CBTってどうやるの?(その1)

もう4月も終わりですね。イギリスでは全国民の半数以上が1回目のワクチン接種を終えました。その成果なのか、毎日の感染者数はまだ1,700~3,000人の間を行ったり来たりしていますが、死者数と入院患者数が劇的に減少。このままいけば、5月17日からレストランやパブ店内での食事が可能となる予定です。

森の新緑が美しい季節。あちこちに野生の白い花が咲き乱れています

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緘黙治療にはCBT(認知行動療法)のエクスポージャー法を使ったスモールステップが効果的と言われます。そうきくと、CBTセラピストを探さなくてはならないと思いがち。でも、イギリスで緘黙治療を担うのは殆どの場合SLT(言語療法士)で、CBTセラピストではないのです。心理士を受診する緘黙児もいますが、多くはありません(ASD児を除く)。

SLTが緘黙治療の手引書として活用しているのが、イギリスの緘黙治療第一人者といわれるSLT、マギー・ジョンソンさんとアリソン・ウィンジェンズさんが共著した『場面緘黙リソース・マニュアル』。SLTやプロの支援を得られなくても、このマニュアルを片手に奮闘している保護者は大勢います。

マギーさんは場面緘黙を恐怖症と捉え、主にエクスポージャー法を用いて緘黙を克服する方法を段階的に詳しく解説。多くの臨床体験を基にしているので、躓いた時の対処法なども万全に整っています。

今回どうしてこの話題をあげたかというと、自分でも自己流エクスポージャー法をすることが多いから。ごく最近も、スモールステップで新しい車を運転する不安を乗り越えました。それを例にあげて自己流CBTのやり方を説明したいと思います。

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私は車の運転が苦手で、普段は知ってる道しか運転しないご近所ドライバーです。猛スピードでやってくる大型車に追い越されるのが恐怖で、恥ずかしながら高速には数回しか乗ったことがありません…。

わが家の愛車は2004年に駐在員の友達から譲り受けた、ホンダHR-V (;^_^A なんと今年で21歳なのですが、これまで故障らしい故障はなし。ガレージのトニーさんに「エンジンはまだまだ健在。買い替える必要ないよ!」と太鼓判を押され、乗り続けてきました。

が、今年の秋ロンドンの法律が変わるため、ついに買い替えることに。

先のイースター休暇中に新しい車(といっても2017年式の中古ですが)を購入。またホンダのオートマだし、すぐ乗れると思っていました。

が、私たちが古い車に乗り続けている間に、時代は大きく変わっていた!

  • まず、キーがない!
  • アクセルとブレーキの感度が前の車と全く異なる
  • アイドリングストップ機能つき
  • ウィンカーはハンドルの左側(前のは日本産で右側)
  • 計器のデザインが進化して、機能が倍増

主人は難なく慣れましたが(普通そうですよね。じゃないとレンタカーに乗れないし)、私は全く運転できる気がせず…。

でも、休み明けには車で通勤せねばなりません。

1) ひとりで乗るのがまず怖いので、呆れる主人に付き添ってもらい、夕方人のいない近所の駐車場へ。そこで初めて運転してみたのですが、まずアクセルとブレーキの感覚の違いに戸惑うことしきり。

うう~ん、アクセルの加速が遅い!でも、ブレーキはめっちゃ鋭敏!

主人に怒られながら練習しているうちに、ライトが自動で点いてまたびっくり(;^_^A

「じゃあ、帰りは自分で運転して」と言われ、こわごわ道路へ。大通りに出るところで素早く加速できず、後続車にクラクションを鳴らされるという…。

再び主人に注意され、「ここで怒られると自信を失うのに!」と内心凹みながら、なんとか無事に帰宅。でも、駐車するのに何度も切り返して、我ながらドンくさい。

2) 翌日、夕方ひとりで駐車場へ。足の位置に違和感があったので、運転席の位置をさらに前に移動させました。ひょえ~フロントに近い!でも、これでやっとアクセルを踏む感覚が足にしっくりきました。

安定感がでてきたので、思い切って駐車場を出て近所をぐるぐる。エンジンが止まる度にドキドキしたものの、これで「何とか大丈夫そう」と思えるようになりました。

3) その翌日、勇気を出して家から10分ほどの友達宅へ。駐車もスムーズになり、この時点で「来週、学校まで運転できそう」という気持ちに。

4) その翌日、20分くらいのところにある巨大スーパーへ。これで、やっと自信がついたのでした。

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不安を乗り越えるため、最終的には4回に分けてスモールステップを踏みました。不安や恐怖、苦手意識に立ち向かいながら、少しずつ自信をつけていくスモールステップ法は、場面緘黙の克服と同じです。

ちょっと長くなってしまったので、目標の定め方、実行する時の注意点などを次回に書きたいと思います。

緘黙児と歯医者

イギリスは今週金曜日から4日間のイースター(復活祭)連休に入りました。日曜日の今日はキリストが復活した日とされ、ローストランチを食べるのが習慣。再生を意味する卵型のチョコレートも定番で、子どもがいる家では、絵を描いたり、彩色したゆで卵をぶつけあって遊びます。

規制が緩み、好天にも恵まれて、半年ぶり?に友達を招いて庭でランチ

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さて、今日は医者についての話題です。うちの息子はアレルギー体質はあるものの、体はかなり丈夫な方。小さい頃から殆ど病気をしたことがなく、あまり医者に行くこともありませんでした。が、歯医者さんだけは頻繁に通っていたのです。

というのも、奥歯2本のエナメル質の形成が悪く、3歳の頃から歯医者にかかっていました(最初は虫歯と思って焦ったのですが、妊娠中のカルシウム不足?)。担当のP先生は優しくて子ども好きの男性。4歳半で緘黙を発症する前は、口数は少ないものの普通に会話ができていたのです。

息子が緘黙になってしばらくしてから、定期健診に行くことに。P先生のクリニックは車で20分程度の場所に移転し、新しい住所を訪ねたのは初めてのことでした。

心配ではあったのですが、学校じゃないし慣れている先生なので話せるかもと少し期待していました。が、全くの無言の上、頑なに口を開けようとしないのです!

子ども好きな先生は、「知らない場所だから緊張したのかな?今日は診察は無理そうだから、また2週間後に来てください。しかし、こんなこと開業以来初めてだなあ…」と。

この時、無理やりに口を開けさせていたら、きっと恐怖体験になって歯医者が嫌いになっていたことでしょう。この時のP先生の神対応に感謝、感謝。

2週間後に再訪すると、息子はまた口を開けず、私に目と表情で「いや!」と訴えかけてきました。

どうも、歯科医とアシスタントの視線が自分に集中するのが耐えられない?

とっさのひらめきで、私は息子の顔にハンカチを被せ、「ほら、もう先生から隠れることができたから、恥ずかしくないよ~。大丈夫だよ~」と日本語で話しかけました。視線を遮断することで、「見られている」という意識を変えられるかなと思ったのです(今考えると、変な親子ですよね…(;^_^A)

すると、息子は安心したのか、すぐ口を開きました。その後、P先生は診察や治療の前にサングラスを貸してくれるように。診察拒否はなくなり、自分から進んで口を開け、声は出せなくても頷きで意思表示するようになりました。

多分、歯科医やアシスタントの視線の他に、頭上のライトがまぶしかったり、恐かったり、ということもあったかと思います。

サングラスは自分と外界との間の遮断壁の役割を果たすので、病院やクリニックなどでも使えるかもしれません。サングラスでなくても、度の入ってないメガネでもいいかも。ものは試し、困ったらやってみてください。

4歳半で緘黙になってから、歯医者でも「しゃべらない子」と認識されてしまった訳ですが、無言のままだった時期は1年位だったでしょうか。学校での進歩にあわせるように、ポツンポツンと言葉が出始めました。

6歳の誕生日を迎えた頃から、受付の女性がいる待合室で私と普通に話すようになり、翌年春には診察室で突然私に話し始めたのです。

「これはチャンス」と感じた私(とP先生も?)が、話をさせようとしむけたら、また口をつぐんでしまい、「しまった~!」と反省…。やっぱり焦ることなく子どもの様子を見ながら、少しずつ少しずつが原則ですね。

結果的には、7歳を過ぎたころからポツポツ返事をするようになりました。が、ずっと「照れ」があり、寡黙なのは変わらず…。その後、クリニックは家から5分のところに移転し、息子は5年生になってひとりで歯科医に行けるようになりました。多分、それなりに話せるようになったんだと思います。

ちなみに、息子が歯科医に通っていたのは、エナメル質がない奥歯のフッ素塗布と歯の健康状態を調べる定期検査のみ。20歳になった現在まで、一度も虫歯になったことがないんです。

チョコレートが大好きだった私は小さな頃から虫歯で歯医者に通い、怖い先生によく叱られたものです。が、同じおやつを食べている兄はあまり虫歯になりませんでした。きっと歯の質も生まれつきのものがあるんでしょうね。

  

歯には良くないけれど、チョコレートが冬のロックダウンを乗り切る助けになりました

 

子どもの自己評価低下を防ぐ

イギリスでは天気の悪い日々が続いています。どんより曇り空の下、雨・晴れ間のインターバルで一日にくるくる変わる天気。おまけに、午後4時頃にはもう日が暮れてしまいます。

気が滅入ってしまうような時期に、コロナ感染再爆発で2回目の全国的なロックダウン。人々のメンタルヘルスに影響しそうです。クリスマスは家族・親族と祝えるようにと政府は謳ってますが、人が移動すれば、また感染が拡大してしまう訳で…。

 

   一日にくるくる変わる天気。どんより曇り空が基本なので、晴れ間を見てウォーキングや散歩をしています

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うちは庭無しのフラット(アパート)が手狭になったため、息子が3歳になる前に現在の小さな庭付きの家に引っ越しました。前よりももっと郊外で、子育て中の家族が多く住む(今も)地区です。

赤ちゃん時代の友達とは交流を続けたかったのですが、時間が経つにつれて疎遠に…。でも、その中でひとつ年下の男の子とそのママとの交流はいまだ続いています。(息子たちが最後に会ったのは、2年前だったかな?その後も、彼のママが息子のバンドのライブに来てくれて大感激)。

また、違う幼稚園・小学校に行った日本人の友達とも、2005年頃に彼が帰国するまで家族ぐるみでお付き合いしていました。

学校で話せない緘黙児にとって、話せる同世代の子がいるのはすごく貴重だと思います。学校でしゃべれない自分の姿を知らない(と思い込んでいる)ためか、久しぶりにあってもそれまで通り話せていました。

話せないことで、緘黙児はどうしても同世代の子ども達と社会的な経験を積む機会が少なくなってしまいます。グループに入っていても、気兼ねなくおしゃべりする友達を見て「どうして自分だけ」と引け目を感じたり、意思表示できなかったり…。フラストレーションが溜まるのも無理はありません。

昔の友達でも、少し年が離れた親戚やいとこでも、習い事関連の知り合いでもいい、学校外で安心して話せる機会・人・場所があれば随分違うと思います。

「普通に話すことのできる自分」がいると感じることで、自己評価の低下を避けられるかもしれません。ひとりっ子ならなおさらです。

コロナ禍が続く中、社交の場がどんどん狭まってしまっていますが…。兄弟姉妹がいる子は、毎日家でのびのび会話したり、外で楽しく遊んだりできるといいですよね。

また、声を出しやすい場所、例えば近所のコンビニやスーパー、スポーツや習い事の場、公園、ファミレスなど、楽しみな(何か買ってもらえる・習える・食べられる・遊べる)場があるといいなと。

これもコロナ禍で難しくなっていますが、家以外で話せる場所があるのも自己評価の低下防止に繋がるかも。ちなみに、息子の場合は大型スーパーやIKEAなどでは(知り合いに会う確率が少ないと信じていたためか)普通に声を出せてました。

それから、何でもいい、熱中できることや趣味があればいいなと思います。緘黙ではありませんが、知り合いの14歳の息子さんがOCD(強迫性障害)を患い、一時不登校になってしまいました。そんな彼を救ったのがインターネットゲーム。彼の母親は時間を制限しながら息子を応援し、競技会に参加できるようサポートしました。

家から一歩も出られず鬱気味だったのですが、少しずつ気力と自信を取り戻したよう。秋に学校が再開した時には、再び登校できるようになりました。1回目のロックダウンで学校閉鎖したため、不登校が目立たずに済んだのも幸いしたかも。

好きなことがある、没頭できることがあるって凄い、と再び実感した次第です。漫画やPCゲームも馬鹿にできません。そういえば、息子が12の歳ころMinecraftのホストをしていて、赤ちゃん時代の友達とその友達や、違う中学に行ったクラスメイトと一緒に遊んでました。オンライン上でも同世代との交流ができますね。

子どもでなくても、自己評価が下がってしまうと「自分なんかダメ」と思いがち。「何か新しいことをしよう」という意欲がなくなってしまいます。子どものやりたいことや趣味を応援し、さりげなく褒めて自己評価をあげられるといいと思います。

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買い物作戦

プレイデート作戦

声を出す練習を!

同年代の友達の重要性

代弁しないで

すでに7月も5日となり、2020年も折り返し地点を過ぎてしまいました。これから夏休みがやってきますが、そのあと一体どうなってしまうのか?新型コロナ感染の第二波が来るのか、それとも抑制できるのか、全く予測がつきません。

イギリスでは先週からやっと毎日の感染者が1000人を切るようになり、死者数も減ってきました。が、土曜日からパブやレストラン、美容室、ホテル業界などが再オープンし、保つべき社会的距離も2mから1m+αに収縮。でも、みなさん1mの距離も保てていないような…。

     再開した土曜日のウォーキング中に見かけた紫陽花屋敷(?)。イギリスは土壌がアルカリ性のためかピンクの紫陽花が多いのですが、ここは青からピンクのグラデーションがお見事!

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子どもと一緒に買い物に行くと、店員さんが子どもに話しかけてくることが多いかと思います。子どものものを選んでいる時は、特に。幼稚園くらいの子どもは可愛いので、つい声をかけたくなる気持ちも解ります。

「何年生?」「どこの幼稚園に行ってるの?」「どんな色が好き?」などと問いかけられて、固まってしまう我が子…。

そんな光景を見て、緘黙児の母はすかさず代わりに返事をしてしまいがち。聞かれてもいないのに、「うちの子は恥ずかしがり屋で」と言い訳してしまうことも多くないですか?

我が子が話せなくて困っているのを見ると、いてもたってもいられなくなりますよね…。

子どもに気まずい思いや、辛い思いをさせたくない。また、自分も恥ずかしい思いをしたくないという気持ちがあるかもしれません。

でも、子どもの代わりに答える習慣を作ってしまうと、子どももそれに慣れてしまい、親が答えるのが当たり前になってしまいます。

それが緘黙の維持要因になっているとしたら?

子どもが第三者とコミュニケーションを取る機会を奪っているとしたら?

マギーさんは、親が子どもの代弁をせず、子ども自身に答えるチャンスを与えるよう提案しています。

まず5秒待って答えられない時は、自分が子どもと向き合い、より簡単な質問になおして同じことを聞いてみましょう。

「ピンクが好きよね?」

声が出せなくてもいいんです。子どもがうなずいたらYesのサイン、首を横に振ったらNoのサイン。自分で意思表示をすることが大切なのです。

親の質問に対して5秒待っても反応がなかったら、店員さんには「ちょっと待って」と声をかけ、子どもをわきに連れていって、もう一度質問してみましょう。

それでも反応がなければ、話題を変えましょう。店員さんは子どもと話したい訳ではないので、別に気にしません。「じゃあ、違う色も見せてください」「〇〇はありますか?」など本題に戻ればいいのです。

母親の心配そうな様子や戸惑う様子は、子どもに不安を与えます。感じやすい子が多いので、その場の空気を肌で感じてしまいます。堂々として微笑んで。

子どもに答えるチャンスを与え、サポートしてあげてください。

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緘黙と恐怖症

どうして場面緘黙になるの?

10代で発症する場面緘黙

買い物作戦

前の記事を書いてから、既に10日以上経ってしまいました…先月の中旬頃から、毎日毎日インターネットで新型コロナのニュースとにらめっこ。場面緘黙関係の大きな仕事がコロナのせいで延期となり、本当にガッカリしています。

それに追い打ちをかけるように、今イギリスの感染者がどんどん増えていて、学校が閉鎖になるのではと不安でたまりません。受け持っている日本語の生徒さん、5月の国家試験はどうなってしまうのか…。

心配しても仕方がないとはいえ、ニュースを見れば新型コロナのことばかり…。買い物にいけば空っぽの棚が嫌でも目に入るし、どこかに出かけよう、友達に会おうという気持ちにもなれず。世界中に不安が広がる中、人々の心が疲弊して元気を失ってしまわないことを祈りたいです。

  

 時は春。そこかしこで球根花や樹木の花々が春の到来を告げています。公園や地区のグリーンに群生するラッパ水仙の黄色に元気をもらいましょう。

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私は学校の外でできるスモールステップの取り組みのひとつとして、買い物作戦を実践していました(『息子の緘黙・幼児期5~6歳(その5)学校外でのスモールステップ』をご参照ください)。

大型スーパーや息子の欲しいものがある玩具屋/ 文具店などでチャレンジ。注意する点は、

  • まずは学校から離れたお店で
  • 子どもがスモールステップにチャレンジできる心理状態であること

まず大型スーパーから始め、慣れてきたら小規模なショップに移行しました。大型スーパーと小規模なショップを比較すると、

大型スーパー

  • 人が多く、周囲がガヤガヤしているので、声を出しても聞かれない安心感がある
  • 知らない人ばかりのうえ、話しかけられる心配もないので、気持ちが楽
  • レジは流れ作業風なので、注目されない
  • 支払いの際、声を出さなくてもOK

小規模なショップ

  • 周囲に人が少なく、店員と顔を見合わせるシチュエーションが多い
  • 「ありがとう」など、言葉を交わす必要性が高い

大型スーパーでは、

1.   チョコなど好きなお菓子をひとつ買って、レジに持っていく

2. レジで会釈する(その際に、私が「ありがとう」をいい、一緒に会釈)

3.   私と一緒に、小さい声で「ありがとう」を言う

4. ひとりで「ありがとう」を言う

1.から4.への移行に少し時間がかかりましたが、小1(6歳になる前)の2学期ごろに声は小さいものの、クリアできたと記憶しています。

小規模なショップでは、最初にレジでお金を払うだけでも躊躇。やはり店員に見られているという自意識から、緊張が強かったようです。

ただ、小2にあがった頃からTVで『ドクターフー』が始まって大ヒット。息子も毎週楽しみに観ていて、学校ではその話でもちきりに。男子の間でドクターフー・カード集めや交換が大流行したのです。

そのためか、自分から「カード買ってもいい?」と聞くように。レジに持っていって会釈できるようになった後、「ありがとうって言えたら買ってあげる」とハードルを上げてみました。すると、割とすぐにできるようになったのです。

カードが「欲しい」という気持ちが、「怖い」に勝ったんでしょうね(^^;)  買収じゃないけれど、様子を見てできそうだったら、時には背中をぐっと押してみてもいいと思います。ただし、無理強いは禁物。

いつも子どもの近くにいる母親だからこそ、子どもがチェレンジする気持ちになれるかどうか、微妙なニュアンスを察知することができるような気がします。

息子の場合は、「やってみる?」という問いに「嫌」と答えても、絶対拒絶の「嫌」ではないのです。最初は「嫌」と言っても、私が促すと「しょうがないな」という感じで同意。できた時はちょっと得意そうで、徐々に自信をつけていくことができたよう。

そのうちに、「ありがとう言うから、カード買ってもいい?」と自分から訊くようになり、ステップアップをゲーム感覚で楽しんでいるようでした。それだけ自信がついたんでしょうね。

子どもの様子をよ~く観察して、性格やリアクションを考慮したうえで、次のステップを決めることが大切だと思います。

スモールステップの取り組みで注意すべきは、常に少しだけ高いステップに挑戦すること。そして、継続して行うことです。抑制的な緘黙児は、しばらくやらないと元の状態に戻ってしまうことが多いので要注意。

取り組みに慣れてくると、子ども自身が次のステップを自分で考えて、実行できるようになっていきます。そうなったら、克服への道はあと少し。

プレイデート作戦

場面緘黙の子どもを家庭でサポートする方法のひとつに「プレイデート」があります。緘黙児が一番安心できる自宅に、クラスメートや近所の子、親戚の年が近い子などを招いて一緒に遊ばせるというもの。発話を促すのみでなく、対人関係への不安を減らし、社会性を育てる点でとても重要です。

緘黙児は学校での不安が大きくストレスを溜めやすいため、学校外で遊べる友達がいること、交友の場があることが、本当に重要になってきます。特に、うちのようにひとりっ子だと、兄弟姉妹がいない分、子ども同士の付き合いに免疫がありません。その上、学校でも話せないとなると、同年代の子どもと交わう機会が激減してしまいます。

親が子どもの友人関係に関与できるのは、小学校低学年くらいまででしょうか。保護者も大変ですが、子どものために頑張りましょう。

緘黙の治療にはCBT(認知行動療法)が有効なのは周知の通り。「人」「場所」「活動」の3つの観点から子どもの不安度を確認し、不安度の低いところからCBTを使い、スモールステップでその場面に慣れる=経験値を上げていきます。少しずつ自信をつけながら次のステップへと進み、最終的に場面緘黙の克服へ。

緘黙治療は順調に進む時もあれば、ちょっとしたことで躓いて後退することもしばしば。3歩進んで2歩下がるという感じですが、親は長期戦を覚悟して焦らずに。子どもの気持ちに寄り添って、子どもの了解を得ながら次のステップに挑戦していくことが大切です。その過程で、子どもとの絆が深まるといいですね。

  1. まずは1対1で

「3人寄れば社会の始まり」といいますが、相手が2人以上だと、緘黙児 が孤立しがち。まずは、子どもが好印象を持っている子(人)と、安心できる場所(家)で、楽しめる遊び(活動)を設定しましょう。

  1. 最初は楽しい時間を過ごすことを優先

自分の子だけでなく、相手のお子さんも楽しく過ごせることが大切。すぐ二人で遊べる子もいれば、複数回会ってもなかなか打ち解けられない子もいます。相手を選ぶ時、好きなものが似ていて、比較的おっとりした子がいいかな…。空気がギクシャクしている場合は、保護者が間に入って仲介する必要があります。

  1. 緘黙児が安心できる遊びを

子どもが得意とする遊びを中心に、かくれんぼやシャボン玉、音の出るゲーム、体を使う遊びなど、緘黙児が安心して楽しめる遊びを選びます。低学年のうちは、遊びに夢中になってガードが外れ、ポロっと声がでることも多いのです。

  1. 最初は保護者が仲介

最初は、保護者が同席して子どもたちの間に入ってみてください。自分の子にも、相手の子にも交互に声をかけながら、一緒に遊べるよう主導します。自分の子から言葉が返ってこなくても、うまく代弁して。子ども達と同じ目線に立って、自分も楽しみましょう。お菓子作りなど、みんなで何か作るのもいいかもしれません。うまくできたらさりげなく褒めるなど、言葉がけを忘れずに。慣れてきたら、徐々に子どもだけで遊べるように計います。

  1. 母親がまず相手の子どもや、ママと仲良くなる

緘黙児 は周りの空気を敏感に察知します。保護者同士が親しい間柄であれば、子どもは安心します。また、 相手のお子さんに色々 話しかけて、仲良くなることも大切。学校の話題や遊びの流行など 、子どもたちの世界で何が起こっているか聞けて、一石二鳥です。

  1. 発話を促す遊びを

子どもの様子を観察しながら、発話を促す遊びを取り入れるのも忘れずに。普段家にいるような感じで遊べているのか、それともまだ緊張が強いのか。緊張がとけ始めたら、色々試してみましょう。息子の時は、音が出るリモコン操作のロボット、黒ひげ危機一髪、ジェンガ、シャボン玉などをよく活用していました。相手の子の視線が子ども自身でなく、玩具にいくものがベターと思います。

そういえば、音が出るレンジャー系の玩具や水鉄砲も緊張をとくのに有効でした。おやつや外遊びの時には笛ガムを愛用してました。自分の子に合う遊びを見つけ出してください。

  1. 次のステップへ

二人で遊ぶのに慣れて話せるようになったら、次は「別の友だちを加える」もしくは「友だちの家に遊びに行く」に進みます。これについては、また追って記事を書く予定です。

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息子の緘黙・幼児期4~5歳(その19)

声を出す練習を!

場面緘黙の人は、自分から話しかけるのが苦手です。でも、自分から言葉を発しないと、話す機会がかなり減ってしまいます。学校で話せない分、家で家族と話せているでしょうか?

中学生にもなると、親と話すのはかったるいかもしれません。干渉されたくない気持ちも強いでしょう。でも、兄弟姉妹とは気軽にオシャベリできていますか?学校外でもあまり話さないでいると、だんだん自分が話せないような気持になってしまいませんか?

私は緘黙ではありませんでしたが、ものすごい恥ずかしがり屋でした。特に、小学校の頃は授業中に発言するのが怖ろしく、緊張して声が小さくなりがちでした。先生に、「もう少し大きな声で」と言われると、余計恥ずかしくて、声がくぐもってしまうことも…。休み時間に親友と話している時は普通なのに、先生が近づいて来たりすると、途端に小声になったり。今思うと、意識しないうちに、身体が緊張してしまっていたのかな…。

緊張すると、音量の調整をするのが難しくなるような気がするんです。シャイな人にとって、適切な音量でハッキリ発音することって、結構難しいんじゃないでしょうか?私は大人になって随分面の皮が厚くなりましたが、まだたまに「えっ、聞こえない」と言われてアセルことも。

緘黙になる人は不安が強いため、あまり話さないでいると、人に話しかけるのが余計に怖くなる傾向があるよう。話しかけるタイミングとか、音量とか--自信がないので、うまくできないような気持ちに陥ってしまうのです。

少しずつ自信を回復するには、やはり実際に声を出して話す必要があると思います。家でも黙っていることが多い人は、なるべく意識して声を出してください。勉強してる時は声を出して暗記したり、教科書や本を音読したり、歌でもいいんです。

あと、声を出す練習に、携帯やPCの音声操作アプリが使えます。私が知ってるのは、iPhoneとiPadのSiriとOK Googleくらいですが、もっとありますよね?これらのアプリを操作するには、ハッキリものを言わなければなりません。自分が言った言葉が即座に文字化されるので、目で確認できます。特に、Siriは返事が返ってくるので、会話の練習にはちょうどいいのでは?なかなか面白い返事がかえってきたりして、結構楽しめます。 

アプリで話すことに慣れてきたら、次はあまり家の近くじゃない、気軽に入れるお店(コンビニ、本屋、ドラッグストア等)に行って、頑張って店員さんに話しかけてみましょう。「すみません」「○○はどこにありますか?」「ありがとう」という感じで。

これを何度か繰り返し、自信がついてきたら、もう少し長い質問をしてみたり、言葉を増やしてみてください。駅に行って観光地までの行き方を訊ねるとか、電化製品のお店で新しい製品について訊ねるとか、図書館で本を推薦してもらうとか。

知らない人に何かを訊ねるのは、知っている人より気楽だと思うのですが、人によってそれぞれです。まずは自分が一番楽な人・方法を探してみてください。(良かったら、サキ君のビデオを参照してくださいね https://www.youtube.com/watch?v=lA4-GSJxUac)。

今は誰もが携帯やPCを持ち、電話でオシャベリすることも減ってしまいました。でも、リアルで会話をすることは、本当に大切だと思います。

もちろん、SNSで友達などとメッセージのやり取りをすることも大切。コミュニケーションの手段を色々使いこなして、少しずつ緘黙を克服していけるといいですね。

 

同年代の友だちの重要性

前の記事で「場面緘黙の後遺症」について書きました。

やっと緘黙を克服したのに、仲間とのおしゃべりにうまく参加できない、社会的な場面での緊張がひどく人付き合いが苦手、という人が一定数いるようです。これは緘黙をひきずったまま社会に出た人に多く、早期発見・治療すれば、学校や社会生活に順応できる傾向が強いよう。

以前「発音・言語・コミュニケーションの困難を持つ子どもの支援(Supporting Children with Speech, Language and Communication Needs)」というコースを受講した際、子どもの言語の発達は18歳くらいまで続くと習いました。例えば、皮肉を理解し対応できるようになる年齢は11~16歳頃。身近で見聞きしたり、実際に使ったりと、実践を重ねるうちに自分なりの受け答えができるようになるのです。

家庭でもそうした体験はできますが、家族ではない他者との体験もとても大切。第三者の大人たちや同年代・同世代の子どもたちと接したり、コミュニケーションを取る機会が持てる場といえば、やはり学校です。そう考えると、学校は勉強するだけの場所ではないんだということが、ひしひしと感じられます。

色々な体験をしながら社会的なスキルを身に着けていく場――学校は子どもが一日の大半を過ごす社会であり世界です。何年間も通わなければならないのに、ずーっと口をきけず、ただ周囲の話を聞いているだけというのは、本当に辛い…。会話に加われないことで、会話やコミュニケーションの練習ができないだけでなく、自信を積み重ねていくことが難しいのではないでしょうか? 

不安になりやすい子どもにとって、学校環境はとても重要です。でも、どんな担任とクラスに当たるかは、誰にとっても宝くじのようなもの。学校で話せなくても、休み時間に一緒にいられる友だちがいること、クラスメイトと交わえることが、大きなポイントになってくるかと思います。友だちの有無は自己評価の問題にも関わってくるので、本当に大切です。

親が子どもの友達関係に関与できる期間は、それほど長くありません。頑張っても、せいぜい小学校の中学年くらいまででしょうか?でも、まだ小さいうちだったら、親が友達を作るきっかけを作ってあげられると思います。できたら、子どもが好意を持っている園の友達や学校のクラスメイトを頻繁に自宅に招き、一緒に遊ばせてあげてください。

私も息子が4歳半で緘黙になってから、クラスで一番好きだった子のママに協力してもらって、家に遊びに来てもらったり、一緒に公園に行ったりしました。息子は自宅だとすぐにしゃべりだしましたが、親が遊びの仲介をしなければならないケースもあるかと思います。子どもの緊張感を解くには、鬼ごっこや風船つきなど、体を使った動きのある遊びがお勧めです(『まず体を動かす遊びから』をご参照ください)。

息子の場合は、教室でまずその友達に囁くようになり、徐々に囁き声が大きくなって、話せる友達が多くなっていきました。学校側が同じグループになるよう配慮してくれたのが、功をなしたと思います。

うちでは息子が小6の時まで、だいたい週1回のペースで友達グループ(息子を入れて計5人)を家に招いていました。持ち回りで、週3回くらい順々に誰かの家に遊びに行ってたかな…。友達の家で早い夕飯(というか簡単ごはん)を食べて、6時半くらいに帰宅するんですが、友達の家族とも顔見知りになり、いい体験ができたと思っています。

子どもたちを身近で見ていて感じたのは、同世代でしか共有できない流行や文化があって、子どもだけの世界があるんだなということ。例えば、Dr Whoが流行っていた頃、グループ全員がカード集めやフィギュア集めに熱中し、番組が放送された翌日はその話で持ちきり。Dr Whoの知識がなければ話にのれないし、カードを持ってないと、ゲームの仲間には入れないんです。

こうした子ども同士の交流や会話は、親が絶対に教えてあげることができないものです。だからこそ、そのきっかけ作りを親が手伝ってあげられたらと思います。

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場面緘黙の後遺症?

まず体を動かす遊びから

 

冬休みにできること

お久しぶりです。あっという間に時間が経ってしまい、私が日本語を教えている特別支援校も、息子の学校も先週末からクリスマス休みに突入しました。ちなみに、日本の2学期に当たるSpring Term は1月4日(月)から始まります。イギリスではクリスマスが一年最大のイベントなので、お正月はオマケみたいなもの。来年はたまたま月曜日が4日なのですが、通常は元旦が祭日となるだけで、2日から仕事始めという年もあるのです。

冬休みは、親族や友達が集まる時期だし、ショッピングや映画など出かける機会も多いですよね。そういった機会を最大限に利用して、緘黙児が社会的な体験や人とのコミュニケーションを多く持てるようにできるといいなと思います。というのも、学校外で話せる大人や子どもがいることが、緘黙児にとってとても重要だからです。

従兄弟や親類の人と親しく付き合ったり、話すことができれば、家族以外の人との信頼関係が築けるだけでなく、子どもの視野が広がり、自己評価もあがります。緘黙児は社会不安を抱えていることが多く、自分から話しかけたり、友達を作ることが苦手なことが多いので、従兄弟や親戚の子との繋がりは大切にしたいですね。

緘黙児の中には、親戚や従兄弟たちとも話せないという子もいるでしょう。でも、なんとなく親しみは感じてるんじゃないでしょうか?無理にとはいいませんが、将来も長い付き合いができるよう、なるべく一緒に過ごす時間を作りたいものです。年下の子だったら一緒にいても安心、という緘黙児も多いと思います。まずは、兄弟姉妹も一緒に少人数で遊ばせたり、ファーストフード店などに連れて行ってみてはどうでしょう?

うちの息子は年下の子に「いいところを見せたい」気持ちが強くて、マメにお世話したり、従妹弟たちの分までアイスクリームを注文したりしていました。年が上になるにつれて、家族と一緒に行動しなくなってくるので、できるうちに楽しく無理のない範囲でトライしてみてください。

この時期はお正月映画がたくさん上映されてます。友達や兄弟・姉妹、家族と一緒に観に行く計画を立てるのも楽しみですよね?学校では話せなくても、同世代の子たちと同じ話題を持つことはとても大切。子どもの好きなこと、趣味や活動が緘黙克服のきっかけになるかもしれません。

出かけるときは、なるべく学校の友達に遭遇しないよう、ちょっと遠くまで足を伸ばすのも一考です。自分に注目が集まらないような、騒がしい公の場所だったら、子どもは声を出しやすいはず。家族と一緒に外出して、いっぱいおしゃべりする機会を増やしましょう。緘黙児は顔見知りの近所の人との挨拶や、「ありがとう」「ごめんなさい」を言うことが苦手です。遠くのデパートや大型スーパーなどで、お年玉で好きなものを買い、「ありがとう」を言う練習をしてみてもいいかもしれません。

ものを言えない学校生活からしばし開放されて、のびのびした時間を過ごせますように。

 

緘黙児と習い事-うちの場合

緘黙児、というか抑制的な子どもにとって、好きなことを奨励し、個性を伸ばすことはとても重要だと思います。本人が「これが好き」「楽しい」「得意」と感じることが自信につながり、自己評価があがるからです。また、将来的に仕事に結びつけば素晴らしいですが、趣味としてキープできれば社交の糸口になってくれそう。

うちの息子の場合は、4歳の頃から音楽教室に参加し、その延長で7歳から吹奏楽器を習い始めました。理由は小さいころからいつも鼻歌を歌ったりと音感が良かったこと。また、スポーツ好きの子どもではないのが明白だったからです。

音楽教室に入った当時は、引っ込み思案だったものの、まだ緘黙ではありませんでした。途中で(4歳半で小学校に入学してから)緘黙になったんですが、その後も先生から「お宅の子は歌ってません」とか「固まってます」と注意されたことはなく、多分何とかやってたんでしょう。

吹奏楽器を選んだ理由は、お試しでヴァイオリンとコルネットをやってみたら、初めて挑戦したコルネットで結構音が出て先生に褒められたから。この頃は緘黙症状が徐々に和らいでいて、人前で「吹く」ことが、「話す」練習になるように思えたからでもありました。また、楽器ができれば、学校以外の友達を作れるかもという希望もありました。

スポーツもやらせたかったんですが、本人がものすごく嫌がり、やってもいいよという感じになったのは緘黙が随分改善した9歳のころ。が、この年齢になると、既に同級生は空手3年目とか、地区の少年サッカーチームのレギュラーとかになっていて、これから始めるにはすでに時遅しという感じでした。

その後、アーチェリーと卓球にトライしたものの、どちらも正式にクラブに入会する段階になって脱落…試合のために猛練習するほど好きじゃなかった/上手くなかったんですね…。今では、時々祖父に連れられてゴルフに行くくらいかな。

これまでの経験で思うことは、

  • 適性がないと長続きしない
  • 周りの子と同じ時期にスタートしないと、後からは入りづらい
  • 集団よりマンツーマンで習えるもの、マイペースで進めるものがベター

息子はマイペースで今も楽器を続けています。地区のブラスバンドにも入っていますが、ポジションはいつもその他大勢のひとり。そんな息子ですが、今年に入って楽器をやっていて良かったと思えることがいくつかありました。

2月のハーフタームに義両親宅に滞在した際、村の公民館で小中学生のための音楽セッションがありました。義両親は責任者夫婦と親しく、息子も彼らとは顔見知り。私と義父は公民館に息子を預け、3時間ほど買い物へ。帰りがけに息子を迎えに行くと、年下の男の子と一緒にドラムを叩いていました。

夕食の支度をしていた時、「今日は大勢の子に楽器を教えたよ。これだったら、日本でホームスティもできそう」と息子が漏らしたのです。(我が家には主人のドラムキットとギター、息子がグラニーにもらったウクレレなどがあり、息子はよくこれらで遊んでいます)。

3月中旬には、遅れに遅れていたグレード5の検定試験を受けました。ゆっくり目だったものの、大幅に遅れたのは1年半歯の矯正をしていたためと(高音が出せなかった)、昨年試験間際になって先生が突然変わったため。

2年以上も同じ課題曲を練習してたので受かるハズの試験でしたが、当日思わぬ落とし穴が…。息子を連れて試験官の家に行くと、伴奏してもらう先生がなかなか来ない!(試験は平日の授業中に、不便な住宅地で行われるのです)。そのうえ、息子は「サイレンサー(消音ミュート)忘れた!」とパニック気味。チューニングに5分もらえるのですが、別室から聴こえる音がビビってました~!

緘黙は治っても、息子の抑制的な気質は変わってません。待合室には試験を受けに来た子どもや親がいるため、演奏を聴かれたくない気持ちが大きく、動揺してたと思います。

で、そのまま試験に突入。待合室で最初の課題曲を聴いた私は、「ああ、これは落ちた」と確信したのでした。それまで何回聴いたか判らない曲でしたが、あんなに詰まったのは初めて。2曲めからは失敗しませんでしたが、これは駄目だと思って息子にも言いました。そうしたら、先日合格したという知らせが!(息子いわく、「この曲の課題部分はクリアしてたから」だそう。賭けに負けて50ポンド取られました…)

そして先週木曜日は、息子の音楽人生のハイライト(多分)でした。地区の小中高生の吹奏楽団と管弦楽団、合唱団など総計1500名を集結させ、クラシック音楽の殿堂といわれるロイヤルアルバートホール(RAH)でコンサートを行ったのです。私が住む地区では音楽教育に力を入れていて、これは5年に一度の大イベント。私たち夫婦はRAHのボックス席の前列に陣取り、双眼鏡で息子を探すこと約10分。その他大勢のひとりに心からのエールを送りました。辞めたい時期もあったけれど、続けていれば何かいいこともあるんですね。

IMG_20150423_182833 BBCプロムスも開催される由緒ある会場

RAH1

 先生方の努力のお陰で一生の良い想い出ができました