻公園

シェフィールドの次の拠点は薔薇戦争(1455~1485年)で有名なヨークの街。予約しておいたアパートに行く途中、今回の旅行のハイライトのひとつであるヨークシャー彫刻公園(Yorkshire Sculpture Park)に立ち寄りました。この春訪れた箱根の「彫刻の森」では雨に降られたので、リベンジの好機会!運良く花曇りから夏の陽射しがこぼれはじめ、暑いくらいの気候になってラッキー。

なのに、なのに、夫が前夜飲みすぎて体調を崩してしまい、少し歩いただけでダウン。ひとりで車に戻ってそのまま寝込んでしまいした(^_^;) 仕方なく息子と二人で、500エーカー(約2平方km)の広大な敷地を散策することに…。

緑あふれる敷地内には林、湖、そして、羊や牛のいる牧草地があって、自然の中に90の彫刻が点在しています。ビジターセンターには広いカフェやショップ、特別展示会を行う地下ギャラリーなどがあり、私達が行った時はイギリス生まれのインド人女性作家、バールティ・ケールの『錬金術』展を開催中でした(下の写真右)。敷地内(?)には、歴史的な佇まいのホテルも。もし次に行く機会があったら、お弁当持参で1日かけて探索したいです。

ヨーク市内観光

       

ヨークシャー北部に位置するヨークは、紀元前71年に古代ローマ帝国が創設した要塞都市。城壁に囲まれた旧市内には古い街並みが残り、街のシンボルであるゴシック様式のヨークミンスター(大聖堂)が聳え立っています。大聖堂をMinsterと呼ぶのは珍しく、これは格式の高さを表すそう。

旧市街の外にあるアパートから城壁まで歩き、城壁の階段を登って城壁の上の歩道を通って城門の入口へ。旧市内の歴史的な街並みを楽しみながら、13世紀に建てられた大聖堂まで歩きました。比較すると地味なのですが(笑)、2年前にノルマンディー(仏)のルーアンで観たゴシックの大聖堂を思い出しました。

荘厳な雰囲気の教会内を見学した後は、我が家恒例となっている塔登りに挑戦。この塔の螺旋階段はとにかく狭かった!人ひとりしか歩けない幅なので、前の人が立ち止まると、そこで詰まってしまいます。ユニークなのは、まず100段登ったところで一旦外に出て屋根伝いに歩き、そこから更に175段登って塔の頂上に出ること。頂上では四方をぐるりと周って、ヨーク市内外のパノラマ景観を楽しめます。    

ランチは北イングランドの有名なカフェ/ レストラン、Bettysでと思ったら、やっぱり行列ができてました(^_^;) 20分程待って、階下のテーブルへ。ブランチメニューの中から、私は巨大マッシュルーム、ホウレン草のソテーと焼トマト、半熟卵をのせたハッシュブラウン、夫と息子はそれぞれクラブサンドを注文。デザートのイートンメスが3000円位してビックリ😲

食後はフォス河沿いにある木造建築のマーチャント・アドベンチャラーズ・ホール(Merchant Adventurers’ Hall)へ。14世紀に建てられた大ホールは、当時の貿易商が集うビジネスと社交の場だったそう。最後はその起源をローマ帝国時代に遡るシャンブルズ・マーケット(Shambles Market)を散策。中世の面影を色濃く残す石畳の通りは、映画『ハリー・ポッター』のダイアゴン横丁(Diagon Alley)のモデルと言われ、魔法の道具を売るお店も。ファンが大勢詰めかけていて、ちょっとびっくり。

こうして家族旅行の3日目と4日目も雨に降られずに無事過ごせたのでした。

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ヨークシャーの夏休み(その1)シャフィールド

すっかり夏休み気分が抜けたところで、今年の家族旅行について(^_^;) 今年は春に9年ぶりの帰国をはたしたため資金不足だったのと、猛暑を避けるためもあって国内旅行に決定。実は、うちの家族は暑いのが苦手で(主人は日に焼けると水ぶくれ状になるため、夏でも長袖)、酷暑になりそうな夏のヨーロッパ旅行は敬遠中…。何度か訪れたことがありますが、複数の友達との再会もかねて北イングランドのヨークシャーに行くことにしたのでした。

国内旅行、特にイギリス北部の難点は天候が変わりやすいこと。湖水地方を訪ねた時は、真夏というのに肌寒く、雨に祟られました。まあ、雨が降り続かなければ、涼しくて過ごしやすいのですが…。

まず最初の2日間は、主人の出身大学があるシェフィールドへ。大学時代の友達宅に泊めてもらい、街を案内してもらいました。とにかく嬉しかったのが、ペットの4匹のネコちゃん。段々畑みたいに段差のある庭には鶏小屋もあって、のどかな雰囲気。

    バラ香るお庭でランチ。新顔の子猫2匹を筆頭に、ネコちゃん達に癒やされました。少し歩くと、見渡す限りの緑の丘陵

南ヨークシャーにある友人宅は、シェフィールド南西部に位置しています。ピークディストリクト(Peak District)と呼ばれる景観美しい国立公園に隣接し、少し歩くとすぐ緑の田園風景。散歩がてら案内してくれたのが、近くにあるフォージダム公園(Forge Dam Park)でした。

かつてシェフィールドは鉄鋼業で知られ、世界有数のカトラリー生産量を誇っていました。この公園には、その歴史を13世紀に遡る刃物研磨用の水車小屋が保存・無料公開されています。当時は川を堰き止めて水車を回し、その動力を利用して研磨機でカトラリーや刃物を研いでいたんだそう。

     途中にカフェや睡蓮の池などがあって、川沿いに緑の中を歩く散歩コースになっていました

翌日はどんよりした曇り空の元、バスでシェフィールドのシティセンターへ。路面電車が走る街中は、90年代に郊外の工場地後に大型ショッピンセンターができたため少々寂れた雰囲気。新たな都市計画に沿って、ゆっくり変化しつつあるとか。ランチは今春登場したばかりのケンブリッジストリート・コレクティブ(Cambridge St Collective)で。倉庫のような建物の中に多国籍の料理店(主にファストフード)が並ぶ、イギリスで今流行りのフードコート風の空間。パレスチナのソールフード店(?)でLoaded chipsというのを注文したら、スパイスが効いたチキンをどっさりのせた大量のチップス(極太フライドポテト)が!食べても、食べても全く減らず、皆に手伝ってもらってやっと食べ終えたのでした(^_^;)

食後は主人達が学生だった頃に通ったパブなど懐かしの場所を訪ねたり、鋼鉄産業の足跡が残る運河沿いの路をそぞろ歩いたり。実は、この日シェフィールドの南東にある町、ロゼハイムで移民排斥の暴動が起こり、バスの運行が突如停止に! 待っても待っても来ないので、仕方なくタクシーを呼んで帰宅。夜は私と息子が作った手巻き寿司とお味噌汁、野菜等で、友人たちの娘2人を加えた7人で食卓を囲みました。

とても楽しくて、有意義な時間を過ごすことができました。

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緘黙治療に使える小道具

あっという間にもう9月も第2週! 先週から新学年が始まり、またいつもの生活が始まりました。学校の勤務が今週からだったので、今でもまだ夏休みモードが抜けず、休み中にやる予定だった家の片付けをダラダラ続けています。その昔、夏休み終り近くなって急いで宿題を片付けていた頃から全く進歩なし(^_^;)

      ロンドンはすっかり秋の気配。秋薔薇が咲き、クラブアップル(野生の小さなリンゴ)が鈴生り。うちのミニトマトもやっと収穫にこぎつけました

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前回の記事で緘黙児の不思議な点、というか息子が緘黙だった頃に不思議に思った点を書きました。今回は息子のスモールステップに役立ったツール(小道具)について。すでに記事として書いたのですが、ここでまとめてみようと思います。

・電話

緘黙児って電話で話すことが苦手な子が多いんじゃないでしょうか? 今の時代、メッセージだけで済ませてしまいがちですが、あえて電話での会話を試してみて欲しいと思います。 まず最初は気がしれた家族間で、会話もYes/ No形式で、簡単なものからスタートしてみて下さい。

詳しくは、『電話でのスモールステップ』をご参照下さい。

・カメラ

息子は幼少の頃、ビデオ撮影をすることが大好きでした(今考えると、ほとんど家の中でしたが)。小2の頃、放課後の教室を訪問する際にふと思いついてカメラを持たせてみたら、それ以前と比べリラックスして自信を持っている様に感じたのです。仲の良い友達に一緒に来てもらった時には、色々撮影して盛り上がっていました。

詳しくは、『息子の緘黙・幼児期5~6歳(その20)放課後の教室』をご参照下さい。

カメラでなくても、自分の好きなものを持たせることで安心度が増すかもしれません。

・お気に入りのキャラ

子どもがスモールステップに挑むに当り、モチベを上げるのにお気に入りのキャラや大好物が役立ちます。息子は小学校低学年の頃放送され始めた14代目『Dr Who』にハマり、「ありがとうを言うから買っていい?」と自分からDr Whoカードをねだるようになりました。そのお陰で、何度もスモールステップを重ね、買い物に慣れることができたのです。あと、スーパーで好きなお菓子をひとつ買う作戦もお勧めです。「好き」こそ原動力!

詳しくは、『CBTってどうやるの?(その4)』をご参照下さい。

その時に流行っているアニメやゲームなどに夢中になったり、グッズを集めたりすることは、同年代の子どもと共通の話題を持つのにも役立ちますよね。

・外界との遮断壁になってくれるもの

息子が移転した歯医者で口を開かなくなって困った時、外界とのクッションの役割を果たしてくれたのが、日本語とハンカチでした。

私は普段しないサングラスをかけると、自分と自分をとりまく世界の間にカーテンがかかっているような感覚を覚えます。サングラスをしていると、いつもの自分じゃないような、第三者になったような。緘黙児は自意識が過剰で、自分のことを知られるのを極力恐れる傾向にあります。だから、サングラスや眼鏡をかけることで、自意識を少しでも減らすことができるかもしれません。

詳しくは、『緘黙児と歯医者』をご参照下さい。

スモールステップで重要になってくるのは、自分の子どもを良く知ること。つまずいた時、停滞した時、また大きくジャンプできそうな時、調整をするのにすごく役立ちます。

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電話でのスモールステップ

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その20)放課後の教室

CBTってどうやるの?(その4)

緘黙児と歯医者

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不思議の緘黙児

学校の夏休みも今週でおしまい…。イギリスではすでに初秋を感じさせる気候になってきました。今年は冷夏で猛暑日はほとんどありませんでしたが、昔のようにイギリスらしい夏だったと思います。

     今年も予期せず保育園時代からの旧友とロンドンで再会!来英は多分これが最後ということで、お気に入りのスポットを歩いて、語って。ハイドパークでは草間彌生の巨大な『南瓜』に遭遇

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緘黙の子どもの考え方や行動って、時としてすごく不思議に思いませんか? 身近にいる保護者や家族でさえ「何故??」と首をひねることも多いのでは?

うちの息子の場合:

1) 人に自分のことを知られるのを極端に恐れる

息子は小学校の4年生くらいまで作文が苦手でした(と思っていました)。他の子達が1ページ書くところ、息子は3、4行しか書かないのです…(;_;)

実は、息子の国語力を伸ばそうと、小2ごろからセリフ入りの漫画もどきを交互に描く遊びをしていました。セリフが多くなっても、私に聞くこともなく自分で文章を書きます。また、ドリルをやらせるとそれなりにできるので、国語(英語)は苦手かもしれないけれど、「何故学校ではこんなに書けないのか?」と謎でした。

小3の終わり頃だったと思うのですが、担任から「◯◯君は長い文が書けるようになりました」と言われました。ノートを見たら、課題は自分で物語を作るというもの(イギリスの公立小学校では通常、教科書もノートも学校に置いてあって、家に持ち帰るのは宿題のみ。親は懇談会の時にのみ各学科のノートを見ることができるのです)。

あれっ、もしかして自分について書くのが(先生や皆に知られるのが)嫌だった? それまでは、自分のことを書く課題が多かったような…。

多分、自分のことを書かなくてもいいので、やっと安心して作文に取り組めるようになったのではと思ったのでした。

2)「この人は大丈夫」と思うと、1対1なら本性を出す

息子の「話せる人ヒエラルキー表」では、大人の女性や子どもがけっこう話しやすい人に含まれています。

若くてきれいなベビーシッターさんが家に来てくれると、調子に乗って甘えまくり(『息子の緘黙・幼児期2~3歳(その3)』をご参照下さい)。

また、小2の夏休みに、当時16歳位だった友達のお兄ちゃんに半日ほど息子のベビーシッターを頼んだことがありました。その彼にも我儘をいって色々やらせ、私達が帰宅した際、二人は庭で水遊びをしてびしょぬれ状態(^_^;)

私が時々会う日本人の友人が遊びに来た際は、すぐに打ち解けて話しだし、調子に乗って歌ったり踊ったり、自慢の玩具を披露したりしてました。

3) 人が大勢いる場所でも、日本語でなら私と話す

日本語だったら周囲には何を言っているか分からないためか、大抵は知らない人の中で秘密の暗号のような感じで使うことが多かったです。

英語(外国語)でなら声が出やすいという日本人のお子さんも多いかも。

4) 転校生に自分から話しかける

息子の小学校は転校生が多かったのですが、小2の頃から転校生に自分から話しかけるようになりました。後で訊いたところ、「転校生は僕が話せないことを知らないから」とのこと…。

普段学校でほとんど話さない子が、いきなり転校生にアプローチして話しかけたら、皆に変だと思われますよね?でも、そこまでは頭が回らなかった様…。

そういえば、転校生のG君を家に連れてきたことがあったのですが(G君の希望)、お母さんがお迎えに来た際、「◯◯君は学校では喋らないんだよ!」と告発!「まあ、そんなはずないでしょ?!」と驚かれ、説明に困ったのでした(^_^;)

傍から見たら変でも、子どもは色々考えたり、感じたりしながら、自分なりに緘黙打開策を練っているのかもしれませんね。

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子どもの可能性

もう7月も明日で終わりですね。夏休みの仕事の調整をしている内に、あっという間に1ヶ月が過ぎ去ってしまいました。イギリスの夏は日が長く夜10時頃まで明るいのですが、6月21日の夏至を過ぎてから少しずつ日が短くなって、最近では9時すぎると薄暗闇に…。今年も半分以上過ぎてしまったのだなと、淋しい気持ちになります。

  先週末ケント州の友達を訪ね、美味しいランチをご馳走になっておしゃべりを楽しんできました。ラムズゲートの海岸で午後の海風に吹かれ、夏休み気分満載

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昨年夏、日本語のGCSE(国家試験)で良い成績を収め、秋からカレッジでITの勉強も始めた教え子のC君。以来、カレッジ(週3日)とうちの学校(週1/2日)とで二足の草鞋を履く忙しい日々でした。この1年間、カレッジの課題をこなすため、日本語の授業に来れないこともしばしば(^_^;) でも、両校で「今年一番頑張った生徒」と表彰され、6月に私が勤めている特別支援学校を無事卒業していきました。

来年度(9月)からは、うちの学校からの支援無しでカレッジのコースを終えることになります。でも、この1年で学業だけでなく、初めて友達を作り、人前で食事ができるようになり、一般のボランティアもこなすなど、ものすごい進歩!

授業の一環として最後に日本食を食べに行ったのですが、食わず嫌いだった彼が寿司、ラーメン、餃子に挑戦したのにまずびっくり!そして、日本人スタッフと日本語で会話をする挑戦も、ぎこちなくはありましたが大成功!

うちの学校は高機能自閉症の子ども/ティーンを専門としているんですが、彼は書字障害他の困難も抱えています。それでも、17・18歳でこんな風にぐ~んと伸びることができるんだなと実感し、すごく嬉しくなりました。

「カレッジ2年目から独りでもやっていける様、自宅からは遠いけど学校に近いカレッジを選んだ」と言っていたC君。自宅に近いカレッジだとうちの学校からの支援が受けられないため、わざわざ遠くのカレッジに通う選択をしたのでした。独り立ちできるように頑張るという決意と、今年はサポートしてもらえるという安心感の中で(殆ど必要なかった様ですが)、カレッジでの生活や勉強に適応していけたんだと思います。

彼と話していると、言葉の端々に自信をつけたのを感じ、気力が充実しているのがビンビン伝わってくるのです。どんな子でも、良い環境と機会さえあれば、もっともっと成長できる可能性を持っているんだなと思わせられました。

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緘黙だった教え子のAちゃんが卒業しました

教え子が緘黙だった!!

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PDA(病理的要求回避)の具体例

6月ももうすぐ終わり…ということは2024年がすでに半分過ぎ去ってしまったんですね。早っ!イギリスでは10日ほど前から天気が回復し、やっと初夏らしい気候になってきました。ここのところ夜9時半過ぎまで明るいのですが、6月20日の夏至から徐々に日が短くなっていると思うと、なんだか淋しいです。

      6月は果物が美味しい季節。露地栽培の国産の苺が出回り、時おりヘタに花びらがついた苺も。忘れた頃に芽吹いた鉢植えの苺は、5年連続で小さな実をつけました。ブルーベリーの実は、今年こそ小鳥に盗られないようにしないと…。イギリスでは甘みの強いフラットピーチ(平たい桃)が人気です

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これまで3回にわたってPDAの説明をしてきましたが、実際にはどんな症状なのか?文章を読んだだけでは良く判りませんよね。

9年前にイギリスで放送されたTV番組シリーズ ”My Aggressive Toddler/ Born Naughty?(うちの攻撃的な子ども/ 生まれつき反抗的?)” で、PDAと診断された子がいるので映像を観ていただければと思います(英語ですが、彼の行動を目で追うだけでもかなり参考になるはず)。

この回に出演したのは、3歳のビリーと8歳のチャーリー、そして家族たち。両家の保護者は、ともに子どもがASD(自閉症スペクトラム)ではないかと疑っています。

注目していただきたいのは、8歳のチャーリー(7:19-/ 15:18-/ 20:10-/ 28:17-/ 34:37-/ 34:40-)の方。母親のマキシーンさんは、彼の行動は発達上の問題に起因するものと確信し、支援を求めて4年のあいだ不毛な戦いを続けてきたそう( 15:18-)。番組の終わりに、ようやく「ASDのPDAプロフィール」という診断が降りました。

撮影時点では、チャーリーはホームスクーリングを余儀なくされ、ほとんど家で過ごす毎日(7:19-)。ゲームで負けると不機嫌になり、母親がスイッチを切った途端、叫んで母親を攻撃し始めます。自分の意向にそわないと態度が激変――そんな彼をマキシーンさんは「ジキル博士とハイド氏みたい。全く予測不可能」と告白。

ラビ医師が家を訪問し、まず祖父にインタビュー(17:09-)。祖父母には懐いていますが、祖父いわく「チャーリーは私達を側にいさせるけれど、いつもひとりで遊んでいる」とのこと。ソーシャルスキルの問題を示唆していますね。

学校や友達について聞かれると(17:38-)、チャーリーは「やってないのにいつも怒られるから学校は嫌い」「友達はX Boxの仲間たち。喧嘩しても実際に殴り合いにならないから」と答えました。ラビ医師は「思考や行動に柔軟性がなく、曖昧な言葉や冗談が理解できない。変化を嫌い、社交性がない」とASDの疑いを強めます。

私が気になったのは、ASD児の5人に1人が学校システムから排除されているというナレーション(20:10-)…チャーリーもそのひとりで、週に数時間は家庭教師がつくものの、ほとんどの時間をTVやPCゲームに費やしているのです。外出は極度に嫌うそう。

「犬の散歩に行くから靴を履いて」と頼む母親を拒絶するチャーリー。なんとか玄関まで来させると、チャーリーは止める母親を無視して外へ猛ダッシュ。いつも公園の樹に登り、母親が犬を散歩させている間中ずっとそこにいるのが習慣なんだそう。今まで母親や犬と一緒に歩いたことは一度もないとか…。

次に、児童心理士のケネリーさんと言語聴覚士のヘレンさんがチャーリーを訪問(21:52-)。一人がアセスメントを行う間、もう一人はボディランゲージ他を確認します。体を揺らす、思考が狭い範囲に限定されている、非言語コミュニケーションを使わない――ASDの特性が見て取れます。

また、いつもと違うビスケットを出されたチャーリーは、彼女たちと視線を合わせたり、問いかけたりしません。食べかけのビスケットを口から出して「おいしくない」とテーブルに戻しました。

チャーリーの睡眠のパターンを調べてみると(28:17-)、寝かせようとする母親に対してメルトダウンを起こし、暴力を振るっています…。ここで心理学者のケネリーさんが着目したのは、チャーリーが何度も体を揺らしていたこと。

複数のアセスメントの結果、常同行動や思考の狭さから、専門家チームはチャーリーがASDであると診断(40:00-)。加えて、新しくできたPDA問診を行ったところ、通常よりかなり高い数字が出たため、ASDのPDAプロフィールであることも同時に診断されました。診断結果が出ると、母親のマキシーンさんは安堵の涙を浮かべました。これでやっと皆に理解してもらえ、適切な支援をしてもらえると希望を持てたからです。

診断後、この情報は地方自治体に通達され、チャーリーは新しい学校に受けいられることに(TVで取り上げられたため、上手く行った部分も大きいかと思います)。家庭でも家族がPDAについて学んだことで、状況は好転。以前より笑顔が増え、かなり落ち着いて暮らせているよう。

朝チャーリーを起こす時(44:50-)、マキシーンさんは大きな砂時計を枕元に置き、「今から10分、砂が全部下に落ちたら起きるのよ」と告げます。こうすることで母親の要求は砂時計の要求にすり替わり、彼女が攻撃されることはないのだとか。

砂時計はゲームをやめさせる時や、寝る時にも使えそうですね。また、「◯◯をしなさい」ではなく、「何分で◯◯ができるかな?競争しよう」とゲーム感覚にすれば、要求の様には聞こえません。

緘黙もそうですが、子どもに合う支援を見つけることの重要性を感じました。

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PDA(病理的要求回避 Pathological Demand Avoidance)とは?

PDA(病理的要求回避 )とは?(その2)

PDA(病理的要求回避)とは?(その3)

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PDA(病理的要求回避)とは?(その3)

イギリスでは先週末から天気が回復して、やっと通常の6月の気温に戻った感じです。一年で一番いい季節を楽しもうと日本からやってきた友達にとっては、雨降りの寒い日が続いて気の毒でした。

    ロンドンのキングスクロス駅近くにある生物学研究所、フランシス・クリック・インスティテュートで脳の研究をテーマにした『Hello Brain!』展を観てきました。現代神経科学の父、サンティアゴ・カハル(1852-1935年)による細密な脳細胞のスケッチや毛糸で編まれた脳細胞を見て不思議な気持ちに

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PDA(病理的要求回避)はASD(自閉症スペクトラム)のプロフィールのひとつ」と言われますが、標準的なASDの支援対策では機能しないことが多いといいます。

英国PDA協会が推奨するアプローチはPANDA:

P(Pick Battles)  やらせたいことを選ぶ

  • ルールは最小限に
  • こどもが選択しコントロールできるようにする
  • 理由を説明する
  • できないこともあると受け止める

A(Anxiety Management) 不安の管理

  • 低覚醒アプローチを使う
  • 不確実性を軽らす
  • 根底にある不安と社会的/ 感覚的な課題を確認する
  • 事前に考えて計画を立てる
  • メルトダウンはパニックアタックとして扱う:一貫したサポートを行い、先に進む

N (Negotiation & Collaboration)  交渉と協力

  • 冷静さを保つ
  • 課題を解決すべく積極的に協力し、交渉を行う
  • 公平性と信頼を主眼とする

D (Disguise & Manage Demands) 要求を隠して、管理

  • 要求は間接的に
  • 常に要求に対する許容範囲をモニターし、それに応じた要求をする
  • 子どもと一緒にやることが助けとなる

A (Adaptation)  臨機応変に

  • ユーモアや気晴らし、目新しさ、ロールプレイを試してみる
  • 柔軟な態度
  • プランBを立てておく
  • 十分な時間を与える
  • ギイブ&テイクの量的バランスを取る

では、具体的にはどうサポートしたらいいのでしょう?

例えば、部屋を片付けさせたい時:

<時間など選択肢を与える/ 柔軟な対応をする>

今部屋を片付けなさい  ⇒  今日は部屋を片付けてみようか? いつやってみる、今それとも後で?

★子どもが何かを要求してきたら、子どもと相談して小さなご褒美を与える

<間接的に言い換える:「~なさい」など直接的な要求は避ける>

部屋を片付けなさい ⇒ 何から片付けたらいいかな? 誰が早く片付けられるか競争しよう!

おもちゃを箱にしまいなさい ⇒ ゲームしようか? 何個おもちゃ箱に入るかな?

★要求されているのではなく、自分で選んでコントロールできるかのような言い方に換える

「色合わせ」をゲームにした具体例:

https://www.instagram.com/tv/Cbrk7S4pkrU/?utm_source=ig_web_copy_link

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PDA(病理的要求回避 Pathological Demand Avoidance)とは?

PDA(病理的要求回避 )とは?(その2)

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PDA(病理的要求回避)とは?(その2)

6月ももう10日を過ぎました。今年がもう半分過ぎようとしているんですね…時間が経つのが本当に早い!

     日本からやってきた旧友と南ロンドンのトゥイッケナムにある、ストロベリーヒルハウス (Strawberry Hill House & Garden)  に行ってきました。18世紀の英国ジョージアンゴシック様式の内装が壮観で、ヤンファンホイスムの有名な静物画も観られて幸運でした

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PDAという症状名は英国の発達心理学者、エリザベス・ニューソン(Elizabeth Newson 1929 – 2014)が1980年代に提案。2003年の論文(Newson et al., 2003)により、その存在がまず英国で認識されるようになりました。ちなみに、ニューソン夫妻の長男にこの症状があり、心理学者の両親が一緒に研究を続けた成果だとか。

現在のところ、PDAはアメリカ精神医学会が作成するDMS-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)にも、世界保健機関(WHO)が作成するICD(国際的な診断基準)にも掲載されていません。それだけに、まだまだ研究が必要な疾患といえますね。

では、PDAとは具体的にどんな症状なのでしょう?

撮影当時(2017年)18歳だったアイザック・ラッセル君が発信するビデオ、『僕のPDA体験』を参考にしてみました。スカイプを通して母親の質問に答えるという形式ですが、これが大きな反響を呼んだため、情報源として公開に踏み切ったそう。当時、ラッセル君は若者専用のケアホームに住んでおり、そこにはASDとPDAを併せ持つ当別支援学校が併設されていました。

<抜粋要約>

● 一番不安を感じるのは、「自分ができない」と感じているのに、周囲から「こんなに簡単なことが何故できないの?」と全く理解されず、やるよう期待される時

● 例えば、精神的に調子が悪い日、靴を履かなければ外に出られる様に感じたとする。誰かに「靴なしで外出なんかできない」と言われても、靴を履くことは絶対に不可能。もちろん、そんな考えは不合理だと自分でも解っている。でも、反対に「絶対できない」という自分もいて、それを周囲に説明できないし、何故なのか自分で理解することも難しい

● 機能的な能力――朝起きて、ベッドから出て、朝ご飯を作って食べて、洗い物をして――こういった普通のことをする能力は当たり前に持っているし、やり方も知っている。時によってはちゃんとできるのに、殆どの場合はできない。ただ、できない。どうしてか説明するのは困難で、本当にフラストレーションがたまる

● 映画『インサイドヘッド』みたいに、脳のコントロールパネルに20人の僕(感情)がいて、例えばそのうちの1人が食べたり、飲んだりしたいと思っても、PDAの僕がハンドルを握っていたら、食べることは不可能

● 例えば、友達との外出。自分でも行きたいし、いいことだと解っている。だけど、どこからか「できない」という感情が介入してくる。これは疲れている時に特に顕著

● 要求は外からだけじゃない。毎日学校に行かなければ、顔や身体を洗わなければと意識しただけで、脳が「できない、できない」とパニックに陥る。最悪な自己破壊行為といえる

● もし誰か近寄ってきて「◯◯をしなさい」と要求したら、すぐパニックになって泣き出したり、パニックアタックを起こしたりする

● 大抵の場合は、まず回避から始まって徐々に不安が拡大していく。例えば、目が覚めて学校に行くことを意識すると、自然にタブレットに手が伸びる。天気や今日のスケジュール、SNSをチェックしたりする。これ以上回避できないところまでいくと、不安が広がって落ち込むことも多い。こうなると、絶対に学校には行けない。反面、すっとベッドから起きて学校に行ける日もあって、自分でも何故だか解らないから、本当にフラストレーションがたまる

● できない自分に対して、自分がいかに無価値か、これからずっとベッドから起き上がれないんじゃないかと絶望的な気持ちになる。自己嫌悪感がつのる

● できないことが続けば、ハードルはぐっと上がる。3日も学校に行けなかったりすると、「今日こそ行かなければ」と困難さが倍増してしまう。たとえ行けたとしても肯定的な気分にはなれず、もっと落ち込んだりする

PDAの子どもは登校拒否になることが多いという統計が出ています。本人は学校に行きたいくないのではなく、行けないのです。また、登校できたとしてもタスク拒否や癇癪を起こしたりすることが多く、学校で対策が立てられないため、停学になることも…。

一見するとコミュニケーション能力が高そうに見えるため、家族にも周囲にも誤解されやすそうですね。ASDの支援では対処できず、当事者は本当に生きづらいし、周囲も大変だと思います。

緘黙でかつPDAも抱えた子ども/人もいると言われています。もし、生活に支障が出るほど言うことを聞かず、癇癪ばかり起こしていると感じたら、ただの我が儘ではなくPDAの可能性があるかもしれません。

次回はPDAの対処法について書く予定です。

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PDA(病理的要求回避 Pathological Demand Avoidance)とは?

5月も今日で終わりです。何もしないうちに、またあっという間に時間が経ってしまいました。一時期は初夏の気候になって暑かったのですが、1週間ほど前からぐずぐずの天気に。今日は風が強い雨の一日で、冬に逆戻りした様な肌寒い一日でした。

   今年もまたリージェントパークのメアリー女王の薔薇園に行ってきました。生憎の雨の中、イングリッシュローズが静かに薫って

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イギリスではここ数年の間に、: PDA(Pathological Demand Avoidance 病理的要求回避)という症状名をよく耳にするようになりました。

PDAはASD(自閉症スペクトラム)のプロフィールのひとつと理解されていますが、その研究はまだ初期段階です。ただ、イギリスでは自閉症の診断時にPDAのアセスメントが追加されることも多くなってきているよう。

PDAの子ども/人は、社会的コミュニケーションの困難さや感覚過敏などASDの特徴を併せ持つといわれています。その上で、毎日すべき義務(タスク)を社会的な策略を駆使しながら、異常なまでに避けるというのが特徴。

英国PDA協会(Pathological Demand Avoidance Society)による定義は:

<自閉症スペクトラムのPDAプロフィール>

  • 現在「持続的な困難」と定義されるASDの特徴――社会的コミュニケーションと社会的な相互関係の困難さ、そして制限的で反復的な行動・活動・興味のパターンを――を併せ持つ
  • 多くの場合、一般とは異なる視覚・臭覚、触覚、聴覚、さらに飢えや渇きといった内的感覚などの感覚体験を覚えることが含まれる

上記に加え、下記のPDAプロフィールの多くの主要特性を備えている

  • 日常生活のあたり前の要求に抵抗し、回避する
  • 回避のいち手段として、社会的な策略を使う
  • 社交的に見えるものの、理解力に欠ける――予測よりもっと「社交的」に見えるかもしれない(例えば、より「従来型」に近いアイコンタクトや会話スキルなど)。しかし、これによって根底にある社会的コミュニケーションと社会的な相互関係の困難さが隠蔽されている可能性がある
  • 感情や気分の起伏が激しい
  • 時として極端なまでに、ロールプレイ、ふり、空想に没頭する
  • 多くの場合、度を超えて人に執着する――PDAの場合「反復的または限定的な興味」は社会的な性質のもので、実在または架空の人物が対象となる
  • 自己コントロールの必要性が高い――これは不安、または要求に直面した際の自動的な「脅威反応」によって引き起こされることが多い
  • 支援、子育て、教育における従来的なアプローチに反応しない傾向が強い

About autism & PDA

緘黙児のなかにもPDAを持つ子どもが?

緘黙児にとって「おはよう」や「いただきます」など、毎日の挨拶はとても難しいことです。当たり前のことだからこそ、話すことを期待されていると強く意識してしまう。だから、余計に緊張して言葉がでなくなると考えられます。

当たり前の挨拶をしない――緘黙を知らない人からすれば、「失礼な子」と誤解されてしまいますよね。

言うことが決まっているから簡単と思ってしまいがちですが、うちの息子も学校で声が出始めてから、朝の出欠確認に答えられるようになったのは随分後のことでした。

ただ、日常の挨拶ができないのは緘黙のせいではなく、PDAのケースもあるかもしれません。

イギリスのSLT(言語療法士)、リビー・ヒルさんは、緘黙児の中にもASDの特性を併せ持ち、PDAの症状を持つ子どもがいると警鐘を鳴らしています。

もしPDAの場合は、従来とは異なるアプローチが必要だからです。

(長くなってしまったので、次回に続きます)

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