アイスランドの夏休み(その9)

今年も残すところあと1日。今回、やっとアイスランドの夏休みを完結できそうです。時間が空いてしまいましたが、お陰でまたあの独特の空気や風景を想い出すことができました。皆さん、良いお年をお迎えください。

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9日目(最終日):エイラルバッキ村経由して帰国

最終日は、コテッジの近くにあるナラロス灯台 (Knarraros) に寄ってから、西隣のエイラルバッキ村 (Eyrarbakki) の民族博物館を見学。そこから空港に向かい、午後遅い飛行機で帰途に着くという予定。

 

     灯台に行く途中、アイルランド産の馬が地面に寝ている場面に遭遇。馬の顔がとっても表情豊か

 

      1939年に建設された灯台はアイスランドで初のコンクリート製灯台。この辺りの海岸は砂浜ではなく、湖の畔のように草地になっていました。

 

 

ストックスエイリの町の一本道を走っていたら、なにやら 写真撮影をしているグループに遭遇。車を降りてみると、かつて漁師が使っていた草屋根の宿泊小屋がありました。

横からみると、ただの草の山にしか見えません

中は6人分のベッドが。冬の海へも漁に出かけたのかな…

そこから西隣にある海沿いの村、エイラルバッキへ。ここはアイスランドでも最も古い移住地のひとつで、デンマークからの移民が住み着いた場所。海岸には細かな砂利の浜があり、波に洗われた小さなガラス片が太陽の光にキラキラ輝いていました。

砂利の海岸と北欧風のカラフルな家が並ぶ小さな目抜き通り

村の教会の隣に、なんとも可愛らしい民族博物館が。18世紀に建てられたデンマークの商人の家に当時の調度品や写真が展示され、その豊かな暮らしぶりを偲ぶことができます。こんな寒い国にやってきて、家族はどう感じたのかな…。敷地内には小さな海洋博物館もあり、入場料1000ISK (約940円) で両方見学できます。

居間と屋根裏の子供部屋

    キッチンにはお茶のセットが置いてあって、親切な係員さんが「自由に飲んで」とコーヒーを注いでくれました

鳥の剥製や卵のコレクションを集めたEgg House

その後、博物館の向かい側にあるこの村に唯一のレストラン、Red House でランチをすることに。村のカフェと思って入ったら、テーブルに生花が飾られたきちんとしたレストランでした。若手のシェフが腕を振るうモダンなメニューは、普段の2倍以上の値段!注文してから、なかなか料理が出てこなくて、飛行機の時間が~と焦りました。そして、付合わせのブルガー小麦がなかったことに、後で気付いたのでした…。

    この魚料理は今回アイスランドで食べた中ではピカイチ。お金と時間がある方にはお勧めです

焦りながらも美味しいただき、エイラルバッキ村を後にして一路空港へ。途中、ブルーラグーンの発電所&温泉施設の近くを通りました。

空港内ではガソリンスタンドが軒並み休止中で焦りまくり、チェックインでは追加料金を取られ、ヘトヘトになって飛行機に乗り込みました。大量に残ったコインでコーヒーを買おうと思ったら、「キャッシュレス」と断られガッカリ…。

息子の成人と結婚20周年の旅は、ドタバタのうちに幕を閉じたのでした。あの透明な空気と鏡のような水、そして人を寄せ付けない雄大な自然を、また見られたらいいなと思います。

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アイスランドの夏休み(その8)

アイスランドの夏休み(その8)

今年も残すところあと3日となりました。クリスマスは地方で主人の家族と過ごし、ロンドンで新年を迎えるのが恒例。が、息子は大晦日に友達と泊りがけで出かける予定で、どんどん親離れしていく様が頼もしくもあり、淋しくもある今日この頃です。

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8日目:温泉プールでゆったり

この日は遠くへは行かず、近場でのんびりしようという計画。午前中はセルフォスの北西の地熱地帯にある町、クヴェラゲルジ(Hveragerdi) を探索。午後は事前に予約しておいたフルジール(Fludir)の天然温泉プール、シークレットラグーンに行ってきました。

クヴェラゲルジの地熱地帯では、普通の川に熱湯が流れていてお湯につかれるという情報をゲット。詳しく調べる時間がなかったので、ハイキングがてら探検してみることに。町の駐車場に車を停めて、当てずっぽうに公園から山の方へ歩いて行くと、そこかしこから白い蒸気が上がっていました。

    小規模な地熱発電施設がいくつもありました

    肝心の温泉川は見つからず、小川の温かい水に足を浸してお茶を濁すことに…

町に戻って、地熱料理を味わえるというレストランKjot & Kunstに入ってみました。が、地熱で調理したというミートボールはIKEAのとそんなに変わらず…。やはり値段の割にぱっとしない味なのでした。

 

レストランの外に地熱料理窯があって、期待大だったのですが…

ミートボールセット(左)とお代わり自由のバイキングランチ(お得)

気を取り直して、次はゴールデンサークルのルート中央あたりに位置するフルジールという名の小さな町へ。ここにはアイスランド最古の天然温泉プール、秘密のラグーン (Secret Lagoon 入場料2,800ISK 約2,700円) があります。ブルーラグーンの方が世界的に有名ですが、大幅に値上がりしていたのと(入場料は1ドリンク付9,900ISK 約9,400円)、前回硫黄が強くてアレルギーが出たため、こちらを選択。時間より随分早く着いてしまったのですが、快く入れてくれました。

水温はぬるいくらいなのですが、プールの端に熱湯が沸き出ている箇所があってそこは火傷しそうな熱さ。プールの周囲をぐるりと歩けるようになっていて、小さな間欠泉から熱湯が噴き出る様も見られます。プールに浸かりながらアルコールを飲んでる人が大勢いたんですが、すぐ酔いが回りそう…。

危険な熱さですね…

プールの隣を流れる川の土手には「100度!注意」の標識あり

長湯してすっかり温まリ、帰り道にケリド火山湖 (Kerid Crater) に立ち寄りました。以前来た時と変わったのは、料金場ができていて500ISK(約500円)支払うとパンフレットがもらえたこと。以前は無料だったのですが、今回の旅行では至る所で観光化が進み本当に混んでいました。20年前はホテルもろくになくて、地元民が経営するB&Bに泊ったんです。

   深いグリーンの水をたたえる湖と赤土の斜面のコントラストがきれい。クレーターの上と湖の淵辺を歩けます

アイスランド最後の夜、湖に沈む美しい夕日を堪能しました

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アイスランドの夏休み(その7)

アイスランドの夏休み(その7)

明日はもうクリスマス・イヴですが、まだ夏休みの話題が続きます…。

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7日目:雨の中の滝巡り

今年、ヨーロッパは例年になくいい天候に恵まれました。でも、アイスランドでは悪天候が続き、私たちの旅行期間も殆ど雨という予報。が、ラッキーなことに実際に雨に降られたのはこの日だけでした。

     ギザギザの岩山を背に、同じ造りのコテッジが並ぶHörgslandの宿泊施設。今回の旅行では、ウォーキングシューズが大活躍

朝はゆっくり起きて、11時頃に西へ向けて出発。ヴィーク村のドライブインでランチブレイクを取ったついでに、海辺へ。前日、ディルホゥラエイ半島(Dyrholaey)から見た奇石群がもっと近くに見えました。

ヴィークを出発して40分ほどで、次の目的地スコゥガフォスの滝 (Skogafoss) に到着。先回の旅行で特に記憶に残った滝ですが、新たに滝口まで登る階段ができていました。で、いざ登り始めたら、これがかなり急でキツかった!主人と息子は息切れしている私を尻目にどんどん先に行ってしまうし、後ろがつっかえているので止まれないしで…辛かったです!

  

  滝の左側の山麓は牛が草を食むのどかな風景。右側の丘に滝口への階段が

   

急勾配の坂を登りきると、滝口の様子と上流の川が見られます

滝幅約25m、落差約60mと、滝の多いアイスランドでも最大規模

次は25分ほど西へ車を走らせ、セリャラントスフォス の滝(Seljalandsfoss)へ。この滝も落差も60m程度ですが、スコゥガフォスより水量が少なく、滝の裏側をぐるっと周れるのが特徴。

  一時雨が止んで、滝の向こうに少しだけ青空が

     

   右側から岩を踏み分けて回ります。防水ジャケットを着ていても、水しぶきでびしょぬれ。薄着だった息子は後で風邪をひいてしまいました

ヘトラ (Hella)の町でガソリンスタンドに寄ったついでに、近くのカフェで一休み。看板にArt Caféとあったので期待して入ってみると、なかなか良い感じ。店内ではハンドメイドの陶芸品を販売してました。

     カフェオレもケーキ(これで900円もする!)も美味しかったけれど、ケーキのデコレーションが古っ(笑)

ゆっくり休んだ後、更に西へと車を走らせ、セルフォスの南にある海岸の村、ストックスエイリ(Stokkseyri)へ。今回の旅行で最後の宿となるのはAirBnBで探したコテッジ。人気のない村を通り抜け、農場の奥の無舗装の道に入ると、そこにはなんとも不思議な光景が…。

   道の両側に、牛骨、オレンジのボールブイ、古錆びた農具などのディスプレイ…この先にはキャンプ場もあるらしいのですが、うーむ…

   コテッジというよりは小屋みたいですが、内装はIKEA風でWifiも完備。すぐ側に湖がありました

   夕食はスーパーで調達した食材で作ったパスタ。フレンチビーンズは冷凍のを使用

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アイスランドの夏休み(その6)

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ロンドンの学校は今週の土曜日からクリスマス休みに入りますが、まだまだ夏休みの話題ですみません。今年中には何とか終わらせたいと考えてます。

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6日目:憧れのダイアモンドビーチを目指して

旅行6日目は、アイスランド最大の氷河、ヴァトナヨークトル(Vatnajökull)とその南東側にあるヨークルスアゥルロゥン氷河湖 (Jökulsárlón) が最終目的地。セルフォスからは1号線で東へ約320kmほど。まずは近くにあったスーパーKronanで食料を買い込み、いざ出発。少し行くと、先回の旅行でも見た”Björk”への道標が。

有名な滝をいくつかやり過ごし、アイスランド最南端のディルホゥラエイ半島(Dyrholaey)へ。ここは風光明媚で知られ、灯台のある断崖はアイスランド南岸の絶景を眺められるスポット。ハイキングコースが沢山あって、黒い砂浜のビーチを歩いたり、海にそびえる溶岩の奇石群や柱状節理の崖を真近に見たりできます。でも、この日はめちゃめちゃ風が強く、ハイキングする気にはとてもなれず…。

   ツノメドリなど野鳥の楽園らしいのですが、吹きすさぶ風にその姿は全く見えず。灯台から20分ほど崖の上を歩きましたが、風が強くて寒すぎ…

 岬の先端にある穴の開いた岩、ディルホゥラエイ(アイルランド語で「扉の穴」)

遠くに見えるのはヴィークの海岸に突き出た溶岩の奇石群

あまりの寒さに、早々と車に引き上げました。サーモス水筒(イギリスから持参)の温かいコーヒーが大重宝。自然しかないアイスランドの観光スポットでは売店もないところが殆どなんです。

アイスランド最南端の村、ヴィークのドライブインで昼食を摂り、更に東に車を走らせていくと、遂にヴァトナヨークトル(Vatnajökull)が見えてきました!

 

氷河がこちらにむかって雪崩れてくるようで大迫力!

氷河は何世紀もかけて雪が圧縮され厚い氷の塊になったもの。永続的でありながら、氷自体の重さによってゆっくりと移動しているのです。移動するに従って形を変え、クレバスや割れ目、氷河洞窟などが形成することも。

ヨークルスアゥルロン氷河湖に向かう道は、時折左側に氷河を見ながらのドライブ。そして突然視界が開けてきて、氷山や氷塊がいくつも浮かぶ氷河湖が目に飛び込んできました。先回も来ましたが、自然への畏敬を抱かずにはいられない、何度見ても神秘的な光景です。

遠くに見える氷河が解けてできた氷河湖。氷の色は真っ白ではなく、蒼や緑の様々なバリエーションがありました。きっと天気によっても色が変わるんだと思います

雄大な風景の中、アザラシが数頭泳いでました

今回、どうしても行きたいと思っていたのが、ヨークルスアゥルロン氷河湖の水が海へとそそぐ海岸。湖から歩いて数分ですが、20年前はまだ観光スポットになっておらず、名前もついていませんでした。その名は、ダイアモンドビーチ。

氷河湖から海に流れ着いた氷塊が、黒い砂浜の上に打ち上げられ、波に洗われて様々な形や大きさに変化。形に。氷がキラキラ輝くため、ダイアモンドビーチと呼ばれるようになったのだとか。

まさに氷の芸術…もしかして何百年も前にできた氷?

帰りがけに車を止め、あまり知られていない小さな氷河湖も見学しました。

この日の宿泊先は、氷河湖とヴィーク村の中間点にあるHörgsland。1号線を114kmほど西へ引き返さねばなりませんでした。というのも、ヴァトナヨークトル周辺には殆ど人が住めない場所で、宿泊施設が少ない・高額・満室だったから。

ずーっとハンドルを握っていた主人はヘトヘト。この夜はイギリスから持参したうどんを食べてバタンキューでした。

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全くの季節外れになってしまいましたが、今年のうちに何とか夏休みの話を終えようと頑張ってます…。

5日目:ゴールデンサークルへと南下

5日目の8月12日は草屋根のログハウスとお別れして、南へと下る日。この日は息子の18歳の誕生日でもありました。イギリスでは18歳で成人と見なされるのですが、う~んまだまだ子供っぽい…。

さよなら、ご近所のトンガリ山

アイスランドの内陸部はほとんど人が住めないので、途中ですれ違う車もごくわずか。荒涼とした風景の中、人気の高い観光地ゴールデンサークルを目指して車を走らせました。

    途中、一本道にマイクラを止め、岩だらけの展望台へ

最初の目的地は、ユネスコの世界遺産に登録されているシンクヴェトリル国立公園(Þingvellir National Park)。ここは、930年から1798年までアイスランドの民主議会が開催された地。「こんな何もないところでどうやって?」と思ったら、議会が開かれる夏の間に各地から人々が集まり、仮シェルターを造って寝泊まりしていたそう。

     総面積約240㎢という広大な国立公園。複数の駐車場とウォーキングコースがあります

旅行1日目に、ユーラシアプレートと北アメリカプレートの割れ目(ギャウ)にかかる架け橋(『アイスランドの夏休み(その1)』をご参照ください)に行ったのですが、その割れ目が西から中央、北へとアイスランドの国土を貫いているのです。

    

高い壁の合間がギャウ。本当に地球の裂け目という感じでした~

曇り空の下、次は有名なゲイシール地熱帯へ。地下から大量の水が定期的に吹き上がる間欠泉は人気の観光スポット。代表的なグレート・ゲイシール(The Great Geysir)は噴出が最大約60mと世界的に有名でしたが、現在では殆ど活動が止まっています。その代わりに(?)、近くのストロックル間欠泉が5~10分おきくらいに20mほどの噴出を続けています。

 

  

        シャッターチャンスを待って、観光客がストロックル間欠泉の周囲をぐるりと囲みます

次は「黄金の滝」という異名をもつグトルフォス(Gullfoss)へ。ラング氷河(Langjökull)から流れこむHvítá川の上流部分にあって、最大幅が約70mというアイスランド随一の規模を誇る滝です。

    簡単なロープが張ってあるだけで、滝との距離はすぐそこ。水しぶきがすごくて大迫力

ここから、更に南のセルフォス(Selfoss)へ。今回初めてハウスシェアをしたんですが、共同キッチンは使わずにレストランで夕食。

    他が空いてなくてステーキハウスへ行ったんですが、ここが大当たりで美味しかったです。メインは各2500円くらいで、やっぱり高い!

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