勝手にアンケート

マギー・ジョンソンさんのSMIRA講演会の翻訳を続ける予定でしたが、疑問点が出てきたので今問い合わせをしています。その間、ちょっと違うトピに飛びますね。

夏休みに入る前、せっかくASD専門校で研修をしてるんだから、先生や専門家たちの場面緘黙に対する意識調査をしたいなと思いました。

まず副校長の了承を得て、終業式の4週間前に彼女に簡単なアンケート用紙を送付し、先生方にアンケート用紙を転送してくださるようお願いしました。が、3学期末は行事が多く、学校見学に来る家族もいっぱい。何度もお願いして、結局終業式の当日にアンケート用紙が配られることに…。

翌日から夏休みに突入だし、どのクラスも終業式の準備で忙しく、どう考えてもアンケートに答えている時間はなさそう — お昼休みに校庭に出ていた先生やTAにお願いして回り、何とか6名から回答をゲット。更に、5名がメールで回答を添付してくれて、総計36名のうち11名から回答を得ることができました。

今から考えるともっと詳細なアンケートにすれば良かったなと思うのですが、何せ忙しい職場。書き込み蘭はなしで、殆どYes/Noで答えられる質問をいくつかに留めました。

<場面緘黙に関する意識調査 2014年7月>

回答者: 北ロンドンのASD専門校(殆どは高機能/アスペルガーの子ども)の職員 計11名(内訳: クラス担任 3名、TA(クラス担任補助員) 5名、専門家 2名、事務員 1名)

Q1. 場面緘黙という症状を聞いたことがありますか?

a) はい  10名                                                            b) いいえ 1名

* b)と答えたのは教師暦3年のクラス担任の先生でした。多分、このASD専門校が初めての職場だと思うのですが、2010年の創設から現在まで、SMの児童・ティーンはひとりもいないということで、知識がなかったものと思われます。

Q2. 下記のどの説明が場面緘黙の症状に適していると思いますか?(Q1で「はい」と答えた10名のみが回答/複数の回答可)

a) 話すことを拒否している     5名

b) 不安のため話せない      6名

c) 引っ込み思案で話せない    3名

d) (子どもが)誰に話すかを選んでいる   8名

* 現在SMの説明は、b) の 「不安のため話せない」が代表的と思うのですが、意外にもa) とd)が多かったのに驚きました。いまだ60年代の”Elective Mutism” という名称のイメージが強いのか、それとも”Selective Mutism”のselective という単語に「選択している」というイメージがあるのか…。経歴18年というベテランSLT(言語療法士)がa)~d)までを全部選んでいたので理由を訊いてみたら、彼女が受け持ったSMの子どもの中に、わざと話さないようにしていたらどんどん話せなくなっていった子がいたそう。その子は、結局話せないまま卒業してしまったようです…。

Q3. 今までに、学校で話さないASD児に出会ったことはありますか?ある場合は、何人ですか?

a) ある 6名                                              b) ない 5名

  • 1人   3名
  • 2-3人   2名
  • 10人以上  1名

* 10人以上と答えたのは、職歴14年というTAの女性。かなり多いので、多分SM児だけでなく重い自閉症で言葉が出ない子も含まれていると思います。

Q4. 自閉症スペクトラム症の子どもが、場面緘黙になることもあると知っていましたか?

a) はい 8名                   b) いいえ 3名

この学校には、現在まで緘黙症状のある子どもがひとりもいないためか、職員の場面緘黙に対する興味・知識はそれほど深くないように感じました。場面緘黙という症状は知っていても、不安障害のひとつという認識はそれほどないような…。イギリスの国民医療サービス、NHSのサイトには「発症率は150人にひとりの割合」とあるので、普通の小学校だったら(イギリスの学校は小規模で全校生徒数が2、300人のところが多いです)、1~2人いるという計算になります。ちなみに、息子の小学校のインファントスクールには3学年315名の児童の中に、緘黙児が2人いました。息子はもちろん含まれてますが、同じクラスにもうひとりいたんです!

イギリスの国民医療サービス・サイトの場面緘黙ページ

 

イギリスはすっかり秋です

イギリスでは8月上旬まで夏日が続きましたが、中旬から気温が下がり始め、今やすっかり初秋の気候です。いつもの散歩コースでは、もう秋の花が咲き、ブラックベリーが熟し始めていました。1週間前の土曜日、友人との散歩の後に家族で再び出かけ、3つの袋にいっぱいになるほど摘んできました。

IMG_20140816_152230IMG_20140816_150959ブラックベリーの茂みだらけ。よく熟しているのは甘くて美味です

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       大量に採れたので、鍋でグツグツ煮てお砂糖少なめのブラックベリーソースを沢山作りました。スーパーではもう少し大きな実でひとパック£2(約340円)くらい

 

先週末から今日まで、3連休を利用して主人の実家に滞在。先に泊まりに来ていた姪と甥に合流し、久々に一緒の時間を過ごしました。

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          義母の庭ではフルーツ類が大豊作。2mくらいの樹にりんごが鈴なり。イングリッシュローズ、ジェネラスガードナーも元気でした

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義父が通うゴルフ場でレッスンを受ける息子と従兄弟たち

イギリスの田舎では殆どの土地が私有地なのですが、Public Footpassと呼ばれる公共の細い散策道があちこちにあります。道といっても、林や草原、誰かの畑のあぜ径や牧場の脇を通らせてもらうという感じ。

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        草ぼうぼうの小径をイザ行かん。大抵は白丸に黒い矢印で進行方向を表示。柵を越えるためのステップ(石もしくは木)が設置されています

IMG_5560IMG_5559        羊が放牧されている牧場の中を、ちょっと失礼。牛や馬の牧場だと結構怖いです

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日曜日の午後には、義理父と一緒にノーサンプトン(Northampton)からマーケットハーボロ(Market Harborough)へと続く自転車道へも散歩に行きました。ここにもブラックベリーがいっぱい。

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かつて鉄道が通っていた道なので、真っ暗なトンネルが複数あります

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ローストディナーを作りながら留守番していた義母に、野の花のお土産

自分がしたいことは何か? 書き出して順位をつける

この3月に開催されたSMIRAコンファレンスで、イギリスの緘黙治療の第一人者、マギー・ジョンソンさんが、小学校中・高学年&ティーンの支援方法について講演されました。その内容をKnetと拙ブログに公開する許可をマギーさんから得ましたので、概要を少しずつ翻訳してご紹介しています。

内容の著作権はマギーさんに属しますので、この記事の転記や引用は固くお断りします。なお、年が上の子どもへの支援は、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアル(Selective Mutism Resource Manual Speechmark社)』に詳しく書かれていますの第二版(2015年春/夏出版予定)に新項目として掲載される予定です

《緘黙に苦しむ小学校中・高学年生&ティーンの支援》

場面緘黙アドバイザリーサービス 言語療法士マギー・ジョンソン著/ ケント州コミュニティヘルスNHSトラスト

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その10)

ジェイ君(15歳)のケース

2) 自分がしたいことを、重要度別にグループ分けする

● 第1グループ (最も重要) – なし

●  第2グループ (かなり重要)

  • 健康でいる
  • 良い仕事につく
  • 試験に合格する
  • 自信を持つ
  • 学校の課題をもっとうまくこなせるようにする
  • カレッジに行く
  • 自立する – 人に頼ることなく自分でやれるように

● 第3グループ (それほど重要でない)

  • 趣味や特別な興味を持つ
  • 新しい友だちを作る

3) 第2グループ(かなり重要)の項目に順位をつける

  1. 良い仕事につく
  2. 試験に合格する
  3. 自立する – 人に頼ることなく自分でやれるように
  4. カレッジに行く
  5. 自信を持つ
  6. 学校の課題にもっとうまく対処する
  7. 健康でいる

4) 2回めのセッションで、上記から取り組むべき項目を2つ選ぶ

  1. 良い仕事につくために、カレッジに行く
  2. 自立する – 人に頼ることなく自分でやれるように

*みく注: ジェイ君のリストには、「誰かと話す」など直接場面緘黙を克服するための事項は含まれていません。でも、子どもによっては「先生と話す」、「友達に電話する」など、具体的な対策がリストアップされる場合もあるでしょう。各自したいことは異なり、自らの問題に対する思いも違うため、それぞれの個性や状況に合わせたリストができあがると思います。リストに直接「話す」項目が入っていなくても、目的を達成するためには、少なからず人とのコミュニケーションが必要なはず。まずは、自分がどうありたいか、将来何をしたいのか、現状を踏まえて考えること。そして、その目標向かって、現実的にできそうなことはなにか、どうアプローチすればいいかを、支援者と共に決めて、スモールステップで実行に移していくことになります。

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マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その6)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その7)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その8)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その9)

 

最初のステップ-自己評価表を作る

この3月に開催されたSMIRAコンファレンスで、イギリスの緘黙治療の第一人者、マギー・ジョンソンさんが、小学校中・高学年&ティーンのための支援方法について講演されました。その内容をKnetと拙ブログに公開する許可をマギーさんから得ましたので、概要を少しずつ翻訳してご紹介しています。

なお、内容の著作権はマギーさんに属しますので、この記事の転記や引用は固くお断りします。年が上の子どもへの支援は、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアル(Selective Mutism Resource Manual Speechmark社)』に詳しく書かれていますの第二版(2015年春/夏出版予定)に新項目として掲載される予定です

《緘黙に苦しむ小学校中・高学年生&ティーンの支援》

場面緘黙アドバイザリーサービス 言語療法士マギー・ジョンソン著/ ケント州コミュニティヘルスNHSトラスト

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その9)

ジェイ君(15歳)のケース

最初のステップ

  • あなたにとって何が重要なのか、私がどのように支援できるかを確認する
  • 現在どんな問題(症状)に悩まされているのか、的確な説明表現を見つけ出す  (*マギーさん注: ジェイ君は、それまでに受けた自閉症スペクトラム他の検査に嫌気がさし、両親に自分はどこも悪いところはないと訴えていました。そのため、私は医学用語でなく、彼が納得できるような言葉で症状を説明すると決めていたのです)

1) 自己評価表を作る – 本人が自分をどのように評価しているか

  •  内向的 – 8
  • 典型的なティーン – 7
  • 恥ずかしがり – 6
  • 社会的な不安が強い – 6
  • 静かなコミュニケーター – 6
  • 社会的なコミュニケーションが難しい – 4
  • 繊細 – 4
  • 場面緘黙 – 4
  • 心配性 – 3
  • 社会不安障害 – 2
  • 完全主義者 – 2
  • 敏感すぎる – 1
  • 自閉症スペクトラム – 1
  • うつ – 1

1-10のスケール (1:全く当てはまらない/10:良く当てはまる)

 *みく注: この表を見ても判るのですが、子どもが評価する自分自身と、親が評価する子ども像とでは、往々にしてズレがあるようです。親にとって最も気がかりな点が、子どもにとってはそれほど重要ではないこともあり得るのです。ジェイ君は自分が「内向的」で「社会的な不安が強い」ことを自覚していますが、「場面緘黙」であることはそれほど問題視していないことが解ります。自分は「典型的なティーン」という認識が強く、「静かなコミュニケーター」と評価していることから、仲間とのコミュニケーションはある程度取れていて、それほど孤立している訳ではないよう。親はどうしても同年齢の子と比較して焦りがちですが、子どもには自分なりのペースや価値観が育ちつつあります。子どもを信じ、少し距離をおいて見守る/応援するというスタンスが、年が上の子どもには必要かもしれません。なお、自己評価表を作ることにより、子どもは自分の状態を改めて認識。また、子どもから見た自己の性格や全体像が見えてくるため、支援者は今後の作戦が立てやすくなると思います。

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その1)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その2)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その3)

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マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その5)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その6)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その7)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その8)

 

治療セッションを開始

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その8)

この3月に開催されたSMIRAコンファレンスで、イギリスの緘黙治療の第一人者、マギー・ジョンソンさんが、小学校中・高学年&ティーンのための支援方法について講演されました。その内容をKnetと拙ブログに公開する許可をマギーさんから得ましたので、概要を少しずつ翻訳してご紹介しています。

なお、内容の著作権はマギーさんに属しますので、この記事の転記や引用は固くお断りします。なお、年が上の子どもへの支援は、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアル(Selective Mutism Resource Manual Speechmark社)』に詳しく書かれていますの第二版(2015年春/夏出版予定)に新項目として掲載される予定です

《緘黙に苦しむ小学校中・高学年生&ティーンの支援》

場面緘黙アドバイザリーサービス 言語療法士マギー・ジョンソン著/ ケント州コミュニティヘルスNHSトラスト

<全般的なコミュニケーション>

  • 肯定的な非言語コミュニケーション
  • 直接的な質問は避ける
  • 子どもが話すことを期待するのでなく、話せる機会を提供する(保護者の支援を得る)

<本題のコミュニケーションではツールを活用>

  • キーボードと画面
  • スケール表
  • ランキング表
  • 質問表
  • マインドマップ

治療例 – 15歳の少年、ジェイのケース

<第一回目のセッション/ミーティング>

本題のコミュニケーションでは下記のツールを使用

  • キーボードと画面
  • スケール表
  • ランキング表

<支援者の自己紹介(マギーさんの場合)>

  • 名前
  • 役割の説明 — 社会不安や場面緘黙の症状を持つティーンを支援する(*症状名に関しては保護者と相談のうえ決める)
  • 治療セッションの意義を説明 — 上記の症状があるとコミュニケーションスキルが阻害され、特定の人と自由にやり取りできない

<支援者の役割>

  • あなたが人生から多くを学べるよう、社会面・学習面で楽しく過ごす手助けをする
  • 上記を妨げているバリアや障害物を特定する
  • 自分や他者があなたを支援をしていく上で最良の方法を考案する

<支援者として決してしないこと>

  • あなたがしたくないことはさせない
  • 違和感がある場合は、行動することを期待しない
  • あなたの安全が脅かされない限り、あなたの許可なしに情報を漏らさない

みく注: 「特定の場面で話せない」のが場面緘黙の特徴ですが、「声を出せないこと」や「話せないこと」は氷山の一角でしかありません。表に出ている部分(話さないこと)なので目立ちますが、そこだけに注目せず、背後に潜む不安に目を向け、子どもの心に寄り添うことが大切だと思います。まずは、子どもが一番リラックスできる形で十分なコミュニケーションを取り、子どもとの信頼関係を築くこと。あくまで子どもを中心に、「これからどうしたいか、何ができそうか」を一緒に考えていくと良いようです。年が上の子どもは緘黙している時期が長いので、自分を認めて応援してくれる大人、心を許せる大人が重要な存在となります。

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マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その3)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その4)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その5)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その6)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その7)

 

第一歩は、本人が「変わらなければ」と思うこと

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その7)

この3月に開催されたSMIRAコンファレンスで、イギリスの緘黙治療の第一人者、マギー・ジョンソンさんが、小学校中・高学年&ティーンのための支援方法について講演されました。その内容をKnetと拙ブログに公開する許可をマギーさんから得ましたので、概要を少しずつ翻訳してご紹介しています。

なお、内容の著作権はマギーさんに属しますので、この記事の転記や引用は固くお断りします。「年が上の子どもへの支援」については、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアル(Selective Mutism Resource Manual Speechmark社)』に詳しく書かれていますの第二版(2015年春/夏出版予定)に新項目として掲載される予定です

《緘黙に苦しむ小学校中・高学年生&ティーンの支援》

場面緘黙アドバイザリーサービス 言語療法士マギー・ジョンソン著/ケント州コミュニティヘルスNHSトラスト

3  自分が変わるための起爆剤(働きかけ)となるもの(ことがら、目的、人など)

<内的に>

  • 今までどおりではいけない、という気づきと認識
  • 自分が変わらなければ、夢のキャリアや自立の機会を放棄することになるという認識

<外的に>

  • 家族以外の誰かが、純粋に子どものことを気にかけ/信頼し、変わることができると信じさせる

*変化の過程については、プロチャスカとディクレメンテ(Prochaska & DiClemente, 1983)による行動変容のステージモデルを参照 → ここ

*みく注: マギーさんの図と少々違いますが、同じものがなかったのでご了承ください。

4 変化の過程におけるサポート
<内的に>

  • 現実に沿って期待値を上げていく: 落ち着いて、肯定的な態度で確認しながら。成功したら自分の努力と成果を認める
  • 第三者がお手本を見せながらリードする → 子どもは回避というオプションはないことを理解してゆく。不安になることは普通であり、有益でもある — 私達は不安に対処することによって、不安をコントロールする方法を学ぶ(例: 不安になる行動を排除するのでなく、別のルートやより簡単なルートを見つける)
  • 子どもを責めたり、批判的になることなく、子どもに代わって何かしてあげることを止める → 子どもは自分が変わらなければどんな結果になるかを実感する
  • (最後の手段として) 未来が暗くなってしまった実際のケースについて話す

<外的に>

  • 「関わることへの拒否」と「告知に基づく同意」を混同しないこと。「告知に基づく同意(治療を受け入れるか拒否するか)」を得ることは、コミュニケーションの過程として何週間もかかる可能性がある(Mental Capacity Act 2005)。子ども達は何がどのように提供されるのか、治療を拒んだ場合はどのようなリスクがあるのかを十分に理解する必要がある
  • 最初のミーティング/約束を取り付ける時は、*パラメータを設定し、かつ/または避難経路を用意しておく
  • どんな形のコミュニケーションでも評価する — テキストメッセージや電子メールを使う方が、より多くを語る可能性が高い(初期には、自由回答式の質問(open questions)でなく、答えを選択できる質問(closed questions)をすること)

*みく注: 「パラメータを設定し(setting parameters)」という部分の意味が良く解からないのですが、子どもがどう反応しても対処できるよう、予め広範囲で考えておくということかなと思います。

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マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その5)

マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その6)

 

息子の14歳の誕生日

今日は息子の14回目の誕生日でした。ちょうど夏休みのど真ん中なので、多くの友達がバカンスに出かけて不在の時期。小学校時代は休みの始めか終わりに誕生会のイベントを行っていたんですが、セカンダリーに入ってからは仲間と連れ立って映画+食事という感じ。でも、今年は見事なまでに誰もロンドンに残っておらず、しかも火曜日…。

どうしようかなと考えていたところに、友達一家が娘の21歳の誕生日に親戚を招いてリッツホテルでアフタヌーンティーを楽しんだという話題が(こちらでは、21歳で成人になったお祝いをします)。そしたら、息子が「僕、アフタヌーンティーって経験したことがない」と漏らしたんです。

それをヒントに、今年の誕生祝は私と2人でアフタヌーンティーを体験することにしました。ついでに、今までに一度も行ったことがない(赤ちゃん時代を除く)、フォートナム&メイソンとハロッズにも寄ることに。まるで女子会のノリですが、まあ何事も経験ということで。

IMG_5423              夏休み中は自分で朝ごはんを準備する約束ですが今日は特別。            プレゼントはゲームソフトとお小遣い

リッツは高くて無理なので、割引券を使ってGreen Parkのヒルトンへ。家の近所では、私と一緒のところを同じ学校の生徒達に見られるのを嫌い、他人のふりをする息子。でも、家や知ってる子のいないところでは、まだまだ甘えんぼうです(少々心配)。

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IMG_5446            3段のティースタンドに、フィンガーサンドイッチ、スコーン、プチケーキ各種と紅茶で一人16ポンド(約2800円)くらい

サンドイッチから食べ始め、クロテッドクリームとジャムをのせたスコーンを1個食べたところで、すでに満腹感が…。息子は大好きなスコーンを2つ食べ、ケーキはメレンゲとゼリーで終了。私はもう1個のスコーンを主人へのお土産にして、ゼリーとマカロン、キャロットケーキまで食べ進みました(笑)。

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食後の運動に、まずフォートナム&メイソンへ。ラクシャリーな高級食料品が芸術的に並んでいて、息子もすぐに「ここは特別!」と察したよう(笑)。いつも行くスーパーとの値段の違いに驚いてました

IMG_20140812_165105地下のフードホールへと通じる階段が豪華

IMG_20140812_165348可愛いオリジナルクッキーを発見

Piccadilly Circusから地下鉄でKnightsbridgeに移動。久しぶりに足を踏み入れたハロッズには、F&Mよりもさらに多くの観光客が。黒いベールを纏ったリッチなアラブ系のご婦人が多かったです。

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         1階のフードホールと3階のクリスマスコーナー!オリジナルギフトのコーナーはめちゃめちゃ混んでました

 6時半に主人と待ち合わて食事に行く予定でしたが、まだお腹はいっぱい….。結局、Wasabiという日本食のファーストフード店のカフェに入り、私と息子は寿司弁当をシェアして帰宅しました。

ここ1年の間に、息子は大人達のグループの会話にも入れるようになってきたように思います。私や主人の友達から「ちょっと会わない間に成長したね」と言われ、気づかないうちに少しずつ大人への階段を上がってるんだなと実感しています。

 

海辺の家の週末

今週末は、3年ぶりに南イングランドのサセックス州に住む友達の家に遊びに行ってきました。彼女の家は海岸に建っていて、中庭にあるアトリエを出ると、そこはすでに砂利の浜辺なのです。

IMG_20140810_135624文字通り海に面した家(写真のアトリエの奥に家があります)

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満潮のときは水際までわずか10数メートルたらず!

土曜日の1時ごろ着いてランチをご馳走になり、食後のコーヒーの後で浜辺に出たのが3時頃。ちょうど引き潮で、かなり遠くまで浅瀬が続いていました。観光地ではない小さな町なためか、天気がいいのに人出はまばら。泳いでいるグループとウィンドサーファーが数人、散歩している人がちらほら、という感じ -- まるっきりプライベートビーチ状態でした。

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       海水に足をつけると、思いのほか暖か…。浅瀬には柔らかそうな藻や海草がプカプカ。引き潮で出現した中州(?)まで歩くと、緑の藻(写真右)がいっぱい張り付いてました

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中州から岸側を見た風景

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          海岸沿いに散歩していたら、かわいいパステルのBeach Hut(海小屋)が並ぶ風景に遭遇。この小屋を借りて着替えたり、休んだりできます

夜は近くのLittlehampton という町にあるシーフードで有名なレストラン、East Beach Cafe に行ってきました。海辺に突如現れるフランスパンを切ったような斬新な形のレストランです。

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地元産のビールとシーフードで乾杯(って、私は飲めないんですが)

今日の日曜日は、アメリカで猛威を振るったハリケーン「バーサ」が勢力を弱めながらもイギリスに上陸ということで、各地に警報が出ていました。サセックス州にも警報が出ていて、海が荒れるかもと、土曜の夜からドキドキ。朝5時ごろ風の音で目が覚め、何度も窓から海を眺めました。7時頃に真っ黒な雲が地平線に垂れこめ、暴風に加えて雨も降り始めて、「いよいよ高波が押し寄せてくるかも!」と待ち構えていたのですが、その後もあまり変化なし…。午後2時頃にはカラリと晴れ上がり、もう一度まったり散歩を楽しんでからロンドンに戻ってきました。

IMG_20140810_135654午後からも波が高く水が濁ってました

 

オリンピックパークに行ってきました

2012年のロンドン五輪いえば、エリザベス女王がジェームス・ボンドにエスコートされ、パラシュートでスタジアムへ降下するという演出が記憶に残っているのではないでしょうか?

その瞬間を、私は日本の実家のTVで観ていました。オリンピック開催中ずっと帰国していたので、せっかくロンドン開催だったのにもかかわらず、実際に見る機会はありませんでした。

ちなみに、ロンドン市民はオリンピック税を徴収されたんですが、何ら恩恵はなし…。各学校でチケットの抽選会をしたものの、クジ運のない息子はまたもやハズレ。スポーツに殆ど興味がない夫と息子は、地元を通過した聖火リレーと、自転車男子ロードレースをロンドン中心部に見に行ったのみだったそう。

それが、先週日曜日に地下鉄で東ロンドンを通過した際、五輪の建築物がチラリと見えて、息子が「行きたい」と興味を示したんです。偶然にも、久しぶりに会う友達親子からの提案と重なって、一緒に出かけてきました。

オリンピックパークの入口までは、Stratford駅から徒歩5分ほど。Westfieldsという大型ショッピングセンターを通り抜けると、正面にオリンピックスタジアムが見えてきます。

今年4月に『クイーンエリザベス・オリンピックパーク』と改名され、中央にリー川が流れる2.5k㎡の美しい公園としてリニューアルオープン。メインスタジアムと水泳会場など4つの競技施設を残し、家族で散歩やピクニック、スポーツや遊びを楽しめる場となっています。そぞろ歩きで1時間半もあれば1周できる大きさでしょうか。

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         スタジアムは今も改造工事中。2016年に地元のサッカープレミアリーグ、            ウエストハム・ユナイテッドのホームスタジアムになる予定

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       スタジアムの隣はロンドン五輪のシンボルタワー、アルセロールミッタル・オービット(Arcelormittal Orbit)。全長約115m、2つの展望台があります

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            スタジアム前の広場では、水着姿の子ども達が歓声をあげながら遊んでいました。       地面から吹き上がる噴水が名物です

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              左側の建物は水泳競技会場だったアクアティクスセンター。一般利用もできますが、時間帯が不規則なので予約してから行くのがベター

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息子、クライミングウォールに挑戦中。至るところにモダンなアートワークや建造物が

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              公園内は美しく整備され、川縁には野草風の花や植物が生い茂っています。            五輪前は廃棄物処理施設が建ち並ぶ荒廃したエリアだったとか

公園内のあちこちに売店がありますが、我々は北東側のカフェ『ティンバーロッジ』でお昼を食べようと楽しみにしていたんです。でも、行ってみたら何の変哲もないサンドイッチ中心の軽食メニューしかなくて、う~ん…。周りを見回してみると、ピクニック派が圧倒的に多く、納得という感じでした。

「何か美味しいものが食べたい!」と食い意地の張った母親2人(特に私)は、文句を言う息子達をなだめつつ、カフェが沢山あるショッピングセンターへと歩いて戻ったのでした(笑)。

IMG_5398            M&Sのカフェでやっとランチにありつきました!3種類のサラダに大きなローストチキンが        ついて4.50ポンドはかなりお得。ラズベリーとザクロのジュースも美味でした

たくさん歩いて、美味しいものも食べて、大満足で家に戻ったんですが、かなりヘトヘト。運動したから痩せたかもと、翌日体重計に乗ってみたら何と1.6kgも太ってました~。最近、ちょっと食べすぎかも…。

地下鉄のアクシデント

昨日の日曜日、古くからの知り合いの誕生パーティに家族で呼ばれ、地下鉄で行くことになりました。我が家はロンドン中心部から30分ほどかかる郊外で、地下鉄が地上を走っています。

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知人へのプレゼントはパープル系の花束とチョコレート。これらに加えて、前日ホリデーに出かけた友達から譲り受けた蘭の花も持参することに。で、その蘭の花を息子に持たせたのが事件のはじまりでした。 IMG_20140803_132048

電車に乗り込んでふと息子を見たら、「あれっ、蘭がない?!」。そうです、置き忘れてきちゃったんです。

電車を待っている間、夫と息子はwifiが繋がる待合室に入って携帯ゲームに夢中になってたんですね。外にいた私に呼ばれて急いで電車に乗ったため、息子は自分が興味のない欄のことなどすっかり忘れてしまったよう…。

咄嗟に「降りよう!」と家族を促し、先に降りた息子に続こうとした時、私達夫婦の目の前でドアがピシャリと閉まりました。次の駅で降りて、「う~ん、あの子が機転をきかせて、次の電車でこの駅まで来れるかな?」と二人で顔を見合わせ、まずは電車を待ってみました。

携帯電話は学校で禁止されているため、息子は携帯を持ってません(友達との連絡はipodで間に合ってるよう)。連絡の取りようがないので、2台待ってみたんですが、やっぱり乗っておらず…。

(小学校時代は、「電車に乗り遅れたり、みんなと逸れた時は、その駅で迎えが来るまで待つこと」が鉄則でした。きっと、小学校のこの教えをしっかり守ったに違いなく、こういうところは生真面目なんですよね)。

仕方がないので夫が迎えに行き、家族が合流できた時には、予定より既に30分以上も遅れてました!(日曜日なので電車の本数も少なかった)。

やっと知人宅に辿り着いた時は、2時の集合時間を45分も回っていたのですが、集まった皆さんは庭でカナペを食べながら和やかにおしゃべり中。3時を過ぎてから、とっても美味しい手料理の数々をご馳走になり、食後はふわりと軽くフルーツたっぷりのクリームケーキとミントティーも堪能。お陰さまで、それまでのトラブルが吹き飛びました。 IMG_20140803_151314

          この写真ではよく見えませんが、お刺身をのせた大皿が2枚あって、握ったご飯に好きなお刺身をのせて食べるという趣向。イギリス人にも大人気でした。

東の郊外から北の郊外まで中心部経由の移動なので、7時前においとまを告げて家に戻ったのは夜の8時半過ぎ…。遅い夕飯を食べながら何となく反省会になり、下記のルールを決めました。

  • 自分の持ち物には必ず責任を持つ → 息子
  • 無茶な電車の乗り降りはしない/させない → 私
  • 誰かが電車に乗り遅れた場合は、次の駅で集合 → 家族全員

ちなみに、息子は、私達が乗った電車を見送ってから、駅の事務所に行って事情を話し、どうしたらいいか相談したんだとか。いつもなら無人駅のところ、昨日はたまたま駅員さんがいて、「事務所で待ってれば?」と誘ってくれたそうです。追記:後から解かったんですが、駅員さんと一緒にCCTVを観ながら、「次の電車で君の両親が来なかったら、隣の駅にアナウンスを入れよう」と話してたんだそう。ひえ~っ、間一髪でした。

こういうところは随分成長したなと思います。しかし、昔からマルチタスクが苦手な息子…大丈夫かな。そういう母親の私も、昔からオッチョコチョイで失敗が多いので、親子で注意せねばと気持ちを引き締めたのでした。