イギリスでは1週間ほど前から冷え込みが厳しくなってきました。冬時間に変わってから日が短くなり、どんより曇り空が続く毎日。そんな中、太陽と青空を見ると本当にほっとします。
すぐ変わる天気予報とにらめっこの今日この頃。ウォーキングや散歩、外出が晴れの日に当たったら超ラッキー
………………………………………………………………………………………………………………………….
講演者:ルース・ペレドニク(Ruth Perednik)
心理士でエルサレムにある場面緘黙治療センターの所長。息子が場面緘黙を患ったことをきっかけに、緘黙に苦しむ子どもや十代の若者の治療に情熱を注いできた。
家族全員の理解を
緘黙児の両親に多いのは、ひとりが熱心な支援者でもうひとりはそれほど関わっていないケース。両者ともにSMについて学び、家族全員を教育する必要があります。緘黙の子どもに対して、どんなスモールステップを計画していて、家族がどの様な態度を取ればよいかを全員に理解してもらうこと。
祖父母に理解・協力を求める
祖父母はスライドインに使える貴重な要員であり、祖父母から他の親戚へと子どもの世界を広げていくことができます。SMを言葉で説明するのが難しい場合は、映像や緘黙のドキュメンタリーを見せるのが効果的。それでも「ちゃんと挨拶しなさい」と子どもにいう場合は、わざと話さない訳ではないことを説明し、「すべきこと」「してはいけないこと」を具体的に伝えてください。
祖父母や親戚の方へ
久しぶりに会っても目も合わせず、言葉も発さない孫に、祖父母としては傷つくかもしれません。でも、パーソナルなことと捉えないようにしてください。
「挨拶しなさい」ではなく、返事がなくても笑顔で「よく来たね」と声をかけてください。会話の有無にかかわらず、子どもが好きな遊びを一緒にやって、自分たちも楽しみましょう。自分たちの理想や一般論を押し付けるのではなく、子どもの今をそのまま受け止めて。子どもがそこにいること、一緒に何かできることが大切なのです。非言語のコミュニケーションでも信頼関係を築くことができます。
きょうだい児への配慮
緘黙児の兄弟姉妹(きょうだい児)にもきちんと説明・理解してもらうことが重要。自分が構ってもらえないジェラシーを抱え続けていたり、「お前の妹、話せない」などと同級生などに言われて傷つくことも。SMは克服可能であることを説明し、状況や年齢に合わせて、その時々に何が起こっているのか、どうしたら助けることができるのかを説明しましょう。短くてもいいので、きょうだい児と1対1で向き合える時間を作ってください。
成長したら治る訳ではない
多くの緘黙児は学業には問題なく学校生活を送れていて、話せないかもしれませんがちゃんと友達もいます。そのため、周囲は子どもが話す気になるまで待とうと考えがち。でも、子どもが自分だけの力で克服することは困難です。思春期の子どもは不安のために他の不安障害を発症してしまう可能性もあることを忘れないで。焦る必要はありませんが、同級生たちはスポーツや習い事など、どんどん社会的な経験を積んでいることも心にとめておきましょう。
もし成人だったら、自分で病院に行ったり、薬を飲んだりできます。でも、子どもは大人に依存するしかありません。学校で一日話せなくて、どんな気持ちで無言の時間を過ごしているのか、それが子どもの自己肯定感にどんな影響を与えているか…。
毎日の暮らしの中で話せないこと、質問に答えられないこと、自分から何もできないこと、要求を口にできないことーー周囲の人間が気づいて配慮することで、随分違ってきます。全く知識のない人に説明するのは大変かもしれません。でも、サポートネットワークの輪を広げていくことは、子どもだけでなく保護者のためにも重要です。
<関連記事>
緘黙児の保護者として SM H.E.L.P. 2025年10月サミットより(その2)




































