SM H.E.L.P. 2023 10月サミット(その4)腸内環境を改善して不安を低減

今年もあと2日に迫りました。が、まだごくうっすらと陽性反応が出て、義母宅から帰った家族から隔離されています^^; 明日の大晦日までには陰性になります様に!

   

     今家で一番元気がいいのはビバーナムの小花〈左)。イギリスにもナンテンがありました

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子どもたちのダイエットを改善

トニさんの子どもたちには感覚過敏があり、食べ物にはうるさかったとか。それでも、新鮮な食材を増やし、超加工食品を減らしていった結果、より健康で幸せそうになり、笑うことが多くなったといいます。同時に、子どもたちの不安は驚くほど軽減されたそう。

砂糖は脳内で「ドーパミン」を放出する

まず、トニさんは子どもに甘いものを与える影響や超加工食品が内臓に与える影響について学びました。気にしすぎるのはよくありませんが、朝食を食べなかったり、砂糖いっぱいのシリアルばかり食べるのでは、必要なビタミンやミネラルが採れません。また、砂糖は脳内での「セロトニン」や「ドーパミン」の分泌を促進するため、依存性を助長してしまうとか。

(そういえば、息子が2歳になったころ、友達の誕生会で初めてライビーナを飲んだんです。そうしたら、いきなりシュガーハイになって驚いたことがありました。ママ友達もその頃までは、やれオーガニックだ、手作りだと頑張っていたのに、お誕生会が始まってからジュースやらお菓子やら、ほとんど成分を気にしなくなり…総崩れ状態に)

そこで、小さなご褒美を与えながら、ストレスなくバランスの取れた食事が採れるよう工夫したのだとか。味覚は変わっていくものと考え、加工食品よりも手作りするようにして努力を重ねていきました。

娘さんが12歳のころ、OCD(強迫性障害)ではないかといわれ、そうではないかと思われる行動が散見されました。住んでいる地区では専門家が見つからず、NYの専門家に相談することに。食生活を変えてみたところ、3ヶ月で改善したとのこと。

娘さんは学校生活が合わず、それまで数年間自宅で学ぶホームスクールだったのが、学校に行けるように。トニさん自らのIBSや睡眠不足も改善したそう。

食生活を根本から見直すことがメンタルヘルスの改善に欠かせないと、現在では栄養士の資格を取る勉強もしているとか。

息子が赤ちゃんだった時、一番重要だったのは食事・排泄・睡眠。生きていく上で、基本的にはそれはずっと変わらないんじゃないかと思います。やはり、何はともあれ健康第一ですよね。

ロンドンでは今韓国のキムチがちょっとしたブームなんですが、味はもちろん発酵食品が身体にいいという考え方が浸透しつつあるようです。納豆よりもキムチの方がとっつきやすいんでしょうね^^; ちょっと悔しくもありますが、味噌と豆腐、お寿司とわさび、チキンカツカレー(何故チキン?)、ラーメンとうどんは、イギリス人の間でもすっかり定着しています。

みなさんも健康に気をつけて、良いお年をお迎えください。

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身体と心のリンクを大事にして、身体の声を聞いていきたいですよね。

 

提示カード作成をステップに場面緘黙を克服

あっという間に10月も半分過ぎてしまいました。欧米では今月が場面緘黙の啓発月間。でも、イスラエルとハマスの大規模戦闘が始まってしまい、世界中がその緊迫したニュース一色に染まっている感じですね。犠牲になるのはいつも一般市民、一刻も早く戦闘をやめて欲しいです。

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どうしても言葉が出ない時、自分が場面緘黙だということを理解してもらうために提示できるカードをご存知でしょうか?上記のカードを考案したのはエリザベス・ヘルプスさん。自身も場面緘黙でしたが、カードを作成することで回復への第一歩を踏み出すことができたとか。

エリザベスさんは現在29歳。場面緘黙と診断されたのは16歳の時でしたが、それまでずっと軽度の緘黙症状を引きずっていました。「大人しくて目立たなかったから、問題にされなかったのかも」と振り返ります。

診断が下りた頃には症状が悪化していて、ほんの一握りの人にしか話せない状態だったそう。それから事態は更に悪化し、数年後には誰とも話せない全緘黙に。家族とも、ペットのうさぎとも話せない時期が3年も続いたというのです。

そんなエリザベスさんが直面した問題が、話せないために「失礼な人」と誤解されること。自分を理解してもらうために、自分と同じ様に緘黙に苦しむ人たちのために、25歳の時にカードを作成しました。それを場面緘黙のグループに紹介したところ、当事者や保護者から「私も欲しい」と声がかかるように。

「私には言葉が出にくくなる場面緘黙という不安障害があります。言っていることは理解できますが、返事ができないかもしれません」

自らカードを使ってみて、「相手は返事を期待していない」と思えるだけでプレッシャーが減り、人と接することが楽になったとか。不安が減ったこと、仲間に共感してもらえたことに勇気づけられ、少しずつ場面緘黙を克服していくことができました。

現在は場面緘黙を引き起こしていた病院という場所で、週に数時間ボランティアができるまでになっているとか。本人いわく、「緘黙をほとんど克服できた」といえる心境だそう。

プラスティック製のカードは名刺タイプとネックストラップ付のタイプがあり、デザインはそれぞれ4種類ずつ。当事者用と子どもにつけさせる保護者用があり、今ではアメリカやスウェーデンなど海外の購入者も増えているとか。

緘黙児/ 緘黙の人は自分から行動を起こすのが苦手です。緘黙を理解してもらうのもそうですが、まず勇気を出してカードを提示してみることが小さな一歩につながりそう。提示カードがコミュニケーションを取るためのツールになればいいですね。

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息子の緘黙・学童期 7~8歳(その14)安心できる人と空間

早春の花が次々と咲ほころぶ中、寒さがぶり返して今日は雪が降りました。明日の予報もまた雪マークですが、積もりはしないよう。桃の節句も終わり、かなり日が長くなってきています。

   

亡き母が大事にしていたお雛様といただきもののお茶菓子

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息子の緘黙話しの続きです。

2年生は進歩が止まってしまった感のある学年ではあったのですが、それなりの進歩もありました。

新たに日本から来た転入生と仲良くなって(転入生は自分の過去を知らないと思いこんでいて、アプローチしやすいらしい)、春休みに一緒に公園で遊んだりしました。

なんせ来たばかりなので、当然英語もあまりしゃべれない状態。母子ともに英語での生活に不慣れでした。

息子がリードして英語で積極的に話しかけ、売店でその子の分までアイスクリームを注文した時にはビックリ!「こうやって買うんだよ」と自慢したかったんでしょうね。

その子のお母さんは赤ちゃんを産んだばかりで、息子たちにはあまり注意が向きません。それも息子が大きな声を出したり、気兼ねせず会話したりできる要因だったかも。

よく緘黙児はコントロールフリークと言われますが、自分が主導権を握っている状態だと不安がなくなるよう。学校では借りてきた猫のようにしているのに、こんなに変わるんだ――その豹変ぶりにはしばしば驚かされました。

うんと年下の子や、英語やイギリスでの生活に不慣れな転入生やその母親、怖くない大人に対しては安心――本人がそう意識していなくても、自然に感じ取って反応している様でした。

また、この頃息子が安心できる場所に、自家用車の中というのがありました。運転席には私が座っているし、自分と友達が座っている後部座席はスモークガラスなので安心感が倍増。外からは自分の姿が見えないから、隠れているような感覚だったのかなと思います。

同じ音楽教室に通っていて、B君を通じて友だちになったクラスメイトのS君(お互いの家を行き来する仲で、S君ママとも話せていた)は、かなりのいたずら好きでした。窓を半分くらい開けて、近くを歩いている人に向かって、

「こんにちは、マダム!」

そう大声で叫び、姿を見られないように頭を引っ込めるのです。

それを何度も繰り返しながら、移動する車の中で大笑い。

そのうちに息子も笑いだして、いつの間にかいっしょにゲームに参加しているじゃないですか!楽しい雰囲気だと、普段できないことができてしまうんですね。

ひょんなきっかけで、安心できる場所や人が判明したりするものです。もし判明したら、そのシチュエーションをスモールステップに利用してみない手はありません。

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息子の緘黙・学童期6~7歳(その8)B君、ありがとう!

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場面緘黙は遺伝する?

もうクリスマスが目前ですね。それなのに、私はここに来て初めてコロナに感染してしまいました~(^^;  月曜日の午後、友達とテート美術館にセザンヌ展を観に行って、そこで咳が出始めて何だか疲れたな~と…。帰宅後、しばらく会っていない友達から「とうとう感染しました」と連絡が。そこで心配になってテストしてみたら、陽性!!(2週間前に主人が、その後息子が酷い風邪をひいたものの、二人ともコロナ陰性だったので油断してました!!)一緒に出掛けた友達に感染させたかもと、罪の意識でいっぱいです…。昨日からは殆ど症状もないのですが、家の中で家族3人が隔離生活中です。我が家のクリスマスはどうなることやらですが、皆さん、素敵なクリスマスを。

   隔離生活で外に出られないので、クリスマスの飾りつけを終えてて良かった…。

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先の3つの記事では、大人になるまで緘黙や不安障害などをひきずり、生まれた娘2人も場面緘黙になったというエイブリーさんについて書きました。

以前にも何度か話題にしたと思うのですが(随分昔のことなので思い出せない(^^;)、親子そろって場面緘黙になったという話は時々ききます。

でも、それは場面緘黙が遺伝する訳ではなく抑制的な気質が遺伝して、環境などの影響で子どもにも緘黙症状が出ているのだと思います。

(そういう私も場面緘黙ではありませんでしたが、高校時代まで「内弁慶・恥ずかしがり屋」と言われ続けていました。学校をはじめ公の場では借りてきた猫状態。その一方で、安心できる場所(家やその近所)ではかなり自を出せていたのです。知りあいが誰もいない他県の大学に入ったことが、自分の殻を破るきっかけとなりました)

元緘黙の大人がよく「緘黙の後遺症」として挙げるのが、人付き合いなど社会性の問題。抑制的な気質の人は引っ込み思案なことが多く、新しいことに挑戦するのに苦手意識があります。また、新しい状況に慣れるのに時間がかかるという特性も。

話せるようになっても、とまどっている内に人の輪の中に入れなくなってしまうこともあるかと思います。そして、一度できた輪の中に入っていくのは結構難しい…。自意識過剰で人の目が気になる上に、自分から働きかけることが苦手なんですね。

緘黙は克服したのに人との関係を築くのが難しい――特に、2人以上のグループでの何気ないおしゃべりが難しいという人が多いのです。仕事だったら、ある程度話題が限られてきますが、普段のおしゃべりは話題が流動的。人数や関係性などによって、何を言い・どんな反応をするか瞬時に決めなければならず、よく考えると複雑極まる対応をしなければならない訳です。

特に、日本では角を立てないために曖昧な表現を使うことが多く、「場の空気を読んで、求められている反応をする」必要性がすごく大きい。また、人の気持ちを配慮する「気配り」の文化があるため、反応が鈍いと誤解されてしまう傾向も。

緘黙児は学校で話せない・思うように行動できない子が殆どですが、社会性が発達する成長期に緘黙になると、社会的な経験を積むことが難しくなります。学校や社会の中で色々な体験をして、どんどん経験を積み重ねて自信をつけていく時期なのに、その体験がすっぽり抜けてしまうからです。

大人とのやり取りもそうですが、同年齢や年が違う友だちとの交流は特に重要。というのも、話し言葉やコミュニケーションに関しても、体験しながら習得していくものだからです。

話し言葉・言語・コミュニケーションの発達は、高校生になってからも続きます。どんどん語彙が増え、文章が長くなり、内容も複雑化していきます。こうしたスキルは、比喩や隠喩を含め、実際に使って相手の反応を見ながら学んでいくもの。ゼスチャーも同じことです。

輪の中で・輪の近くで、見て・聞いて・自分で使ってみて、成功と失敗を重ねながら習得していくのです。十分な会話の練習ができなければ、自信を持って言葉やゼスチャーを使うことはません。

学校で話せない緘黙児にとっては、家庭はもちろんですが、学校外の友達、親戚関係、習い事のサークルなど、なんでもいいので同年代の子どもとの繋がりを持つことが大切かと思います。学校の外で「話せる自分」がいれば、自信や自尊心にも繋がると思うので。また、兄弟・姉妹がいる子は色々話せる間柄だと助かるし、両親とも十分な会話ができれば安心ですよね。

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SM H.E.L.P. 2022年10月サミット(その4・エイブリーさん)保護者も変わる

イギリスは先週から寒気に包まれ、今日は最低気温がマイナス5度、最高気温が2度という経験したことのない寒さです。ロンドンでは日曜日の夜から初雪が降り始め、あたり一面真っ白に。気温が低いので雪が溶けず、踏み固められてアイスバーンに…。10センチ雪が積もったくらいで、交通が麻痺したり、学校が休みになったりというパニックに加え、郵便局・看護師・鉄道などのストで国が機能してない?!

初雪が積もった我が家の小さな中庭に、キツネがやってきました

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エイブリーさん自身の変化

特筆したいのは、娘たちの支援を続けるうちに、エイブリーさん自身にも変化が訪れたこと。子どもが進歩するにつれ、自分も変わらなければと強く感じるようになったそう。

子どもに自信をつけさせるためには:

  • 自分がもっと自由で幸せを感じ、人間関係を充実させて自信を持つ
  • 娘のお手本になる

自分がやっていないことを、子どもにやらせるのは難しいと実感し、上記の2つが必要だと感じたのです。

成人してからも社会不安や場面緘黙を引きずっていたエイブリーさん。何度もセラピーにかかりましたが、なかなか改善しなかったそう。でも、スモールステップで常に小さな挑戦を続けることで、自分自身を変え、社会不安を乗り越えることができたとか。自らの深層心理を見つめ、新しい挑戦に飛び込むのは簡単ではありませんでしたが、最終的には公衆の前でスピーチしたいとまで思うように。

そして、努力を続けた結果、ついに「こうありたい」と思うような人生に切り替えることができたといいます。

社会不安を克服するトレーニングを始めて、自分を愛すること、自分の声を持つこと、自信や自尊心を育てることができるようになったそう。

現在、エイブリーさんは「サンシャイン・マインドセット」というビジネスを立ち上げ、他の保護者や子ども達が内なる光を探し当てる支援をしています(セラピストではなく、米国のICF(International Coaching Federation)の資格を持つコーチ)。

https://sunshine-mindset.com/

エイブリーさんからの言葉

ネガティブに「私は内気だから」「できない」と言っていると、脳はそれを信じてしまいます。まず、「できる」「大声で叫べる」と思うこと。ネガティブな思考からポジティブな思考へと変えること。楽しいと思えた時、それが自信につながるんです。

小さな子どもにとっても、それは同じ。「大丈夫、〇〇ちゃんは勇気があるんだから」と口に出して言うことで、子どもは変わっていけます。

みく感想:

「子育て」は「親育て」といいますが、エイブリーさんはこの言葉通り、自分を変えて満足できる人生を得たようです。社会不安が強かった彼女が、学校や医療関係者に自分からアプローチすることは、どんなに勇気がいったことか。でも、娘たちの支援を勝ち取るために、必死で強くなっていったんでしょうね。小さな成功を積み重ねることで、母と子が少しずつ自信をつけていく姿が見えるようです。

緘黙児の保護者は自らも抑制的な気質の人が多いと思うので、自分から働きかけることが本当に難しい…。でも、子どものためと思えば、結構できてしまうもの。私も試行錯誤の末に色々鍛えられて、強くなれたような気がしています。理解されるのが難しくても諦めずに粘っていれば、なんとか道が開けてくるはず。頑張ってください。

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SM H.E.L.P. 2022年10月サミット(その3・エイブリーさん)親子の緘黙

イギリスでは12月に入って急に冷え込んできました。夕方4時頃になるともう薄暗くて、長~い冬の到来という感じです。光熱費や食料品、ガソリン代などが高騰していて、鉄道、郵便局、医療スタッフや救急車まで、クリスマスにかけてストが目白押し…人々の暮らしがどうなってしまうのか、本当に心配です。

散歩する公園のカフェに温かな光を灯すクリスマスツリーや飾り

<エイブリーさんが行った支援>

長女:4歳ころには緘黙などの症状があるのに気づくが、診断がおりたのは6歳。特に、社会性の問題が顕著だった

次女:2歳半~3歳くらいの時から兆候があり、入園の際に極端な母子分離不安が判明

<小児科・ソーシャルワーカーとの取り組み>

長女の症状に気づいてからすぐリサーチを始め、「場面緘黙」という症状名を発見。小児科医に連絡し、病院を通してソーシャルワーカーと2年ほど取り組みを続けた。しかし、少し進歩したところで、「娘さんは私には話すから場面緘黙じゃない。外でも一言二言話せるから、もう私のサポートは必要ない」と支援を打ち切られた。

<心理士との取り組み>

元主人が長女の学芸会をひとりで観に行き、娘の状態を危惧。「全然動かなくて無表情だった。絶対に何かおかしい」と、心理士を受診することを提案。

心理士とCBTを中心にしたセラピーを続けることで、少しずつ改善。誕生会などではしゃべれないが、先生に質問されたら小さな声で短く答えられるように。

それから次女が誕生。入園したあと、何もせず、何も食べられず、他の子達と一緒に座ることさえできない状態だった。

心理士に相談したところ、長女の症状の他に、社会恐怖や全般性不安障害も。より深刻で、園にいる間は全くしゃべらず、わずかに口を動かすだけ。そこからのスタートだった。

<学校での取り組み>

学校や園でもできる限りの支援を求めた。長女は小学校1年生から、次女は幼稚園からIEP(個人支援プラン)を作成してもらうことに成功。オハイオ州ではIEPのある子どもに予算がつくため、これが大きな転換点に。次女は幼稚園で週に3回TA(教育補助員)がつき、心理学者と相談して決めたゴールを目標に、スモールステップの取り組みを実施した。

保護者は子どもの学校での様子が全く分からないから、学校とのコミュニケーションは大切。子どもの可能性を違う視点で見ることもできる。

<心理士からのアドバイス>

・就学前に担任に会う

・教室内でその時々のゴールを子どもに確認させる

・学校と家庭間のコミュニケーションを密に

<講習会などへの参加>

場面緘黙の講習会にも積極的に参加。学んだ知識や情報をもとに、より効果的な治療法を探って、心理士の治療と並行して取り組んだ。NYで開催しているBrave Buddy’sにも参加した。

次に、娘たちを連れて1週間のSMキャンプに参加。母子分離不安がある次女は最初は嫌がったが、常にオープンに話していたことで心の準備はできていたと考えている。

長女にはキャンプの効果大で、初めてなのに全ての挑戦をクリアできた。その反面、次女には難関だったが、その後も諦めずに3年ぐらい参加した結果か、囁き声で話せるように。

SMキャンプには保護者の講習会もあり、緘黙への理解、取り組みを継続することの重要性、各ステップの実施、不安がどのように機能するか、していい事いけないことなどを学習。不安を抱える保護者にとって、緘黙は改善できるという希望を持てた。キャンプ終了後に普段の生活で何をすればいいのか学べたのも収穫。

成功のモメンタム(勢い)を継続させるため、高額だったが心理士を2人に増やした。場面緘黙を専門とする心理士と月に1度オンラインで話し(母親のみ)、取り組みや対処法を細かく計画。もう一人の心理士に取り組みを実践してもらう方法で、数年間続けた。

<専門家を味方につけること>

母子で取り組みをしていると、母と子の関係がセラピストと緘黙児の関係に変わってしまうことがある。だから、第三者の心理士がいるのはとても大切。その上に、学校関係者と専門家を含めたチームを作ることができれば、異なる場所(家と学校)での子どもの状態や進歩を確認できる。

<薬の服用について>

薬は最後の手段にして、まずできることを全部やってみた。次女の場合はSMキャンプを数年続けたが、心理士に「話す時だけでなく、通常でも不安が強い」と言われ(ASDの可能性も考えている)、服用に踏み切ることに。プロザックを低量から開始。

服用3日目に「私、話してる。どうしてこんなに話せるの?ママ、友達に言って」と、娘から言ってきた(この状態は継続した訳ではなかったよう)。これが、自分から友達に電話する挑戦を後押しすることに。

自分が「声を出せる」「話せる」と解った時、「自分はできるんだ」と考え方が変わり、自信が持てる。色々治療を試してみて、超えられない不安の壁があると解ったら、薬を試してみてもいいのではと思う。

(またまた次回に続きます)

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SM H.E.L.P.2020年10月サミット(その2)

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SM H.E.L.P. 2022年10月サミット(その2・エイブリーさん)親子の緘黙

天気が変わりやすい灰色の日々が続くイギリス。時どき青空が見えると、本当にほっとします。

    勤務先は小高い丘の上。母と小学生の子ども達による通勤路の街路樹アートはまだまだ続く

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さて、SM H.E.L.P.の秋サミットの続きです。

講演者: アメリカ在住のエイブリー(Avery Sunshine)さん。緘黙体験者で2人の娘の緘黙を支援しているうちに、自らの緘黙の過去を断ち切り理想としていた自分になることに成功。現在、他の子ども達や保護者が内なる太陽を見つけられるよう支援を行っている。エイブリーさんのサイト:sunshine mindset

<成人しても緘黙に苦しんできた>

私は人生のほとんどを社会不安、分離不安、場面緘黙に悩まされてきました。そんな私が変わったのは、幼い娘たち2人に同じ兆候があると気づいたとき。娘たちには自分とは違う未来を歩んで欲しい――勇気を奮い起こしてサポートしている内に自分自身も変わることができたんです。今では、かつて理想としていた人生を送れています。

<場面緘黙と社会不安>

私は幼少の頃から、極端に内気で不安の強い子どもでした。それは大人になってからも変わらなかったわ。これらの症状は場面緘黙の人なら誰でも持っているという訳ではないけれど、重なる部分も多いのでは?

<場面緘黙と社会不安の違い>

場面緘黙と社会不安との違いは、SMは話すこと・口語でのコミュニケーションに対する恐怖症。一方、社会不安は自分がいつも舞台の上にいるような気持ち――常に人に見られていて、どう判断されることへの恐れです。この2つが併存していることは多いのではないでしょうか?

<幼少期の思い出>

小さい頃は社会不安が大きくて、両親としか話せなかった。自分から友達を作れなかったから、母が友達を連れてきてくれたけど、すごく孤独でした。

中学では虐めにあって「ミュート(唖)」と呼ばれて…。特にひとりに虐めのターゲットにされて、髪にガムをつけられたり、持っている本を落とされたり。どうしていいか判らず、とにかく忙しいふりをしていたの。ひとりで座ったり、誰かのグループに入ったりする勇気がなかったから、用事もないのに学校の公衆電話から母親の職場に電話したり…。すごく大変だった。

高校では少しマシになったけど、個人発表やグループプロジェクトが苦痛で。1000%正しいと解っていても、挙手できない。個人の発表が迫ってくると、仮病で学校を休むすこともしばしば。課外活動を見学に来た母が、誰にも話をせず・かかわらず、何もしない私を見て狼狽していたのを覚えています。

<子どもの心情を理解して>

保護者や教師たちが子どもの心情を理解することは本当に大切。「恥ずかしがり屋なだけ。成長したら治るから大丈夫」と客観視するのは危険です。子どもは心の中で多くの葛藤を抱えている。独りぼっちでいたくないのに、自分からグループに混じることはできない――どうしたら輪の中にいるよう見えるのか、絶えず心配し心を痛めていました。それなのに、傍からは「平気そうだから大丈夫」とみられてしまう。誰かに判ってもらえるだけで、全然違うと思います。

<子どもが抱えている違和感>

「私はみんなとどこか違う。どこがいけないの?」と自分でも判ってました。実は、私の家庭は機能不全で健全ではなかったから、家族からのサポートや手引きを受けるのは無理だったの。「もし支援を受けられていたら、自分の人生はどう変わっていたんだろう」とよく思います。

娘たちが生まれるまでは、自分はこんな家庭で育ったからこんな風なんだと思い込んでいた――娘たちが私と同じパターンの行動を取るようになるまで。その時点で、やっと自分が場面緘黙で不安障害と分離不安も抱えていたことを発見したの。私が娘たちに注いでいる愛情や支援が、私の両親にはまったくなかった。大きな困難を抱えていたのに…。支援や支援チームがあるかないかとでは、子どもの未来が全く変わってくると思います。

(長いので次回に続きます)

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緘黙支援 電話でのスモールステップ

もう8月に入ってしまいましたね。今年はコロナの規制が外されたからか、世界中の人たちが動き回っているよう。私のところへも日本とイタリアから友達がやってくる予定です。嬉しいけれど、色々なことが一気に動き出したようで、なんだか目まぐるしい毎日です。

    先週末、ウォーキング友達2人とダブリンで珍道中を楽しんできました(^^; Ashling Hotelは各部屋ダブルかキングサイズで朝食も美味♡

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場面緘黙から抜け出せても「いまだに電話が苦手」という人は意外と多いようです。元緘黙児だった2013年のミスイングランド、カースティー・ヘイズルウッドさん(詳しくは『ザ! 世界仰天ニュース』(その1)』をご覧ください)もそう述べていました。

やっぱり、電話をかけてきた相手が誰か判らないのが一番の不安なんでしょうか? まあ、今だったら携帯に名前が出るから、相手が誰か判る訳ですが。あと、緘黙児は自分からアクションを起こすことが苦手なので、電話をかけるのが苦手というのは頷けますね。

帰省中の元緘黙の息子に訊いてみたら、「今は全く苦手意識はないよ」とのこと。考えてみれば、息子の世代はセカンダリースクール(12~16歳)から自分の携帯を持ち、コロナ禍の大学生活ではオンラインレッスンとビデオチャットが主流だったので、慣れもあるかもしれませんね。

(息子は緘黙だった頃のことは殆ど口にしないし、「もうあまり覚えてない」といいます。辛かったからもう思い出したくないのか、それともその記憶を頭の片隅に追いやってしまったのか…。それとも、私と話をするのが面倒なのか(^^;

そういえば、小5、6年の頃に、緘黙の過去のことや当時の自分の気持ちを唐突に伝えてきた時期がありました。徐々に話せるようになってきて、その安心感と自信から自分の中にため込んでいたものを吐き出したくなったのかも。初めて聞いて、目から鱗のことも多かったです)

本題に戻ると、息子も緘黙症状が顕著だった小学校低学年の頃は、大の電話嫌い。頑として受話器を取ろうとしませんでした。電話が鳴る度にナーバスになっていたような…。「ダディからだよ」と受話器を渡そうとすると、どこかに逃げていってしまうんですよね。

そんな息子が電話に出られるようになったのは、小2(6歳)の2学期に入ったある冬の日。急用で郵便局に行かなければならなくなったのですが、息子は一緒に行きたくないと…(ちなみに、イギリスでは小さな子どもを一人で留守番させることは不可。でも、必要に迫られてました)。いつも混みあう大きな郵便局なので「時間がかかるかもしれないけど、家で待ってて」というと、息子の顔がにわかに曇りました。

――行きたくないけど、長時間一人にされたくない――そんな不安な気持ちだったんでしょう。

「マミー、郵便局から電話して…」と思いもよらないリクエストが! これはまたとないチャンス!

何分ごろ電話するか時間を決め、3回鳴って一度切れたら私だから、また3回鳴ったら電話を取るという約束に。

そして、本番! 受話器から「Hello」という声が聞こえてきた時は、本当に感激しました!

「今並んでるから、あと15分位で帰れるよ」

「ウン」

超短い返事だったけど、ちゃんと電話で答えることができました。帰宅してから、さりがなく褒めたらちょっと自慢気。

翌日、主人が息子を買い物に誘うと、また行きたがらず(いきなり環境が変わるのが嫌?!)。さっそく次のチャンス到来とばかり、主人にスーパーに着いたら息子に電話をしてくれるよう頼みました。息子のチャレンジは買ってきて欲しいおやつの名前を言うこと。

この時何をリクエストしたのか覚えていないのですが、主人も息子と初めて電話で会話ができたと感激していました。

緘黙児は少し時間が空くと元の状態に戻ってしまうことも多いので、それから電話での受け答えの機会を増やしていきました。

この年の春休みには家族で帰国。最初は照れて私たちと英語だけで話していましたが、息子は割とすぐに祖父母に馴染み日本語で話せるように。この時は、子ども向けのTV番組から色々な単語や言い回しをどんどん覚えて、ビックリしました。

更に、イギリスに戻ってきてから生まれて初めて日本の祖父母と電話で話すことに成功!! 亡父が「初めてだなぁ」と感激していたのを、今でも忘れることができません。2007年当時はまだSkypeが普及しておらず、実家にPCはあれどモデムに繋げる技術がないという状態で、電話でしか声が聞けなかったのです。

<電話での取り組み要点>

  • 緘黙児は自分から行動するのが難しいので、電話をかけるより取る方が楽
  • 話せる人(保護者や友だちなど)からの電話なら安心度が高い
  • 予め電話がくる時間を決めておくとより安心
  • 会話は最初は 一言 ⇒ 言葉数を増やす(「はい」「いいえ」で応えられる閉じた質問 ⇒ 開かれた質問へ)
  • 自分から電話をかける時は、まず安心して話せる人(日時や話す内容を決めておくと安心)、もしくはピザの注文などセリフが決まっている会話を
  • 始めたらあまり時間を空けず、慣れて定着するまでスモールステップを繰り返す
  • 家で電話ごっこをして慣れる(息子は玩具のトランシーバーを使用)

子どもによって得意苦手が違うので、一番安心できる人・環境・話題からスタート。様子を見ながら、少しずつステップアップを測りましょう。どの子にも「これならできるかも」という時期があると思うので、子どもの反応を見ながらスモールステップに工夫を加えるといいと思います。

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緘黙支援 放課後の教室でビデオを活用

イギリスでは今週から3学期が始まりました。学校へ向かう途中、八重咲の並木道が迎えてくれて心がほっこり。花と同時に出てくる葉っぱを見ると、いつも桜餅を食べたくなります。

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私は息子が小1(5歳・担任の参加なし)と小2(6歳・担任の協力あり)の時に放課後の教室訪問を試みました。その結果はというと、う~ん効果があったのか、なかったのか、明白にはいえません。

ただ、「自分は教室/ 学校で話すことができる」という概念を子どもが持つことで、自信につながったのではと思っています。また、言葉が出なくても、「不安が少ない状態で教室にいる自分」に慣れる機会では?

イギリスでは授業が終わると生徒は校舎から出ることが原則になっているので、教室に生徒が残ることはめったにありません。また、教室で翌日の授業の準備をする先生もいますが、スタッフルームに引き上げることがほとんど。

IEPに緘黙支援が入っている場合、支援セッションは原則的に放課後ではなく授業中。それは教室の片隅だったり、別室(子どもは通常の授業を抜けます)だったり。放課後は先生たちが自由に使える時間――だから、教室で担任やTAと何らかのセッションを行いたい場合は、学校側にお願いすることになります。

日本だと校則が厳しそうなので、保護者が学校内に入ること自体が難しいかもしれませんね。そして、支援が受けられるかどうかは担任次第のところが大きそう…。

担任が参加してくれるか・くれないか、セッションの回数や時間など、条件は様々でしょう。教室での活動については、これらの条件を考慮して事前に綿密な計画をたてる必要があります。

ここでは実際の活動内容は省きますが、放課後や学校の休みに教室を使わせてもらえるなら、その機会を利用してビデオ活用をお勧めしたいです。今はスマホがあるので簡単ですよね。ただし、事前に学校に許可をもらうことを忘れずに。

(なお、この設定は小学校低学年までくらいを想定しています)

ビデオ撮影のお勧め

1) 言葉が出ない場合

  • 子ども自身にスマホを持たせて、自由に好きなものを撮影させる。帰宅してから、一緒にビデオを観て撮影したものの説明をしてもらう。
  • 子どもが撮影している間、反応をみながら展示物などについて「これ図工の時間に作ったんだね」などと話しかけてみる。応答があるようなら、「〇〇の席はどこ?」「この絵はいつ描いたの?」など質問してみて。短い返答が返ってくるかもしれません。無理に答えさせようとはしないこと。

家で教室の映像を何度も見返して、教室に慣れさせる。学校のこと、クラスのこと、先生のこと、好きな友だちのことなど、子どもの様子を見ながら気軽におしゃべりできたら、不安を減少させることができるかも。

2) 言葉が出る場合

  • 教室で話している子どもの姿を撮影する
  • 子どもとおしゃべりしながら、子どもの席を含む教室のあちこちを撮影する

家で映像を何度も見返して「◯◯ちゃん、ちゃんと教室で話せてるね」と言葉がけをする。あとは1)と同様に、学校に関して楽しくおしゃべりする。

3) 担任が参加してくれる場合

  • 担任が子どもに挨拶や質問するところをビデオに取らせてもらう

家で映像を見返して、挨拶や返事の練習をする

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緘黙児の特徴のひとつに、場所・人・活動に馴染むのに時間がかかるというのがあります。夏休みなど長期の休みが入ると、それまで馴染んでいた学校環境がまたまた縁遠くなってしまうのです。新学期に学校に戻ると、またはじめからやり直す感じになることも…。

もし放課後や学校の休みに教室や校庭を使わせてもらえるなら、教室だけでなく校門、校庭、昇降口、子どもの下駄箱、廊下、トイレなど、子どもが毎日使っている場所の写真を撮ってください。その写真を使って、本人の解説が入った学校の本を作ってみてください。特に、休みの間に見返すと効果的です。

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SM H.E.L.P. サミット マギー・ジョンソンさんの講演(その6)

ついに日本でもオミクロン株の一日の感染者が10万人を超えてしまいましたね…。イギリスでは、ここ3週間ほど8~11万人を行ったり来たり(1月31日は政府のサイトにデータが記載されず…何故???)。オミクロンのピークもピークアウトも早いと言われていたのに、欧米ではまだ下がりきってません…一体どうなっているんでしょう?

  

晴れの日は空が春めいてきました。学校へ向かう途中で出会う猫ちゃん

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さて、マギ-・ジョンソンさんの講演の続きです。

★保護者への助言:自らが不安を抱える17歳の娘さんを支援した経験から

「こうしてみたら? ああしてみたら?」と親が言い続けることで、子どもは親が自分に対して失望していると感じます。「今のあなたではダメだから、変わらなくちゃ」と言われているように感じてしまうのです。親が助言すればするほど、子どもは「あなたはこのままではダメ」というメッセージを受け取ることに…。

ティーンにまだ準備できていない時、親が手を差し伸べようとすると反発しがち。親への拒絶反応を起こすこともあります。

保護者ができるのは場面緘黙が恐怖症であることを説明し、いつでも支援する準備ができていると伝えること。「話すこと」だけに集中しないで。「小さなステップを少しずつ踏んでいけば、絶対克服できるよ。いつでも支援するからね」と伝え、子どもを信じて待ってください。

(なお、本人に気づかれないよう、保護者がしてあげられることはたくさんあります)

親は心配ばかりせずに、子どもと一緒に過ごす時間を楽しんで。将来が心配でも、今のこの時間を大切にして、子どもとの時間を満喫しましょう。

なんでもOKです。例えば、一緒に映画を見たり、料理をしたり、ガーデニングしたり、ウォーキングをしたり。子どもが興味を持っていることを探し出して、子どもの興味に沿って一緒に楽しみましょう。そこから「自分が変わりたい」というモチベーションが生まれてくるかもしれません。

★主導権を持たせることでティーン(子ども)は安心できる

言わないかもしれませんが、どの子も「自分はこれをやりたい」という夢を持っています。どうしたらその夢を叶えられるか――親は子どもを人として尊重し、そのままの子どもを愛してあげてください。子どもには恐怖症があるけれど、それが一生続くわけではありません。必ず克服する道を見つけられるはず。

子どもがモチベーションと緘黙を克服する決意を固めるのを辛抱強く持ちましょう。

情報は与えて、でも押しつけないこと。

★ティーンとの接触を持つための具体例:

緘黙のティーンとのセッションでは、パワポの作り方やどうしたらもっと良いプレゼンになるかを訊いたり、助言してもらったりするとか。そして、「完成したものをPCで見て欲しいから電話してもいい?いつだったら時間がある?」と自然に切り出すのです。こうして、PCを観ながら電話でコミュニケーションを取るきっかけを作るのだとか。

こういった間接的な方法だと顔を見合わせずにすむので、やり取りしやすいそう。まずPCの画面を見てもらい、修正した方がいい点を書いて送ってもらうことからでOK。

ティーンの得意な分野を見つけ、何気なく手伝いを頼むことで、自信をつけさせモチベをあげることが可能です。あくまで本人主導であることを忘れないで。

長い講演だったので、また次回(最終回)に続きます。

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