ロンドンのクリスマス

12月15日になんとか無事帰国できました。が、忙しさとネット環境不備のため、今日までブログの更新ができませんでした。クリスマス前にと思っていたのに、結局ギリギリです…。でも、文章と写真はすでに準備しておいたので、投稿しますね。

2週間ほど前、友人に会うためにウエストエンドの繁華街に行ってきました。デパートが建ち並ぶオックスフォードストリート界隈は、普段も買い物客で混雑するのですが、クリスマス時期はそれに輪をかけたすごい人混み。クリスマス直後には恒例の大バーゲンセールが行われ、デパート前に寝袋持参の強者たちが行列を作ります。

イギリスではクリスマスが一年で最も大きなイベントで、日本のお正月のような感じ。11月下旬には街にクリスマス飾りやイルミネーションが灯され、どんよりした灰色の街がぱっと華やぎます。でも、今年は….なんかとっても地味–もしかして予算がないのかな、と勘ぐってしまったほど。それでも、それぞれ趣向を凝らしたデパートのショーウィンドーは今年も楽しめました。

IMG_3616         1909年創業の老舗デパート、Selfridgesの正面玄関で待ち合わせ。                         最先端を行くファッションとグルメ賞賛のフードホールで評判です

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今年のXmasディスプレイはミニュチュアのサンタクロースが主役

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       庶民派デパート、John Lewisではクリスマスにちなんだ動物などのディスプレイ。                                タオルで作った七面鳥

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コンピューター関連の機器で作った白熊?

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John Lewis の店内ディスプレイ

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ミンスパイなどクリスマス食品のハンパー(詰め合わせバスケット)

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ウエディングドレスの専門店

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オックスフォードストリートの飾り付け(地下鉄駅入口から)

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                         明かりが灯るとこんな感じ。この通りを走れるのはブラックキャブと呼ばれるタ              クシーと2階建バスのみ IMG_3638

オックスフォードストリートの脇道

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我が家の植木鉢入りツリー。3年前に2000円くらいで買った小さな木が年々育ってます。IMG_3663  IMG_3665

皆さん素敵なクリスマスをお過ごしください

 

ヒースロー狂想曲--こんなのアリですか?

本当は、昨日の朝11時20分の便で日本に向けて発つはずでした。

が、まだロンドンの自宅にいます….。そうです--飛行機に乗れなかったのでした。「乗り遅れた」、といえばそうなんですが、全く私の責任ではありません。

一昨日、昨日と、ロンドンは久しぶりに濃い霧に包まれました。複数の便がキャンセルになり、ヒースローは混乱気味。

霧のせい?  いえ、ヒューマンエラーだと思います。

元々フィンランド航空で予約したチケットでしたが、コードシェアをしているBA(英国航空)に変更されたということで、BAのカウンターでチェックイン。これが出発の1時間50分ほど前。ヘルシンキまでの搭乗券を印刷したところで問題が発生したらしく、階下の事務所から確認が入るまで待つことに。

新しい人達が次々とチェックインしていく中、待てども待てども呼ばれず…途中で担当者が代わり、新担当の手が空いた際2回かけあったのですが、「昨日キャンセルが続出して事務所は大混乱してるから、もう少し待って! 待ってるのはあなただけじゃないのよ」とけんもほろろ…。かなりオーバーブッキングがあった様子で、周囲には10名弱の人が集まってスタッフと押し問答に。

結局、私達は「階下からマネージャーが来て説明するから」と無視され…待つこと1時間。「えっ、もう搭乗時間過ぎてる?!」という状態になってからマネージャー氏がやってきて、「この便は定員がいっぱいになったため、搭乗は締め切りました。皆さんの便を変更します」と…。

「ええええ~っ!」と皆怒って文句を言った後、マネージャー氏が皆のアイテナリーをチェック。私の搭乗券を見た途端、「早く、搭乗しなさい!」と。でも、スーツケースも預けてないし、ヘルシンキからの搭乗券もないし、何せもう出発20分前でしょ?!

彼が無線でチェックした時、既にもうラストコール状態でした。それなのに、搭乗しろと主張するんです!一緒に待ってた中国人の女の子達に「グッドラック!」と背中を押され、走りましたよ~。

クリスマス前の忙しい時期です。セキュリティチェックには長蛇の列…係員にお願いして前へ走り、ようやくチェックを終えて、搭乗口へひた走る私。何故か高校時代に現国で習った太宰治の『走れメロス』を思い出してました(笑)。

で、やっとのことで24番ゲートに辿りつき、階段を下って搭乗口に行くと--誰もいな~い!! もう出発した後だったのです。こんなのアリですか?!

仕方なくお隣のセクションの受付に事情を話すと、「トランジットにBAのカウンターがあるから、そこに行って」とそっけない返事。同じBAの職員だけど、「私の責任じゃないから」と、誰も謝ってくれないのでした…。イギリスでは何か問題が起こると万事がこんな感じ。カスタマーサービスがしっかりしてないので、仕方ないと諦めるしかないことが多いのです(クレームするにも、自分で全部しなきゃならない)。

探し当てたBAのカウンターにはやっぱり列ができていて、待つこと40分。皆さん問題がある方ばかりで、ちっとも進まないのでした。やっと私の順番が来て事情を説明し、色々調べてもらって14日の便に振り替えた時には、正午をとっくに過ぎてました。ちなみに、この担当者は大変一生懸命やってくれて、感じも良かったです(きっと、こういうクレーム処理にも慣れているのでしょう)。

そこから、パスポート審査でまた並び、スーツケースを取り返し、カフェでひと息入れ、荷物預かり所を探して大きいスーツケースを預け、地下鉄で家に戻った時には4時を回っていました。朝家を出たのは8時20分…何のための一日だったのか…もうクタクタ。

イギリスではクリスマス時期が日本の師走と同じで、よく”run round like a headless chiken (やみくもに走り回る)” という表現を使うんですが、まさにそのもの。いい大人が必死こいて空港を走る姿は、見られたものではなかったでしょう…。

ipadを操作しながら、おやつを食べてソファで寛いでいた息子に紅茶を淹れてもらい、やっぱり家はいいな、とつくづく思ったのでした。

 

しばらく更新できなくて、すみません

家庭の事情で12日に急遽帰国することになり、先週からバタバタしています。イギリスのクリスマス風景をお伝えしようと思い写真は撮ったのですが、「明日は更新しよう」と思いつつも、次から次へとやることが増えて全くできず…。

明日は学校勤めなのですが、実はまだパッキングもできてなくて…。夕方、息子の学校で初の進路懇談会もあり--超焦っています。

また帰国して落ち着いたら、ぼちぼち書き始めますね。

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その1)

『日本では発達障害と見なされやすい?』のシリーズでは、日本では場面緘黙児がPDD(広汎性発達障害)と診断されることが多いように思えること、またその理由について考えてきました。今度は、イギリスの学校環境やシステムの中では、ASD児が二次障害として場面緘黙を発症する率が低いのではないか、という私の勝手な仮説について考えてみたいと思います。

その前に、『日本では発達障害と見なされやすい?(その5)』でも触れたのですが、杉山登志郎氏の著書『発達障害のいま』に着目したいと思います。日本における高機能自閉症の権威のひとりといわれる杉山氏は、あいち小児保健医療総合センターの心療科(児童精神科)の部長として、2010年まで9年間、臨床の最前線にいた方です。

2011年夏にこの本が出版された時は随分話題になったようですが、読まれた方はどの様な感想を持たれたでしょうか?私は2011年秋に帰国した折、Knetのおしゃべり会 in 名古屋に行く途中立ち寄った書店で、偶然にこの本と出遭いました。読んでみて、難解な中にも目からうろこの発想が沢山あったように思います。特に、発達障害が何故増えているのか、発達の凸凹とトラウマについては興味深く何度も読み返しました。

ご存知かもしれませんが、この本の中には「選択性かん黙」についての記述があります(P170)。      要約してみると、

1) 緘黙はASD(自閉症スペクトラム障害)ではないと考えられてきたため、国際的な診断基準にもそのための除外診断の記載があるが、最近になって重症の緘黙児には高頻度にASDの子どもがいることが明確になってきた。

2) 軽症の緘黙児は不安感が強いとか、家族の中で見えない対立があるなどの家庭環境の要因がみられる。しかし、コミュニケーション全体に遅れを認める難治性の緘黙児は、殆ど実はASDの併存症として生じている。

3) このグループは思春期に転帰が分かれ、外でコミュニケーションが取れる子と、取れないままの子に二分される。

4) ASDの併存症としての緘黙症に対しては積極的な治療、つまり入院治療を行うと成果があがる。入院して家族と離れて生活するだけで、早い子は2週間、粘る子でも1ヶ月、最悪の場合は3ヶ月あれば、家庭外でも会話によるコミュニケーションが可能となる。

(『発達障害のいま』 杉山登志郎 講談社現代新書 2011年)より抜粋&要約)

ここから、またまた続きます。

関連記事:

緘黙は発達障害なのか?

 

日本では発達障害と見なされやすい?(その6)

イギリスにおけるASD(自閉症スペクトラム障害)のアセスメント

この間、セカンダリースクール(12~16歳)に通うSMの女の子のお母さんと話す機会がありました。娘さんは幼稚園入園時から場面緘黙になり、小学校低学年で一端回復したものの、5年生の頃から徐々にまた緘黙傾向が強くなったそうです。娘さんの社会性を心配して最近ASDのアセスメントを受けたと聞き、その経過を教えてもらいました。アセスメントの際、日本のようにWISCなどの知能テストが行われるかどうか知りたかったからです。

言語療法士経由で学校に相談したのは、娘さんが6年生の時。学校から地区のCAMHS(Child and Adolescent Mental Health Service 子どもと青少年の心の健康を専門とするクリニック)に紹介してもらい、実際に精神科医に会うのに2年もかかったとか!イギリスの国民医療サービス(NHS)は無料だし、専門医の質も高いんですが、システムが複雑で待ち時間が長いのが玉に瑕…。同じNHSの医師に私立の病院で診てもらうと、目玉が飛び出るほど高額なんです(万単位)。

まず、CAMHSに紹介された時点で、オンラインの申し込用紙に娘さんの情報などを記入。その後、学校側と専門家がミーティングを行い、精神科医に診断してもらう必要があるかどうか相談する予定だったそうですが、CAMHS側が診断必要ありと判断したため、10ヵ月後に最初のアポが入ったとか。

初診は何と医師ではなく精神科のナースによる面談。その結果を専門家たちが話し合い、ASDの可能性があるのでアセスメントが必要と判断されたそうです。

それから次の受診日を待つこと1年。精神科医が両親に問診を行い、その結果ASDではなく社会不安障害という診断がおりたそうです。娘さん個人にも別個に質問する予定でしたが時間が足りず、そちらの方は次回に回されたそうですが、まだそのセッションは行なっていないとのこと。

CAMHSからの報告書によると、ASDのアセスメントに使われたのは、Dimensional Developmental and Diagnostic interview (3DI) Observational assessment

不安障害の診断に使われたのは、SCARED (Screening for Child Anxiety Related Disorders)
だそうです。

言語療法士たちは、最初からASDではなく不安障害ではないかという意見で、これはASDの疑いを除くためのアセスメントではないかと話していたそう。やはり、日本のようにWISCなどの知能テストで自閉症スペクトラムかどうかを判断することはないようですね…。

「日本では発達障害と見なされやすい?(その2)」で触れたのですが、うちの息子も主治医(GP)に頼んでCAMHSに紹介してもらい、7歳の時にASDのアセスメントを受けました。その際は5ヶ月後に診察してもらえたので、私が住む地区は待ち時間が短い方なのかもしれません。結果からいうと、問診してすぐにASDの心配はないと言われました。

受診の理由は、当時かんもくネットでPDDと診断されるお子さんが多く、心配になったこと。息子には感覚過敏があり、学校で男子のグループの中に溶け込めなかったり、家で意固地になることが多かったためです(友達関係に関しては、診察を待っている間にかなり改善されました)。

うちの場合は、私と医師、(父親が隣について)子どもと医師が別々に問診を受けました。多分、彼女の家族が受けたのと同種類の質問だったと思いますが、報告書には「アスペルガーシンドロームのスクリーニング質問表使用」とあるだけ…。加えて、学校での様子や友人関係、成績などについて担任からの情報と、それに対する医師の所見も記載されていました。

スクリーニング質問表は既成の自己診断テストをもっと具体的にした感じかな。息子の普段の生活の態度や性格など、細かいところまで具体的に訊かれた記憶があります。

「軽度発達障害フォーラム」というサイトでPDD(ASD?)自己診断テストを見つけました。気になる方は参考程度にトライしてみてください。自己診断で特に問題がないようであれば、それ程心配することはないように思います。もし心配な場合は、早急に児童相談所などに相談に行くことをお勧めします。どんな問題であれ、子どもが直面している困難を見極めて、どの様なサポートが必要かを知ったうえで、早めの対策を練ることが大切かと思います。

PDDオンライン自己診断

http://www.mdd-forum.net/check_sheet/checksheet_pdd.htm

PDD・アスペの定義と診断基準

http://www.mdd-forum.net/asp_teigi.html

ASDの定義自体が一般の健康な人を含んだスペクトラム(連続体)なので、少々社会性に欠けるとか、コミュニケーションが苦手であっても、環境に適応できていれば、個性の範囲に入るのではと私は思っています。また、そういう傾向を持つ子どもには、その傾向に対するASD児への対応を参考にできると思います。

私は9月から自閉症児専門の小規模な私立校で、週に1回TAの研修をさせてもらっています。生徒は殆どアスペの男児ばかりでなんですが、会話をしていると、話題が一方的で視野が狭く、会話のキャッチボールができないという共通点があるように感じます。視線は合うし、質問にもちゃんと答えるものの、こちらのボディランゲージや周りの状況を全く読めないよう。話題が自分の興味に集中して、話が膨らまないんですよね。ちなみに、30名強の生徒のうち、場面緘黙の子はひとりもいません。

緘黙は発達障害なのか?

日本では発達障害と見なされやすい?(その1)

日本では発達障害と見なされやすい?(その2)

日本では発達障害と見なされやすい?(その3)

日本では発達障害と見なされやすい?(その4)

日本では発達障害と見なされやすい?(その5)