まず体を動かす遊びから

大人が誘導して、楽しい遊びを

研修中のASD専門学校では、学期の中間に入るハーフターム(1週間の休日)が終了し、今週からサマーターム(夏学期)の後半がスタート。先学期の後半から、PSHE(Personal, Social, Health and Economic Education 個人、社会、健康、経済にまつわる教育?)の授業で、子どもの社会性を伸ばし、チームワークを育てる楽しい遊びを導入しています。

今週は、”Boom Boom, Eek!(訳不明)”、伝言ゲーム、フルーツバスケットで遊びました。先学期は遊びに加われなかった子も、特大の色つき砂時計を片手に「5分だけ」の条件で参加。伝言ゲームで3度目に正しいメッセージが伝わった時、「あ~、やっとちゃんとできた(この子は完璧主義者で、いつも監督役)!」と大喜び。めでたく全ゲームに参加することができました。

遊びで思いついたのですが、うちは友達を家に招くプレイデートが、非常に役立ちました。まず、ひとりの友達と家や公園で何度も遊ばせ、徐々に友達の輪を広げていったんですが、息子がクラスで最初に囁いたのはこの友達でした。

でも、友達を自宅に招いたのに、緘黙のわが子が固まったままで、なかなか一緒に遊べないケースもあるかと思います。

どのくらい家で友達と話し・遊べるかは、子どもによって違います。学校の門を出てほっとした途端に母親に話し始めたり、家では別人のようにしゃべる子もいれば、時間が経つにつれて少しずつ言葉が出てきたり、中にはずーっと緊張したままの子もいるかもしれません。

小学校低学年までだったら、まず体を動かして緊張を解くことから始めるといいと思います。それには、まず大人の誘導が必要になってきます。

家でも緊張してる子にお勧めの、話さなくていい遊びの例をあげてみると、

? オニごっこ

保護者が毎回オニになり、子どもたちが隠れます。つかまえるまでの時間を計りながら何度もチャレンジ。なるべく大げさに声を出して、雰囲気を盛り上げて。友達と一緒に隠れているうちに、連帯感が生まれますし、興奮してうっかり声を発することができたらラッキー。

? 風船つき

とっても単純ですが、なかなか楽しめます。子ども達が平等に風船をつけるよう誘導して。キャーキャーいいながら、「50回まであと2回。○○ちゃん、頑張れ!」と声をかけましょう。

? 宝探し

子どもが好きなお菓子や玩具などを予め隠しておき(人数分一緒に)、子ども達に捜させます。大声でヒントやコメントを散りばめて、楽しい雰囲気に。

単純なものばかりですが、みんなで一緒にできて、楽しめるものがいいと思います。複雑なゲームになってくると、勝ち負けにこだわったり、できなくて劣等感を味わったりすることもあるので要注意。他にも色々あると思うので、子どもが好きそうな遊びを考えてみてくださいね。

庭があったら、ボール遊び(柔らかいもので)、バブルマシーンでシャボン玉をいっぱい作っておいかけっこしたり、夏季には水遊びも楽しいですね。

友達が遊びに来る前に予め練習しておくと、子どもも臆することなく楽しめると思います。友達が、「楽しかった。また遊びに来たい」と思ってくれるよう、親も頑張りましょう。子どもはよく見てるので、友達ばかり褒めず、平等に接することを忘れずに。

保護者が一緒になって遊ぶことで、友達の性格や子どもとの相性が見えると思います。学校や先生の情報、学校での子どもの様子なども聞けるかもしれません。また、同年齢の子どもの行動や思考がわかり、子育ての参考にも(自分の子と比較という意味ではありません。うちの場合は「今過去形を使い始める時期なんだな」、「あ、今このTV番組が流行ってるんだ」という感じで、大変有用でした)。

結局は、PCや携帯ゲームに落ち着いてしまうかもしれませんが、その時は大きい画面を使って、みんなで一緒に楽しめるゲームを。昔、緘黙の友達が遊びに来た際に、親も一緒にWiiでアバター作りをしたら、すごく盛り上がりました。

 

告知するかしないか(その4)

年齢が上の子どもに告知する方法?

前回の記事にコメントをいただいたのですが、この年齢の子どもに告知する方法は、子どもの性格や親子関係、緘黙の程度、学校環境、友達関係といった状況により、人それぞれということになると書きました。告知した後の反応もまた、子どもによってそれぞれでしょう。

学校での友人関係や担任に恵まれて、安心して学校に通えている子は、「変わらなくてもいい」と感じているかもしれません。そんな時は、学校で話し始めることにこだわらず、学校以外の場所で少しずつステップアップに挑戦したり、勉強や習い事などで自信をつけ、自己評価を上げていくことが重要だと思います。また、テキストチャットなどで、友達とのコニュニケーションを促進していけるといいですね。

「聞きたくない」、「知りたくない」と、拒絶する子もいるかもしれません。そんな時は、親の直感がたより。子どもの気持ちを尊重しつつ、より添うことができたらいいのでは?いつでも手助けする気持ちがあることを、伝えておきましょう。

不安や恐怖といった感情をブロックして、諦めムードだったり、投げやりになっている子もいるかもしれません。また、ストレスで攻撃的になっている子もいるかも…。

緘黙している時間が長ければ長いほど、ひとりで不安を抱える時間が長くなり、想像できないほど辛い思いをしているのではないでしょうか?

「話せない」ことばかり話題になりますが、それは氷山のほんの一角にすぎません。子どもが不安や劣等感、疎外感や孤立感といったネガティブな感情をひとりで抱え込んでしまうと、身体やメンタルに影響してしまう可能性もでてきます。早く対処できるよう、子どもからのサインを見逃さないようにしたいものです。

誰だって嫌なことがあれば、眠れなかったり、朝起きられなくなったり、お腹が痛くなったりしますよね?繊細な子どもには、些細なことが大きな心の傷になりかねません…。抑制的な気質の子は、思い込みも激しかったりします。だからこそ、自分のことを無条件で受け入れてくれる存在、文句や愚痴をいえる存在がとても大切になってくると思うのです。

前置きが長くなってしまいましたが、思いついた告知方法をいくつか書きとめておきますね。

●子どもが信頼している相談員、医師、心理士などに告げてもらう

子どもが専門家の治療を受けていて、改善の兆しが見られるようであれば、予め相談したうえ、親子で一緒に診断をきくというのもアリかなと思います。実際に克服した/克服中の子どもの例などを話してもらえると、勇気付けられるんじゃないでしょうか。

●場面緘黙の本を一緒に読む/子どもに手渡す

欧米に比べ日本では場面緘黙の研究が遅れていましたが、2007、8年頃から様々な書籍が出版されていますね。私が所属するKnetからも、2008年に『場面緘黙Q&A』、2009年にDVD付の翻訳書『場面緘黙へのアプローチ-家庭と学校での取り組み』、2013年に『どうして声が出ないの?-マンガでわかる場面緘黙』が出版されています。

こうした書籍の中から適切な箇所を選び、子どもと一緒に読んでもいいですし、小学校の5、6年や中学生だったら、『どうして声がでないの?』を手渡してもいいと思います。また、高校生なら、ひとりで専門書を読んで理解できますね。手渡した後は、子どもの反応を見ながら、フォローするのを忘れずに。

●映像(TV/DVD/You Tubeなど)を一緒に観る/子どもに手渡す

日本では昨年、元緘黙だったミスイングランド、カースティさんの幼少時代をドラマ化した『ザ! 世界仰天ニュース-静かな少女の秘密』が放送されました。その時、親子で観られた方もおられたのでは?

ここで観られます → http://youtubeowaraitv.blog32.fc2.com/blog-entry-26558.html

また、前述の『場面緘黙へのアプローチ』のDVDにも、緘黙だったレイチェルさんの体験談が収録されています。映像の方がより具体的なので、わかり易いかもしれませんね。

(3月に開催されたSMIRAコンファレンスでは、緘黙のドキュメンタリー番組の録画を子どもと一緒に観たという保護者の方がいました。番組に登場したSLTのマギー・ジョンソンさんを子どもが指差し、「この人に会わせて」と主張したため、マギーさんとアポを取ったのだそう。幸運にも同じ地区に住んでいたためセラピーを受けることができ、かなり改善されてきているということでした)。

告知した後にどんな反応が返ってくるか、何ともいえません。でも、ひとりで悩んでいるよりも、「自分はこれだったんだ」と解かった方が、本人のためになるはず。周りがいくら説明しても、子ども自身がその気になって問題に立ち向かわない限り、話す不安は改善されません。自分はどうしたいのか、子どもの意思を確認することができたら、支援の方向性も決まってくるかと思います。

関連記事

告知するかしないか(その1)

告知するかしないか(その2)

告知するかしないか(その3)

『ザ! 世界仰天ニュース』(その1)

『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』

 

告知するかしないか(その3)

小学校中・高学年以上

小学校の中・高学年になると緘黙の治療は難しくなる傾向にあり、治療の効果もゆるやかになるといわれています。一般的には、幼稚園や小学校低学年までの方が治りやすく、早期発見と早期介入がその鍵になってくるというのが定説です。

よく「9歳の壁」という言葉を聞きますが、文部科学省のサイトによると、「子どもは9歳頃から物事をある程度対象化して認識することができるようになる」、とあります。自分のことも客観視できるようになり、自己肯定感を持ちはじめる時期ですが、劣等感を持ちやすくなる時期でもあると…。自我がどんどん発達して、周囲をはっきりと意識するようになる頃なんですね。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/attach/1282789.htm

小学校中・後年以上の緘黙児の多くは、もう何年も学校で話せない時期が続いていて、周囲から「話さない子」と見なされていると思います。自分の中でも「学校では話せない」という負のイメージが定着し、そこから抜け出すのは並大抵のことではないはず。特に、抑制的な気質の子どもは感受性が強く、思っている以上に人の目を気にします。

自分が話した時の周りの反応や、そんな環境の中で話し始める恐怖を思えば、緘黙状態でいる方が安全と感じていても不思議ではありません。話さない自分を受け入れてくれるクラスメートや担任がいれば、「別に話したくない」、「このままでいい」と言うかもしれません。

でも、子どもがそう言っても、本音は違うと思います。ただ、みんなと同じように学校でおしゃべりしたい気持ちはあっても、「話さない子」が定着した環境の中でその段階にまで到達するのは不可能、とさえ感じているんじゃないかな…。

もちろん、恥ずかしがり屋の子どもの気持ちを理解し、配慮してくれる先生がいたり、仲良くしてくれる友達がいるなど、環境が良いために気持ちが楽になり、きっかけがあれば話せるようになることもあるかと思います。また、子ども自身が変わりたいと熱望し、クラス替えや進学などの機会に努力して克服するケースもあるでしょう。

でも、周囲の目を気にしながら、子どもが学校で自分から積極的に動くことはとても難しい…。グループで固まったり、友達同士の会話が大きなウエイトを占めてくる時期でもあります。教室の中で誰とも話すことができず、ポツンと一人でいる子どもを想像すると、親も非常に辛いです。

成長すれば自然に治るという考えは、年齢が上になってくると全く当てはまらないと思います。子ども自身が「変わりたい」という意思を持ち、自分で克服していかなければならない。そのためには、周りの支援があった方がいいのは明らかでしょう。そして、傍らで伴走してくれる存在がいたら心強いのは、容易に想像がつきます。

子どもは学校で話せないことをずっと親に隠してきたかもしれないし、知られるのを嫌がるかもしれません。でも、話せない自分はおかしいんじゃないか、普通じゃないんじゃないかという悩みを一人で抱えこんでいると思います。そこからまず開放してあげたい…。

私は子どもの症状に「場面緘黙」という名前があると知り、すごく安心しました。これは、子どもにとっても同じことじゃないかなと思います。自分は変かもしれないと悩んでいたのが、実は不安によってもたらされる症状で、世界中に同じような子どもがいる--そう解かっただけでも全然違います。また、スモールステップで克服できると知れば、自分も頑張ろうという勇気が出てくるかもしれません。とにかく、子どもに「話せないのはあなたひとりじゃない。私は味方」と伝えることが第一歩じゃないでしょうか。

プレ思春期や思春期の子どもの心はデリケートで、ただでさえ難しい時期。親はどうアプローチすればいいか、難しい問題だと思います。子どもの緘黙状態、年齢や性格、親子関係、友達関係、先生との関係、学校の環境などによって、返ってくる反応は様々でしょう。大切なのは、まずは親が共感を示し、味方だと解かってもらうこと。最初は拒否されたとしても、いつでも助けの手を差し伸べる気持ちがあることを解かってもらえればいいと思います。

子どもの気持ちにそって、無理じいはせず、でも少しずつ後押ししていく--さじ加減が難しいです。どの子も違っているので、親は子どもの様子を見ながら、自分がどう支援していけばいいか、試行錯誤で行くしかないと思います。学校側への働きかけも、親にとっては重たい仕事(?)ですよね…。マギー・ジョンソンさんは、年齢が上の子どもの直接の支援者は、保護者ではなく第三者の方が適していると話しています。中学生にもなると、親が学校に介入することが難しくなるし、子どもの自尊心の問題もあるかと思います。

とにかく、子どもにも、親にも、家庭がほっと安らげる場所であることが一番ですね。全く違う話題でも、家で自由に話せることが、心の安定につながると思います。なるべく子どもの好きなこと、得意なことを伸ばすことができれば、自己評価の向上にもつながると思います。

関連記事

告知するかしないか(その1)

告知するかしないか(その2)

告知するかしないか(その2)

<息子の場合>

息子が学校で全く話せなくなった/動けなくなったのは、4歳半で小学校に入学してから3週間目のこと。それから「緘黙」という言葉に巡りあうまで、数ヶ月かかりました。

いつの時点で話したのか、はっきりは覚えていません。が、「話す」とか「しゃべる」という言葉を使うと嫌がるかと思い、「怖い」という言葉を選んだのは記憶しています。私自身、小さい頃とても内弁慶で小学校に入学した頃不安だらけだったので、息子の気持ちは理解できるような気がしました。

(うちの場合は似たもの親子ですが、そうでない組み合わせの親子もおられることでしょう。抑制的でない気質の親にとって、抑制的な気質の子どもの行動は、かなり不可解で「何で??」と理解に苦しむことが多いかも…)。

自分の小さい頃を思い出しながら、「マミーが小1の時、学校はすごく怖いところで、先生は知らない大人の人という感じだったな。授業中は当てられないように、いつも小さくなってたよ」という感じで、自分のことに置き換えて話しました。

「○○は誕生日が一番遅いから、みんなよりできなかったり、英語でうまく話せなかったりしても当たり前だよ。マミーは仲良しのA子ちゃんが同じクラスだったけれど、○○はB君と別のクラスになっちゃったから、もっと怖いよね。それなのに、ちゃんと学校に行ってるから偉いよ」。

息子は癇癪を起こすこともなく、黙って聞いていました。何もいいませんでしたが、多分ほっと安堵したのではないかな…。直接自分のことを指摘されるのではなく、私の体験や感情について話しているので、気持ち的にも楽だったと思います。

緘黙児は繊細で完ぺき主義の子も多く、年齢や性格によっては「学校で話せない/しゃべれない」という話題に拒否反応を示す子もいるかもしれません。そういう時は、第三者のこととして話す方がいいかもしれませんね。以前のエントリー( 『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』 )にも書いたのですが、恥かしがりの子どもや動物を題材にした絵本を一緒に読むという手もあります。また、人形や子どもの好きなキャラクターを使って説明するのもいいかも。

子どもへの告知については、かんもくネットの<Knet資料No.10「子どもと共に話すことへの不安に取り組む」>に詳しく書かれています。

http://kanmoku.org/handouts.html

ちょっとした言葉や態度から子どもの心情を読み取ることができるのは、やはり子どもに一番近い存在である母親だと思うんです。子どもの気持ちに添う方法で、説明してあげられるといいですね。

(ちなみに、うちは「嫌!!」と強くいう時は、絶対駄目なのでその時はストップ。甘えを含む「イヤダ~」くらいだったら、少し時間をおいて再度プッシュ、「う~ん」と迷っている時は、チャレンジしてもいいなと思っている時です)

イギリスの母親って、子どもに”Love you”と声をかけたり、キスしたりハグしたりと、人前でおおっぴらに愛情を表現します。登下校に保護者が付き添うシステム(犯罪や事故防止のため)なので、こういうのは幼稚園やインファント(小学校低学年)では見慣れた風景。日本の習慣ではないですが、緘黙児は自己評価が低いことが多いため、言葉と態度で「あなたが大好き」と示してあげることも大切かなと思います。

子どもを安心させたら、子どもの伴走者として一緒に「話すことの不安」に立ち向かう訳ですが、まずは「話す」ことにこだわらないこと。少しずつでいいので、学校での不安を減らすことから始めましょう。

もしも、「どうして学校で話さないの?! 駄目じゃない」とか「今日学校で話せた?」と子どもを責めたことがあったとしたら、それは仕方ありません。そういう対応をしてしまっても、正直に子どもに謝れば、絶対に解かってくれると思います。子どもが態度に出さなくても、「ママが真摯に謝ってくれた」というのは心に残るはず。

うちは息子の癇癪が酷く、自分もストレスもたまっていたので、時々キレて怒鳴ったことも…。でも、そういう時は子どもに謝りつつ、何とか親子で成長してきたという感じです。緘黙治療は長期戦になることが多いため、保護者にも息抜きや心の支えが必要になってくると思います。相談所やクリニックに信頼できる心理士がいれば力強いですが、同じ悩みを持つ親の会に入るなど、ネット上でもいいので緘黙のことを話せる場所があるといいですね。

関連記事

告知するかしないか(1)

 

告知するかしないか(その1)

子どもが場面緘黙だと判明した時、本人にそれを話すべきかどうか、どう話すべきか — 保護者は悩むところだと思います。

子どもの年齢や性格にもよりますが、支援をしていくにあたり(長期戦です)、子どもと問題を共有し一緒に不安に立ち向かう必要があります。スモールステップで少しずつ緘黙を克服していくには、常に本人の気持ちを確かめながら進まなければなりません。

また、年齢があがって小学校中・高学年になると、改善のスピードがゆっくりになるため、子どもが自覚を持って積極的に治療に関わることが重要になるといわれています。そのためには、やはり本人が緘黙や自分の状態について把握しているべきでしょう。

<小学校低学年まで>

緘黙の発症は入園時や入学時に多く、いつの間にか全く話さなくなったというケースもよく耳にします。でも、「ママ、幼稚園でしゃべれない」と、助けを求めてくる子どもは殆どいないのでは?

たいていの親は、先生から「全く話しません」と告げられ、愕然とするのではないでしょうか?家では普通におしゃべりしているから(学校で黙っている反動でうるさいくらいかもしれません)、親は驚いて当然ですね。いくらシャイな子だったとしても、学校で全く話さないとなると、相当ショックです。

子ども自身は、幼稚園や学校で緘黙状態になっていることにネガティブなイメージを持っていると思います。皆と同じようにできないと劣等感を感じ、自己評価が低くなっているかもしれません。親に言ったら怒られると思っているかもしれません。

イギリスの言語療法士、マギー・ジョンソンさんは、場面緘黙を恐怖症の一種と考えると解りやすいと説明しています。例えば、高所恐怖症の人に、「何で高いところが怖いの?」と訊いても理由は分らないんじゃないでしょうか?ただただ、背筋がぞくっとして足がすくんでしまう…生理的な反応。緘黙になるきっかけも、そんな感じじゃないかなと思うのです。

自分が大きな会議に出席していて、周囲は全く知らない人ばかりという状況を想像してみてください。会場はしーんと静まり返り、壇上に立った権威ある著名人が、次々に出席者を指名して発言させています。誰もが立派な意見を述べていますが、あなたには議論の内容がよく理解できていません。

自分が指名されたらどうしよう?ちゃんとしゃべれないに違いない。笑われるかも – 心臓がドキドキして、「私に当てないで~!」と体が縮こまってしまうのでは?緊張して手に汗をかくかもしれません。緘黙児もこんな感じで恐怖を味わい、体がすくんでしまうんじゃないかなと…。そういう状態の時は喉が渇いて、声は出にくいと思います。

息子に、「緘黙状態の時、いつも喉が閉まるような感じになる?」と質問したら、「それは話そうとしてるのに声が出ない時」という答えが返ってきました。怖いけれど、何とか声を出そうとする時、喉に力が入る、もしくは意識がいくのかもしれません。同じ緘黙状態でも、状況によって感じ方は少しずつ違うのかもしれませんね。

周りから見ると、緘黙状態の子どもは不安や恐怖を感じているようには見えないことが多い。これは、緘黙という、恐怖に対する回避行動が習慣になり、その状態でいることに一定の安心感を得ているからじゃないかなと思います。

本題に戻りますが、子どもがなぜだか判らないまま緘黙になり親にも言えずにいる時、親(誰か)が共感してくれて、自分の存在を肯定してくれたらとても安心できますね。また、世界中に同じような子どもがいることが解れば、自分ひとりじゃないと勇気づけらるはず。同時に、自分の不安を誰かと共有できるようになる、誰かに助けを求めることができるようになる、きっかけにもなるのではないでしょうか?

うちの息子は典型的ともいえる抑制的気質の持ち主です。緘黙は克服できても、不安になりやすく心配性のところは変わっていません。でも、自分の不安を突然ポツンと私に言うことで、半分くらい不安が軽減されているよう。口に出していうことで不安を客観視でき、実はそれほど大きな問題じゃないと把握できるからじゃないかな、と思っています。不安を自分の中に閉じ込めておくとストレスになるので、捌け口が必要ですよね。