コロナ禍のイギリス暮らし(その2)

先回の続きで、コロナの変異種が猛威をふるうイギリスでのロックダウン生活をご紹介します。

 雪の中、まだ咲き続けている我が家のイングリッシュローズ

この3度目のロックダウンは冬季なのもあり、ウォーキングや散歩で外出することが激減。というのも、公園や散歩コースは人だらけで密なんですよね…。そこで、室内での運動が重要になるのですが、私は自主的にできないタイプ。

(一方、仕事も趣味もPC関連の主人は、部屋をひとつぶんどって黙々とウエイトトレーニングを続けています。偉い!バンド活動も続けていて、ドラムを叩くのも気分の発散になっているよう)

  

    先日、日本語科卒の主人に「ネギ買ってきて」と頼んだら、ソフトボール大の巨大玉ねぎが2個! 「大きすぎて使えない」と困ってたら、ローストオニオンに(主人作)! 食べきれなくて、みそ汁とミートソースに再活用しました(;^_^A

ありがたいことに、通っていたジムのピラテス講師が去年春からZoomでクラスを継続してくれています。11月から再びジムが閉鎖され、Zoomクラスは週5回に! 私は週3回、安価でお世話になっているのです。

画面越しですが、講師のセーラさんの元気のいい声と、キビキビした動作、叱咤の言葉に励まされています。彼女のお陰でおこもり生活にメリハリができて、本当に大助かり。

ところで、日本でも今11都府県に緊急事態宣言が出ていますが、暮らしの補償はどうなっているのでしょうか?

イギリスでは政府の Furlough scheme(自宅待機者の補償制度)により、企業は仕事がない従業員を解雇せずにキープできる仕組み。政府から給料の80%が支払われるため、安心して生活できる訳です。加えて、企業に対する支援金も。

フリーランスに対しても過去3年の平均収入の80%を補償。私は去年たまたま学校に加えてSENエージェントも給料制(時給)に変わったため、給料の額がフリーの収入を少し超えたんです。それでハネられて、政府の補償はゼロ😢

SENエージェントの仕事は消滅し、コロナ禍でフリーの仕事は目減りしてしまったのに…今まで払った税金は何だったのか?! フリーランスの友人達が1年近く80%の補償をもらい続けているのを見ると、やっぱり不公平だなと思わずにはいられません。

でも、ついこの間までFurlough schemeで自宅待機していた友達は、「結局は解雇されるかも。社会に必要されてない気がする」と悩んでいました。こういうのもメンタルに良くないですよね…。

実は、主人は昨年1月に解雇され、3月のロックダウンが始まる直前に再就職したんです。もしあの時仕事につけていなかったら、コロナ禍での就職は至難の業だったでしょう。超ラッキーでした。

イギリスでは失業手当はなく、仕事を探している間は求職手当(1か月約6万円)しかもえらえません。自分が収めた税金額に関係なく、金額は一律なんですよね。しかも、一定額の貯金があると、それさえもらえないケースもあったりして、う~ん…。

イギリスの経済状況はガタガタで、先期のGDPは20%減と戦後最悪だそう。政府は巨額の負債を抱えているので、コロナ禍がおさまったら即増税になりそう…。12月末のEU離脱でEUとギリギリ条約を結ぶことができ、輸出入品に課税がかからないため、今のところ恐れていたほど物価は上がっていないのですが。

でも、今週はEUにおけるアストラゼネカ社(英&瑞)のコロナワクチン供給遅延問題で大荒れ!このワクチンはオックスフォード大学が開発しイギリスの2拠点、ヨーロッパの2拠点で生産中ですが、ベルギー拠点での生産が遅れてEUへの初回供給量が半減する見込み。これに立腹したEUが、英生産分からEUに回すようアストロゼネカ社に申し入れて、拒否されたのです。

EUはアストロゼネカ社との契約書を公開して権利を主張。同意しなければ、ヨーロッパ内で生産しているファイザー社ワクチンの英輸出を差し押さえると!えええ~っ、突然そんなのありですか?!まるで恐喝😢

その上、金曜日の夜、EUは北アイルランド(英連邦)とアイルランド間のワクチン輸送を一方的に制限すると…。数時間後に撤回されたものの、怖い、怖すぎる…。

EUがアストラゼネカのワクチンを承認したのは29日。なのに、承認前に大騒ぎになって、しかもドイツでは「65歳以上の高齢者には使わない」方針、マクロン大統領も「65歳以上には効果がない」と宣言してるし。だったら承認しなきゃいいのに…。

今世界中でワクチン争奪戦が起こっていて、現在は北米と欧州富裕国の独占状態になっています。イスラエルとアラブ首長国連邦を除くと、イギリスのワクチン接種率は最も高いのですが(現在全人口の11%程度)、WHOは「最も死亡率が高い高齢者と医療従事者への接種が済んだら、ワクチンを貧困国に回すように」と提言してきました。

確かに世界規模で対処しない限り、コロナ禍を終息させることはできません。が、イギリスではまだ一日の感染者が2~3万人と高止まりで、毎日1000人以上の死者が出ているんです!ピーク時より半減したとはいえ、ここ2週間の感染率は55人にひとり。変異種の感染を止めるにはワクチンで集団免疫を得るしかないと思うので、それはちょっと…。また感染が拡大して、いつまでたってもロックダウンを解除できない~!

道義的、人道主義的には正論だけど、国内がまだまだ危機的な状態。それに、「マスク着用の効果は証明されておらず、必要ない」というWHOのアドバイスのせいで、イギリスではマスクの普及が遅れて犠牲者が多数出たんです。

イギリスはWHOが主導して92の中所得国にワクチンを供給するCOVAXプログラムに相当額の寄付をしていて、アストラゼネカ社はワクチンの64%を発展途上国に供給する予定だといいます。お願いだから、感染がおさまるまでは自国優先にさせてほしい!

美術館巡りをしたり、ガーデンセンターで植物を買ったり、友達の家でお喋りしたり、カフェでお茶したり、映画やお芝居を観に行ったり。

これまで当然だと思っていた普通の日常が、今はとんでもなく遠い…。再びのほほんとした暮らしが戻ってくることを夢見て、今は我慢するのみですね。

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コロナ禍のイギリス暮らし(その1)

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隣人の訃報に天候の悪さも加わって、先回の記事はかなり暗くなってしまいました。最悪の数字を更新し続けているイギリスですが、みんなメゲながらもロックダウン下での新しい日常を生きています。

今回のロックダウンの規則は、

  • 必需品の買い物や必須の場合をのぞき、外出禁止
  • 近隣での野外での運動は一日一回のみ。同居の家族と一緒か、もしくは一人で。一人の場合は、家族以外の人ひとりと一緒に運動しても良い
  • 社交は室内・野外ともに一切禁止
  • 他者との距離は2m取る(マスク着用の場合は1m)
  • 学校は医療スタッフなどキーワーカーの子どもと支援が必要な子ども達のために一部継続

ロックダウンも3回目だからステイホーム生活も慣れました――といいたいところですが、この冬のロックダウンはもの凄く辛い!

暗い、寒い、天気悪いーー3悪の時季に加え、変異種の猛攻撃によって運動のための外出もままならず…。週末の日課だったママ友とのウォーキングも一時中止。日暮れが早いため、仕事の後に散歩をと思っても、外はすでに薄暗いのです。

オンライン授業に切り替わったため、学校に行かなくても良くなって安堵したんですが…(なんせ1月初旬のロンドンは20~30人に一人の感染率だったので)。その反面、同僚や生徒達とも会えないし、学校近くの森の散歩もできません。散歩仲間とも会えなくなって、すごく淋しい…😢

    配達人のほか、訪問者はゼロ…。でも、先日ドアを開けたらお向かいのFluffyが。近所の人気猫なんですが、ロックダウンで遊んでくれる人がいない?

私が住んでいるのは、北ロンドンの郊外の小さな町。息子は大学のあるサリー州在住なので、一昨年の秋から夫婦二人きり。主人は在宅勤務ですが、忙しくて朝9時から夕方6時ころまで殆どオフィス(息子の部屋)から出てきません。

私は比較的時間があるので、家事のほとんどを担当する羽目に。

食料の買い出しは、混雑する土日を避けて月曜日の朝早めに行きます。通路が広い近所の大型スーパーは、この時間帯だと空いてるので。バスケット(日本より大型)に食料品を詰め込み、会計はセルフレジでカード払い。スーパーから一旦戻って玄関に荷物を置き、必要な時はご近所の八百屋さんや魚屋さん、ドラッグストアへ。

     運動のため、リュックを背負って歩いてます(;^_^A まるで戦時中みたい?! 昨日は道が凍結していて大変でした…

買い出しの後、買ってきたものをひとつずつ消毒するため、やたら時間がかかります。ドアノブや冷蔵庫などのハンドルも消毒し、使った布マスク(フィルター入)を洗って、干してと…結構忙しい。

寒いのでお昼も夕食も暖かい食事を作るので時間はかかるのですが、気分転換になっています。今は食事が一日のメインイベント?! この間、私の知らない内に主人がチョコを食べてしまい、喧嘩が勃発…なんだか次元が低くなってる…。

 

       急にお汁粉が食べたくなって、小豆缶で栗入りぜんざいを作りました。お気に入りのチョコも買いだめ

朝起きて、学校のサイトやニュースを確認して、仕事して、運動して、食べて、ゆっくりして(TVとPC)、入浴して、寝る…その繰り返し。

実は、不眠症で3日くらい全く眠れなくなってしまう時があるのですが、医者から睡眠薬(入眠剤)を処方してもらっています。眠れない時は薬を半分だけ飲んで、眠りのリズムを整えるのです。

眠れない時は、「どうして眠れないの?」から「またか、まあ薬があるから大丈夫」と気持ちを切り替えて。どうしても眠れない時は、観念して真夜中でも本を読むことにしています。通勤しなくてもいいから、寝不足でもまあ大丈夫と気持ちも楽。

日本も緊急事態宣言が出ていますが、何か楽しみを見つけ出して、辛い時をやり過ごしたいですね。

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     先週うっすらと積もったロンドンの初雪。毎日どんより曇りの暗い日々なので、少しでも青空が見えるとほっとします。

1月も半ばをすぎました。でも、イギリスでは依然として変異種の感染がおさまりません。それでも、ピークで一日6万人近かった感染者が3万人台まで減っていたんですが…一昨日からまた4万人近くまで上昇し、今日はまた4万人超え! 毎日の死者数はずっと1000人を超えていて、本当に嫌になってしまいます。

私の住む北ロンドンの町では、今月頭と比べると感染者数は半分くらいまで減少。でも、どこか新しい地区で感染が増えているということですよね…一体、いつになったら落ち着くのか?!

今週から一日のワクチン接種数も発表されるようになり、今日で584万人が接種を済ませた旨。ちなみに、政府はひとりでも多くワクチンを接種するため、2回目の接種を6週間以上延長する政策を取っています。でも、1回の接種だけだと予防効果は50%くらいに落ちるらしい…。それに、効果が出るまでに数週間かかるとのこと。

ものすごくラッキーなことに、義父母は先週2回目のワクチン接種を済ませました(どうしてかは謎ですが)。ファイザー社のワクチンなので、数週間たてばコロナ菌への免疫は90%以上になる予定。ちょっと安心しています。

ちなみに、義母は2回とも3日間ほど風邪をひいたような状態になり、体がだるかったそう。なお、ワクチンに関する懐疑的なニュースも多いようですが、今のところイギリスでは重大な問題は起きていません(公表されないだけ?)私が知る限り、義父母を含めワクチン接種をした80歳以上の高齢者はみんな元気です。

でも、こんな状態なのでこの3度目のロックダウンがいつ終わるか、全くめどが立っていません。一応3月末までとしているようですが…2月末にはと言っていた学校再開にも疑問符がつく今日この頃…。

そんな中で、入院中だった超高齢のお隣のご主人が、院内でコロナに感染して亡くなられました。この5年間、頻繁に入退院を繰り返していたのですが、毎回なんとか回復して家の外で歩く練習をしていたのに…。

個室から4人部屋に移動した際、同室の他の患者さんから感染したとのこと。その人も別の病気で入院していて、入院前のPCR検査では陰性だったとか。

2回目のPCR検査で陽性に変わったため、同室の患者さん全員がPCR検査を受けたところ、お隣のご主人も陽性に…。その時は全く症状がなかったのに、1週間後に急に容体が悪化して呼吸できない状態に陥ったそう…。陽性と判明してから僅か10日ほどで亡くなられたのです。

そのニュースを聞いて、本当にやりきれない気持ちになりました。残された奥さんは、すでに1回目のワクチン接種を済ませていて、彼も入院していなかったらワクチンを受けられたはず…。

といっても、ワクチンが効くまで数週間かかるし、1回だけでは効果が低いので、感染は防げなかったかもしれませんが…。

2003年春に今の家に引っ越してきた時から親しくしていただいたので、本当に残念でなりません。ご冥福をお祈りしたいです。

暗い記事ですみません…。冬のイギリスはどんよりと暗い日が多く、一日に一度も太陽が顔を出さないことも珍しくないんです。気分もどんよりしてしまうし、メンタルヘルスには本当に良くないですよね。

もっと北国では、もっともっと日照量が少ないので、文句は言えませんが…。

早くコロナ禍がおさまるよう願わずにはいられません。

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新年、明けましておめでとうございます。

日本でも7日に1都3県への緊急事態宣言が出てしまい、全国的な感染拡大が心配されますね…。イギリスでは変異種によるコロナ感染が大蔓延する中、2021年が幕を開けました。

感染者の数はここ2週間連続で毎日5、6万人超え。死者数も増え続け、この3日間は毎日1000人を超えています。クリスマス前には1週間の感染者数が20人未満だったうちの地区も、あっという間に131人まで増加。人口2万6000人くらいの小さな町なのに、この数字?!

昨日、ロンドン市長が重大インシデント宣言を出し、「市内の感染は制御不能」と😢 医療崩壊が始まっていて、救急車で病院に運ばれても受け入れてもらえない可能性が出てきました。病院はコロナ患者であふれ、手術待ちだった患者も、救急の患者も、手術が受けられない状態になりつつあります。

現在ロンドンの感染率は30人にひとりだそうで、本当に怖い!もっと怖いのは、まだ感染ピークに達していないと言われていること…。

私が勤めているのは(パートタイム)私立の特別支援学校のアッパースクール(12~19歳)。高機能自閉症の子どもの専門校で、生徒達は公的に支援・保護が必要と認定されています。そのため、ロックダウンで普通の学校が閉鎖しても、開校し続けなければなりません(普通の学校もキーワーカーの子どものため限定的に開校)。

第一波のロックダウンでは、対面授業は親がキーワーカーの生徒と特に支援が必要な生徒のみに限定し、他はオンライン授業に切り替えました。でも、政府は今回どの学校にもより多くの生徒を学校に迎え入れるよう要求しているのです。

しかも、特別支援校に対する政策の詳細がいつまで経っても届かず!うちの学校の校長は若い女性なんですが、今週頭に生徒全員の登校を想定して準備を開始。学校での安全が保てるよう、週2回学校内でのコロナ検査が義務化されたとのこと。そして、検査するのは教職員の役目(担当者には2時間のオンライン研修あり)?!

教師は対面とオンライン両方の授業の準備をしなくてはならない上、感染の危険を伴うコロナ検査まで…?! 校長はボランティアを募りましたが、連続して同じメンバーを使いたくないということで、人数が足りないよう…。

検査は30分で結果が判るという Lateral flow systemを使用。でも、PCR検査と比べると正確性に欠けるので、生徒や教職員に陽性が出た場合は、PCR検査キットを持って帰宅させ、結果がでるまで自宅待機…。こんな方法で、学校内の安全が保てるんでしょうか?!

幸いにもコロナ検査は私の授業がない日に実施予定。ボランティアしなくて済みそうで、ほっ。

でも、ボランティアに名乗りをあげたスタッフ仲間への罪悪感がじわじわ…。それでも、私はパートタイムだし、もしコロナに感染して休んでもお給料の補償もないし…。

変異種が出現してから、セカンダリースクール(12~16歳)の年齢の子どもの感染率が上昇しました。生徒と教職員80名あまりが学校に集まれば、それだけ感染のリスクは高い訳で。やっぱり怖い!

(追記:読み返してみたら情報不足に思えてきたので、付け足しです。(その2)にも書いたのですが、うちの学校はコロナ感染のため12月第2週からずっと学校を閉鎖していました。それもあって、教職員と生徒が感じる感染の恐怖はとてもリアル。さらに、政府は「教職員の感染率が一般と同じ」と言っていますが(きっとまだ未集計)、3つの地方行政局が「教職員の感染率は一般に比べて3倍高い」と先週発表したのです…)

政府は子どもの教育や学校での対面授業を第一にする方針。それだったら、現場で働く教職員に一刻も早くコロナワクチンを接種して欲しい!!

でも、現在のところ優先順位には入ってないんです…。

この1週間、感染対策のオンラインミーティング、学校のコロナ方針や保護者への手紙などの確認、検査を受けるための受諾書の記入・提出など、エクストラの雑務が倍増。それにも増して、不安とストレスでいっぱいになりました…。

主人に「怖い、怖い!」と訴えていたら、「行きたくなければ、行かなければいい」と冷た~い言葉。

私がぐちぐち言い続けるので、嫌になってるんでしょうが…。実際に「怖い」と口に出すことで、少し恐怖が和らぐということを理解して欲しい。

仕事は辞めたくない、でも、学校に行くのは真剣に怖い!

そうしたら、金曜日の午後になって、対面授業をリクエストしている生徒のリストが発表されました。前日に政府の詳しいガイダンスが届き、保護者の希望があれば、自宅でオンライン授業を受けられることになったそう。

登校希望の生徒は全体の1/4程度で、私が教えてる生徒達は全員自宅待機組!助かった~!

でも、ここまでで精神的に疲弊してしまい、もうクタクタ…。実際に学校勤務をしなければならない人達は、どんなに心が重いことか…。

コロナ関係の心配事を相談できるよう、学校側は電話カウンセリングサービスを準備してくれていましたが。

ガーディアン紙の記事によると、イギリスでは昨年6~9月の3か月間で600万人が抗うつ剤を処方されたとか。反対に、コロナ禍のせいで対面でのセラピーを受けた人が25万人減ったとのこと。

通常、早期にセラピーを受けることができれば、それほど悪化せずにすみ、薬は必要ないことも多いよう。また、薬の服用と対面でのセラピーを併用することで、効果が高まるというのが定説です。

リモートセラピーでも、電話セラピーでもいいので、この時期だからこそ増やして欲しいと思います。誰かに気持ちを伝えることができれば、少しは心が軽くなると思うので。

新年早々、私のぐちぐちにお付き合いくださって、ありがとうございました。皆さんも、お気をつけて。

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今年もあと1日で終わりですね。世界中がパンデミックに襲われるなんて、2020年の初めには誰が予測できたでしょう。

先回も書きましたが、南東イングランドではコロナの変異種が蔓延し、ロンドンでも猛威を振るい続けています。昨日、今日と一日の感染者が一気に5万人を超え、医療崩壊が危ぶまれています。春の第一波時の規模を超えたようで、もう未知との遭遇…。

今月初めまでは、身近でコロナに感染した人はいなかったんです。それが、ここ3週間位の間にどんどん身近に迫ってきたと、周囲の人は皆感じているよう。

ウォーキング仲間のママ友一家は幸いにもPCR検査で陰性でした。が、娘さんのクラスメイト複数名とその家族は陽性だったとか…。また、嘔吐と頭痛で寝込んだ友人の友人もコロナ陽性が判明し、セカンダリースクールに通う無症状の息子さんにも陽性反応が出たと…。

どう考えてみても、セカンダリースクール(11~15歳)で変異種の感染が拡大しているとしか思えません。ちなみに、今月コロナで閉鎖したうちの学校も11~19歳のティーンが通うアッパースクールなので、1月から学校に行くのが恐怖です。

イギリス政府は第一波発生時には学校を全国的に閉鎖。そのため、多くの子ども達は2学期(春季)後半から3学期(夏季)を通して、全く学校に行けませんでした。オンライン授業に切り替えたとはいえ、裕福な私立校と貧困層が多く住む地区の公立校とでは、教育格差が大きかったよう。

私が勤める私立の特別支援学校では、各生徒が学校のラップトップを家に持ち帰り、比較的円滑にオンラインで授業を続行できました。が、公立校では兄弟で保護者のスマホを順番に使うしかなかった子ども達や、オンライン授業に参加しなった子ども達も多かったとききます。

更に、今春は高等学校・大学進学のための全国検定試験もキャンセルになりました。各学校で成績を付けたものの、従来の公平性や信憑性には疑問符が…。

それ故に、9月の新学期からは教育を重視して、学校だけは閉鎖しない方針だったのです。

秋には大学生の感染が拡大したため、大学2年に進級した息子が大学に足を運んだのはたった1回のみ。講義もゼミも全部オンラインですが、提出する課題は例年と同じ。人生で一番楽しめる時期なのに、大学で友達に会うこともできず下宿に缶詰状態で、気の毒でなりません。

と書いたところで、セカンダリースクールの学校再開を2週間遅らせることが正式に決まりました。ロンドンとイングランド南西部の多くの小学校も、1月4日からの開始をしばらく延期するそう。大学は春までオンライン授業のみ!?

(息子には悪いけれど、私は来週学校に行かなくてもいいようなので、少しほっとしています)

コロナ禍が受験期や就職活動期を直撃した世代が、ロスジェネになりませんように。

ある新聞記事では、「コロナ禍が私たちのメンタルヘルスに与える影響は計り知れない」と書かれていました。

道で人に会うと反射的に避け合う、買い物をする際に誰とも話さない…。これが長く続くことで、心理的な影響はかなり大きいと。

社会的な存在である人間が人を避け、友人付き合いもままならない――感染の恐怖に加えて、自分の世界がどんどん小さくなっていくような不安を誰もが抱えているのではないでしょうか?

また、コロナ禍が長引けば長引くほど企業やショップが潰れて失業者が増え、経済的な影響も大きくなってきます。

ひっくり返った日常と、一変してしまった世界…。

寒くて暗い季節にどんどん高まっていく不安。これからどうなっていくのか予測できない中、今日オックスフォード大学とアストロゼネカ社のワクチン使用が正式に許可されました。来週の月曜日(1月4日)から接種をスタートする予定だとか。

80歳以上の高齢者にはファイザー社のワクチン接種が進んでいます。義父母を含め、今のところ重篤な副作用は出ていないよう。コロナ最前線で戦っているNHS(国民保険サービス)のスタッフに、一刻も早くワクチンが行き渡りますように!

ワクチンがコロナ禍を沈めてくれる希望の光になることを願ってやみません。

2021年が希望を持てる年となります様に! 日本でもコロナ感染が拡大しつつあるようなので、みなさん健康にはくれぐれもお気をつけて。

悪化するコロナ禍とメンタルヘルス

 

日本でもニュースになっていると思いますが、急拡大しているコロナ変異種の感染を防ぐため、ロンドンを含むイングランド南東部が急遽ロックダウンされました。先週の土曜日に何の前触れもなく、いきなり…。

感染率が再び上昇してきて、みんな危ないなとは感じていました。だから、私の周りでもクリスマスに親戚や友人と集まるのをやめた人が多数。我が家でも金曜の夜、主人が実家に電話してキャンセルの提案をしたんです。

でも、「一回目のワクチン接種は済ませたし、感染対策を万全にするから来て」と押し切られ、土曜の朝も感染対策の話をしていました。そうしたら、午後4時にいきなり警戒レベル4(それまで3が最高)との発表が!

義父母のところは警戒レベル2なので、クリスマス当日のみ1家族だけゲストを招くことが可能です。でも、宿泊は不可のため義妹家族もキャンセルする羽目に…。二人とも落胆が大きかったよう。

科学者達はクリスマスの規制緩和(イギリス全土でクリスマス前後5日間限定で3世帯が合流可)は危険だと、ずっと警鐘を鳴らしていました。ウェールズとスコットランドの首長は、先週頭に方向転換。でも、ジョンソン首相は動きませんでした。それが、感染が急増してから、いきなり180度変更…。

新たな変異種はすでに9月半ばに発見され、じわじわ拡大していたんだとか。感染が止められなくなってからロックダウンしても遅すぎる!ジョンソン首相の政策はいつも後手後手。政府への信用は地に落ちています。きっと、世界もそう見てることでしょう…。

変異種の感染力は従来種の7割増とのこと!TVでハンコック保健相が「感染防止はお手上げ状態」と告白したのを観て、本当にぞっとしました(それでも、町にはいまだにマスクをしていない人がいるんです!)

私が勤める学校でコロナ感染者が出てから2週間半――その間にウォーキング仲間の中学生の娘さんのBFが陽性になり、家族全員が隔離してPCR検査。別の友達もその友達が突然嘔吐・頭痛に襲われ、念のためPCR検査…。幸い、全員陰性でしたが、いよいよ感染が身近に迫ってきた感じです。

警戒レベル4だと、必需品の買いだしと運動以外の外出は禁止。でも、一緒に住んでいる家族以外に、ひとりの人と外で会うことができます。が、その際もマスクと2mの距離を保つことが必須。今までも大変だったのに、更に厳しい状況に突入してしまいました…。

現在のところ、クリスマス翌日にイングランド全域の3度目のロックダウンが囁かれています。専門家たちは4月になるまでは過酷な状況が続くだろうと。

この急な政策変更で、クリスマス前のかきいれ時だった商店やサービスは大打撃。クリスマス用に仕入れた商品やストックが無駄になってしまいました。ただでさえ大変な年だったのに、その心情や経済状況を思うとやり切れません。

また、この緊急処置でクリスマスを独りぼっちで過ごさなければならない人が大量に出現。寒くて暗いイギリスの冬、明るいニュースや希望が全く見えない中、クリスマスだけが唯一の楽しみだったのに…。

長びくコロナ禍で人々の心がすでに疲弊しているところへ、もっと強力な変異種の出現。みんなの心が折れてしまわないか本当に心配です。心が疲弊していると、人のことを思いやることが難しくなりますよね…。

先週、最後の生徒のオンライン授業を終えて少しクリスマスの話をしたら、

「私が親族にコロナを感染させないか心配なの」と言うのです…。

12歳の女の子でも、楽しみなはずのクリスマスを前に大きな不安を抱えている――大人も子どもも同じように不安の渦の中。例え子どもが何も言わなくても、心のケアを怠らないことが重要だと思いました。

政府は教育に重きをおいて、9月の新学期から学校閉鎖をせずにやってきました。でも、殆どの地区の学校でコロナ感染による一部閉鎖が日常茶飯事になっているのです。子ども達は毎日不安の中で学校に通っている訳ですが、友達や先生と会えることが心のケアにも繋がっているし…。

こんな状況で多感な時期を過ごさなければならない子どもたち。この体験がトラウマになったり、将来に影響することがなければいいのですが…。

今まさに、メンタルヘルスケアの必要性をひしひしと感じています。イギリス人にとっては1年最大の祝日であるクリスマス。今年は集うことが難しいけれど、誰もが美味しいものを好きなだけ食べて、温かく気持ちよく過ごせるよう願っています。

皆さんも良いクリスマスを。

    息子が3歳の時、幼稚園で作ってくれたクリスマス飾り。あれからもう17年。大学から帰省した息子がいるだけで、我が家はぱっと明るくなりました

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その22)みんなの前で声が出た!

イギリスではロックダウン後に少し感染率が下がったものの、1万人を切ることなく反転!ロックダウン前はイングランド北部中心だったのが、今度は南西部で感染が拡大しています。

私が住むロンドンでも東部で感染が爆発し、他の地区へもじわじわと拡大している状態。ハンコック大臣によると、変異種が猛威を振るっているらしく、始まったばかりのワクチン接種が効くのかどうか…。

科学者や医療関係者の大反対にかかわらず、政府はクリスマス休暇の自由な移動を取り消さず…。個々の良識に任せるということで、もし感染したら自己責任?!

専門家や個人の間でも意見が分かれ、どうしたらいいのか迷ってしまいます…。義父母は来て欲しいというのですが、もし感染させたらと思うと不安だし…。

クリスマス飾りは出しましたが、あまりそういう気分になれないですね…

…………………………………………………………………………………………………………………………

さて、息子の緘黙話の続きです。

1年生の3学期からは、私と放課後の教室を訪問し始めたと同時に、仲良しのB君と学校の放課後クラブに週2回ほど行き始めました。

B君と一緒だったお陰で、嫌がることなく2時間ほどクラブで過ごせるように。常にB君にひっついていたようですが、トイレなど要求がある場合は、スタッフに囁いて伝えることができていました。

幼稚園時代の親友、S君は2学期の終わりに日本に帰国。その1年位前にも、入園前まで仲良しだった初めての日本人の友達が帰国…。仕方がないとはいえ、突然いなくなって全く会えないのは大人の私でも辛く、地元の友達ができてひと安心でした。

(どういう訳か、息子は同じクラスにいた日本人駐在員の子ども達とは、それほど親しくなりませんでした。タイプが全然違ってたせいだと思うのですが。それでも、S君にくっついて、彼のクラスの日本人の子ども達と遊んでいた時期もありました)

さて、3学期も終わりに近くなったころ、教室の庭(低学年クラスの教室は専用の庭付)で、クラスのお楽しみ会がありました。保護者も招かれ、ひとり一品食べ物を持参。私は提供されたリストの中から、ニンジンスティックを選びました(超簡単(;^_^A )。

好天に恵まれ、賑やかな雰囲気の中、子ども達は遊びまわり、大人は並んでおしゃべり。しばらくして、お待ちかねのおやつタイムがやってきました。子ども達は好きなお菓子や食べ物を取りに、我先にとテーブルに集まってきます。

息子も来たなと思ったら、

「それ、僕のマミーが持ってきたんだ!」

ニンジンスティックを手に取った子どもに向かって、息子がいきなりこう言ったのです!それも周囲に聞こえるような大きな声で。

心臓が飛び出るくらい驚いた半面、内心「やった~!」と興奮し、それを顔に出さないようにするのが大変でした。

周囲がガヤガヤしていたせいか、息子が大きな声を出したことに対してのリアクションは別になし。ほっ…。

そうしたら、隣にいたB君ママが「声が出たね」とにっこり。また、あとからTAがやって来て、「皆の前で、あんなに大きな声を出したのは初めてよ」と。

ちゃんと見ててくれてる人はいるんだなあと、また感激したのでした。

野外での賑やかで楽しい雰囲気、皆の中で目立たないことや、B君や私がいる気安さから、意識せずに声が出たんじゃないかなと思います。それにしても、ニンジンがバリアを超える力になるとは…。

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その21)しゃべれない親族

 

 

緘黙児とオンライン学習

早いもので12月もすでに9日!イギリスでは先週火曜日に全国的なロックダウンが終わりましたが、ほとんどの地区は警戒レベル2「高い」か3「非常に高い」に逆戻り。店舗やジム、美容室などは再開したものの、個人宅に人を招くことは禁止されています。

それでも、政府は一年最大の祝日であるクリスマスには、5日間限定で個人宅に3家族まで集まることを許可しました。クリスマスショッピング(食料品、贈り物、デコレーション他)で経済が潤い、国民は家族との再会を楽しめる――政府への反発は弱まるかもですが、その後の感染拡大が今から心配。

明るい話題としては、アメリカとドイツの製薬会社が開発したファイザー社のコロナワクチン接種が昨日からスタート。2回の接種が必要なので、効果が出るのは来年の1月5日以降ということですが…。

実は、昨日勤めている特別支援学校が、なんとコロナ感染のため閉鎖となりました!幸いにも、私は濃厚接触者ではなかったので自己隔離は必要なしですが、あまりにも身近!! 授業がリモートに切り替わったので、準備に追われています。

      学校近くの住宅街で見つけた街路樹の根元に広がるアートワールド。先週からクリスマスモードに。アイビーちゃんとノア君のママが美術監督です

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昨日、SMiRAのFBにオンライン学習で緘黙児の不安と緊張がより高くなったという投稿がありました。対面クラスの方が緊張するはずなのに、どうしてなのか悩んでいるという母親。この相談に対して、色々な回答や意見があったのでご紹介します。

ちなみに、娘さんは3歳の時に場面緘黙になり、現在15歳とのこと。

昔から、ビデオを撮って祖父母に見せるのは平気だったし、自らの映像をYouTubeに投稿して楽しんでいたよう。それが、今では写真もビデオも撮影はNGに…。

普段の授業では、100%正解でなければ絶対に答えないため、クラスで声を出す機会は少なかったといいます。その場合も、先生が指名する前に合図を送り、OKだったら指名するというサポート体制ができていたよう。

それが、オンライン授業だと体が硬直してしまい、無表情になり、質問されても全く答えられない状態に。そのうえ、頻繁にパニック状態が出るようになったとのこと。

「何か変なことを言ったらどうしよう?!」

「間違えたらどうしよう?!」

「みんなが笑うわ!ビデオに映ってるのよ!」

こう訴える娘に、母親は胸が張り裂けそうだといいます。

どうしてこんなに自己評価が低いのか?自分が皆にどう見られているのか、笑われているのではないか--そんな不安に苛まれているのは、前の学校で虐めにあったのが原因ではないか、と推測も。

一番安心できる自宅で行うビデオ通信での間接的なコミュニケーションと、不安が大きい学校での対面の直接的なコミュニケーション――前者の方が緊張が高くなるのはどうしてなのか? 学校では、時間割やルーティンが決まっているから予測がつけやすいから?

多くの回答の中で最も納得できたのは、PCのカメラの焦点が自分だけに当たっているから、という指摘でした。

教室では時々先生には見られていても、他の生徒に見られているという感覚は少ないかもしれません(イギリスの学校はグループで座ることが多いですが)。教室の方が、大勢の中のひとりとして隠れやすいのかも。

本人の画面上は、先生をメインに他の生徒達の顔が無数にこちらを向いている訳で――みんなに凝視されてるかのようにも感じるかも。

また、自分の顔が常に皆の画面上にあって、話す時には注視されると考えると、目立つことを嫌う緘黙児が嫌がるのも無理はありません。

緘黙児には自意識過剰な子も多く、一度怖いと感じると、どんどん不安が増大してしまうのではないでしょうか?

回答をみると、オンライン授業が苦手な緘黙児は少なくないようです(反対に、得意な子もいると思いますが)。その対処法としてあげられたのは、自分の姿や自分の声を隠せるミュート機能を活用すること。

事前に先生と打ち合わせをして、文字のみの参加から可能にしてもらうなど、それぞれの子どもに合う方法を取れるといいと思います。慣れてきたら、最初は文字だけで参加して、最後の挨拶だけ顔を出すなど、少しずつステップアップしていければ。

そういえば、私の学校の日本語の生徒達(高機能ASDのティーン)も、過半数は顔を隠して(アイコンのみ表示)オンライン授業を受けています。最初の挨拶の後は、画面をシェアして音読やQ&A方式ですすめているので、顔が見えなくても支障はありません(実は、私自身もできれば顔出ししたくないです…(;^_^

いずれにせよ、不安が少ない状態でオンライン授業に臨めることが一番ですね。

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オンラインで緘黙支援

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その21)しゃべれない親族

時間がビュンビュン過ぎて、11月も今日で終わりです。イギリスの二度目のロックダウンも明日で終わりですが、今日の感染者数は12,330人とまだまだ多い状況。今日、食料の買い出しに行ったら、クリスマスショッピングを抱えて歩いている人が大勢いて(オンラインで注文し、ショップで受取り可)、「こんな緩いロックダウンで大丈夫?」と心配になりました。

 

まだまだ頑張って咲いている前庭のメアリーローズ

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少し話が戻りますが、息子が緘黙になってから義両親宅に親族(私たち家族と義妹夫婦)が集まる際、息子は義妹夫婦(私から見て)と口がきけなくなりました。

2005年の春休みから、夏休み・クリスマス休みとそれが続き、彼らにとっては「自分たちには話さない甥っ子」となってしまった訳です。

最初はびっくりされましたが、そのうちに「しゃべらないのが普通」という概念が定着…。そればかりでなく、息子が彼らと視線を合わせるのを避けるようになったのが、母親としては辛かった…。

最も心を許せる存在だったグラニー(息子にとって祖母)とは、会って少し時間が経てば話せるようになるのです。厳格で近寄りづらい雰囲気のグランダディ(祖父)とは、滞在終盤になると片言の返事くらい。

皆で集まっている場で、彼らに聞こえないように私たち夫婦や義母にヒソヒソ耳打ちする息子。グラニーと話をしていても、他の人が入ってくると固まって口を閉じてしまうのです。知らない人が見たら、息子が話す人を選んでいるように見えたことでしょう。

2005年の夏休み前に場面緘黙ということが判明したので、親族には症状の説明をしました。返事をしなくても話しかけ、普通に接してくれるように頼みましたが、義父も義妹夫婦も自分たちを無視するような態度の息子に、いい気持ちはしなかったはず…。

こういう状況って、けっこう辛いですよね。せっかく親族が集まる機会に息子が水を差しているようで、申し訳なく思っていました。

当時はイギリスでもSelective Mutism という言葉は知られておらず、一般はもちろんのこと医師など専門家でも知識がない人が多かったのです。だから、息子の行動は謎だったことでしょう。

(義母が息子の症状を義伯母に話したところ、トリイ・ヘイデンさんの著書を紹介されました。まず『檻の中の子(Silent Boy)』を購入したのですが、けっこうショック(;^_^

その後、『幽霊のような子(Ghost Girl)』や『ヴィーナスという子(Beautiful Child)』等も読みましたが、作品中の緘黙児の背景にはASDや虐待といった複雑な問題が絡み合っています(詳しくは『トリイ・ヘイデンさんの緘黙治療法』をご参照ください)。緘黙児はそれぞれ違うので、自分の子をよく観察した上で適切なスモールステップを考案する必要があると思います)

ラッキーなことに、息子は1年後の春休みから少しずつ親戚と話せるようになりました。学校で囁き声で話せる人の輪が広がっていった時期と重なります。この頃から、親戚での息子の評価は「恥ずかしがり屋」くらいになったかな?

あと、このブログの冒頭にある場面緘黙のドキュメンタリー動画『うちの子は話さない』に登場する8歳のレッドちゃんは、祖父と話す取り組みをしています。孫娘の症状を理解し、どうにか声を聞きたい、いい関係を築いていきたいと望む祖父。その期待に応えてレッドちゃんも懸命にスモールステップに取り組むのですが…。

結論からいうと、レッドちゃんはその後も祖父と話すことができていません(詳しくは『10年後のレッド』をご参照ください)。そして、今後も祖父に口をきくことはないだろうと…。あの時に頑張りすぎて、それが反ってトラウマになってしまったのかも。

頑張って話そうとするのも、自意識過剰につながって心理的にあまり良くないのかもしれません。さじ加減が難しいですね。

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その1)祖父母の反応

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その4)先生が僕を喋らせようとする

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その5)学校外でのスモールステップ

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その6)もうひとりの緘黙児

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その8)初めて声が出た!

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その9)教室内で囁き始める

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その10)S君宅に招かれる

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その11)初めての言語テスト

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その12)誤解されてた!

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その14)誕生会とF君の涙

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その15)個別指導プランNo2

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その16)校庭で声が出た!

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その17)緘黙息子の仮装大会

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その18)個人指導プラン No2

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その19)初めてのSMiRA定例会

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その20)放課後の教室

BBCの緘黙記事とバイリンガル

以前の記事で書きましたが、場面緘黙啓発月だった先月、BBCのニュースサイトで5歳の緘黙児、エルシーちゃんのケースが紹介されました。

<ニュース記事の内容>

ウェールズ在住のエルシーちゃんは姉弟や家族、友達とおしゃべりするのが大好き。でも、家族以外の大人とコミュニケーションを取ることができず、9月に入学した小学校でもまだ言葉が出ていません。

「先生に本を読むことも、トイレに行きたいと言うこともできません。何かほしくても、頼むことができないんです。日常生活にかなり大きな支障があります」

エルシーちゃんは場面緘黙(症)と呼ばれる重度の不安障害。子ども140人にひとりの割合で発症します。家庭では英語とウェールズ語を話しています(注:バイリンガルの子どもは発症率が通常より高い)。

「娘は話す相手を選んでいる訳ではないの。話せる唯一の条件は、安心できるレベルまで不安が下がった時だけ。コミニュケ-ションを取るのが怖くて、緊張や不安で体が固まってしまい、声が出ないんです。恥ずかしがり屋では片づけらない、周囲のサポートが必要な症状です」

幸運なことに、家族は早い段階で問題に気付き、ヘルスビジター、言語療法士、学校の支援を受けることができました。言語療法士のローリーさんは、「質問したり、話すように圧力をかけないで」と警告。

父親のダフィドさんは、「エルシーが10代になるまで場面緘黙を引きずらないよう、早くから対処を始めました」と、早期発見・介入の重要性を強調しています。

母親のハンナさんは、もっと多くの人に場面緘黙を知ってもらおうとSNSで発信。10月末までに100マイル(160km)走ることにも挑戦しました。医師や教師、他の親から多くの反応があるそう。

記事と動画はこちら:https://www.bbc.co.uk/news/uk-wales-54731963

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イギリスのTV局は、これまでに複数の場面緘黙ドキュメンタリーを放映。場面緘黙がニュースで取り上げられることは、さほど珍しくありません。でも、ハンナさんの言葉から、まだまだ周知されていない症状なんだなと実感させられました。

私が興味を持ったのは、エルシーちゃんが英語とウェールズ語を話すバイリンガルだということ。息子もバイリンガル(小学校入学まで日本語中心)だったので、その影響がどれくらいあるのか知りたいです。

(日本ではあまり知られていませんが、ウェールズ語はケルト語派の言語で、英語とは全く違います。イギリス(United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国からなる連合王国。現在でもその意識は強く、新型コロナの規制もそれぞれの異なります)。

家庭で2か国語以上の言語を話す子どもは、場面緘黙になる確率が高いことがこれまでの研究で解っています。ただ様々なケースがあるため、どの程度の割合で高くなるのか一概には言えないよう。

ヨーロッパ在住のSMiRA委員会メンバー(3か国語を話す元緘黙児の父親)が、『SMリソース・マニュアルの』共著者であるマギー・ジョンソンさんとまとめたレポート&ガイダンスがあります。それには、「イスラエルで行われた研究によると移民の子どもたちのSMの割合は通常の0.76%と比べ、2.2%と高い統計を示している(Elizur&Perednik 2003)とあります。

2015年にアメリカで発表された論文(C. A. Mulligan, J B. Hale & E Shipon-Blum)でも、上記の論文を参照していて、移民の子ども達のSM有病率はネイティブの子ども達と比べ4倍近く高い(Elizur&Perednik 2003)と?。移民と第二言語学習を組み合わせた状況を、更に調査する必要があると述べています。

また、オランダのユトレヒト病院(UMCU)で1973年から2011年の間に診断・治療した139人の緘黙児の中で、オランダ語だけを話す子ども56%、多言語を話す子ども28%、ASDが併存する子ども15%だったという報告も(Veerhoek 2011)。

ひと言でバイリンガル、多国語を話す緘黙児といっても、例えばヨーロッパ人と移民とでは状況がかなり違います。また、移民の中でも、中東やアジアなどから来たばかりの子もいれば、第二、三世代としてイギリスで生まれた子どもも。後者の中でも、家族がイギリスの風習に溶け込んでいるケースと、自国の言葉や文化を軸に暮らしているケースでは、比較が難しくなります。また、息子のようにハーフの子どもや、多国語を話す文化のある国に生まれた子もいる訳で…。

ひとつ言えるのは、抑制的な気質や恥ずかしがり屋の子どもが、学校など公の場で自信のない言葉を話さなければならない場合、不安がより大きくなるだろうということ。SMを発症するリスクがより高くなるのは理解できます。

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