英国のロックダウンは続く(その2)

先回、一向に感染者数が減っていかないという記事を書いたのですが、どうやらロックダウンの成果は出てきているよう。

ロンドンでは入院患者の数が僅かですが減少しつつあります。といっても、まだ1万800人以上が入院して治療を受けている訳ですが…。(注:下の図の900人はICU等に入っている重篤患者数のよう。昨日アップした際に、入院患者数と間違えてました!)毎日、死者数を下回る人数が入院しているということですね…。4月18日までの総感染者数は11万4317人、総死者数は1万5464人😢

それでも毎日の感染者数が減らないということは、自宅療養している人がものすごく多いということ??昨日の検査総数が15,472件、そのうち陽性が5千526人なので陽性になる確率は36%くらいです。

現在、イギリスの病院では新型コロナ患者の急増に対処するため、他の病気や怪我などの緊急でない手術を最小限に抑えています。予定されていた癌の手術が中止になった人たちも。やむをえないことなのかもしれませんが、すでに命の選別がされているという現実…。

感染が怖くてGP(主治医)や病院に行くのも怖いし、大病や大怪我をしても入院できるかどうか…。コロナ禍が続くうちは、なるべく怪我や病気をしないよう、健康に気を付けて生きるしかないですね。

今のところ、あと2週間強ロックダウンが続く予定ですが、いつ解除されるのか見当がつきません。そんな中で、心温まるニュースもありました。

第二次世界大戦で戦った99歳のトム・ムーア大尉が、NHS(国民保健サービス)のために総額£1700万を超える(約23.8億円&いまだ上昇中で現在£2300万!)募金を集めたのです!! 4月末の100歳の誕生日までに歩行器で自宅の庭を100周(1周25m)することに挑戦し、クラウドファンディングで寄付を募りました。当初の目標は£1000(約14万円)だったとか。

日本では国産のアビガンの実験的な投与が高い効果を発揮しているということで、正式に効果が証明されれば世界的な推進が期待できそうですね。また、真偽は定かではありませんが、結核予防のための日本株BCGワクチンの摂取が新型コロナの重症化を防ぐという説も。

世界各国で新型コロナウイルスのワクチン研究・開発が進められていますが、イギリスでは政府の補助金を受け、オックスフォード大学の研究チームが来週からワクチンの人体実験に入る予定です。新型コロナ以前から新ワクチンに着手していて、遺伝子工学により基礎を作るチンパンジー・ウイルスを開発。それに新型コロナウイルスの部分を結合させたものらしい(?)です。

https://www.bbc.co.uk/news/health-52329659

5月半ばまでに500人に投与し、良い結果を確認できたら9月から大量生産を目指すとか。成功する保証はないそうですが、世界各国で協力すればきっとワクチンができるはず。科学者のみなさん頑張って!

また、各国で人工呼吸器の不足が叫ばれています。新型コロナが重症化して重度の肺炎になった時、最後の砦となるのが人工呼吸器。聞くところによると、病状や患者の状態などに加え、年齢や持病の有無によって人工呼吸器を使うかどうか判断しているとか…。

政府の呼びかけにより、イギリスでは1か月ほど前に重要産業セクターから20社以上の異業種企業が参入するコンソーシアムを結成。国内での大量製造を目指して、新な人口呼吸器の開発を始めました。

嬉しいことに、4月16日にペンロン社の既存のモデルを改良したPenlon Prima ESO2が政府機関からの安全性承認・製造許可を得たそう!シーメンズ、エアバス、フォードやF1レーシングカーの部品を製造する会社などが協力し、大量生産に乗り出すようです。実は、政府はサイクロン式掃除機で有名なダイソン社にも開発・製造を要請したのですが、こちらはまだ製造許可が下りていません。

https://www.bbc.co.uk/news/business-52309294

また、医療スタッフのPPE(個人防護具)の不足も世界中で深刻ですね…。昨夜、病院のICUを紹介するドキュメンタリー番組を観たんですが、PPEはN95マスク、手袋、ゴーグル、エプロン、キャップ、ガウン、フェイスガードと多種に渡ります。こんなに着込んで仕事をするのは動き難くて暑いし、本当に大変そう。

医療スタッフが現場を離れる毎に破棄するため、生産(というか輸入が中心?)が追い付いていません、グッチやアルマーニなど各国の一流ブランドがPPEの生産に乗り出していますが、イギリスではバーバリーとバブアーがガウン縫製の担い手となっているよう。

危機的な状態ですが、地類が協力して新たな知見や技術が生まれますように!

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使い捨てマスクの消毒法

英国のロックダウンは続く

英国のロックダウンは続く

先週末はイースター(復活祭)の4連休で、汗ばむほどの陽気が続きました。例年は親族が集まるのですが、今年はそれぞれ家で自己隔離。息子は大学のあるサリー州の町に友達と残っているため、我が家では主人とふたりっきり。あまり天気が良かったので、春爛漫の公園に散歩に行ってきました。

快晴の空の下、白い八重桜が満開でした

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全国ロックダウン4週目に入ったイギリスでは、現在新型コロナの総感染者数は9万3873人、総死者数は1万2107人(4月15日午前の数字です)。ここ2週間ほど、毎日の感染者は4000~5000人台と高止まりが続き、今なお減少の兆しが見えません。

先週イランと中国を抜きさり、総感染者数は世界で6番目に…。一昨日のニュースでは、まだ感染拡大のピークは過ぎておらず、ヨーロッパで最悪の事態となる恐れがあるとの警告――大ショックです😢

ICUで治療を受けていたジョンソン首相が無事退院という朗報はあったものの、一体いつになったらロックダウンの成果が出るのか? ついつい悲観的な気持ちになってしまいます。

私の住んでいる地区は感染率が高いロンドン市内でも2番目に感染者が多く、日々その数が増え続けて昨日は何と931人に!人口39万人ほどのエリアなので、すごく多いですね…。

今やテレワークが主流になっているし、通勤しているのはNHS(国民保健サービス)の医療・事務スタッフ、必需品を売る店のスタッフ、デリバリー業者などのキーワーカーに限定されています。なのに、どんどん感染者が増え続けているのは何故??

イギリスではどこの施設で感染者が出たという詳細は公表されず、ただ地区ごとの総計のみ。その数字は病院その他でPCR検査した人のみで、軽症者は検査してもらえず家で養生している訳です。家族のひとりが罹患すれば、家族の感染は免れないですよね…。救急車のサイレンが聞こえると、また誰かが病院に運ばれていくのかと、気が重くなります。

食料品や必需品はオンラインで注文できますが、注文が激増して配達困難に。配達が3週間後だったり、注文した品が品切れで含まれないことも…。なので、どうしても買い出しに出ざるをえません。

感染者と一緒に買い物している可能性が高い――そう考えるとスーパーに行くのも決死隊(^^;) イギリス政府は国民にマスクの着用を奨励していないため(医療用に回したいからだと推測)、マスクをしている人がまだまだ少ないんです。

この3週間で近所の3つの大手スーパーで買い物してみた結果、一番遠くのスーパーが社会的距離を一番保てると感じ、リュック持参でなるべく回数を抑えて行っています。

先週は入口から裏側にある駐車上の入口まで長い列が…

イギリスでは一番打撃を受けやすい70歳以上の高齢者を守ることが、政策に掲げられています。大型スーパーでは高齢者やキーワーカーが優先して買い物できるシステム。例えば、開店30分前はキーワーカー専用、開店後の1時間は高齢者専用(週3日)といった具合です。

ちなみに、うちの隣のご夫婦は90歳と80歳代と超高齢で持病があるため、ロックダウン以来一歩も外に出ていません。私たちを含め友人・知人が買い物を手伝っているのですが、それに地区のボランティアも加わり、ちょっとほっこりできました。

昨日の朝9時頃に近所の大型スーパーに出かけたところ、珍しく外に列がなくてラッキー! お隣さんの分もあるのでカートが必要だったんですが、中に入れるコインがない! 仕方なく、タバコを販売するレジに並んでいだら、前の人がレジの女生と大喧嘩を始めたのです。

お客がレジで前のめりになったので、マスク無しのレジの女性が距離を保つよう頼んだんですね。そうしたらお客が怒りだしたという…。ロックダウンが長引くと、人の心も荒れてきますよね…。

すぐに他のスタッフやマネージャーが駆け付け、お客は暴言を投げ捨てながら退却。でも、レジを開けられなくなって、私は通常のレジに並ぶことに…そうしたら、前の人が2、3週間分?と思えるほどの大量の細かい買い物をしていて、待つこと10分。途中、スタッフが来てくれて元のレジでコインを無事入手することができました。

このスーパーではレジ周りや店内に2mの距離が保てるよう床にテープを貼ったり、買い物カゴやカートのハンドルを消毒する姿が頻繁に見られます。スタッフのマスク&手袋率も高かったのですが、ロックダウンが長引くにつれてマスク姿のスタッフが減少――自腹で購入してたのかな…。

外出禁止令が出てからスーパーではひとりで買い物をする人が急増。子どもの姿を全く見かけなくなりました。私が心がけているのは、

  • なるべく朝早く行く(商品が揃っていて、カゴやカートを消毒したばかりのことが多い)
  • なるべく買い物の回数を抑える
  • だいたいの献立を決め、必要なものを必要なだけ買う
  • 事前に買い物リストを用意し、買い物の時間を短縮

イギリスでは毎週木曜日の午後8時に、NHSの医療従事者に感謝の念を示すため皆が玄関先に出て、拍手を送ります。我が家は屋根裏部屋の窓をあけて、タンバリンとベルを鳴らすんですが、ご近所の人たちの姿を見て連帯感を感じることができる(普段ほとんど見かけない)時間でもあるのです。

NHSの病院の敷地に出需品の出店を構えたり、温かい食事を届けるチャリティー活動も充実してきたよう。イースターの週末には、病院や大型スーパーでNHSのスタッフに花束やチョコレートを贈るなど、心温まるエピソードが多くありました。こういう時こそ、人間同士の温かい触れ合いが大切だなと実感しています。

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手洗いとマスク

使い捨てマスクの消毒法

使い捨てマスクの消毒法

4月5日(日)の今日、都市閉鎖中のロンドンは晴天の良い天気に恵まれています。といっても、まだ中庭で少し日向ぼっこしただけで、外には出てはいないのですが…。

BBCニュースでは、今日外出する人が急増し「2メートルの社会的距離」を保てないようであれば、「一日一回、30分程度の運動」も禁止になる可能性があるとのこと。このくらい徹底しないと、感染拡大を防げないということですね。実は、主人の知り合いが2人感染してしまい、本当に他人ごとではありません。

イギリスでは新型コロナ感染による死亡者数が毎日急増していて、昨日はなんと708人もの方が亡くなりました。その中には5歳の男の子も含まれています。感染予防のため、家族も病室に入れず最期の付き添いはできません。今のところ、参列者10人以内の簡素なお葬式をあげられるようですが、それもいつまで続くか…。

この様な状態なので、NHS(国民保健サービス)の医療関係者が最前線で戦ってくれていることを考えると、外で運動できないことくらい仕方がないのかも。ただ、身体と心の健康のためには良くありませんね。

先週、2回スーパーに買い出しに行ったところ、2回とも咳をしている人(ひとりはマスク着用)を見かけ、心底怖くなってしまいました。前回書いたように、マスクをしても感染予防はできないようです。でも、フィルター代わりにキッチンペーパーを入れた布マスクより、使い捨てマスクの方がまだマシかなと思い、ネットで購入しまっした。

でも、使い捨てだからすぐになくなってしまうなぁ--と思っていたところ、台湾のデジタル担当大臣、オードリー・タン氏による使い捨てマスクの消毒法に遭遇。オードリー氏はIQ180を超える天才プログラマーとして名を馳せ、台湾における感染拡大の防止や国民へのマスク供給システムに貢献しています。信用度は高いと思われるので、彼のツイッターを紹介させていただきますね。

日本でも感染者数が急増していて、今ロックダウンしないとイギリスの様になるのでは、と心配です。みなさん、どうぞお気を付けて。

手洗いとマスク

新型コロナウイルス感染症が世界中に蔓延し、肺炎によって多くの命が奪われている毎日。私の住むイギリスでは、ここ数週間のうちにまさに世界が一変してしまいました。多分、コロナ以前の暮らしというか、社会の在り方はもう二度と戻ってこないのではないかという気がしています。

3月1日の時点では、イギリス全国の感染者は51人。イタリアで爆発的な感染が始まっていましたが、3月上旬はまだ対岸の火事だった訳です。それが、15日には総感染者数が1500人強、20日には4000人強、25日には9500人を超えました。その後、毎日3000人近くが加算され続け、世界で8番目に。なんと31日の今日は感染者の総数25,150人、死者の総数が1,789人に跳ね上がりました!怖すぎ…。

イギリスで全国的なロックダウンが始まったのは、今月23日のこと。春のうららかな陽気の中、外を出歩く人の姿は殆どありません。目抜き通りに行くと、ところどころ開いているスーパーや薬局などに並ぶ人々の列が。でも、みんな黙りこくっています…。

スーパーなど大型店では人との距離が保てますが、小規模な店では無理…

こちらでも買いだめパニックはありましたが、外出禁止令が出る前に収まりました。各店舗で入店人数を制限しているため20分ほど待つものの、人が少ない店内で大体のものは買えます。イギリスではマスクをつける習慣がないのですが、2週間くらい前からマスク姿の人もちらほら。

現在のところ、家を出ていいのは必要不可欠な買い物と1日1回の運動のみ。私は外に出る際、自作の布地マスクとラテックス手袋をつけて出かけています(花粉防止用メガネは曇っちゃうのでXでした)。マスク、特に布マスクは予防効果がないと解ってはいるものの、つけないよりマシかと…サージカルマスクはネットで購入できますが、短時間の買い物毎に1枚使うのも効率が悪いので。

新型コロナの感染経路は、主に飛沫感染と接触感染といわれています。マスクは感染した人が咳やくしゃみを飛沫させて第三者に感染を拡大させない予防効果あり。でも、感染を防ぐ効果はあまり期待できないよう。私はこれまでマスクの取り扱いについて大きな誤解をしていたので、念のためみなさんにもお伝えしますね。

マスクの正しいつけ方(厚生省のサイトから)
https://www.youtube.com/watch?v=VdyKX4eYba4&feature=emb_logo

<注意>

  • マスク装着後はマスクを手で触ったり、顔を触ったりしない(ドアや手すりなどからウイルスが手に付着している可能性あり)
  • マスクを外す際は、耳に近いゴム部分を持つ
  • マスクを外したらビニール袋に入れて捨て、すぐに手を洗う(私はマスクも即洗います)
  • 原則、マスクの使い回しはしない

帰宅したら、まず20秒手を洗います。それから、除菌ワイプやスプレーでドアノブや手で触ることが多い場所を除菌。もし外でスマホやタブレットを使ったら、これらも除菌(鍵も)。お金にウイルスが付着している可能性もあるので、なるべくコンタクトレスのカードを使用するようにしています。

BBCより正しい手の洗い方は00:41から01:14まで。Happy Birthdayを2回歌うと約20秒です

人は無意識のうちに1時間に23回も自分の顔に触れるそう。ウイルスのついた手でマスクを触って、そのマスクを次も使おうとすれば、感染の危険が高まってしまいますよね…。

ロックダウンの成果は来週明けに判明するようですが、なんとか感染拡大が減るよう祈るのみです。

みなさんも、どうぞお気を付けて。

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その17)緘黙息子の仮装大会

全世界で新型コロナウィルスが猛威をふるい、欧米では歯止めがかからない状態ですね…。私の住むイギリスでは10日間の間に感染者が5.6倍も増え、17,089名まで膨れ上がりました。ジョンソン首相やチャールズ皇太子も罹患し、死者数も増加する一方。

こちらでは3月23日(月)から外出禁止令が出て、必需品の買い物と運動(一日一回)を除き、外に出られません。ロンドンの街だけでなく、イギリス全土がロックダウンしている状態です。この1か月のうちに、あっという間に世界が完全に変わってしまいました…。

日本でもジリジリと感染者数が増えているようなので、皆さんも本当にお気をつけて。

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さて、息子の緘黙話の続きです。1年生の1学期だったか2学期だったか忘れてしまったのですが、息子の学年で仮装イベントが企画されました。

開催日には生徒がそれぞれ好きなキャラクターに扮して登校し、各クラスで仮装大会を楽しむというもの。

男子は『スパイダーマン』や『バッドマン』、女子は『白雪姫』や『美女と野獣』など、映画や物語の主人公に扮する子が多かったかな。これだったら既製品のコスチュームが販売されているし、既に持ってる子は楽ですね。

息子はというと、なんと「サンダーバード2号になりたい」、と!

T2パイロットのバージル・トレーシーじゃなくて、緑の大型輸送機サンダーバード2号になりたい、というのです…。

    

オリジナルのサンダーバードは懐かしの人形劇。息子の部屋にはまだ当時のコレクションが残ってました!

何故『サンダーバード』だったかというと、2004年夏に実写版の映画が公開され、当時の人気グループBustedによるテーマソングとともに子ども達に大流行。玩具類も新発売され、息子は中古も含めて3種類のトレーシーアイランドを持っていたのです。最新版はボタンを押すと出動指令や発射音が出るもので、これで英語が鍛えられたかも(^^;)

(ちなみに、息子のマイブームは、3~5歳頃『サンダーバード』、6~9歳頃『ドクターフー』(10代目ドクター、デヴィッド・テナント期)、9~10歳頃『スターウォーズ』という感じでしょうか。昔からマシンに心惹かれていたようです)

2004年実写版映画のテーマソング『Thunderbirds Are Go』

え~っ!どんな衣装を着せたらいいの?!  もちろん、そんなの売っているハズもなく、自分で考案して手作りするハメに…。

まずカーキー色のTシャツとオレンジ色のフェルト生地を購入し、前にThunderbird 2の文字、背中には特大の背番号2を縫い付けました。それからネットで検索して、ボール紙で作るサンダーバード2の被り物を発見!

数日かけて立体模型を作り、下部にボール紙の輪っかを貼りつけてT2帽子が完成。息子も大喜びしたのです(私の中では最高傑作のひとつでしたが、写真を撮るのを忘れてしまい、後で大後悔…)。

当日、息子はT2シャツを着込み、帽子は袋に入れて学校に持っていきました。登校途中で出会った子ども達のコスチュームは、色とりどりでとっても華やか。

息子を校舎の入口で見送り、クラスで楽しめるといいなと思いつつ、私は帰宅。そして午後お迎えに行ってみると、教室から出てきた息子の頭にはT2帽子がない??

「あれっ、帽子は?!」と訊くと、「コートハンガーのとこ…」とポツリ。

教室へと続く廊下の手前にコートをかけておく場所があるのですが、どうやらコートと一緒に帽子の袋もそこにかけっぱなしだった様子…。

あんなに時間をかけて、一生懸命作ったのに!! なんでかぶらないのよ~!!

ぐっと怒りをこらえ息子と一緒に帽子の袋を取りに行くと、たまたまそこに担任が通りかかりました。せっかくなので袋からT2帽子を取り出して見せると、

「あら、すごいじゃない!どうして皆に見てもらわなかったの?」

その担任の言葉に息子はバツが悪そうでしたが、先生に見てもらえてまんざらでもない様子。

結局、帰り道に絶対クラスメイトとは出会わなさそうなところまで来て、やっと帽子をかぶる気になりました…。

「そんなの意味ないじゃん!!」と、心の中で思いつつ、うちの子の心理を理解するのは難しい、緘黙児の母は辛い…とひとり呟いたのでした。

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緘黙児の気持ち

新型コロナウィルスの感染が全世界に拡大し、今やヨーロッパが最大の感染地になってしまいました。2週間足らずのうちに、イギリスでは感染者が2600人を超える勢い。

「多くの家庭で本来の死期よりも早く愛する人々を失うことになるだろう」

そう語ったボリス・ジョンソン首相は、総人口の60%が感染し死亡率は1%程度だろうとも…。

イギリス政府の方針はウィルスの封じ込めではなく(その時期は既に通過)、感染ピークを遅らせることでピークの高さを下げ、被害を最小化させるというもの。この方法で医療崩壊を回避し、高齢者と最も脆弱な人々を守るというのですが…。

簡単にいうと、様々な規制を実施してピークを下げながら、特効薬やバクチンが開発されるまで集団免疫をつけていくとのこと…。

今後は発熱・咳などの症状がある人(と同居する家族)は家で自己隔離。症状が悪化した場合のみ、NHS(国民保健)に連絡せよというお達しです。

WHOが掲げる「疑わしいケースはすべて検査を」というアドバイスは?と疑問に思っていたら、今日3月18日の首相会見で、毎日25,000件の検査を目指しており、今後は家庭で検査ができるようなシステムを考えているとのこと。

これからどうなってしまうのか…本当に心配でたまりません。自分が生きているうちに、こんな時代が来るなんて!

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息子が4歳半で小学校に入学してから、とても不思議に思っていたことがありました。これは緘黙とは関係ないかもしれませんが、同じタイプの緘黙児も多いかもしれないと思い書いています。

小学校幼児部(インファント4~7歳)の頃、学校ではよく母の日やクリスマスなどにカードを作らせていました。お迎えに行くと、教室から出てきた子ども達が「はい、ママ!」と嬉しそうに手作りカードを手渡してくれるのです。

あちこちで親子の笑顔が輝き、キスや感嘆の言葉が飛び交う微笑ましい光景。でも、こういう時の息子は気後れしているというか、無表情というか…。

カードを開けると、中に書いてあるメッセージは――極端に短い!

「母の日おめでとう」「メリークリスマス」など、決まり文句の後に続く文章が、ほんの一行かそこらなんです…。

どうして???

心の中では「これだけ?」と思いながらも、笑顔・笑顔。でも、息子はそんな私のリアクションに対しても、恥ずかしそうにしているだけで、今イチ反応が薄いというか。

ママ友たちにカードを見せてもらうと、「ママ大好き」「いつもありがとう」などメッセージがいっぱい。たどたどしい筆跡に子どもの気持ちが詰まっていて、ああ羨ましい!

息子の小学校(公立)では、教科書やノートは学校に置いてあって、保護者が子どもの学習ノートを見られるのは観懇談会の際くらい(学年が終わると家に持ち帰ります)。国語のノートを見て、「何でこんなに書いてある量が少ないの??」といつも疑問でした。

英語はかなり上手したけれど、書字能力に問題がある???

私は息子の日本語をキープすべく、就学までは主に日本語で話していました。そのうえ、早生まれ組で2学期に入学しため、アルファベットを習い始めたのが比較的遅かったんです。それでも、小2になる頃には国語のドリルが普通にできるようになっていました。

それが、中等部(ジュニア8~11歳)にあがった頃から変化があり、学校で書く文章の量が息子比でぐんと増えました。

「創作ストーリーを書かせてみたら、こんなに書けるようになりました!」と、4年生の時の担任が嬉しそうに伝えてくれたことを今でも覚えています。

それはモンスターの話だったんですが、なるほど今までとは比べ物にならない量(^^;)

そういえば、小2の頃から家でマンガを描き始め、吹き出しにセリフをいっぱい書き入んでたっけ…。

単に息子の作文能力が伸びただけなのかもしれません。でも、それまでは自分のことや自分の気持ち・意見を書く課題が多かったような。

息子の中では、人に「自分のことを知られたくない」という気持ちが大きかったように思うのです。加えて、自分の気持ちを表現するのが苦手だったような気がします。

幼い頃から、家で幼稚園や学校での出来事を聞いても話したがらない子でした。でも、話したくなると、自分からベラベラ説明してくれるという…。そういう時でも、自分のことではなく、出来事や人のことが中心でした。

こういう緘黙児、他にもいるような気がするんですが、どうでしょう?

買い物作戦

前の記事を書いてから、既に10日以上経ってしまいました…先月の中旬頃から、毎日毎日インターネットで新型コロナのニュースとにらめっこ。場面緘黙関係の大きな仕事がコロナのせいで延期となり、本当にガッカリしています。

それに追い打ちをかけるように、今イギリスの感染者がどんどん増えていて、学校が閉鎖になるのではと不安でたまりません。受け持っている日本語の生徒さん、5月の国家試験はどうなってしまうのか…。

心配しても仕方がないとはいえ、ニュースを見れば新型コロナのことばかり…。買い物にいけば空っぽの棚が嫌でも目に入るし、どこかに出かけよう、友達に会おうという気持ちにもなれず。世界中に不安が広がる中、人々の心が疲弊して元気を失ってしまわないことを祈りたいです。

  

 時は春。そこかしこで球根花や樹木の花々が春の到来を告げています。公園や地区のグリーンに群生するラッパ水仙の黄色に元気をもらいましょう。

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私は学校の外でできるスモールステップの取り組みのひとつとして、買い物作戦を実践していました(『息子の緘黙・幼児期5~6歳(その5)学校外でのスモールステップ』をご参照ください)。

大型スーパーや息子の欲しいものがある玩具屋/ 文具店などでチャレンジ。注意する点は、

  • まずは学校から離れたお店で
  • 子どもがスモールステップにチャレンジできる心理状態であること

まず大型スーパーから始め、慣れてきたら小規模なショップに移行しました。大型スーパーと小規模なショップを比較すると、

大型スーパー

  • 人が多く、周囲がガヤガヤしているので、声を出しても聞かれない安心感がある
  • 知らない人ばかりのうえ、話しかけられる心配もないので、気持ちが楽
  • レジは流れ作業風なので、注目されない
  • 支払いの際、声を出さなくてもOK

小規模なショップ

  • 周囲に人が少なく、店員と顔を見合わせるシチュエーションが多い
  • 「ありがとう」など、言葉を交わす必要性が高い

大型スーパーでは、

1.   チョコなど好きなお菓子をひとつ買って、レジに持っていく

2. レジで会釈する(その際に、私が「ありがとう」をいい、一緒に会釈)

3.   私と一緒に、小さい声で「ありがとう」を言う

4. ひとりで「ありがとう」を言う

1.から4.への移行に少し時間がかかりましたが、小1(6歳になる前)の2学期ごろに声は小さいものの、クリアできたと記憶しています。

小規模なショップでは、最初にレジでお金を払うだけでも躊躇。やはり店員に見られているという自意識から、緊張が強かったようです。

ただ、小2にあがった頃からTVで『ドクターフー』が始まって大ヒット。息子も毎週楽しみに観ていて、学校ではその話でもちきりに。男子の間でドクターフー・カード集めや交換が大流行したのです。

そのためか、自分から「カード買ってもいい?」と聞くように。レジに持っていって会釈できるようになった後、「ありがとうって言えたら買ってあげる」とハードルを上げてみました。すると、割とすぐにできるようになったのです。

カードが「欲しい」という気持ちが、「怖い」に勝ったんでしょうね(^^;)  買収じゃないけれど、様子を見てできそうだったら、時には背中をぐっと押してみてもいいと思います。ただし、無理強いは禁物。

いつも子どもの近くにいる母親だからこそ、子どもがチェレンジする気持ちになれるかどうか、微妙なニュアンスを察知することができるような気がします。

息子の場合は、「やってみる?」という問いに「嫌」と答えても、絶対拒絶の「嫌」ではないのです。最初は「嫌」と言っても、私が促すと「しょうがないな」という感じで同意。できた時はちょっと得意そうで、徐々に自信をつけていくことができたよう。

そのうちに、「ありがとう言うから、カード買ってもいい?」と自分から訊くようになり、ステップアップをゲーム感覚で楽しんでいるようでした。それだけ自信がついたんでしょうね。

子どもの様子をよ~く観察して、性格やリアクションを考慮したうえで、次のステップを決めることが大切だと思います。

スモールステップの取り組みで注意すべきは、常に少しだけ高いステップに挑戦すること。そして、継続して行うことです。抑制的な緘黙児は、しばらくやらないと元の状態に戻ってしまうことが多いので要注意。

取り組みに慣れてくると、子ども自身が次のステップを自分で考えて、実行できるようになっていきます。そうなったら、克服への道はあと少し。

ひとりっ子や第一子の緘黙

ここ2週間ほどで、あっという間に世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大しつつあります。ヨーロッパではイタリア北部で感染者数が急増。国境周辺の国々だけでなく、ヨーロッパ各国でイタリアから帰国した人たちの感染が確認されています。

WHO(世界保健機関)がパンデミックへの備えを訴えるなか、今週は世界の株式市場が大暴落…。私たちの暮らしはこれからどうなってしまうのか、世界中に不安が広がっています。政府からイベント自粛や小中校一斉休校の要請が出た日本では、もっともっと深刻で危機感が大きいことでしょう…。

本当に、早く収束してくれることを願ってやみません。どこの国の科学者でもいい、早く特効薬を開発して欲しいです。

 

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緘黙児にはひとりっ子や第一子が多いと言われています。最近になって『Tackling Selective Mutism(日本では2017年に翻訳本『場面緘黙支援の最前線』として出版)』を読み返していたら、第3章にそのエビデンスがありました。

この章は現在イギリスの緘黙支援団体、SMiRAの副会長を務めるヴィクトリア・ロウさんが執筆。彼女が2011年に発表した修士研究論文『Silent Voices』を元に書かれています。この研究は10~18歳の緘黙児30人を対象に、詳細な質問表に解答をしてもらう形で行われたもの。

「第一子、ひとりっ子の発症率は56%」で、「先行研究結果との合致が確認された」とあります。

うちの息子もひとりっ子、かつ早生まれです(イギリスでは学校の新年度が9月から始まるため、6~8月生まれの子どもが早生まれ)。3歳半での公立幼稚園の入園時、4歳半での就学時は、クラスで一番おチビちゃんのひとりでした。

息子が生まれた時に「8月生まれの男の子?ちょっと可哀そう」と複数の人から言われ、当初は「???」。でも、入園・入学の時期になってやっとその意味が解ったのでした。

クラスの中でも身体が小さくて、もっと際立つのはその幼さ。9月生まれの子と比べると、精神面でも、運動面でも、言語面でも、発達の違いが明確だったように思います(4歳10か月で発達テストを受けた際は年齢相応という診断。詳しくは『息子の緘黙・幼児期4~5歳(その20)』をご参照ください)。

実際、小学校では「早生まれの子も小2(7歳になる年)の終わり頃までには追い付く」と説明を受けました。これは日本だとちょうど小1に当る年。イギリスでは修学年齢がちょっと早すぎるような気がしますね…。

多くの同級生達と比べ、早生まれで身体も精神も未発達、しかも抑制的な気質を持つ子どもが、園や小学校で集団生活を送る――これが大きな不安を感じる要因になると推測できます。

また、ひとりっ子や第一子は「初めての子」として親の愛情をたっぷり受けて育ったマイペース型の子が多いような…。特に、ひとりっ子だと兄弟姉妹と人間関係で揉まれる体験を積んでいないので、同級生との人間関係に慣れておらず、それも不安になる要因となりそう。

だからといって、ひとりっ子で早生まれ、引込み思案の子が全員緘黙になる訳ではありません。どんな学校・先生・クラスに巡り合うか、運も大きいと思うんですよね…。

(ひとりっ子だからと、入園前から友達と頻繁に遊ばせたり、複数のプレイグループに通ったり、モンテッソーリの託児所に預けたりと努力はしたつもりでしたが、抑制的な気質はなかなか変わるものではなく…)

でも、緘黙になったお陰で息子のことをもっと深く理解できるようになったように思います。困ったら相談してくれるようになったことは、大きなプラスかな。

ところで、イギリスの幼稚園や小学校(幼児部)では、誕生日を迎える子どもの親が学校にケーキやお菓子を持参して、クラスで振舞うことがしばしば。担任が「今日は〇〇君の誕生日だから、お母さんがケーキとお菓子をくださったのよ」という感じで、バースデーソングを歌った後にみんなで分けて食べるのです。

夏休みの真最中、8月中旬生まれの息子は、残念ながら一度も学校で誕生日を祝ってもらったことはありません。友達家族がホリデーに出かけて不在の時期なので、夏休みが始まってすぐ前倒しで誕生会をしていたのが懐かしいです。

バイリンガル緘黙児あるある

2月ももう半ばですね。相変わらず天気が悪い日が続くロンドンですが、鉛色の空の下、梅の花(?)が咲き始めています。

 

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うちの息子は日本人とイギリス人のハーフです。家庭では4歳半まで主に日本語を話していて、幼稚園や家庭外では英語を使っていました(75% 対 25%くらい)。英語は修学したら自然に身につくだろう、と楽観的に考えていたのです。

ちなみに、イギリス人の夫は大学で日本語を専攻したため、少々変ですが日本語が話せます。「息子をバイリンガルにしたいから、あなたは英語で話して」と何度も頼んだのですが、英語だと息子との自然な会話が難しく、ほとんど日本語に。

息子が2歳半のころ日本語をキープするため、日本人が多く住む地区(駐在員も併せて)に引っ越し、3歳の時に日本人児童が多い幼稚園に入れました。そこで日本人の友達ができ、「あー良かった」と一安心したのもつかの間…。

4歳半で小学校に入学した初日、息子が「僕の英語、みんなみたいに上手くない…」とポツリ(この時はまだ場面緘黙を発症していませんでした)。

学校には外国人が多く、クラスには渡英したばかりで全く英語が話せない子が複数人いたにもかかわらず、自信をなくして委縮する息子--「これはイカン」と180度方向転換することに!英語に自信が持てるよう、家庭でも英語中心に変えたのでした。

(この2週間後に息子が場面緘黙を発症(詳しくは『息子の緘黙・幼児期4~5歳』をご参照ください)。学校で話せるようになるために、英語に統一した方がいいと決意を新たにしました。日本語が駄目になってしまっても仕方ない、まずは緘黙を治したいと考えたのです)

すると、夫はさっさと英語に切り替え。主な話し相手が私だったせいか、部分的に私の文法の弱点や日本語なまりの発音を身に着けてしまい、複雑な心境。しばらくすると、日本語の文章に英単語がたくさん混じるように。

そのせいで、小1の時に一緒に遊んでいた日本人男子のグループから、「〇〇の日本語は変!」とからかわれ、息子は「もう絶対に日本語しゃべらない!」と宣言😢 子どもって、本能的に「異質なもの」を鋭く嗅ぎ分け、排除しようとするところがありますよね…。

息子のためにとわざわざ日本人が多い学校を選んだのに、それがかえって仇になってしまいました。トホホ。

でも、場面緘黙になってから、日本語は私との秘密の言葉にもなったのです。私が傍にいれば小声で話せることも多く、周囲の様子をうかがいながら日本語で会話をしていました。周りの人には日本語が解らないので、安心できたよう。

周囲から見ると、自分たちに挨拶や返事をしないのに、母親にだけ外国語でコソコソ話すなんて、印象悪いですよね。当時は場面緘黙があまり一般に知られておらず、「恥ずかしがり屋で…ごめんなさい」と弁明することも少なくありませんでした。

ただ、どうしたいのかその場で息子の意向を確認したり、「じゃあ、ありがとうと言わなくてもいいから、頭だけ下げてごらん」とチャレンジさせたり。その場で言葉がけができて、褒めたり励ましたりもできるので、とっても便利。

子どもによって違うと思いますが、緘黙支援のツールとして利用しない手はないと思います。

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バイリンガルと緘黙(その1)

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その16)校庭で声が出た!

早いものでもう2月。今年は暖冬なので、晴れた日には早春の気配がそこかしこに感じられます。新型肺炎のニュースが毎日世界中を駆け巡っていますが、一刻も早い収束を願わずにはいられません。早くワクチンを開発できます様に!

  

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「囁き声から → 小さくても普通の声」への移行は、なかなか進みませんでした。イギリスの支援団体SMiRAの情報では、「囁き声だと声帯を動かさないため、癖にならないよう長く続けるのは良くない」とのこと。どうしたら普通の声を出せるようになるのか悩んだ時期です。

2006年が明けて2学期に入ってからも、状況はそれほど変わらず。それでも、囁けるクラスメートの数が徐々に増え、家でも切れて怒ることが少なくなり、随分落ち着いてきたように記憶しています。

放課後は同じクラスのB君とS君とのプレイデートを続け、幼稚園時代からの親友T君とも頻繁に遊んでいました。T君家族は2学期が終わったら日本に帰国する予定でしたが、この頃クラスの日本人男子グループも交えて遊ぶように。

放課後の校庭ではT君と一緒なら声を出せていたものの、グループ(4、5人)になるとやはり息子は遠慮がち。彼らの幼い弟妹の方がずっとグループに馴染んでいるように見え、歯がゆい思いをしました。

(ところで、この頃には2~3歳の頃仲良くしてもらっていた日本人の友達も既に帰国。言葉には出しませんでしたが、突然仲良しがいなくなってしまうのは、子ども心にも痛手が大きかったよう)

イギリスの小学校では普段の授業でも小グループ活動が多く、特に幼児部 (Infant School 4〜7歳)では教室に各生徒の机はなく6人掛けのテーブルを並べたレイアウト。これは不安が軽減されて声を出しやすい環境ですね。ちなみに、イギリスの公立小学校って教科書(共同)もノートも筆記用具も学校に置いてあるので、カバンの中身といえば水筒と課題図書くらい…(^^;)

息子の場合は、仲良しのB君と一緒のテーブルに座らせてもらい、安心度アップ。大抵ASD児のZ君と彼のTAも同じテーブルにいて、このTAが息子の支援も担当してくれてました。解らないことがあっても自分から訊けませんが、グループにTAがいれば声をかけてもらえるので、学習面でも大助かり。

初めてクラスメイトの前で普通の声が出せたのは、2学期も終わるころ。春になって陽気が良くなり、校庭で小グループ活動をしていた時でした。指導者は担任ではなく、警察官の彼女の旦那様。みんなで日向ぼっこしながら、警察の仕事に関する話を聞いたり、おしゃべりしたりという授業だったよう。

日の当たる校庭での楽しい時間、人当たりのいい担任のご主人、子どもが憧れる警察官の仕事など、ポジティブな要因が重なった結果でしょうか?息子の場合、担任よりTAや他の大人の方が話しやすい、教室内より校庭の方が気持ちが楽、という条件もありました。知り合いだけど話せない大人より、知らないけれど親しみが持てる人の方がハードルが低かったんでしょう。

別に声を出そうと決意していたわけではなく、ついポロリと普通の声が出てしまったものと思われます。以前も書きましたが、幼少期はまだ緘黙が固定化しておらず、子どもの自意識もそれほど強くないため、この「ついポロリ」が多く、そのために快復も早いのではないかと思います。

(注:先に息子がプレイセラピーを受け、その時初めて教室で大人と話せたこと書きました(詳しくは『息子の緘黙・幼児期5~6歳(その8)初めて声が出た!』をご参照ください)。通常、場面緘黙の治療に使われるのはCBT(認知行動療法)で、プレイセラピーではありません。息子はレセプション時代に緘動があり、クラスの活動で支障がでる程だったため、プレイセラピーは不安の軽減のためでした)

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