息子の緘黙・学童期 7~8歳(その14)安心できる人と空間

早春の花が次々と咲ほころぶ中、寒さがぶり返して今日は雪が降りました。明日の予報もまた雪マークですが、積もりはしないよう。桃の節句も終わり、かなり日が長くなってきています。

   

亡き母が大事にしていたお雛様といただきもののお茶菓子

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息子の緘黙話しの続きです。

2年生は進歩が止まってしまった感のある学年ではあったのですが、それなりの進歩もありました。

新たに日本から来た転入生と仲良くなって(転入生は自分の過去を知らないと思いこんでいて、アプローチしやすいらしい)、春休みに一緒に公園で遊んだりしました。

なんせ来たばかりなので、当然英語もあまりしゃべれない状態。母子ともに英語での生活に不慣れでした。

息子がリードして英語で積極的に話しかけ、売店でその子の分までアイスクリームを注文した時にはビックリ!「こうやって買うんだよ」と自慢したかったんでしょうね。

その子のお母さんは赤ちゃんを産んだばかりで、息子たちにはあまり注意が向きません。それも息子が大きな声を出したり、気兼ねせず会話したりできる要因だったかも。

よく緘黙児はコントロールフリークと言われますが、自分が主導権を握っている状態だと不安がなくなるよう。学校では借りてきた猫のようにしているのに、こんなに変わるんだ――その豹変ぶりにはしばしば驚かされました。

うんと年下の子や、英語やイギリスでの生活に不慣れな転入生やその母親、怖くない大人に対しては安心――本人がそう意識していなくても、自然に感じ取って反応している様でした。

また、この頃息子が安心できる場所に、自家用車の中というのがありました。運転席には私が座っているし、自分と友達が座っている後部座席はスモークガラスなので安心感が倍増。外からは自分の姿が見えないから、隠れているような感覚だったのかなと思います。

同じ音楽教室に通っていて、B君を通じて友だちになったクラスメイトのS君(お互いの家を行き来する仲で、S君ママとも話せていた)は、かなりのいたずら好きでした。窓を半分くらい開けて、近くを歩いている人に向かって、

「こんにちは、マダム!」

そう大声で叫び、姿を見られないように頭を引っ込めるのです。

それを何度も繰り返しながら、移動する車の中で大笑い。

そのうちに息子も笑いだして、いつの間にかいっしょにゲームに参加しているじゃないですか!楽しい雰囲気だと、普段できないことができてしまうんですね。

ひょんなきっかけで、安心できる場所や人が判明したりするものです。もし判明したら、そのシチュエーションをスモールステップに利用してみない手はありません。

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場面緘黙は遺伝する?

もうクリスマスが目前ですね。それなのに、私はここに来て初めてコロナに感染してしまいました~(^^;  月曜日の午後、友達とテート美術館にセザンヌ展を観に行って、そこで咳が出始めて何だか疲れたな~と…。帰宅後、しばらく会っていない友達から「とうとう感染しました」と連絡が。そこで心配になってテストしてみたら、陽性!!(2週間前に主人が、その後息子が酷い風邪をひいたものの、二人ともコロナ陰性だったので油断してました!!)一緒に出掛けた友達に感染させたかもと、罪の意識でいっぱいです…。昨日からは殆ど症状もないのですが、家の中で家族3人が隔離生活中です。我が家のクリスマスはどうなることやらですが、皆さん、素敵なクリスマスを。

   隔離生活で外に出られないので、クリスマスの飾りつけを終えてて良かった…。

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先の3つの記事では、大人になるまで緘黙や不安障害などをひきずり、生まれた娘2人も場面緘黙になったというエイブリーさんについて書きました。

以前にも何度か話題にしたと思うのですが(随分昔のことなので思い出せない(^^;)、親子そろって場面緘黙になったという話は時々ききます。

でも、それは場面緘黙が遺伝する訳ではなく抑制的な気質が遺伝して、環境などの影響で子どもにも緘黙症状が出ているのだと思います。

(そういう私も場面緘黙ではありませんでしたが、高校時代まで「内弁慶・恥ずかしがり屋」と言われ続けていました。学校をはじめ公の場では借りてきた猫状態。その一方で、安心できる場所(家やその近所)ではかなり自を出せていたのです。知りあいが誰もいない他県の大学に入ったことが、自分の殻を破るきっかけとなりました)

元緘黙の大人がよく「緘黙の後遺症」として挙げるのが、人付き合いなど社会性の問題。抑制的な気質の人は引っ込み思案なことが多く、新しいことに挑戦するのに苦手意識があります。また、新しい状況に慣れるのに時間がかかるという特性も。

話せるようになっても、とまどっている内に人の輪の中に入れなくなってしまうこともあるかと思います。そして、一度できた輪の中に入っていくのは結構難しい…。自意識過剰で人の目が気になる上に、自分から働きかけることが苦手なんですね。

緘黙は克服したのに人との関係を築くのが難しい――特に、2人以上のグループでの何気ないおしゃべりが難しいという人が多いのです。仕事だったら、ある程度話題が限られてきますが、普段のおしゃべりは話題が流動的。人数や関係性などによって、何を言い・どんな反応をするか瞬時に決めなければならず、よく考えると複雑極まる対応をしなければならない訳です。

特に、日本では角を立てないために曖昧な表現を使うことが多く、「場の空気を読んで、求められている反応をする」必要性がすごく大きい。また、人の気持ちを配慮する「気配り」の文化があるため、反応が鈍いと誤解されてしまう傾向も。

緘黙児は学校で話せない・思うように行動できない子が殆どですが、社会性が発達する成長期に緘黙になると、社会的な経験を積むことが難しくなります。学校や社会の中で色々な体験をして、どんどん経験を積み重ねて自信をつけていく時期なのに、その体験がすっぽり抜けてしまうからです。

大人とのやり取りもそうですが、同年齢や年が違う友だちとの交流は特に重要。というのも、話し言葉やコミュニケーションに関しても、体験しながら習得していくものだからです。

話し言葉・言語・コミュニケーションの発達は、高校生になってからも続きます。どんどん語彙が増え、文章が長くなり、内容も複雑化していきます。こうしたスキルは、比喩や隠喩を含め、実際に使って相手の反応を見ながら学んでいくもの。ゼスチャーも同じことです。

輪の中で・輪の近くで、見て・聞いて・自分で使ってみて、成功と失敗を重ねながら習得していくのです。十分な会話の練習ができなければ、自信を持って言葉やゼスチャーを使うことはません。

学校で話せない緘黙児にとっては、家庭はもちろんですが、学校外の友達、親戚関係、習い事のサークルなど、なんでもいいので同年代の子どもとの繋がりを持つことが大切かと思います。学校の外で「話せる自分」がいれば、自信や自尊心にも繋がると思うので。また、兄弟・姉妹がいる子は色々話せる間柄だと助かるし、両親とも十分な会話ができれば安心ですよね。

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SM H.E.L.P.主催、ケリーさんのスモールステップ(その2)

イギリスでは1週間ほど前から急に天候が崩れて、雨、雨、雨の毎日。最高気温も16度くらいまで下がってしまい、肌寒い日が続いています。コロナのデルタ変異種が全国に蔓延してきていますが、ロックダウン疲れとワクチン信望から規則に従わない人も多いよう…。これからどうなってしまうのか、まったく見当がつきません。

 

激しい雨が来る前に庭のイングリッシュローズを切りました

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さて、ケリーさんのスモールステップの続きです。

ケリーさんは買い物の時だけでなく、幼稚園や自宅でのプレイデート、公園遊びなどでも同時進行でスモールステップを行ってきました。

●幼稚園でのチャレンジ(例)

娘さんは幼稚園で口をきくことができませんでしたが、友達と話したい気持ちが強かったそう。そこで以下のような作戦をたてました。特に園で緘黙状態が深刻だったので、ゆっくり時間をかけたようです。

  1. 誰が一番話しやすいかリストを作成。まず、一番話したい子と視線を合わせる
  2. 「ハイ」と書いたフラッシュカードを友だちに見せる 失敗  カードを持つことも拒否 ← 娘さんに謝罪
  3. 登園時に駐車場で友だち家族の車が来るのを待ち、車の窓から友だちに手をふる
  4. 園の待合室で、やってきた友だちに手をふる  これは長期間かかったとか

先生に慣れさせるため、入園前(夏休み)に週1で先生が話しかけてくれるビデオを見せた。また、園にスモールステップ計画と成果表を渡し、できたらステッカーを貼ってもらって進歩をチェック。

●プレイデート

  1. 先生や他の保護者に連絡して娘の状態を説明し、遊びに来てもらう(一番話したい子ひとりから)
  2. どんな会話をするか娘に事前に相談し、練習する。ゲームを利用して、どうしたら子どもに合うステップを踏んでいけるかを考える

話題:好きな動物、好きな色、やりたいゲームなど

●カードゲームでのスモールステップ例(話す言葉を多くするためのステップ)

  1.  「はい」「いいえ」をうなずきで答える
  2.  色を言う、色の種類の数を言う等
  3.  閉じた質問に答える(「はい」「いいえ」/ 数語で返答可)
  4.  開かれた質問に答える(「はい」「いいえ」/ 数語で返答不可)

●公園で年下の子と話す練習(小さい兄弟がいたので、年下の子どもにアプローチするのに慣れていた)

  1. 公園で見つけたケムシを見せる
  2. 母親もついて行って「このケムシ何色?」「蝶々になるのかしら?」など、間に入って子どもたちに話しかける。娘の不安が下がったら、話し始めるきっかけを作る
  3. 他の子どもや保護者が集まってきたら、娘の様子を見ながらコミュニケーションの機会を作っていく

みく注:うちの息子もそうでしたが、同年代の子より年下の子の方が話しやすいという緘黙児は多いよう。母親がすぐ側にいてアシストすることで、子どもの不安は随分下がります。また、相手の視線を自分ではないもの(この場合はケムシ)に集めることにより、不安を下げることが可能に。それ故、猫や犬などのペットを飼うこともお勧めです。

買い物チャレンジでも、進歩に合わせたスモールステップを。ステップ毎に子どもに合う目標を立て、慣れるまで同じステップを踏むことがコツ。

●店員に挨拶する

  1. レジに置いてある募金箱にコインを入れる
  2. レジの店員と視線を合わせる
  3. 募金箱にコインを入れる時に視線を合わせる
  4. 店員に挨拶する

●ショップで話す練習

  1. まずは周囲の人や店員の前で母親と話す ①決まった質問:「兄弟は何人?「歳はいくつ」など指で答えられるもの ②「名前は何?」など言葉で答えなくてはいけない質問   まずは車の中で練習 → 外で → 人が聞いてない店の中で → 人の近くで  → 店員の近くで
  2. レジの店員に「Brave voice の練習をしているんだけど、娘に名前を聞いてくれる?」とお願いし、チャレンジ開始  最初は口の中でモゴモゴ → 少しずつクリアに → 慣れてきたら「もう一回言ってみて?」と、慣れるまで何度も繰り返す。口の中でモゴモゴ言っているだけでも大進歩と捉え、チャレンジできたらその都度褒める。

そのうち娘さんもやりたがるようになったとか。店員に名前を言えるようになるまで1年ほどかかったそうで、工夫と忍耐と根気が必要ですね。

スモールステップの際、成功したら勇気券 (brave ticket) をわたし、チケットが何枚かたまったらご褒美。スモールステップの梯子を細かく細かく組み立てたといいます。

ケリーさんは娘さんの診断が下りてから2、年間エクスポージャー法を実践(4歳半~6歳半)。その後ミネソタ州に引っ越して転校することに。小学校では2日目にクラスメイトや先生と話すことができたとか。

ケリーさんの例を見ていても、常にチャレンジし、スモールステップを踏み続けることの大切さが解ります。スモールステップは発話だけが目的ではありません。それぞれの子どもの苦手意識を克服し、自信を持たせることが重要。まず苦手な場面(人前にでる)ことから始めて。発話が最終目的ではなく、不安や緊張を感じずに人とコミュニケーションを取れるようになることがゴールです。

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SM H.E.L.P主催者、ケリーさんのスモールステップ(その1)

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SM H.E.L.P.主催者、ケリーさんのスモールステップ(その1)

 

イギリスは晴天のいい天気が続いています。が、やはりデルタ変異種が蔓延傾向にあり、6月21日のロックダウン完全解除は4週間ほど延期となりそう…。政府はワクチン頼みですが、ワクチンだけでは予防できません!分析によるとデルタ変異種で亡くなった方43人中14人は1回以上の接種済。その中には、2回接種済みの方も複数。ファイザー社のワクチンだと1回接種で予防効果率は50%くらい、2回目で90%近くになるよう。でも、接種後2週間経たないと効果がでません。みなさんも、どうぞお気をつけて。

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Selective Mutism H.E.L.Pは米国の保護者ケリー・メルホーンさんが主催するオンラインサミット。2年目となる今年は5月中旬に開催され、専門家や緘黙体験者9名が場面緘黙や不安に関して話した他、ケリーさん自身がスモールステップ体験を語ってくれました。

ケリーさんの娘さんは現在7歳。4歳半で場面緘黙と診断され、すぐ専門家を探して治療を始めました。治療法のひとつがCBTのエクスポージャー法で、実践して学びながら娘さんのペースをつかんだよう。前回までがエクスポージャー法の話題だったので、ケリーさんのケースと照らし合わせてみました。

エクスポージャー法でスモールステップに取り組むにあたり、大切だと思われる点:

1)  子どもの不安度を人・場所・環境に分けて細かくチェック(学校の内外)

2)  その子に合うスモールステップを計画・実行する(子どもを参加させ、高学年からは主導権を握らせる)

3)  ステップ毎に克服できそうな目標を定める(無理な目標は禁物) 

4)  モチベーションや明確な目標を持たせる

5) 1回10~15分ほど、推進力を失わないため週に3回以上(『場面緘黙リソースマニ ュアル』より)

6)  不安度の低い挑戦から始め、徐々にハードルをあげていく

7)  そのつど柔軟に修正しながら、小さな成功体験を積み重ねていく

8) 実践の後には必ず振り返りをし、成功・不成功の内容を分析。反省点を次のステップに生かす

ケリーさんのスモールステップ

最初の挑戦:お店でお菓子をひとつ選び、レジカウンターまで持って行く。

結果:カウンターまで行くことができず、通路に座り込んで泣き出した

振り返り:「自分はいったい娘に何をしてしまったんだろう?!」と、驚きと困惑でいっぱいに。母娘ともに、次のチャレンジが怖くなった。

1)  子どもの不安度を人・場所・環境に分けて細かくチェック

ケリーさんは娘さんの不安度を把握しておらず、これなら簡単にできるだろうとステップを設定。ハードルが高すぎたことが判明したと同時に、子どもの緘黙の深刻さも理解することに。緘黙児はひとりひとり違うので、試行錯誤しながら模索していくしかないと思います。

でも、そんなことでは怯まなかったケリーさん。SNSで他の保護者たちに相談し、娘さんができそうな、もっと細かなステップを考案し、実践していきました。

二度目の挑戦:一緒にカートを押してレジカウンターまで行き、ケリーさんがカートから買うものを出して隣にいる娘に渡し、娘がそれをレジのコンベアベルトに置く

結果:成功

振り返り:できたけれど、娘はまだ不安な様子 → 慣れて不安がなくなるまで、数週間続ける

2)  その子に合うスモールステップを計画・実行  

~   8)  実践の後には必ず振り返りをし、成功・不成功の内容を分析。反省点を次のステップに生かす

娘さんに合う挑戦を見つけ出し、娘さんのペースに合わせてそれを繰り返しています。子どもによって不安度も進みぐあいも異なるので、とても重要なことですね。ステップ実行の前に、「どのくらい難しい?」「私が隣にいたらできそう?」と確認し、一緒に計画を立てたとか。

モチベーション:4回できたらアイスクリームがご褒美、少しずつ難しいステップへ。

4)  モチベーションや明確な目標を持たせる

4歳半の子どもなので、好きな食べ物や玩具をご褒美に。ステッカーチャートなどでも効果があります。

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<ケリーさんのスモールステップ計画全容>

① ひとりでお菓子をレジまで持っていく  失敗

② 一緒にレジに行き、ケリーさんがカートから買うものを出して隣りにいる娘に渡し、娘がそれをレジのコンベアベルトに置く  数週間繰り返し  クリア

③ 母親の隣でなく向かい側に娘を立たせ、買うものをコンベアベルトに乗せさせる(母親のほうが店員に近い位置) しばらく練習   クリア

④ 娘が店員の近くまで行って、買うものをコンベアベルトに乗せる クリア

⑤ 最終目標: 店員にクレジットカードを渡す ← ここでも更に細かな計画を立て、時間をかけた  クリア

ケリーさんの言葉:

子どもが成長していく段階ごとに、これほど幅広いエクスポージャー法があると知らなかった。また、娘のSMがどれだけ深刻なのかもやってみるまで判らなかった。

スモールステップは一回でうまくいくものではない。マラソンのように長期戦になると心得たほうが良い。子どもが慣れるまで何度も繰り返す必要も出てくる。子どもを励まし、小さいステップができたら褒めること。常にチャレンジし続けることが重要。

本当に小さなチャレンジでいいんです。週に3回くらい、買い物などのついでに親子で頑張ってみてください。不安に対する耐性を身につけるには、不安と向き合うしかないのです。

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CBTってどうやるの?(その5)

5月末から急に初夏の気候に変わり、庭のイングリッシュローズが一気に咲きそろいました。例年は1輪ずつ開く花を楽しむところ、今年は複数のつぼみが一斉に開花した感があります。

Abraham Darby、Queen of Sweden、Mary Rose とピンク系バラが先に開花

同時にピクニックシーズンが到来。やっと緑の中で寝そべったり、ピクニックランチを楽しんだりできるようになりました。

   

ロンドン南部にある鹿のいる王立公園、リッチモンドパーク

今週は学校のハーフターム休み(1週間)だったので、久しぶりに泊りがけで旅行を楽しんだ家族も多かったよう。でも、その間あっという間に変異種デルタのコロナ感染が広がり、6月21日のロックダウン完全解除は無理そう…。ワクチンだけに頼らず、感染予防をしっかり強化して安全第一でいってほしいです。

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さて、自己流CBTの続きです。

5) 定期的にコツコツ成功体験を積み重ねる

『場面緘黙リソースマニュアル』では、推進力を失わないよう1回10~15分ほど、週に3回以上のスモールステップ実施を勧めています。というのも、時間が空くと抑え込んだはずの「恐怖」や「不安」が頭をもたげ、以前の状態に逆戻りしてしまう傾向が強いから。

「なーんだ。それほど怖くなかった」「できた」を繰り返し実感することで、だんだん自信がついて、次の段階に進むことができるのです。同時に自己肯定感も育っていきます。

6)  不安度の低い挑戦から始める

ステップは不安度の低い挑戦から始め、徐々にハードルをあげていくのが基本。いきなり高不安度のステップに挑戦したら、できてしまったという子もいるかもしれません。でも、失敗してショックを受けると自信を失い、次に挑戦するのが怖くなってしまいます。

でも、同じ挑戦の繰り返しではなく、少しずつハードルを高くしていくことが求められます。毎回少し不安だけれど、可能なステップを計画すること。

次のハードルに進むのか、それとももう少し同じ挑戦を繰り返して自信をつけるのか、子どもを良く見て柔軟に判断して。

7)  そのつど柔軟に修正を加える

スモールステップの意義は、小さな成功体験を積み重ねて自信をつけていくこと。だから、「できたね」と声を出して褒めたり、「あとちょっとだよ」と励ますことも忘れずに。

子どもが自分で進歩を確認できるようチャートを作成するのも一案です。毎回、子どもが「できた」「次はできるかも」と肯定感をもって終われるようにできればベスト。

失敗した時は、大体はハードルが高すぎることが多いのです。人・場所・環境や子どもの特性をチェックしなおし、子どもと相談しながら、さらに細かいステップに組みなおす必要があります。

なお、もっと挑戦したいという意欲が高い時は、ハードルを少し高めに設定しても大丈夫かも。でも急がせるのは禁物、子どものペースに合わせて。

8) 実践の後には必ず振り返りをする

実践した後は、振り返って成功・不成功の内容を分析しましょう。成功の理由を確認したり、反省点を次のステップに生かしたりすることができます。

緘黙児は繊細で敏感な子が多いので、親や伴走者の失望を鋭く感じ取ります。失敗も前向きに捉え、次からのステップのヒントに。子どもが安心できるよう、声掛けを忘れないようにしましょう。

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CBTってどうやるの?(その1)

もう4月も終わりですね。イギリスでは全国民の半数以上が1回目のワクチン接種を終えました。その成果なのか、毎日の感染者数はまだ1,700~3,000人の間を行ったり来たりしていますが、死者数と入院患者数が劇的に減少。このままいけば、5月17日からレストランやパブ店内での食事が可能となる予定です。

森の新緑が美しい季節。あちこちに野生の白い花が咲き乱れています

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緘黙治療にはCBT(認知行動療法)のエクスポージャー法を使ったスモールステップが効果的と言われます。そうきくと、CBTセラピストを探さなくてはならないと思いがち。でも、イギリスで緘黙治療を担うのは殆どの場合SLT(言語療法士)で、CBTセラピストではないのです。心理士を受診する緘黙児もいますが、多くはありません(ASD児を除く)。

SLTが緘黙治療の手引書として活用しているのが、イギリスの緘黙治療第一人者といわれるSLT、マギー・ジョンソンさんとアリソン・ウィンジェンズさんが共著した『場面緘黙リソース・マニュアル』。SLTやプロの支援を得られなくても、このマニュアルを片手に奮闘している保護者は大勢います。

マギーさんは場面緘黙を恐怖症と捉え、主にエクスポージャー法を用いて緘黙を克服する方法を段階的に詳しく解説。多くの臨床体験を基にしているので、躓いた時の対処法なども万全に整っています。

今回どうしてこの話題をあげたかというと、自分でも自己流エクスポージャー法をすることが多いから。ごく最近も、スモールステップで新しい車を運転する不安を乗り越えました。それを例にあげて自己流CBTのやり方を説明したいと思います。

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私は車の運転が苦手で、普段は知ってる道しか運転しないご近所ドライバーです。猛スピードでやってくる大型車に追い越されるのが恐怖で、恥ずかしながら高速には数回しか乗ったことがありません…。

わが家の愛車は2004年に駐在員の友達から譲り受けた、ホンダHR-V (;^_^A なんと今年で21歳なのですが、これまで故障らしい故障はなし。ガレージのトニーさんに「エンジンはまだまだ健在。買い替える必要ないよ!」と太鼓判を押され、乗り続けてきました。

が、今年の秋ロンドンの法律が変わるため、ついに買い替えることに。

先のイースター休暇中に新しい車(といっても2017年式の中古ですが)を購入。またホンダのオートマだし、すぐ乗れると思っていました。

が、私たちが古い車に乗り続けている間に、時代は大きく変わっていた!

  • まず、キーがない!
  • アクセルとブレーキの感度が前の車と全く異なる
  • アイドリングストップ機能つき
  • ウィンカーはハンドルの左側(前のは日本産で右側)
  • 計器のデザインが進化して、機能が倍増

主人は難なく慣れましたが(普通そうですよね。じゃないとレンタカーに乗れないし)、私は全く運転できる気がせず…。

でも、休み明けには車で通勤せねばなりません。

1) ひとりで乗るのがまず怖いので、呆れる主人に付き添ってもらい、夕方人のいない近所の駐車場へ。そこで初めて運転してみたのですが、まずアクセルとブレーキの感覚の違いに戸惑うことしきり。

うう~ん、アクセルの加速が遅い!でも、ブレーキはめっちゃ鋭敏!

主人に怒られながら練習しているうちに、ライトが自動で点いてまたびっくり(;^_^A

「じゃあ、帰りは自分で運転して」と言われ、こわごわ道路へ。大通りに出るところで素早く加速できず、後続車にクラクションを鳴らされるという…。

再び主人に注意され、「ここで怒られると自信を失うのに!」と内心凹みながら、なんとか無事に帰宅。でも、駐車するのに何度も切り返して、我ながらドンくさい。

2) 翌日、夕方ひとりで駐車場へ。足の位置に違和感があったので、運転席の位置をさらに前に移動させました。ひょえ~フロントに近い!でも、これでやっとアクセルを踏む感覚が足にしっくりきました。

安定感がでてきたので、思い切って駐車場を出て近所をぐるぐる。エンジンが止まる度にドキドキしたものの、これで「何とか大丈夫そう」と思えるようになりました。

3) その翌日、勇気を出して家から10分ほどの友達宅へ。駐車もスムーズになり、この時点で「来週、学校まで運転できそう」という気持ちに。

4) その翌日、20分くらいのところにある巨大スーパーへ。これで、やっと自信がついたのでした。

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不安を乗り越えるため、最終的には4回に分けてスモールステップを踏みました。不安や恐怖、苦手意識に立ち向かいながら、少しずつ自信をつけていくスモールステップ法は、場面緘黙の克服と同じです。

ちょっと長くなってしまったので、目標の定め方、実行する時の注意点などを次回に書きたいと思います。

緘黙児と歯医者

イギリスは今週金曜日から4日間のイースター(復活祭)連休に入りました。日曜日の今日はキリストが復活した日とされ、ローストランチを食べるのが習慣。再生を意味する卵型のチョコレートも定番で、子どもがいる家では、絵を描いたり、彩色したゆで卵をぶつけあって遊びます。

規制が緩み、好天にも恵まれて、半年ぶり?に友達を招いて庭でランチ

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さて、今日は医者についての話題です。うちの息子はアレルギー体質はあるものの、体はかなり丈夫な方。小さい頃から殆ど病気をしたことがなく、あまり医者に行くこともありませんでした。が、歯医者さんだけは頻繁に通っていたのです。

というのも、奥歯2本のエナメル質の形成が悪く、3歳の頃から歯医者にかかっていました(最初は虫歯と思って焦ったのですが、妊娠中のカルシウム不足?)。担当のP先生は優しくて子ども好きの男性。4歳半で緘黙を発症する前は、口数は少ないものの普通に会話ができていたのです。

息子が緘黙になってしばらくしてから、定期健診に行くことに。P先生のクリニックは車で20分程度の場所に移転し、新しい住所を訪ねたのは初めてのことでした。

心配ではあったのですが、学校じゃないし慣れている先生なので話せるかもと少し期待していました。が、全くの無言の上、頑なに口を開けようとしないのです!

子ども好きな先生は、「知らない場所だから緊張したのかな?今日は診察は無理そうだから、また2週間後に来てください。しかし、こんなこと開業以来初めてだなあ…」と。

この時、無理やりに口を開けさせていたら、きっと恐怖体験になって歯医者が嫌いになっていたことでしょう。この時のP先生の神対応に感謝、感謝。

2週間後に再訪すると、息子はまた口を開けず、私に目と表情で「いや!」と訴えかけてきました。

どうも、歯科医とアシスタントの視線が自分に集中するのが耐えられない?

とっさのひらめきで、私は息子の顔にハンカチを被せ、「ほら、もう先生から隠れることができたから、恥ずかしくないよ~。大丈夫だよ~」と日本語で話しかけました。視線を遮断することで、「見られている」という意識を変えられるかなと思ったのです(今考えると、変な親子ですよね…(;^_^A)

すると、息子は安心したのか、すぐ口を開きました。その後、P先生は診察や治療の前にサングラスを貸してくれるように。診察拒否はなくなり、自分から進んで口を開け、声は出せなくても頷きで意思表示するようになりました。

多分、歯科医やアシスタントの視線の他に、頭上のライトがまぶしかったり、恐かったり、ということもあったかと思います。

サングラスは自分と外界との間の遮断壁の役割を果たすので、病院やクリニックなどでも使えるかもしれません。サングラスでなくても、度の入ってないメガネでもいいかも。ものは試し、困ったらやってみてください。

4歳半で緘黙になってから、歯医者でも「しゃべらない子」と認識されてしまった訳ですが、無言のままだった時期は1年位だったでしょうか。学校での進歩にあわせるように、ポツンポツンと言葉が出始めました。

6歳の誕生日を迎えた頃から、受付の女性がいる待合室で私と普通に話すようになり、翌年春には診察室で突然私に話し始めたのです。

「これはチャンス」と感じた私(とP先生も?)が、話をさせようとしむけたら、また口をつぐんでしまい、「しまった~!」と反省…。やっぱり焦ることなく子どもの様子を見ながら、少しずつ少しずつが原則ですね。

結果的には、7歳を過ぎたころからポツポツ返事をするようになりました。が、ずっと「照れ」があり、寡黙なのは変わらず…。その後、クリニックは家から5分のところに移転し、息子は5年生になってひとりで歯科医に行けるようになりました。多分、それなりに話せるようになったんだと思います。

ちなみに、息子が歯科医に通っていたのは、エナメル質がない奥歯のフッ素塗布と歯の健康状態を調べる定期検査のみ。20歳になった現在まで、一度も虫歯になったことがないんです。

チョコレートが大好きだった私は小さな頃から虫歯で歯医者に通い、怖い先生によく叱られたものです。が、同じおやつを食べている兄はあまり虫歯になりませんでした。きっと歯の質も生まれつきのものがあるんでしょうね。

  

歯には良くないけれど、チョコレートが冬のロックダウンを乗り切る助けになりました

 

子どもの自己評価低下を防ぐ

イギリスでは天気の悪い日々が続いています。どんより曇り空の下、雨・晴れ間のインターバルで一日にくるくる変わる天気。おまけに、午後4時頃にはもう日が暮れてしまいます。

気が滅入ってしまうような時期に、コロナ感染再爆発で2回目の全国的なロックダウン。人々のメンタルヘルスに影響しそうです。クリスマスは家族・親族と祝えるようにと政府は謳ってますが、人が移動すれば、また感染が拡大してしまう訳で…。

 

   一日にくるくる変わる天気。どんより曇り空が基本なので、晴れ間を見てウォーキングや散歩をしています

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うちは庭無しのフラット(アパート)が手狭になったため、息子が3歳になる前に現在の小さな庭付きの家に引っ越しました。前よりももっと郊外で、子育て中の家族が多く住む(今も)地区です。

赤ちゃん時代の友達とは交流を続けたかったのですが、時間が経つにつれて疎遠に…。でも、その中でひとつ年下の男の子とそのママとの交流はいまだ続いています。(息子たちが最後に会ったのは、2年前だったかな?その後も、彼のママが息子のバンドのライブに来てくれて大感激)。

また、違う幼稚園・小学校に行った日本人の友達とも、2005年頃に彼が帰国するまで家族ぐるみでお付き合いしていました。

学校で話せない緘黙児にとって、話せる同世代の子がいるのはすごく貴重だと思います。学校でしゃべれない自分の姿を知らない(と思い込んでいる)ためか、久しぶりにあってもそれまで通り話せていました。

話せないことで、緘黙児はどうしても同世代の子ども達と社会的な経験を積む機会が少なくなってしまいます。グループに入っていても、気兼ねなくおしゃべりする友達を見て「どうして自分だけ」と引け目を感じたり、意思表示できなかったり…。フラストレーションが溜まるのも無理はありません。

昔の友達でも、少し年が離れた親戚やいとこでも、習い事関連の知り合いでもいい、学校外で安心して話せる機会・人・場所があれば随分違うと思います。

「普通に話すことのできる自分」がいると感じることで、自己評価の低下を避けられるかもしれません。ひとりっ子ならなおさらです。

コロナ禍が続く中、社交の場がどんどん狭まってしまっていますが…。兄弟姉妹がいる子は、毎日家でのびのび会話したり、外で楽しく遊んだりできるといいですよね。

また、声を出しやすい場所、例えば近所のコンビニやスーパー、スポーツや習い事の場、公園、ファミレスなど、楽しみな(何か買ってもらえる・習える・食べられる・遊べる)場があるといいなと。

これもコロナ禍で難しくなっていますが、家以外で話せる場所があるのも自己評価の低下防止に繋がるかも。ちなみに、息子の場合は大型スーパーやIKEAなどでは(知り合いに会う確率が少ないと信じていたためか)普通に声を出せてました。

それから、何でもいい、熱中できることや趣味があればいいなと思います。緘黙ではありませんが、知り合いの14歳の息子さんがOCD(強迫性障害)を患い、一時不登校になってしまいました。そんな彼を救ったのがインターネットゲーム。彼の母親は時間を制限しながら息子を応援し、競技会に参加できるようサポートしました。

家から一歩も出られず鬱気味だったのですが、少しずつ気力と自信を取り戻したよう。秋に学校が再開した時には、再び登校できるようになりました。1回目のロックダウンで学校閉鎖したため、不登校が目立たずに済んだのも幸いしたかも。

好きなことがある、没頭できることがあるって凄い、と再び実感した次第です。漫画やPCゲームも馬鹿にできません。そういえば、息子が12の歳ころMinecraftのホストをしていて、赤ちゃん時代の友達とその友達や、違う中学に行ったクラスメイトと一緒に遊んでました。オンライン上でも同世代との交流ができますね。

子どもでなくても、自己評価が下がってしまうと「自分なんかダメ」と思いがち。「何か新しいことをしよう」という意欲がなくなってしまいます。子どものやりたいことや趣味を応援し、さりげなく褒めて自己評価をあげられるといいと思います。

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声を出す練習を!

同年代の友達の重要性

代弁しないで

すでに7月も5日となり、2020年も折り返し地点を過ぎてしまいました。これから夏休みがやってきますが、そのあと一体どうなってしまうのか?新型コロナ感染の第二波が来るのか、それとも抑制できるのか、全く予測がつきません。

イギリスでは先週からやっと毎日の感染者が1000人を切るようになり、死者数も減ってきました。が、土曜日からパブやレストラン、美容室、ホテル業界などが再オープンし、保つべき社会的距離も2mから1m+αに収縮。でも、みなさん1mの距離も保てていないような…。

     再開した土曜日のウォーキング中に見かけた紫陽花屋敷(?)。イギリスは土壌がアルカリ性のためかピンクの紫陽花が多いのですが、ここは青からピンクのグラデーションがお見事!

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子どもと一緒に買い物に行くと、店員さんが子どもに話しかけてくることが多いかと思います。子どものものを選んでいる時は、特に。幼稚園くらいの子どもは可愛いので、つい声をかけたくなる気持ちも解ります。

「何年生?」「どこの幼稚園に行ってるの?」「どんな色が好き?」などと問いかけられて、固まってしまう我が子…。

そんな光景を見て、緘黙児の母はすかさず代わりに返事をしてしまいがち。聞かれてもいないのに、「うちの子は恥ずかしがり屋で」と言い訳してしまうことも多くないですか?

我が子が話せなくて困っているのを見ると、いてもたってもいられなくなりますよね…。

子どもに気まずい思いや、辛い思いをさせたくない。また、自分も恥ずかしい思いをしたくないという気持ちがあるかもしれません。

でも、子どもの代わりに答える習慣を作ってしまうと、子どももそれに慣れてしまい、親が答えるのが当たり前になってしまいます。

それが緘黙の維持要因になっているとしたら?

子どもが第三者とコミュニケーションを取る機会を奪っているとしたら?

マギーさんは、親が子どもの代弁をせず、子ども自身に答えるチャンスを与えるよう提案しています。

まず5秒待って答えられない時は、自分が子どもと向き合い、より簡単な質問になおして同じことを聞いてみましょう。

「ピンクが好きよね?」

声が出せなくてもいいんです。子どもがうなずいたらYesのサイン、首を横に振ったらNoのサイン。自分で意思表示をすることが大切なのです。

親の質問に対して5秒待っても反応がなかったら、店員さんには「ちょっと待って」と声をかけ、子どもをわきに連れていって、もう一度質問してみましょう。

それでも反応がなければ、話題を変えましょう。店員さんは子どもと話したい訳ではないので、別に気にしません。「じゃあ、違う色も見せてください」「〇〇はありますか?」など本題に戻ればいいのです。

母親の心配そうな様子や戸惑う様子は、子どもに不安を与えます。感じやすい子が多いので、その場の空気を肌で感じてしまいます。堂々として微笑んで。

子どもに答えるチャンスを与え、サポートしてあげてください。

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緘黙と恐怖症

どうして場面緘黙になるの?

10代で発症する場面緘黙

買い物作戦

前の記事を書いてから、既に10日以上経ってしまいました…先月の中旬頃から、毎日毎日インターネットで新型コロナのニュースとにらめっこ。場面緘黙関係の大きな仕事がコロナのせいで延期となり、本当にガッカリしています。

それに追い打ちをかけるように、今イギリスの感染者がどんどん増えていて、学校が閉鎖になるのではと不安でたまりません。受け持っている日本語の生徒さん、5月の国家試験はどうなってしまうのか…。

心配しても仕方がないとはいえ、ニュースを見れば新型コロナのことばかり…。買い物にいけば空っぽの棚が嫌でも目に入るし、どこかに出かけよう、友達に会おうという気持ちにもなれず。世界中に不安が広がる中、人々の心が疲弊して元気を失ってしまわないことを祈りたいです。

  

 時は春。そこかしこで球根花や樹木の花々が春の到来を告げています。公園や地区のグリーンに群生するラッパ水仙の黄色に元気をもらいましょう。

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私は学校の外でできるスモールステップの取り組みのひとつとして、買い物作戦を実践していました(『息子の緘黙・幼児期5~6歳(その5)学校外でのスモールステップ』をご参照ください)。

大型スーパーや息子の欲しいものがある玩具屋/ 文具店などでチャレンジ。注意する点は、

  • まずは学校から離れたお店で
  • 子どもがスモールステップにチャレンジできる心理状態であること

まず大型スーパーから始め、慣れてきたら小規模なショップに移行しました。大型スーパーと小規模なショップを比較すると、

大型スーパー

  • 人が多く、周囲がガヤガヤしているので、声を出しても聞かれない安心感がある
  • 知らない人ばかりのうえ、話しかけられる心配もないので、気持ちが楽
  • レジは流れ作業風なので、注目されない
  • 支払いの際、声を出さなくてもOK

小規模なショップ

  • 周囲に人が少なく、店員と顔を見合わせるシチュエーションが多い
  • 「ありがとう」など、言葉を交わす必要性が高い

大型スーパーでは、

1.   チョコなど好きなお菓子をひとつ買って、レジに持っていく

2. レジで会釈する(その際に、私が「ありがとう」をいい、一緒に会釈)

3.   私と一緒に、小さい声で「ありがとう」を言う

4. ひとりで「ありがとう」を言う

1.から4.への移行に少し時間がかかりましたが、小1(6歳になる前)の2学期ごろに声は小さいものの、クリアできたと記憶しています。

小規模なショップでは、最初にレジでお金を払うだけでも躊躇。やはり店員に見られているという自意識から、緊張が強かったようです。

ただ、小2にあがった頃からTVで『ドクターフー』が始まって大ヒット。息子も毎週楽しみに観ていて、学校ではその話でもちきりに。男子の間でドクターフー・カード集めや交換が大流行したのです。

そのためか、自分から「カード買ってもいい?」と聞くように。レジに持っていって会釈できるようになった後、「ありがとうって言えたら買ってあげる」とハードルを上げてみました。すると、割とすぐにできるようになったのです。

カードが「欲しい」という気持ちが、「怖い」に勝ったんでしょうね(^^;)  買収じゃないけれど、様子を見てできそうだったら、時には背中をぐっと押してみてもいいと思います。ただし、無理強いは禁物。

いつも子どもの近くにいる母親だからこそ、子どもがチェレンジする気持ちになれるかどうか、微妙なニュアンスを察知することができるような気がします。

息子の場合は、「やってみる?」という問いに「嫌」と答えても、絶対拒絶の「嫌」ではないのです。最初は「嫌」と言っても、私が促すと「しょうがないな」という感じで同意。できた時はちょっと得意そうで、徐々に自信をつけていくことができたよう。

そのうちに、「ありがとう言うから、カード買ってもいい?」と自分から訊くようになり、ステップアップをゲーム感覚で楽しんでいるようでした。それだけ自信がついたんでしょうね。

子どもの様子をよ~く観察して、性格やリアクションを考慮したうえで、次のステップを決めることが大切だと思います。

スモールステップの取り組みで注意すべきは、常に少しだけ高いステップに挑戦すること。そして、継続して行うことです。抑制的な緘黙児は、しばらくやらないと元の状態に戻ってしまうことが多いので要注意。

取り組みに慣れてくると、子ども自身が次のステップを自分で考えて、実行できるようになっていきます。そうなったら、克服への道はあと少し。