代弁しないで

すでに7月も5日となり、2020年も折り返し地点を過ぎてしまいました。これから夏休みがやってきますが、そのあと一体どうなってしまうのか?新型コロナ感染の第二波が来るのか、それとも抑制できるのか、全く予測がつきません。

イギリスでは先週からやっと毎日の感染者が1000人を切るようになり、死者数も減ってきました。が、土曜日からパブやレストラン、美容室、ホテル業界などが再オープンし、保つべき社会的距離も2mから1m+αに収縮。でも、みなさん1mの距離も保てていないような…。

     再開した土曜日のウォーキング中に見かけた紫陽花屋敷(?)。イギリスは土壌がアルカリ性のためかピンクの紫陽花が多いのですが、ここは青からピンクのグラデーションがお見事!

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子どもと一緒に買い物に行くと、店員さんが子どもに話しかけてくることが多いかと思います。子どものものを選んでいる時は、特に。幼稚園くらいの子どもは可愛いので、つい声をかけたくなる気持ちも解ります。

「何年生?」「どこの幼稚園に行ってるの?」「どんな色が好き?」などと問いかけられて、固まってしまう我が子…。

そんな光景を見て、緘黙児の母はすかさず代わりに返事をしてしまいがち。聞かれてもいないのに、「うちの子は恥ずかしがり屋で」と言い訳してしまうことも多くないですか?

我が子が話せなくて困っているのを見ると、いてもたってもいられなくなりますよね…。

子どもに気まずい思いや、辛い思いをさせたくない。また、自分も恥ずかしい思いをしたくないという気持ちがあるかもしれません。

でも、子どもの代わりに答える習慣を作ってしまうと、子どももそれに慣れてしまい、親が答えるのが当たり前になってしまいます。

それが緘黙の維持要因になっているとしたら?

子どもが第三者とコミュニケーションを取る機会を奪っているとしたら?

マギーさんは、親が子どもの代弁をせず、子ども自身に答えるチャンスを与えるよう提案しています。

まず5秒待って答えられない時は、自分が子どもと向き合い、より簡単な質問になおして同じことを聞いてみましょう。

「ピンクが好きよね?」

声が出せなくてもいいんです。子どもがうなずいたらYesのサイン、首を横に振ったらNoのサイン。自分で意思表示をすることが大切なのです。

親の質問に対して5秒待っても反応がなかったら、店員さんには「ちょっと待って」と声をかけ、子どもをわきに連れていって、もう一度質問してみましょう。

それでも反応がなければ、話題を変えましょう。店員さんは子どもと話したい訳ではないので、別に気にしません。「じゃあ、違う色も見せてください」「〇〇はありますか?」など本題に戻ればいいのです。

母親の心配そうな様子や戸惑う様子は、子どもに不安を与えます。感じやすい子が多いので、その場の空気を肌で感じてしまいます。堂々として微笑んで。

子どもに答えるチャンスを与え、サポートしてあげてください。

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どうして場面緘黙になるの?

10代で発症する場面緘黙

10代で発症する場面緘黙

6月も下旬に入った今週、ロンドンは32度の猛暑日を記録中。まだロックダウン中なのにも関わらず、大勢の人々が海辺に押し寄せて、社会的距離など頭の片隅にもない様子…第二波が来ませんように!

   我が家の小さな中庭に植えた紫陽花、アナベルは今年も増殖中。夜9時過ぎまで明るいので、夕食のあと庭に出て涼んでいます

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最も場面緘黙を発症しやすい年齢は2~4歳と、イギリスでは入園や就学を経験する時期と重なります。マギーさんは、これに加えて小学校からセカンダリースクールへの移行期(11~12歳頃)に緘黙になる子がいると指摘。日本だと小学校から中学校への移行期ですね。

この年齢は多感な思春期と重なり、身体的・精神的に最も影響を受けやすい年ごろです。

イギリスの小学校はおおむね小規模で1学年1~2クラスしかないところもざら。学校職員は全校生徒だけでなく、保護者の顔と名前まで覚えていて、とてもアットホームな雰囲気。そんな家庭的な環境の小学校から、大規模なセカンダリー(12~16歳・5学年)への移行は、どの子にとっても大きな変化の時期です。

特に、Comprehensiveと呼ばれる公立校に進学する場合、全校生徒数が1000人前後に膨れ上がることも。日本の中学の様にベースになる自分の教室はなく、教科ごとに教室を移動するシステム。校舎も複数棟あり、どちらかというと大学に近い感じです。また、複数の小学校から生徒が集まるため、交友関係もより複雑に。

マギーさんとアリソン・ウインジェンズさんが共著した『場面緘黙リソースマニュアル』第二版では、場面緘黙のカテゴリーをひとつに統一(詳しくは『緘黙のカテゴリーはひとつだけ』をご参照ください)。その中で、新たに追加されたのが、認識されやすい場面緘黙 (High-profile selective mutism)と 認識されにくい場面緘黙(Low-profile selective mutism)です。

(「目立つ緘黙」と「目立たない緘黙」ともいえそうですが、日本語訳がまだ決まっていないので、直訳で高プロフィールと低プロフィールとした方がいいのかも…)

認識されにくい場面緘黙(Low-profile selective mutism)は、出席の返事や短い答え、音読などができ、学校でもなんとか声が出せる状態。促されると少しだけ話すため、周囲は場面緘黙だとは思いません。

マギーさんの説明によると、このタイプは性格的な要素が強く、同調的で人の期待に応えようとする傾向が強いとのこと。頑張って質問に応えようと、何とか単語や短い言葉を絞り出すのです。

実のところ、話さない結果への不安が話す恐怖に勝るために声が出るのですが、このバランスは微妙で、答えに自信がある時しか作用しません。

よく観察すると、声が小さい、視線を合わせようとしない、無表情、身体が硬直しているなど、極度に緊張しているのがわかります。特徴的なのは、いつまでたっても緊張が持続し、自発的に発言したり、話しかけたり、長い文章で答えたりと、普通に話せるようにならないこと。

小学生時代はこの状態で何とか切り抜けることができても、セカンダリーに入ると対応しきれなくなり、認識されやすい場面緘黙 (High-profile selective mutism)へと移行する危険があります。

たまたま環境が良く、本人の努力で症状が改善していくこともあるかもしれません。でも、声が出ているから大丈夫だろうと、支援せずに放っておくことは大変危険です。

トイレなど必然の要求を発したり、指示に従って短いメッセージが言えても、親しい友達や家族を除いては、相互的な会話をすることができません。「~(して)ください」や「ありがとう」など、何でもない依頼や挨拶も困難です。

声が出せるから緘黙症状は軽いとみなされがちですが、大きなストレスを抱えて身体的な症状が出たり、不登校になってしまう子も。話さないことに慣れて緊張が少ない緘黙児と比べ、決して軽症だとは言えません。

助けや許可を求めたり、いじめや病気を報告したり、自ら説明することができないため、同級生や教師の理解を得られにくいのです。そのため、虐めの対象になったり、無視されたりと、危険にさらされる可能性が高くなります。

子どもの人格形成に非常に大切な自己評価が下がってしまう傾向も…。また、心のバランスを崩して、二次的な不安障害を発症してしまう可能性も出てきます。

認識されやすい場面緘黙 (High-profile selective mutism)の子が、まだ緊張は続くものの、スモールステップで何とか声がでるようになった状態も、認識されにくい場面緘黙(Low-profile selective mutism)といえます。場面緘黙を完全に克服できた訳でなく、環境によっては逆戻りしてしまうケースも。

人・場所・活動に関わらず、子どもが自信をもって自由に受け答えできるようになるまで支援を止めないことが大切です。

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どうして場面緘黙になるの?

どうして場面緘黙になるの?

6月もすでに半ばを過ぎてしまいました。イギリスではロックダウン中の4、5月と記録的に晴天が続いたのですが、6月に入った途端に例年並みの変わりやすい天候に…。毎日のコロナ感染者も死者も、まだまだ安心できるレベルまで減少しておらず、第二波が心配です。

  3週間ほど前、パーゴラの両脇に植えた白薔薇の根本に大穴が!我が家の庭に毎晩キツネがやってきて、悪戯していくのです…。苦肉の策で、キツネ除けバリケード(夜間用)を考案しました(^^;)

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自分の子どもはいつ、どのように場面緘黙になったのか? 実は、思い当たるふしがないという保護者が多いのだそう。

今回の講演の中で、マギーさんが緘黙の引き金要因について説明され、なるほどと思いました。

家族は引き金となった出来事や原因を突きとめようと過去を遡り、「これに違いない」と見当をつけているかもしれません。でも、実はそうでない場合も多いようです。子ども自身も覚えていないかもしれません。

不安障害のひとつである場面緘黙は、恐怖症と同じメカニズムを持つ。

恐怖症を発症する3つのメカニズム

  1. Transference(転移)
  2. Modelling(モデリング)
  3. Direct Association(直接的な関連付)

1.Transference(転移)

殆どの緘黙児は話せない人・場所・活動が決まっているが、実のところ特定の人・場所・活動自体が怖いのではないことが多い。祖父母や先生など、大好きで話したいのに、喉が閉まったようになって声がでない。

この「話すこと自体が怖い」という不合理な恐怖症はどこから来たのか?

本来、恐怖を感じたのは「話すこと」ではなかったが、不安でパニック状態になっている時に、「話すこと」が恐怖の対象として結び付いてしまう(転移)ケースが多い。

引き金になる出来事が起きた際、親や家族が傍にいなかったケースが多いといい、原因がつかめないのもうなずける。

例えば、見知らぬ場所やショップなどで、子どもが親や家族を見失ったとする。子どもは頭が真っ白になり、心臓がドキドキしてパニック状態に。そんなところに、見知らぬ大人がやってきて、親切心で矢継ぎ早に質問を浴びせかけられたら?

子どもは喉が閉まったようになり、質問に応えることができず、恐怖は更に大きくなる。この「何か言わなきゃいけないのに、声が出ない」という体験が恐怖と結びついてしまう(転移)。

この恐怖体験をしばらくは忘れていることが多いが、次に親が傍にいない時に見知らぬ大人に話しかけられると、以前体験した恐怖と「声が出ない」状態が蘇る。これを何度か繰り返すうちに、子どもはどんな場面でこの恐怖に遭遇するかを学習し、極力そうなる場面を避けるようになっていく。

2. Modelling(モデリング)

子どもは頼りにしている人の言動を見て学習する。例えば、兄姉が話すことを恐れ・回避しているのをずっと見ていると、弟妹も「話すことは怖い」と思い込み避けるように。また、移民で内気な親が親族としか交わらず、家庭外(学校を含む)で英語を話したがらない様子を見て育ったケースなど。

3. Direct Association(直接的な関連付)

「話すこと」自体に恐怖を覚えたケース。例えば、話している時にからかわれたり、批判されたりした場合。また、不安な状態の時に、何かを言うよう強要されるような体験をした場合など。

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緘黙と恐怖症

場面緘黙と恐怖症

先週末の日曜日、3か月ぶりに息子に会いにサリー州まで車で行ってきました。大学の進級試験があったので、ロックダウン中も大学のある田舎町に残っていたのですが、友達と自由を謳歌しているよう。元緘黙の恥ずかしがり屋の息子が自立していくのは、嬉しいような淋しいような…。

  

親子3人で森の中でピクニックしてから、テムズ河沿いを歩きました

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イギリスの幼児教育家で著者のキャシー・ブロ-ディさんが、6月1日から1週間、幼児期の話し言葉・言語・コミュニケーション(SLC: Speech, Language and Communication)に関するオンラインサミットを開催しました。

3日目にはSLT(言語聴覚士)で場面緘黙治療の第一人者と言われるマギー・ジョンソンさんが出演。場面緘黙についてわかりやすく説明し、幼児期の早期発見・介入の重要性を訴えました。その中で、特に印象に残った箇所を書き留めておきたいと思います。

●場面緘黙の発症は入園・就学前が多い

様々な研究によると場面緘黙の発症時期は、平均して2~4歳。入園や小学校入学の時期と重なる(英国では3歳で入園、4歳で就学)と言われるが、実はその前から既に発症している子が多い。

久しぶりに会った親戚と口をきかなかったり、ショップで店員に話しかけられると固まってしまったり--こうした緘黙のサインを見落としてしまう親も。子どもは側にいる親には話すので、「うちの子は恥ずかしがり屋だから」「幼稚園に入ったら大丈夫」と思いがち。親が自覚していれば、入園や就学の前に園や学校に相談できる。

園や学校では場面緘黙の研修を行い、こういう症状があるということを周知させておくことが重要。内気なだけなのか、それとも緘黙なのか、注意深く観察する必要がある。「大人しいけどそのうちに慣れる」と見守らず、すぐに行動を起こす。時間が経つほど緘黙が固定化する傾向が強い。

  • 園での子どもの不安/ 緊張度をチェック
  • 緘黙児は話すことを期待される場面での緊張が強く、視線を避けたり、身体が固まったりと、そうでない時とのコントラストが明確
  • おとなしい子は大人が近づいても緊張はそれほど強くなく、1対1だったら割と早く打ち解けて話始める
  • 保護者に家庭での普段の様子を聞き出し、園や学校での様子と比較
  • 保護者から、子どもの個性、好きなこと、得意なこと、どんな話題が好きかなど聞きだしておく

●場面緘黙を恐怖症と捉え、恐怖症の対処法と同じような支援をしていく

例えば、ヘビに対する恐怖症がある人は、極力ヘビに遭遇することを避けたがる。写真や映像を見たり、遠くにヘビを見つけただけで、鳥肌が立ったり、冷や汗が出たり、心臓がドキドキしたりする。

緘黙児も同様に、「話さなければいけない」場面に遭遇すると察知しただけで、不安が高まり、身体的な症状が出る。園や学校では固まってフリーズする傾向が強い。(みく注:緊張が高まると、感情のない能面のような顔になったり、下を向いて黙り込んでしまう子が殆どの様に思います。緘黙児は安心できる家庭ではメルトダウンを起こしますが、園や学校で騒ぎだすことは殆どありません)

緘黙の知識がなければ、教諭は話さない緘黙児をリラックスさせ言葉を引き出そうと、「ここにおいで」「何が好き?」「水遊びしようか?」と質問を浴びせかけがち。そうすると、子どもは更に緊張して押し黙ってしまう。

まずは「話す」プレッシャーを取り払うこと。子どもを放っておくのではなく仲間に入れ、自分の傍に来させて、まずは答えを必要としない言葉がけをしていく。「猫ちゃんかわいいね」「これは何かな?どうやって使うのかな」など、子どもにではなく自分に話しかけるように。

子どもが何かできたら、「上手に描けたね」「この車かっこいいね」などと声に出してコメントしていく。

子どもと信頼関係が築けたら、始めはうなずいたり、指さしできる質問からしていく。「話さなくてもいいから指さしで答えてね。準備ができたら話せばいいからね」と隠さずオープンに。話せないことを知っていることを伝えると、子どもは安心できる。

わざと間違えると、子どもはとっさに訂正してくることが多い。これが自信を与え、話すきっかけになることも。指さしやうなずきで答えられるようになったら、スモールステップで質問を次の段階へと上げていく。

恐怖症と同じで、成長することで場面緘黙が自然に治るということはない。本人が不安と向き合い克服していく必要がある。自然に治ったように見えても、実は子ども自身が頑張って話せるようになったケースが多い。良い環境と適切な支援があれば話すことへの不安が減り、声が出やすくなる。

時間があくと増す不安

毎日快晴の初夏の気候が続いているイギリス。3月末のロックダウン開始から現在まで、雨や曇りの日は数えるほどしかありませんでした。実は、1929年に気象庁がデータを記録し始めて以来、この春は最も晴れの日が多かったのだとか。

学校はハーフタームの1週間休み中だし、あまりにも天気がいいので、昨日ハイゲートの森まで友達に会いに出かけました。車を運転したのも、彼女に会ったのも、ロックダウンを経て2か月ぶりのこと。

   

    木陰が多くて涼やかなクィーンズ&ハイゲートウッド。でも、みんな社会的距離なんて保ってないし、マスクしてる人はごく僅か…

実は、久々に車に乗るのが怖くて、決行をずるずる引き延ばしていたのです。

2週間前にはイングランド内の車での移動が解禁になり、ガーデンセンターが真っ先にオープン(イギリスならではですね)。車で20分ほどの距離にある地元のガーデンセンターにめっちゃ行きたかったんですが…。我が家の古~い愛車、ロックダウン前に故障して修理に出したところ、「あと1年くらいで寿命かな」とダメ出しが。

もともと車の運転・駐車が下手という苦手意識があって、家の周囲6キロ程度しか運転しない(できないと思っている)私…。

2か月乗ってないけど、ちゃんと運転・駐車できるのか。

途中で故障したらどうしよう。

ガーデンセンターの駐車場がいっぱいで、うまくナビゲートできなかったらどうしよう。

そんな不安が渦巻いて、運転する勇気がなかなか出ませんでした。

昨日エイヤっと乗ってみたら、「なーんだ。何で心配してたんだろう」と、不安はあっけなく消失。

こんな風に心配症で不安になりやすい私の気質を、元緘黙の息子はもっと強力に受け継いで生まれてきた訳ですが…。長い休みの後、緘黙児が学校に行くのを怖がる気持ちが、とてもよく解るような気がしました。

苦手意識があると、それまで普通にできていたことでさえ、できないような気がしてくる。

自信や自己評価があっけなく低下してしまう。

まずは、勇気を出して一歩を踏み出すこと。それを回避していると、ますます不安が大きくなってしまいます。回避することで不安は下がりますが、避ければ避けるほど恐怖が増します。

子どもの不安を低減させるためには、子ども自身が「なーんだ、大丈夫だった」「できた」と自分で体験するしかありません。不安と少しずつ向き合い、慣れていくことでしか克服できないのです。保護者、教師、セラピストなどの伴走者はその手助けしかできません。

息子の場合は、困難に直面する場面を色々想像してしまい、事前に不安が膨らんで「やりたくない」「できない」と思い込んでしまうパターンでした。でも、いざその場面に直面してみたら、思ったほど緊張しなかったということが多かったです。

「学校に行くのが怖い」という子には、事前に何度か通学路を歩いてみたり、クラスメイトの話をしたりするといいかもしれません。ロックダウンの間に、オンライン授業に参加できていたか、仲の良い友達と繋がっていられたかも重要ですね。

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さて、イギリス政府はロックダウン解除の第二弾として、6月1日から6人のグループが集まることを許可。戸外(個人宅の庭を含む)で社会的距離を保ちながら会うという前提で、バーベキューやパーティもOKとなりました。

でも、昨日(5月29日)の感染者数は2095人、死者数は377人と、まだまだ規制を緩めてもいい数字ではない?! 何故緩めるのか??

どうやら政府は科学者たちの「まだ早すぎる」というアドバイスを無視して、経済復興のために解除を進めているよう…。危険な賭けだと思います。

大通りや公園ではカフェやレストランが営業を始めましたが、スタッフはマスクも手袋もしてない!政府のガイダンスでは頻繁に手洗いすればOKということですが、怖すぎ!最近は、スーパーなどでもマスクと手袋着用率が低下している状態で、大きな第二波が来てもおかしくありません…。

先週末、ジョンソン首相の主任顧問アドバイザー、ドミニク・カミングス氏が、自ら作ったロックダウンの規則を破ったのではという疑惑がさく裂。国民の怒りを反映して大臣がひとり辞任し、保守党の国会議員40人が彼の辞任を迫りましたが、官邸の庇護のもと、うやむやにもみ消されそうです…。

どうしてイギリスは世界でも最悪の感染被害国になってしまったのか、国民の政府に対する信頼は崩れつつあるような。

昨日から「テスト&トレース」作戦が始まり、25000人のトレーサーを雇用して、PCR検査をした人の濃厚接触者を探り出し、警告していくとのこと。陽性だったら、本人は1週間、濃厚接触者は2週間の外出禁止です。でも、どこで誰と接触したか、知人の他は判らなさそう。携帯電話のAppはまだ実験中だし、見切り発車じゃないかと思うんですが…。

とにかく、大きな第二波が来ないよう祈るばかりです。みなさんもどうぞお気を付けて。

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ロックダウン解除へ第一歩

緘黙児とロックダウン

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ロックダウン8週間目にして、先週から第一段階の解除が始まったイギリス。気持ちのいい初夏の天候に誘われて、人々は風光明媚な海辺の町にどっと押しかけているよう。今週末は三連休なので、第二の感染の波が来ないか心配です…。

さて、先週から大きな問題となっている学校の再開。やはり6月1日からスタート予定で、各学校は準備に追われています。

政府の方針では、まず小学校(5~11歳)から再開するとしています。全学年ではなく、最も若いレセプションクラス(5歳)と1年生(6歳)、そして来年全国試験を受ける予定の6年生(11歳)を優先。

一度に教室に入れる人数を最大15人までに抑え、4~5人の小グループに分けて他のグループと交わらない様にする、下校の時間を早めるなど、様々な対策を考えているよう。

また、セカンダリースクール(12~16歳)は10年生を、6thフォームやカレッジ(17~18歳)は12年生を(両学年とも来年全国共通試験を受ける予定)、夏休み前に学校に戻す計画を立てています。

私が日本語を教えている特別支援学校でも、子ども達や担当の教師・TAのグループ分けや、様々な規則が決まりました。給食は当分ストップするため、保護者は毎朝お弁当を作らなければなりません。学校にはキッチンがあるのですが、こちらも使用禁止。

ただ、登校は強制ではなく、保護者の希望で安全性が証明されるまでは当面登校しない、または9月まで登校しないという子ども達も。

ヨーロッパの他の国々と比べると、イギリスでは毎日の感染者数も死者数も充分には減っていません。教師も生徒も全くマスクなしで授業を再開と言うのは、やはり心配…。

さて、ロックダウンの期間中、緘黙児の保護者達が集うSMiRAのFBページは、「ロックダウンのお陰で、子どもが元気になった!」という報告が相次ぎました。

学校に行く不安がなくなり、家で大好きな家族と一日一緒に過ごせるという安心感からでしょう。社会的なプレッシャーから解放され、のびのびと過ごせた子が多かったよう。

それと同時に、それまで学校で積み上げたスモールステップの成果が水の泡になりそう、と心配する保護者の声も…。

SMiRAでは、ロックダウン中に家庭の快適ゾーンに引きこもってしまわない様、自分の子どもにあった小さな不安を克服するスモールステップを計画・実行するようアドバイス。ロックダウン中はオンライン授業やオンライン受診に切り替わったため、SLTのマギー・ジョンソンさんからは、これを利用して発話に繋げるようにとの提案も。

その成果か、緘黙児が先生や心理士、セラピストに対して初めて声を出せたという報告もチラホラ。直接顔を合わせるよりも、PCやタブレットの画面越しの方が不安が少ないんでしょうね。

また、ティーンの緘黙児には、自立に向けて徐々に苦手なことや家事に挑戦させるという提案もありました。

緘黙児は新しい環境に慣れるのに時間がかかります。なので、長い休みの間にそれまでの進歩が逆戻りしてしまうことも珍しくありません。でも、もし後退してしまったとしても、そこまで達した経験があれば、またきっと戻れるはず。だからスモールステップでの前進体験は絶対無駄ではないと思うのです。

私の日本語の生徒たちは、オンライン授業では大体自分のカメラをオフにしています(写真嫌いと、多分パジャマ姿を見られたくない?)。この方法だと、緘黙児は自分の顔を見られることなくやり取りできるので、すごく気が楽なのではないでしょうか?

もし電話でなら話せる友達や親戚がいる場合は、下記のようなスモールステップができそうです。

  1. 端末やタブレット、携帯でまず音声だけで話をする(途中から、相手のカメラをオンにしてもらい顔が見えるようにする)
  2. 慣れてきたら、相手の画像を見て話す(自分のカメラはオフ、不安が強い場合は最初はマイクもオフにして声を出す練習をする)
  3. 慣れてきたら、自分のカメラもオンにする
  4. 同じ建物内で1~3を繰り返し徐々に距離を縮め、最終的には同じ部屋へ
  5. 最初は背中合わせにタブレットを通じて会話、最終的には実際に顔を見て話す

電話でも話せない場合は、まず文字のメッセージ交換から始めてもいいですよね。

6月から登校を予定しているイギリスの緘黙児たちは、今大きな不安をつのらせています。でも、4~5人の小グループ活動が多くなりそうなので、発話のチャンスかも。親しい友達と同じグループにするなど、学校側が配慮してくれるといいですよね。

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ロックダウン解除へ第一歩

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ロックダウン8週目に入った今週の水曜日、イギリスでは一部のみ解除が始まりました。イングランド内では、運動のための外出に制限がなくなり、車で出かけてもいいことに。私たち夫婦は8週間ぶりに車で15分くらいの所にある森林公園に行ってきました。

 

約2か月ぶりのハムステッドヒースは、やっぱり人手が多かったです

でも、その他の政策については、政府からのメッセージが解りにくいと評判はよくありません。例えば、企業活動の再開については、

  • 自宅でテレワークができない人は、できるだけ出社するようにする
  • でも、公共交通機関はできるだけ使わない様に(可能であれば車、自転車、徒歩で)
  • 安全な社会的距離が保てない場合は、鼻と口をカバーすること

ロンドン郊外から中心部にあるオフィスまで、公共交通機関、または車か自転車がなければ通勤できません。案の定、当日の地下鉄とバスはかなり混雑していました。社会的距離は全然守れていないのに、マスクをしている人はごく僅か。うわぁ、こんなんじゃまた感染が拡大しそう…。

世界中でマスクの有用性が認められているなか、イギリス政府だけはこれまでマスクの使用について口をつぐんできました。その理由は、マスクの需要が高まると医療従事者用のマスクが不足するから??

「別に使い捨てのサージカルマスクやN95じゃなくてもいい。スーパーでは鼻と口を布で覆うように指示して~!」と、私はずーっと願い続けてきました。だって、一日一回の運動と必需品の買い物でしか外出できないのに、感染者が増え続けてるんですよ? どうしたって、スーパーで感染してるとしか思えない…。

イギリスではマスクは医療従事者がするものというイメージがまだまだ強いです。政治家やメディア関係者が率先し、鼻と口をカバーしてTVに出てくれればいいのに…。

オンラインのショッピングサイトには多種多様なマスクが出回っています。今日ご近所の人と出会ったら、「好きな写真を布マスクに印刷できるのよ。うちのネコの写真付きマスクをオーダーしちゃった」と笑っていました。

ニュース番組でアナウンサーや政治家が布マスクをしていたら、だんだんイギリス人たちも慣れてきて、「じゃあ私も買おう」とか「ソックスで作ってみよう(本当にあるんです)」という気になると思うんですが…。

ちなみに、私が住んでいる地区はマスク姿の人が増えてきて、出会う人の3分の1くらいがマスクをしています。というのも、ロンドンで2番目に感染者が多く、人口39万人強の区域で現在までの感染者が1268人。しかも、これはPCR検査をした人だけで、自宅療養の軽症者の数は含まれていません。 最近になって発表された地区の死者数は何と391人😢

それから、今大問題になっているのが学校の再開について。6月1日から段階的に再開させていく方針なのですが、教員組合が強く反対しています。子どもや教師へのリスクが予測できないこと、社会的距離を保つことが難しいことなど、問題は山積み。

研究によると、学校休校で感染を抑える効果が出たということですが、一体どの年齢の子ども達がキャリアになっているのかは不明。それが判れば、小学校を先に再開させるなど、もう少し的確な判断ができ、親も社会も安心できると思うのですが。

イギリスでは殆どの学校が3月20日から休校となりました。が、実はキーワーカーの子ども達を預かるために、ずっと開いている学校もあるのです。私が日本語を教えている特別支援学校は生徒が70人しかいませんが、現在も数名の生徒が登校しているよう。

今週、校長から詳しい説明があり、6月2日から開校予定になっています。政府のガイダンスにより、教師も生徒も校内でPPEは必要なしと…。えっ、マスクつけてちゃいけないのかな?それって怖い!

毎日の死者数は減少傾向にあるとはいえ、今日は450人を超える方が亡くなりました。ロックダウンの解除は拙速に過ぎるような気がしてなりません。

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ロックダウン7週目が終わろうとしているイギリス。今週は晴れの日が続き、うららかな初夏の気候なんですが…。ヨーロッパで最悪の感染国となってしまったうえ、今なお記録を更新中で、明るい気持ちにはなれません。

壁に挟まれた路地で見つけた藤の花

ジョンソン首相が「感染のピークは4月半ばに過ぎた」と公式に発表した後、5月3、4日は死者数が300人程度に。やっと出口が見えてきた~!! と喜んだのもつかの間、再び数字が上がって5、600人台にまで逆戻りしてしまいました…。

NHS病院の入院患者は確実に減ってきているものの、ケアホームや介護施設での感染が止まらないようです。政府の統計によると、死者の5分の1以上がこのセクターだそう。イングランドだけでも1万5000の施設があり、感染者の介護や他の利用者達の隔離など困難を極めているのです。施設のスタッフは看護士ではないうえに、自己防衛のためのPPE不足、PCR検査不足が重い足枷に…。早く何とかしてあげて欲しい!

そうそう、「4月30日までにPCR検査を10万件まで増やす」という政府の公約は、最終日の30日に果たされました。当日は12万件まで増えましたが、以後10万を超えたのは1日だけで今週は7~9万件の間を行ったり来たり。

PCR検査の数が以前の4~5倍に膨れ上がったためか、毎日の感染者数はまた4~6000台に逆戻り。ちなみに、今日は9万7029の検査をして、陽性者は4649人でした。陽性率は4.8%なので、以前と比べると感染率はかなり下がってきています。

イギリスではロンドンやバーミンガムなどの主要都市に、展示会場を改造した野戦病院、ナイチンゲール病院を設置しました。でも、結局ロンドンでは61人を収容したのみで、現在の患者数はゼロ。バーミンガムでは一人の患者も収容することなく終わりそうです。

今日までに21万1364人が感染し、3万1241人が命を落としたものの、医療崩壊は起きていません。でも、それなら何故こんなに犠牲者が多いのか…?

ロックダウンする前、政府はPPEの準備は万端と豪語していました。が、チャンネル4 TVの取材によると、備蓄されていたPPEの多くが期限切れだったとか…。いざ配布する時になって、あわてて使用可能かどうか調査するなど、様々な不手際があって深刻なPPE不足に繋がったのです。

そういえば、危機的なPPE不足が叫ばれていた先月、わざわざ英国空軍がトルコまで取りに行ったガウンは、安全基準を満たさずお蔵入りになったとか…。被害を受けるのはNHSの医療スタッフと国民。ちゃんと責任を追及して、今後こういうことが起きないようにして欲しいものです。

イギリスではこれまでに150名ほどのNHS医療従事者が亡くなり、政府はそれぞれの遺族に6万ポンド(約800万円)のお見舞金を支払うとを発表。仕事とはいえ、最前線で戦うことは精神的にも肉体的にもどれほど過酷だったことか…。NYでもニュースになりましたが、白人と比較して黒人やインド系のスタッフの死亡率が高く、現在調査が進められています。

入院患者の数が減ってNHS病院が安定してきたためか、先週末には「新型コロナ以外で病院での診察や治療が必要な人は、我慢しないで病院に行ってください」とメッセージが。感染を恐れるあまり、新型コロナ以外で救急病院に行く人が60%減ったというデータも出ているようです。

ロックダウンは今月末までは続く予定です。でも、先週末から俄かに出口戦略の話題が出始めました。5月5日からイングランド南部にあるワイト島で、新型コロナの感染拡大を予防するための携帯アプリをスタート。この実験が成功したらイギリス全土に普及させる予定だとか。

これはユーザーの位置情報データを利用して、感染者の行動パターンを監視し、濃厚接触者にいち早く感染の可能性が報告するというもの。政府は感染者の数や感染傾向を把握できる訳ですが、ユーザーのプライバシーの侵害が問題になってきますね…。

ピークは過ぎたとはいえ、感染者も死者も安心できるほど減っていません。経済も心配ですが、危険を冒さずに慎重な判断をお願いしたいです。

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英国のロックダウンは続く(その4)

英国のロックダウンは続く(その4)

ロックダウンも6週目に入ったイギリス。週明けからジョンソン首相が公の場に戻り、昨日(水)は男児の父親になったというおめでたいニュースも。婚約者のキャリー・シモンズさんも首相と同時期に新型コロナに感染した経緯があり、無事に生まれてなによりでした。

そして、今日はNHS(国民保健サービス)のために多額の寄付金を集めたトム・ムーア元大尉(詳しくは『英国のロックダウンは続く(その2)』をご参照ください)の100歳の誕生日です。誕生日を祝して、英国軍から名誉大佐の地位が与えられたそう。

本当におめでとうございます!そして、ありがとう!

 イギリス全土にインスピレーションを与え、志気を高めてくれた100歳のトム・ムーア名誉大佐。エリザベス女王からのものも含め、14万通の誕生カードが送られたそう。写真(右)は学校の講堂に並べられたカードを読む孫のベンジー君

彼は4月24日(金)時点で、何と2860万ポンド(6億6500万円)以上を集め、ギネス世界記録を打ち立てました。また、歌手で俳優のマイケル・ボールと『You’ll Never Walk Alone』のカバーバージョンを歌ったシングルが、先週ヒットチャートの一位に!99歳にして一位になった最高齢者として、こちらもギネス世界記録を樹立。

でも、現実は厳しい--先週末からやっと毎日の死者数が減り始め、少しほっとしていたその矢先…。昨日の死者数は衝撃の4,419人!! 累計では2万6097人と大幅に増えてしまいました😢 ガーン。

というのも、前日までの数字には老人ホームや市中で亡くなった方々の数が含まれていなかったのです。メディアの叱責を受け、政府がやっと老人ホームでの死者数をまとめて計上した結果でした…。

イギリスの毎日の新たな感染者数は相変わらず3、4000人台の高止まり。昨日は累計でドイツを抜いて世界第5位に――4位のフランスも今日確実に追い抜きそう…。入院患者の数は確実に減少しつつあるものの、現在PCR検査を急増させているため、更に増える傾向になるかもしれません。

英国政府は4月末、つまり今日までに一日10万件のPCR検査実施を目指すと公言しています。先週金曜日からNHSの医療従事者とその家族らを対象に、オンラインのPCR検査予約を開始。全国に41か所あるドライブスルー検査所での検査、もしくは家庭でできる検査キット(5000個)を選べるシステム。

いざ予約を開始したら、家庭用検査キットは僅か2分で終了、ドライブスルー検査予約も2時間でスロットがなくなったとか。28日(火)の総検査数は5万2429件。昨日は、オンライン予約の対象を老人ホームの利用者とスタッフ、症状がある65歳以上の高齢者にまで拡大しましたが、果たして今日10万件という目標が達成できるでしょうか?

いずれにしても、ヨーロッパでの新型コロナによる被害は、イギリスが最悪ということになるかも…。

ジョンソン首相はBrexitを先導したEU離脱派なので、新型コロナのパンデミックが深刻化するまで、残留派はシニカルな目で見ていました。Brexitで国が二分してしまった感があったのですが、ここにきてジョンソン首相の支持率が上昇中。

指導力もあると思うのですが、本人が新型コロナに感染しながら仕事を続け、ICUに入るまで悪化してしまったことで、国民の意識が変わったと感じています。一致団結して何とかこの危機を乗り越えたいというのが、みんなの願い。

たとえロックダウンを解除できても、次は経済危機が待っている訳で…。第二波、第三波に襲われないうちに、果たして特効薬やワクチンが開発できるのか?今回の新型コロナパンデミックは各国家、全世界が英知を結集させて解決しなければならない大試練となってしまいました。3月に入ったころ、誰がこんな事態になることを想像できたでしょう…。

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英国のロックダウンは続く

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英国のロックダウンは続く(その3)

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イギリスではイースターの祝祭を含む春休みが終わり、今週月曜日から新学期が始まりました。といっても、まだロックダウン中なので、授業は全てオンラインです。

 

   桜が終わり、今はライラックの季節。前庭のイングリッシュローズの一番&二番花が咲きました。

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新型コロナのパンデミックと最前線で戦い続けるNHS(国民保健サービス)の医療スタッフ。その彼らを感染から守るPPE(個人防護具)の不足が極限状態に達しているよう…。

全国に5万8000あるというNHS関連の施設にPPEを配布するのは、イギリス政府の責任。世界各国でPPE争奪戦が激化している中、イギリスでは先週末から政府のPPEの確保・配布能力に厳しい批判が向けられています。

政府は毎日午後5時から会見を開き、新型コロナ感染の現状や今後の対策・展望などを報告。その際にリモートで記者会見が行われ、担当大臣や政府の専門家3人がメディアの質問に応えます。その会見の場で、先週末からPPE不足に対する政府の責任追及が続きました。

毎日のニュースではNHSの医師がPPE不足を訴えたり、感染が広がり犠牲者が激増している介護施設の状況を伝えたりと、現場から切実な声が。政府は「最善を尽くしている」と釈明しているものの、複数の国内企業がPPE提供を申し入れているのに、反応が鈍いという事実も判明。

先週土曜日にトルコから届くはずだったガウン40万枚――結局月曜日なっても届かず、その夜に英国空軍がエアバス3機をトルコに飛ばすことに。水曜の午後、やっと1機が半分だけ荷物を積んで戻ってきました。後の2機は残り半分を輸送するため、トルコの空港でスタンバイ中。その間にミャンマーからの15万枚が届いたようですが…。

全国のNHSで必要なガウンは1日になんと15万枚!40万枚では2日半しかもたないんですね…。

PPEを必要としているのは、病院の医師・看護師だけでなく、GP(主治医)クリニックやホスピスを含む医療機関のスタッフ、救急隊員、ケアホームの介護士や訪問看護師など。その他、清掃員、ポーター、事務員たちも忘れてはならない要員ですね。

メディアがPPE不足を追究するなかで、PPE確保のためにEUとの協定に即参入すべきだったという批判も出てきました。これは、EU加盟国が危機に対処するため公共医療に不可欠な機器などを共同で購買するというもの(イギリスはまだEU離脱の移行期なので参加できるらしく、どうも途中から入ったっぽい?)。

また、自国産のPPEを他国へ輸出しているという事実も判明。過去の援助に対する返礼など、政治的な事情もあるようです。「自国が大変な時に何故?」と思ってしまいがちですが、PPEや食料などの生産国が輸出を止めてしまったら、世界中がパニックに陥ってしまいますよね…。

でも、こういう風にメディアが問題点を取り上げ、会見の場でジャーナリスト達が政府に厳しい質問をあびせるのはとてもいいことだと思います。政府にプレッシャーを与えたことで、空軍が専用機を飛ばしたことに驚きました。

これまで緊縮でNHSの規模や病床を減らしてきたイギリス政府。政治家や裕福層はプライベート医療を利用できるため、実際にNHSの医療を体験したことがない人も多かったかもしれません。でも、ジョンソン首相自らが新型コロナに感染してNHS病院のICUで治療を受けたことで、その重要性が再確認されたと思います。

まだまだ厳しい状況が続くイギリスですが、なんとか感染がおさまってくれることを願ってやみません。

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