親戚のヴィレッジ・フェス

9月から新学期が始まるイギリスでは、夏休み前が学年末にあたります。そのため、7月は学校行事や習い事の発表会など、1年の締めになる行事が目白押し。

また、天候の良さも手伝って、7月は屋外イベントや催しが集中する月でもあります。夏休みに入ると、イギリス人はそれぞれ個々にバケーションに出かけてしまうので、行事はその前にという意図もあるのかも。

先週末は、我が家でも息子のブラスバンド演奏会と親戚の集まりがあり、車で飛び回っていました。土曜の演奏会が終わった後にノーサンプトンの夫の実家に行き、そこでスコットランドに住む義母の姉夫婦と合流して一泊。翌日、車で30分ほどの義母の実家に向かいました。

義母の実家は代々から続く地主で、現在は長男である弟が小さな村の土地や建物を管理しています。その義叔父一家が5年に一度、1週間にわたって村のフェスティバルを開催するのですが、私達は最終日(日曜)の親戚の集いに参加したのでした。

IMG_5137最終日だったのと雨天のため、駐車場も兼ねた野原はガラガラ。キャンプ組はごく僅かでした。

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野草風の可憐な花が咲き乱れる、義母の実家のコテッジガーデン。

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庭にマーキー(大テント)が設置され、テーブル席がしつらえてありました。中央にはステージがあって、音楽会やダンス会場にもなります。テーブルの花アレンジは村の友人の手によるもの。

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当日は、ランチの前に村を散策しながら教会に行き、本家の墓地に木の苗を植える予定。が、あいにくの雨でプランBに変更--3人の義叔父の音楽演奏、海を渡った祖先の話とラテンアメリカからやって来た親戚の紹介、などで盛り上がりました。

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お待ちかねのローストランチは定刻の1時から(初めてイギリスに来た当時は、12時にお腹がすいて困ったものです)。メニューはローストビーフ&ターキーとポテト、付けあわせの野菜が3種類。この他、ポーチドサーモンもありました。

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プディング(デザート)はチョコレート&レモンケーキと季節のフルーツ。地元のベーカリーで調達したチョコレートケーキが美味でした~。腹ごしらえをしたところで、ちょうど雨もあがったので村を通り抜ける1本道へ。

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1695年に建てられた村で一番古い家。横から見ると壁が湾曲してます。

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壁に藤やバラなどの吊植物を這わせた家が多数。

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義両親が結婚式を挙げた小さな教会。ちなみに、墓地に植える予定だったのは、キリストの叔父、アリアマテのヨセフに由来するという、高名な「グラストンベリーの聖なるさんざしの木(The Glastonbury Thorn)」の苗木。以前あった木が枯れてしまい、植え替えることにしたんだそう。

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村の端まで行って裏道を歩いて戻ってきた頃には、太陽が顔を出しました。義叔父の息子も大学生になるので、このフェスティバルは今年で終わりにするかもしれないと聞き、かなり淋しい…。わたしたち夫婦は1998年に結婚したので、このイベントに参加するのは今回で3度目。息子達の代まで親戚の輪が広がるよう、ずっと続けてくれたらなと願ってやみません。

 

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息子の緘黙・幼児期2~3歳(その4)

息子、犬恐怖症に陥る

3歳になる少し前のこと。いつものように、日本人の友達母子と一緒に近くの公園に出かけました。

楽しそうにちょこちょこ走りまわる息子たちの後を、彼のママとお喋りしながら歩いていた時です。低木の茂みの中から、いきなり3匹の犬が飛び出して来ました! 犬に追いかけられ、悲鳴をあげて泣きながら走りだす子どもたち。

あまりに突然のことで、びっくりして咄嗟に声が出ず…。私たちは一瞬顔を見合わせて、すぐ息子たちのところに走りよりました。同時に、遠くで飼い主の声がして、犬たちは疾風のように走り去って行きました。

飼い主は私たちのところに謝罪に来ず、気づいた時には既に犬を連れて立ち去っていました。子どもの多い公園で犬を放しっぱなしにするなんて、マナー悪すぎ!(息子たちが小さかったので巨大に見えましたが、犬たちは小・中型犬でした。もしかすると、まだ仔犬で子どもたちにじゃれてたのかもしれませんね。それにしても、監督不行届きですが)

息子は割とすぐに泣きやみましたが、それ以来というもの、大の犬嫌いになってしまいました。それまでは、積極的に犬に近づくことはなかったものの、私が一緒なら撫でたり・触ったりしていたのに…。犬を見つけると、私の影にかくれたり、手をぎゅっと握るようになり、極力近づかないように。

イギリス人は犬好きが多く、ベビーカーを押しながら愛犬を散歩させてる人も多いし、公園の遊び場のゲートに犬がつながれていることもしばしば。特に、公園内は犬だらけなので、避けて通るのは楽ではありませんでした。また、息子が目ざとく見つけて警告するので、「あーまたか」とため息が出ることが多かったです。

うちの息子だけかもしれないんですが、不安の強い抑制的な気質の子どもは、恐怖症に陥りやすいんじゃないかと思っています。これまでに犬恐怖症と水恐怖症(水泳プール)を経験(ありがたいことに、どちらも治りましたが、まだ苦手意識はあるかも)。また、極度に緊張するとお腹が痛くなったり、トイレが近くなる時期がありました。

ちなみに、息子の犬恐怖症が治ったのは、仲の良い友達が犬を飼いはじめた10歳のころ。犬がいる友達宅に遊びに行くか・行かないか — 究極の選択に迫られ、遊びに行く方を選んだのです。

友達の家のラブラドールは、偶然にもとても臆病で淋しがり屋の性格。ママ友からは、「○○君(息子の名)に似てる」と言われてました(笑)。

彼女は子ども達がまとわりついても、いきなりシッポを掴んでも、決して吠えないんです。実に気立ての優しい良いワンコだったので、息子は徐々に慣れて一緒に遊べるようになりました。そのお陰か、息子はボクサータイプの大型犬がいる別の友達宅にも行けるようになり、それほど犬が怖くなくなったよう。

友達は違う学校に進み、もっと郊外に引越してしまったのですが、彼の犬には本当に感謝しています。

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息子の緘黙・幼児期2~3歳(その2)

息子の緘黙・幼児期2~3歳(その3)

 

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ASD児と緘黙児--類似する特性?(その2)

7月6日に書いた記事の続きです。2011年に行われたマギー・ジョンソンさんのワークショップの資料を掘り起こしてみたら、ノートにこんなメモがありました。「ASD児とSM児の持つ特性はオーバーラップするところがあり、ASDとSMを併発しているケースは以前考えられていたほど少なくない」。”not so rare as previously thought” とあるので、「多くはないけれど、時々見られる」程度の感じじゃないかと思います。

これは、「日本では広汎性発達障害と診断されるSM児が多いようなんですが、イギリスではどうですか?」という私の質問に対する答えでした。ここ数年来、マギーさんは主にセカンダリー(11歳~16歳)以上の子どもの治療を担当していて、あまり改善が見られない場合は、ASDが併存しているケースが見られるとも…。

緘黙の治療効果は小学校中学年から緩やかになり、年齢があがるにつれて回復が難しくなると言われています。特に、小学校高学年から中学までは、プレ思春期と思春期が重なるため、周りの目が最も気になる時期。高校や大学進学を期に自力で立ち直るケースも多いようなので、改善が見られないからASDということではありません。特に、日本では保護者と学校・専門家が連携して治療に当たるのが難しいため、年齢が上の子の緘黙治療はより困難といえそう…。

下記は私がとったメモからの抜粋です。急いで書き写したので、間違いがあるかも…。

<SM児とASD児のオーバーラップする特性>

  1. 根本的な気質(same underlying disposition 不安になりやすい抑制的な気質?)
  2. 自分なりのルールへのこだわり(rule bound 食べ物、服装などを含む)
  3. 感覚過敏 (sensory sensitivity)
  4. 視覚的な説明やチェックリストが必要 (need visual explanation/ checklist SM児の場合、不安のため情報を受信できないこともある)
  5. コミュニケーション量の問題 (issues with communication load認識プロセスのレベルに問題があるため、一度に大量のコミュニケーションを処理できない)                           ASDを併発しているSM児の中には、多量で複雑なコミュニケーションを処理できないため、緘黙傾向に陥る子もいる。解決法 → 一度に大量の情報を与えないよう、「コミュニケーション量」を減らし、混乱しないように早めに助け舟を出す。自分で選ばせるなど、子ども自身に主導権を与える。

*注:どのSM児も1~5までの特性を全て持っているということではありません。上記の事項が類似していることが多いということだと思います。また、上記が当てはまるからといって、自閉症スペクトラムという訳ではありません。④⑤には言語の問題が含まれるかもしれませんね。

例えASDが併存する場合でも、治療や支援のアプローチは同じということ。ただ、純粋な緘黙と比べて回復はゆっくりになります。また、緘黙を克服してもASDが治る訳ではないので、ASDに対する支援も必須です。とにかく、緘黙とその背景にある問題を早期に発見し、早期介入することが大切ということでした。

うちの息子の場合を考えてみると、1、2(特に服装と髪型!)、3、そしてう~ん、同時に複数のことをするのが苦手なんですが、5 の傾向もあるのかな?視覚優位でもあるようだし…。

「ASD児に有効な支援はSM児にも役に立つことが多い」ということで、1~5 に問題がある時は下記のような対策が立てられるかなと思います。

  • 不安を減らす呼吸法や自分なりの対処方法を考えさせる
  • こだわりを責めず、徐々に納得させて自分なりに対処できるようにする
  • 新行事などがある時は、予め予定を伝えておく
  • 写真や絵、物を使って具体的に説明する
  • 指示する時は短かめに、解かりやすく
  • 一度に沢山のことを言わず、ひとつずつ順番に

もっとたくさんの対処法があると思うので、自分の子どもに合うような対策を考えられるといいですね。

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ASD児と緘黙児--類似する特性?

 

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一般家庭の居間をタイムカプセルに-- The Jeffrye

イギリスの5~7月は社交シーズンと呼ばれ、上・中流階級の人々が集うイベントが目白押し。5月のチェルシーフラワーショーに始まり、ロイヤルアスコット競馬、ウィンブルドンテニス選手権、ヘンリーレガッタ・ボートレースなどなど。最後は、音楽の殿堂ロイヤルアルバートホールで行われるプロムスで、エルガー作の『希望と栄光の国(Land of Hope and Glory)』を歌って幕を閉じるのです。

去る6月19日の朝、Waterloo駅から電車に飛び乗ったら、一瞬「ここは何処?」の世界に…。車内はカクテルドレス姿の着飾った若い女性と燕尾服を着込んだ男性でいっぱい。女性がみな帽子(というか髪飾り的なものが多い)をかぶっていたため、「あっ、今日はロイヤルアスコットか!」と気づいたのでした。

しかし、電車でアスコットに行くんだ~、と驚きでした。というのも、エリザベス女王が黒塗りの高級車で会場入りする様子をTVで観た印象が強く、当然車で行くんだと思い込んでたんですね。考えてみると、駐車場が混み合って大変なんでしょう。

朝からシャンペンボトルを片手に、プラスティックのグラスで乾杯したり、携帯でセルフィーを撮りまくり、写メしまくる女性たち…。Royal Enclosureのバッジをつけて、シルクハットを手にする燕尾服の男性もいるし。ドアの近くで立ったまま観察していると、近くの騒がしい女性達はロシア人でした。

また、ちょうどウィンブルドン期間中にウィンブルドン行きの地下鉄に乗ったら、周りでテニスの話をしてるのは外人ばかり…。パナマ帽をかぶって苺とシャンペンで観戦を楽しむという感じは全くない、半パンにロゴ入のリュックを背負ったダイハードなテニスファンたちでした~。

ちなみに、若者たちにとっては夏は野外フェスティバルのシーズン。マッドスライドで有名なグラストンベリーは終わりましたが、まだまだ多くのフェスが予定されています。そういえば、私も渡英したばかりの頃は、色んなとこに行ってたな~と遠い目になる今日この頃です。

社交シーズンとは全く縁のない我が家では、先週の土曜日に毎年恒例のイチゴ狩りに行ってきました。今年初の収穫は、苺1.8kgとラズベリー、ズッキーニとソラマメ、サヤインゲン、キュウリ。

IMG_5009全部で15ポンド弱だったので、日本円にすると2500円くらい

日曜日は金融街シティにアートの展示会を観にいったのですが、何と開いてませんでした…。その後、バスで今まで行ったことがなかった家の博物館、The Jeffryeへ。ここは一般家庭の居間と庭を時代別に展示しているユニークな博物館です。ロンドンの博物館はたいてい無料なのが嬉しい。http://www.geffrye-museum.org.uk/

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もともとは18世紀に鉄器豪商が地元の貧しい老人達を住まわせた私立の救貧院

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                      1785年に使われていた英国製の磁器ティーセットは、中国製を模倣したもの。当時はまだティーカップに取っ手がついてません

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婚礼を祝う親戚縁者が家に集う様子を描いた絵の一部。19世紀ごろの作品

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薄暗いですが、1890年代の居間です。暖炉の周りのタイルの模様は日本のデザインからヒントを得たものだとか。良くみると日本製(?)の陶器がいっぱい

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家具調度を保護するため屋内全体が薄暗く、途中この大きな窓があってほっとしました

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何故か建物の真ん中にカフェが。苺&チーズ入スコーンと紅茶でひと息

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1998年のロフトスタイルアパートがもう懐かしい感じ…

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ハーブガーデンの植物は実際に薬用や食用にしていたもの

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蕾や枝がモス(コケ)に覆われたようなモス系のオールドローズとアリウム

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庭からカフェを見た風景

家族連れの多い、とってものんびりした博物館でした。

 

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ASD児と緘黙児--類似する特性?

先週の金曜日、ASD児専門校の子ども達に付き添って、近隣の名門私立校に行ってきました。学校同士の交流があり、わが校のセカンダリー(12~16歳)の子ども達を対象にしたワークショップを開催してくれたのです。うちのクラスからも、6年生の子が3人参加しました。

地下鉄利用ということもあり、総勢16名の子どもに付き添いの大人がぞろぞろ…。スタッフの息抜きも兼ねた、学年末のイベントのひとつだったよう。

16世紀から続くという歴史ある名門校を訪問してみて、学校施設や人材の充実ぶりに驚かされました。広々とした敷地内に立派な校舎や専門の施設が点在し、専用のテニスコートやアスレチックグランドも。入学試験の難度が高く、学費もかなり高額らしいのですが、この充実度だったら納得という感じ。いや、ケタ違いにすごい!

最初に案内されたスポーツグランドではテニスの授業中でしたが、体育の先生じゃなくて、テニス専用のコーチが教えてるんです。生徒数は20名ほどなのに、助手が2名。各教科についても、えり抜きの優秀な教師陣と助手を揃えているだろうことは、容易に想像できました。

ワークショップはスポーツコーチ、D&T(デザイン&技術)教師、そして科学者(後で調べたら、結構有名な方でした!)が担当。スポーツで汗を流した後は、立派なD&T教室でミニLED懐中電灯作りに取り組みました(PC搭載のレーザーカッターで製作したキーホルダーのお土産つき)。最後の科学講座は、液体窒素などを使って次から次へと実験を繰り広げるスリリングな内容。おしまいに子ども達を部屋の隅に退去させ、ものすごい大音響で風船を爆発させたのには度肝を抜かれました。

どのセッションもプロ意識の高さが伝わってくる内容で、毎日こういう授業を受けてる子ども達がイギリスの将来を担っていくんだなと、感慨深かったです。予算の少ない公立の学校では、こうはいかないでしょう…。

話は変わりますが、このイベントを通じて感じたのは、緘黙児と似た傾向の子がいるということ。

スポーツイベントでソフトフハードル走をした際、付き添っていたグループの女の子が逃げ腰に…。やったことがないと不安がるので、「柔らかいハードルだから当たっても痛くないよ」 「一緒に走ろうか?」と声をかけ、手をつないでスタート。ひとつ目のハードルを飛び越えた後、ひとりで走っていくことができました。その後の競技でも「また一緒に来て」と頼まれて、一緒に走ったのですが、私の方が遅かったので自信がついたと思います(笑)。

また、最後の記念撮影では、ひとりだけ撮影拒否の子が…。いくらスタッフが誘っても頑として動かないので、そのままに。でも、担任が「じゃあ、写真撮って」と声をかけ、撮影側として参加させることに成功しました。

緘黙児と大きく違ったのは、D&T教室で男子生徒が我先にと手を挙げて質問に答えていたこと。得意分野に関する知識は、半端ないものがあります。実に堂々と答えるので、何だか誇らしかったです。

2011年にマギー・ジョンソンさんの緘黙支援ワークショップに参加した際、「緘黙児とASD児の特性は重なるところがあるので、ASD児に有効な支援はSM児にも役に立つことが多い」と話されてました。その資料とメモを見つけ出して、もう少し詳しく説明できたらいいなと思ってます。

 

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息子の緘黙・幼児期2~3歳(その3)

引っ込み思案が定着?

息子が生後6ヶ月を過ぎた頃から、少しずつ少しずつ仕事に復帰し始めました。幸いにも殆どが在宅ワークで、外出する日数は限られていたので、最初は夫と義母、そして親しいママ友に頼んでやりくりしていました。自宅に来てもらえれば、大体は機嫌よく過ごせていたと記憶しています。

2歳半になった頃、近くに住むチャイルドマインダーさんに1週間に1度預けることにしました。お弁当を持参し、彼女の自宅で同年代の女の子と2人一緒に一日お世話してもらうというもの。初めは、「今日もいい子にしてたわ」と、ほとんど問題はありませんでした。

が、2ヶ月目に入ったところで、「急に泣き出して、全くおさまらず本当に困った」と、迎えにいった途端に訴えられ…(その気持は痛いほど解るけど)。この日は新メンバーが入り、いつもと違う環境だったとか。

「普段他の子ども達と遊ばせてるの?」と訊かれ、ちょっとカチンと来てしまいました。息子が集団に溶け込めるよう、私なりに頑張ってきたのに~!

翌週は少しマシだったようですが、息子が行くのを嫌がるようになったため、預けるのを断念。次からは、必要な時だけ臨時でベビーシッターさんに来てもらうようにしました。若い日本人女性が来てくれた際は、もうべたべたに甘えまくり!彼女が帰る時に大泣きするという事態も発生しました。

こうして、公の場では引っ込み思案、でも気を許せると思った人とはすぐ親しくなって自己主張する、という不思議なパターンができあがったのでした。

この頃から、親しかった日本人の友達が3歳になって私立の幼稚園に通うようになり、今までのように頻繁に遊べなくなってしまいました。また、それまで通っていた小規模のプレイグループが閉鎖し、少し遠くですが日本人もいる規模の大きいグループに参加することに。

大体2時間半くらいの会で、前半は私の側を離れず、大抵はミニカーで遊ぶというパターン。おやつタイムを挟んだ歌の時間は、みんなで集まって円座に座り、曲に合わせて振りをつけながら”Old McDonald”などの童謡を歌います。でも、息子はやる気全くナシ…。仕方がないので、ずーっと手を添えてやらせていました。

それが家に帰ると、お気に入りのアニメ番組の曲を大声で歌いながら踊ってたりするんですよね….。君は一体何なんだ~?! その後も、できないのかと思っていたら、人目につかないところでやってたりと、母親としてはフラストレーションがたまる状況が重なりました。

さて、プレイグループも後半になると徐々に緊張も解けてくるのか、だんだん行動範囲が広がります。そして、お片づけの時間になって母親達が玩具を倉庫に運び始めると、やる気全開になって、他の子ども達と追いかけっこごっこに夢中になるという…エンジンがかかるのが遅すぎ。

このプレイグループが公園に面した教会で開かれていたので、帰り際に公園で残った子達と少し遊ぶのが楽しかったようです。

その頃、日本人親子が集まる絵本の会にも参加していたんですが、スイカ割り大会ではただ一人頑として動かず…涙。その後、誕生会でスイカ割りをしてみたら、先頭に立ってやってました….やぱり、公の場だと 「できないかも?」「失敗したら嫌」という不安が人一倍強いようでした。

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息子の緘黙・幼児期2~3歳(その2)

 

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DSM-Vに登場した新たなコミニュケーション障害(その2)

ASDや広汎性発達障害と診断される緘黙児の割合が大きい--これは日本における場面緘黙の研究で、頻繁に見られる結果です。発達障害を専門とする医師の間では、場面緘黙は決して珍しくないとも言われているよう…。

DSM-Vで新たに設けられた、「社会的(実践的?語用論的)コミュニケーション障害(Social (pragmatic) communication disorder)」は、場面緘黙とどのような関連があるのか?とても気になっています。

新たな分類 「社会的(語用論的)コミュニケーション障害(Social (pragmatic) communication disorder)」は、下記のように神経発達障害(Neurodevelopmental Disorders)カテゴリーの2) に含まれています。

Neurodevelopmental Disorders(神経発達障害)

  1. Intellectual Disabilites (知的障害)
  2. Communication Disorders (コミュニケーション障害) ←★ここ
  3. Autism Spectrum Disorder (自閉症スペクトラム障害)
  4. Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder (ADHD)
  5. Specific Learning Disorder (学習障害)
  6. Mortor Disorders (運動機能障害)

2) のコミュニケーション障害に含まれるサブカテゴリーは、

  1. Language disorder (言語障害)
  2. Speech sound disorder (音韻障害)
  3. Childhood onset fluency disorder (stuttering) (小児発音障害(吃音))
  4. Social (pragmatic) communication disorder (社会的(語用論的コミュニケーション障害) ←★ここ
  5. Communication Disorders not otherwise specified (特定不能のコミュニケーション障害)

DSM-IVでは、アスペルガー障害(Aspergar’s Disorder)及び特定不能の広汎性発達障害(PDDnos)と診断された人たちは、いずれも広汎性発達障害という自閉症関連をくくった大カテゴリーに含まれていました。それが、DSM-Vでは、「社会性の障害」はあるが「常同性」はないとみなされると、自閉症スペクトラム症(ASD)ではなく、コミュニケーション障害に該当…。

(なお、DMS-IVにおける特定不能の広汎性発達障害(PDDnos)の定義は、他の広汎性発達障害の定義に当てはまらないケースで、「社会性の障害」もしくは「常同性」のひとつが該当すれば診断されるというもの)

平たくいうと、このグループに移行する人たちは、自閉症ではない(なかった)ということですよね?もしかしたら、広汎性発達障害やアスペスガーと診断された場面緘黙児の多くは、このカテゴリーに入るんじゃないでしょうか?また、広汎性発達障害の傾向やグレイエリアと診断された緘黙児は、ASD傾向ではなく、コミュニケーション能力に発達凸凹があるのかもしれません…。

例えば、相手のボディランゲージが読めなくて黙っている場合と、相手のボディランゲージが読めても、相手の反応が不安でどうしたらいいのか判らず黙っている場合では、ちょっと違うような気がするんですが…。特に、緘黙期間が長く閉じこもりがちになると、コミュニケーションスキルが向上しないため、年齢に見合う社会的コミュニケーションを取るのが難しくなると思うんです。病院など、馴染めない環境でコミュニケーションを取ることの不安もあると思いますし、このあたりのことは、診断にどう影響しているんでしょう?

話は変わりますが、最近イギリス人の言語療法士(SLT)から「専門分野で活躍するSLTの間で、治療に当たったASD児が実は重度のコミュニケーション障害児だったという話が良くでている」と聞きました。子どもがオルタナティブなコミュニケーション法を身につけると、徐々にASDの特性がなくなることが多いんだとか。

イギリスではWHOによる国際疾患分類、ICD-10を診断基準にすることが多いので、DSM-5における変更はあまり問題視されていません。でも、研修中のASD児専門校に通う子どもの中には、「常同性」はないように見える子もいて、その子達には違うアプローチが必要なんだろうか? などと考える今日この頃です。

最後に、DSM-Vの診断によって、この新しいサブカテゴリーに移行する人はどの程度の割合なんでしょうか?

2012年1月に『ニューヨークタイムズ』紙が、アスペルガーと診断されていた3/4の人たちがASDと診断されなくなるという記事を掲載し、世界中で物議をかもしたようです。これは、イェール大学のフレッド・ヴォルクマー教授他による予測ですが、10%程度という予測もあり、かなりバラつきがあるようですね。

“about three-quarters of those with Asperger syndrome would not qualify; and 85 percent of those with P.D.D.-N.O.S. would not(アスペルガー症候群の約3/4が、そしてPDDnosの85%が(ASDと)認定されない)”

NYタイムズの記事 → http://www.nytimes.com/2012/01/20/health/research/new-autism-definition-would-exclude-many-study-suggests.html?pagewanted=all

自分の中でよく整理できておらず、チンプンカンプンな独り言のようになってしまいました…。ここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございました。多分、誤解している部分も多々あると思うので、お気づきの方はご指摘ください。

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DSM-Vに登場した新たなコミニュケーション障害(その1)

 

 

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DSM-Vに登場した新たなコミニュケーション障害(その1)

昨年5月に、アメリカ精神医学会による診断・統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)が改定されたのは、周知のところです。最新版のDSM-Vでは、場面緘黙が含まれるカテゴリーが「通常、幼児期・小児期、または青年期に初めて診断される疾患」から、「不安障害」へと移行しました(詳しくは場面緘黙とは?(その2)をご参照ください)。

もうひとつ注目したいのは、この改訂版で自閉症に関する概念や定義が大きく変わったこと。これまで日本で「広汎性発達障害(PDD)」と診断された緘黙児は少なくなかったと思うのですが、「広汎性発達障害」というカテゴリー自体が廃止されたのです。

「広汎性発達障害(PDD)」がなくなり、自閉症関連の診断は「自閉症スペクトラム症(ASD)」に統合。そのうえ、何と「アスペルガー症候群」というお馴染みのサブカテゴリーもなくなってしまいました!(研修中のASD専門校の生徒は殆どがアスペっ子なので、なんだかショックでした)

しかも、「な~んだ、これからは全てASDでいいんだ」と思いきや、そうでもない様子。というのは、これまでPDDのカテゴリーに入っていた全ての診断がASDに統合された訳ではなく、別カテゴリーに移行したものと、別カテゴリーで新たな診断名がついたものがあるからなんです。

DSM-IV(1994年)では、

広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorders)

  1. 自閉性障害(Autistic Disorder)
  2. レット障害(Rett’s Disorder)
  3. 小児期崩壊性障害(Childhood Disintegrative Disorder)
  4. アスペルガー障害:(Aspergar’s Disorder)
  5. 特定不能の広汎性発達障害:(Pervasive Developmental Disorder not otherwise specified(PDDnos))

↓ 改定

DSM-V(2013年)では、

 自閉症スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder)

  • ただし、2の「レット障害」はX染色体異常で、自閉症とは関連がないため、診断から除外
  • また、4と5の中で、「社会性の障害」と「常同性」がある場合はASDのカテゴリーに、「社会性の障害」のみの場合は、ASDでなく「社会的(実践的?語用論的)コミニュケーション障害(Social (pragmatic) communication disorder)」となる

厚生労働省のホームページでアスペルガー症候群を調べてみると、

- 自閉症の3つの特徴のうち、「対人関係の障害」と「パターン化した興味や活動」の2つの特徴を有し、コミュニケーションの目立った障害がないとされている障害です。言葉の発達の遅れがないというところが自閉症と違うところです。知的発達に遅れのある人はほとんどいません- とありました。

厚生労働省のホームページ e-ヘルスネット「アスペルガー症候群について」より http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-006.html

あれっ?コミュニケーションの目立った障害がない??? アスペも自閉症も、基本的には「社会性」・「コミュニケーション」 ・「想像力」の3分野に障害があるのでは…。私は、アスペの子は知的発達や言語に遅れがないんだと思ってましたが、どうも医師や団体によって、定義が少しずつ異なっているようですね…。

「常同性」というと、手をヒラヒラさせたり、ぴょんぴょん跳んだり、同じ遊びや何かをする順番に執着したり--でも、年齢によって改善するケースも多いし、はっきり「常同性」と区別しにくいケースもありそうです。

この間、休み時間に校庭で男性のTAと話していたら、そこにクラスの子がやってきたんです。私と話していたTAに、PCゲームのことでやけに詳しい質問をし、よどみなく長いやり取りをしました。彼が行ってしまった後、「あの子の知識はすごいよね。話し言葉も自然だし、ぱっと見だとASDだとは思えない」と言ったら、「実は毎回僕のところに来て、全く同じ質問をするんだよね」と…。これも「常同性」なんでしょうか?

また、特定不能の広汎性発達障害(PDDnos)について、wikiで下記のような興味深い記述を見つけました。

- 東京大学名誉教授医学博士)の栗田廣氏は、「海外ではPDD-NOSとして診断される障害者がPDDの2分の1であるのに対して、日本ではPDD-NOSはほとんど診断されず、アスペルガーとして診断され ている。実際、信頼できるイギリスの診断結果の報告文によると、比率的にPDD-NOSがやはりPDDの2分の1、アスペルガーはPDDの13%(全人口 の0.1%)にすぎない。どちらも高機能であり、診断は難しいが、日本でアスペルガーとして診断されている障害者(全人口の0.3 – 0.4%)の多くは実はPDD-NOSではないか」という旨の疑問を呈している -

こちら → http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E5%AE%9A%E4%B8%8D%E8%83%BD%E3%81%AE%E5%BA%83%E6%B1%8E%E6%80%A7%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3

あれれ、何だかアスペや広汎性発達障害の診断も、医師や病院、属する機関によって少しずつ違うのかも…。

長くなってしまったので、いったん切りますね。ここまでお付き合いくださった方、ありがとうございます。

なお、発達障害の説明については、「軽度発達障害フォーラム」というサイトが詳しく、解かりやすいと思いました。

こちら → http://www.mdd-forum.net/pdd_teigi04.html

 

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緘黙になりやすい子?

6月19日に記載した『再び、場面緘黙は発達障害なのか?』の記事に、マーキュリー2世さんからコメントをいただきました。

「緘黙は発達の問題というよりも、心の問題(心因性の精神障害)だと思う」と書いたのですが、「精神疾患は脳の病気という考え方もあり、心の問題と神経系(脳だけでなく、迷走神経なども含む)の問題を切り離すのは問題のすり替えにしかすぎない」、というご指摘でした。

全くその通りです。脳と心(精神)は密接に関連しているため、切り離して考えることはできませんね…。チキンとエッグの論争に似てますね。

(自閉症の脳科学的診断については、マーキュリー2世さんがご自身のブログに詳しい記事を載せておられます。 こちら→ http://smetc.blog120.fc2.com/blog-entry-183.html

ただ、言い訳ではないんですが、私が言いたかったのは、場面緘黙という疾患(症状)が日本で一般的にいう狭義の発達障害(ASD、PDD)とは異なるのではないか、ということです(知識及び語彙不足のため、上手く説明できなくて、すみません)。

ちょっと古いですが、下記のサイトの分類が理解しやすかったので、参照したのでした。この分類だと、場面緘黙は精神障害であり、発達障害ではありません。まあ、DSM-5では「不安障害」に、世界保健機関(WHO)では「小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害」に含まれ、どちらも発達障害ではないんですが…。

【障害のある学生へのサポートブック(金沢大学障害学生支援委員回保健管理センター 2007年版)】

こちら → http://www.adm.kanazawa-u.ac.jp/ad_gakusei/campus/kousei/soudan/syogai/010.html

  1.  感障害         感覚器官の機能に障害がある場合
  2. 運動障害      身体運動の機能に障害がある場合
  3. 言語障害      聞くこと、 話すことなど言語の機能に障害がある場合
  4. 内部障害      身体障害のうち、 主として内臓の機能障害
  5. 精神障害      医療の対象としての精神疾患を含み、 ある程度以上の精神的偏りがある場合     障害がそれぞれ独立して存在し、 かつ相互に影響するなど、身体障害とは異なる障害の構造がある
  6. 知的障害      先天的な問題、発達期中( 一般的には 18歳以下)の頭部外傷や病気などによって生じた知的発達の遅れ
  7. 発達障害      何らかの生物学的な要因があり、発達の遅れや偏りが生じた状態            家庭環境や養育環境・態度など心理的な要因で正常に発達しなかったというものではない。広汎性発達障害 (自閉症、アスペルガー症候群)、 LD、 ADHDなどがある

しかし、国際的な基準も含め、国や機関によって精神疾患の分類方法が異なっているような…。それだけ複雑で難解な分野ということなんでしょうね。(な お、この5月から日本精神神経学会により、病名が「障害」→「症」に変更されましたが、解かりにくいので以前の名称を使っています)。

簡単にいうと、発達障害(ASD)と場面緘黙には下記のような違いがあると思います。

  • 発達障害(ASD)は治せない
  • 脳の構造が違う(認知の仕方が異る) → 心理的な発達が通常とは異なる
    療育により、社会性やコミュニケーションの問題に対処していくことはできるが、根底にある認知の違い(歪み)は治せない。

これに対して、

  • 場面緘黙は治すことが可能
  • 発症要因が特定されていない → 定型の子でも、発達障害の子でも、言語・発音・コミュニケーションなどに問題を持つ子でも発症する
  • 不安や抑制的な気質、言語・発音・コミュニケーションの問題、バイリンガル環境など、様々な要因があるとされる(*抑制的な気質の子どもは、アミグラダと呼ばれる脳の篇桃体が刺激に対し過敏反応するのではないかという研究仮説があるが、抑制的な気質の子ども全員が緘黙になる訳ではない)    支援・環境・本人の努力などにより、学校をはじめ、それまで話せなかった人・場所・活動で徐々に話せるようになることが多い。しかし、緘黙期間が長く、社会的な体験やコミュニケーションの経験が不足したままだと、大人になってもごく一部の人としか話せなかったり、対人関係が苦手だったり、社会不安症などの精神的な問題を抱えることになる人もいる。また、緘黙を克服できても、言語・発音・コミュニケーションに問題を抱える子(ASD児を含む)は、その問題自体が解決される訳ではない。

《場面緘黙になりやすい子は?》と考えると、

★生まれ持った気質・性格

  •  抑制的な気質(不安や恐怖を感じやすい)

★生物学的(神経生物学的/発達的)な要因

  •  話し言葉や言語に苦手意識がある(表出性&受容-表出混合性言語障害を含む)
  •  言葉の発音に苦手意識がある(吃音、音韻障害を含む)
  •  コミュニケーションに苦手意識がある(ASD、特定不能のコミュニケーション障害を含む)

*上記の他にも、身体的・知的な問題があって、人前で注目されることへの苦手意識がある場合も、抑制的な性格の子だったら、緘黙になる可能性がありそうです。

更に、バイリンガル環境や環境の急激な変化など、環境的な要因も大きく関与してきます。コミュニティや家庭内での会話やコミュニケーションが極端に少なく、年齢に見合う言語・コミュニケーション能力が育っていないと、会話やコミュニケーションに苦手意識を持つようになる子もいるかと思います。

同じ子どもでも、環境や人間関係によって、緘黙になる場合もあれば、ならない場合もあると思うんですね。それを考えると、やはり意識の問題というか、気にしいの性格という部分が大きく影響してくるような気がするんですが…。

例えば、うちの息子はバイリンガル環境も要因ですが、小学校入学時に幼稚園時代の日本人の親友と同じクラスに入っていたら、寡黙ではあっても、緘黙にはならなかったと思っています。また、直接引き金要因となった滑り台事件がなかったら、そのまま非常に大人しい子でいたかもしれません。

ついでに、WHOによる国際疾患分類、ICD-10による精神障害の分類を載せておきますね。

  • F0  症状性を含む器質性精神障害--痴呆症その他のいわゆる脳器質性精神障害を含む
  • F1  精神作用物質使用による精神および行動の障害--アルコールや麻薬・覚醒剤等に関連した障害を含む
  •  F2  統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害--統合失調症(精神分裂病)やその類縁疾患を含む
  •  F3  気分障害(感情障害)--双極性感情障害(いわゆる躁うつ病)、うつ病エピソード(いわゆるうつ病)等を含む
  •  F4  神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害--恐怖症性不安障害(いわゆる恐怖神経症)、パニック障害、強迫性障害(いわゆる強迫神経症)、外傷後ストレス障害(PTSD)等を含む
  • F5  生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群--摂食障害(いわゆる拒食や過食)、睡眠障害、性機能不全(性欲の低下など)等を含む
  •  F6 成人の人格および行動の障害--いわゆる人格障害や性行動に関する問題などを含む
  •  F7 精神遅滞 精神発達遅滞
  •  F8 心理発達の障害--学習能力の特異的発達障害(いわゆるLD)や広汎性発達障害(いわゆる自閉症)等を含む
  • ★F9 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害--多動性障害(いわゆる多動児)や行為障害、チック障害等を含む
  •  F99 特定不能の精神障害--以上の分類に当てはまらないもの全て

厚生労働省のホームページから http://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/index.html

だらだらと長くなってしまい、すみません。最後までお付き合いいただいた方、ありがとうございました。

関連記事:

再び、場面緘黙は発達障害なのか?

場面緘黙の要因(カテゴリー)

 

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息子の緘黙・幼児期2~3歳(その2)

初めての室内遊戯場

息子が2歳半のころ、初めて大型の室内遊戯場に連れて行きました。かなり広い空間に、年齢別のソフトプレイエリアが複数あり、カフェも併設。よちよち歩きの幼児から、7・8歳くらいの子どもまで、大勢の子どもと母親達でごったがえしていました。

最初に受けた印象は、人の多さと騒音のすごさ。天井が高いので雑音や子どもの声が反響して、厚い雑音の壁の中にすっぽりはまり込んだような感じでした。

一緒に行った日本人の友達は、遊具を見るなりすぐ駆け出して行きました。彼のママも後を追って行ってしまい、ポツンと取り残された息子と私。でも、息子はちっとも動こうとしません。大好きな車の乗り物があるのに、私の傍らを離れないのです。いつもなら、私の手を引っ張って連れていくのに…。

慣れてないからと思い、まずは一緒にフカフカの滑り台へ。色々誘ってやってみたのですが、全然のってないんですよね…30分くらいして、やっと大好きな車の乗り物にチャレンジしたものの、いつものようには楽しめてない様子…。ノロノロと車を動かしていたら、よその子が押してきた車にぶつけられ、半ベソ状態。

ノリノリで汗をかきながら走り回っている友達と比べ、息子はもう家に帰りたいモードで、ちょっと情けなく…。お昼に大好きなハンバーガーとポテトを食べて、やっと元気を取り戻したところで、帰途に着いたのでした。

後で気づいたのですが、遊技場の騒音が息子にはキツかったんだと思います。初めは私でも耳障りだったくらいだから、彼の敏感な耳にはもっと大きく、恐ろしく聞こえたでしょう。騒音に囲まれていると、不快感から不安になることもありますよね。

また、他の子ども達がエキサイトして動き回っているあの雰囲気に、溶け込むことも難しかったのでしょう。普通だったら、すぐに慣れて順応するのに対し、感覚過敏のある抑制的な気質の息子は、慣れるのにかなりの時間を要するようでした。

ちなみに、2度目からは、出だしは遅いものの楽しく遊べるようになり、ほっとしました。というのも、冬場は公園だと寒いので、室内遊技場は手ごろに子どもを遊ばせられる、お助けスポットなんですよね。

こんな調子だったので、3歳から4、5歳くらいまで、子どもだけで遊ぶ遊園地のような場所では、場の雰囲気に慣れるのに時間がかかりました。やっと元気に遊べるようになる頃には、他の子が帰る時間になっているのです…。うちでは長丁場になるのを覚悟して、子どが満足できるまで付き合うようにしてました。

不安が強い抑制的な気質の子でも、慣れてくれば楽しめることが多いと思います。最初は親が付き合って、少しずつ慣れてきたら、体も心もリラックスしてくるはず。「うちの子はこういう場所が嫌いだから」と連れて行かないと、いつまでたっても慣れないし、行動範囲も広がりません。親も一緒に楽しんで、ポジティブな体験を積み重ねていくことができたらいいですね。

人は人、うちはうち。子どもが楽しければ親は嬉しいし、人生は長いんだもの、マイペースでいきましょう。

関連記事:

息子の緘黙・幼児期2~3歳(その1)

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