衝撃のロビンさん

もう先学期のことになってしまったのですが、研修中のASD児専門校で、アスペルガーの女性、ロビン・スチュワード(Robyn Steward )さんの講演会がありました。

講演は小学生の部(9~12歳)とセカンダリー以上の部(11~18歳)に分けて、少し違う内容で1回ずつ行われました。私は両方視聴させてもらったのですが、まず彼女の出で立ちにビックリ。

ラメが光るパープルの帽子と紫のメガネ、自らハンドペイントしたというジーンズ、足元はDr Martin’sでも珍しい、パテントの青いワークブーツ。一度見たら忘れられない、鮮烈な印象!

ロビンさんのサイトはここ→ http://www.robynsteward.com/knowing-me-knowing-autism/

彼女の肩書きは、

  • ASDの専門家のトレーナー
  • ASD児のメンター
  • ASDコンサルタント&啓発者
  • ライター (著書に『The Independent Woman’s handbook to super safe living on the Autistic Spectrum』など)
  • アーティスト
  • ミュージシャン

現在28歳のロビンさんは、7ヶ月の未熟児で生まれ、アスペルガーを筆頭に10種類の障害を併せ持っているそうです。小児脳性麻痺のため真っ直ぐに歩けず、相貌失認症(prosapagnosia)のために、何と人の顔を認識できないのだとか。

道でお母さんに会っても、お母さんと判らない。むこうで知人が手を振っていても、一体誰だか見当もつかないんだとか…。自分の顔も同じで、写真に写った自分の顔が判別できないそう。うわ~、めちゃくちゃ大変そう。

なのに、本人は「帽子を見て自分だって判るの」と涼しい顔。なるほど~、だから他の人が選ばないような、ちょっと奇抜な帽子をかぶってる訳なんですね。自分以外の人はというと、何と履いてる靴で見分けてるんだそう!

かつて、自分が21歳になる頃には、麻薬中毒のホームレスになってるかもしれない、と将来を悲観していたロビンさん。

アスペルガーの特性で小学校の頃からクラスに馴染めず、長い間いじめに遭い、学校のトイレが怖くて行けなかったり、先生やクラスメイトに理解されなくて問題を起こしたり…。結局、セカンダリースクールから放校されてしまいました。

そんな彼女を救ったのが、何とか入ったカレッジ(大学へ行く前の段階)のICT教師。ICTが好きで放課後毎日ICT教室に通い、この教師を相手に話しまくったとか。教師は、ただただ彼女の話に耳を傾けてくれたといいます。

緘黙も同じだと思うのですが、やっぱり根本にあるのは信頼関係なんじゃないかな…。誰かが自分のことを解かってくれる、自分の話(悩みでなくても)を聞いてくれるというのは、本当に心強いことだと思うんです。

これを機に、彼女はどんどん自信をつけ、苦手な人間関係もなんとかこなし、自分のやりたいことに向かってまい進できたそう。大学に進学後、経験者としてASDを啓発すべく世界に飛び出しました。

今でも抱えている問題が消えてしまった訳ではなく、次々と新しい壁にぶつかることは容易に想像できます。それにどうやって対処するか--自分で考えてひとつひとつクリアすることで、「大丈夫、やれる」というポジティブな姿勢になれるそう。

どんな問題を持って生まれたにしろ、子どもはそれに対処していく力を持ち合わせている--そんな風に思わせてくれた講演会でした。