息子の緘黙・幼児期(4~5歳)プール恐怖症になる

すでに今年も1ヶ月を切ってしまいました。息子の緘黙話の続きです。

イギリスの小学校では、毎年の家庭訪問というのはありません。就学前に担任とTAが家を訪問し、子どもに会って性格や家庭環境をチェックするのみ。小学校1年生(5~6歳)の前にあるレセプションクラス(4~5歳)が始まる前に、たった一度きりなのです。

イギリスでは9月から新学期が始まりますが、息子の小学校では早生まれの子どもたちは時期を遅らせて、1月に入学させるという方針。1週間に数人ずつ入れていく方法だったので、8月生れでクラスでも一番若い息子の入学は1月下旬となりました。

9月に入学した子どもたちは、もうその頃には友達関係ができあがっているはず。それに、先に入学した早生まれの子たちも、息子より早くクラスに馴染んで友達ができちゃってるかも…。そんな中に入っていけるのかな?

引っ込み思案の息子には不利なシステムだなと思ったのですが、仕方ありません。まあ、この年齢の子どもを見ると、6ヶ月違うだけで心身ともに成長が随分違うというのは解るんですが…。

1月初めに家庭訪問があり、私が若い女性の担任と話している間、ベテランのTAが息子と遊んでくれました。息子はいつものように好きな玩具で遊びながら、TAの声掛けに英語で受け答えていたと記憶してます。その間、私は息子が引っ込み思案なうえ、幼稚園の親友と離れ離れになってしまうので不安だということを担任に伝えたのでした。

息子の入学がまだまだ先だったので、家庭訪問の後にセンターパークというファミリー用のホリデーパークへ行くことに。学校が休みではない時期、しかも週中だったので格安でした。

森のなかにあるこのホリデーパークは、室内プールや室内スポーツ設備、映画館や各種レストランなどを備える大規模な複合施設。少し離れたところに宿泊用のバンガローが建ち並び、日用品を販売するショップも。野外にはサイクリングやアスレチックコースもあり、子どものためのイベントやクラスもたくさん準備されているのです。

小学校で全く新しいクラスに入る息子が、知らない子と一緒に活動できるチャンス--とも思ったのです。

到着してまず最初に行ったのは、広大な室内プール。5種類ほどの異なるプールがあったのですが、人影はまばら。慣れるまで時間がかかるだろうなと思っていた息子は、以外にも最初から大はしゃぎでした(この時点では全く泳げませんでした)。

2日目もプールに行きたがり、午前中はご機嫌でプール巡り。野外に造られた温泉風のプールが気に入り、アームバンドを付けて水遊びを楽しみました。この日の午後、初めて息子をクラフトのクラスに送り込み、私たちはコーヒータイム。で、2時間後に迎えに行くと、係の人が「ずっと何もしゃべりませんでした。こんな子初めて」と…。

一瞬ドキっとしましたが、クラスで作った紙細工は持ってたし、私たちには普段と全く変わらない態度。幼稚園時代のように片言は話してたのか、それとも一言も話さなかったのか--今思えば、この時が初めての緘黙症状だったのかもしれません。

バンガローに戻ってから色々訊き出そうとしたものの、クラフトの時間のことについては話そうとしませんでした。家にいる時や親と一緒の時は全く普通にしゃべるので、保護者は子どもの緘黙に気づきにくいと思います。

そして翌朝、再びプールへ。この日もまた楽しそうに水遊びに興じ、何と主人の誘いに乗って特大の滑り台に挑戦することに。私は高いところから滑り降りるのが恐いので、隣のプールで見学。すごい勢いで滑り降りてくる二人の姿を眺めていました。

主人に抱っこされて降りてくる息子は、結構楽しそうだったんです。が、水の中に飛び込んでから、しばらく上がってこない…。結構深いプールだったんですね。主人の焦っている様子がうかがえ、やっと息子の頭が出たと思いきや、すごい泣き顔!

フルスピードで水中に落ちたので、主人の手から離れちゃったんだそう――溺れはしませんでしたが、めっちゃ恐い思いをしたようです。で、それからは、絶対に水に入ろうとしません。私が抱っこして入れようとしたら、顔と体がひきつってました…。

「大丈夫、大丈夫」となだめても全然ダメ。公園で複数の犬に追いかけられてから犬恐怖症になったのですが、今度はプール恐怖症になってしまったのでした。

(すぐには恐怖症になってしまったことは判らなかったんですが、後にプールに連れていってみたら水に入るのを拒否…。息子の小学校には珍しく温水プールがあり、1年生から水泳の授業があるため、あちゃ~という感じでした)。

どんな子でも恐い思いをすることはあると思いますが、こんなに簡単に恐怖症になってしまうなんて。やっぱり抑制的な気質が関係してるんでしょうね。

小学校で新しいクラスや授業に馴染めるように、という親心が仇になって返ってきたエピソードでした。

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息子の緘黙・幼児期(4〜5歳)  ひとりだけ違うクラス?!

息子の緘黙記の続きです。

幼稚園では非常に引っ込み思案で、特に大人に対して言葉が少ない息子は(大人の見てないところで親友とは普通に話してました)、1学年3クラスある小学校(イギリスでは大規模)に、すんなり適応できるんだろうか?

心配になった私は、小学校の校長に手紙を書き「ものすごく引っ込み思案な子なので、M君と同じクラスにして下さい」とお願いしました。仲良し同士はたいてい同じクラスにしてくれると聞いていたものの、念には念を押したつもりでした。

が、入学体験日に発表されたクラス分けを見てビックリ!なんと、幼稚園のクラスから、息子だけが違うクラスに入ることに。ガーン、何故だぁ!

他の10人は全員同じクラスなのに、息子だけひとりぼっち…親友のM君とも離れ離れ。息子はひとりで大丈夫なのか?私の不安はいっきに増大しました。

(今思えば、これが緘黙を引き起こす原因となったような気がします)

急いで小学校の校長に面会を申し入れたんですが、校長は不在で副校長が会ってくれました。結果は--もう発表してしまったので、クラスは変えられないと…。何故そうなったのかという理由は、教えてもらえませんでした。

推測するに、私の家が道ひとつ隔ててギリギリ学区の外だったのが原因だったんだろうなと思います。というのも、最初は断られたんですが、2次選考で入学できることになったという経緯がありました。あと、延長保育の先生の意見もあったのかなと…。

母子体験入学に行ってみると、息子のクラスには違う幼稚園から来た子どもを集めてありました。息子が通っていた幼稚園は小学校の隣。付属幼稚園ではありませんが、後の2クラスは幼稚園からの持ち上がりという感じ…。

9月に入学した子ども達は既に友達関係ができてしまってるだろうし、そんな集団の中に後から入って大丈夫なんだろうか…。知らない子ばかりだし…。不安でいっぱいしたが、もう変更できないと言われてしまえば、どうしようもありません。

それでも、入学体験で同じクラスになる女の子のママと知り合いになり、「仲良くしてね」と言ってもらえて、ちょっとだけ安心。入学して1週間は半日授業、その後は給食を食べられるようになったら一日授業にするという方針。

保護者用のファミリールームもあるし、まさかの時はそこで待機すればいいや、と腹をくくったのでした。

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この子話せますか? 息子の緘黙・幼児期 4〜5歳(その2)

久々に「息子の緘黙」の続きです。

幼稚園の延長保育にも慣れてきて、卒園まであと3ヶ月あまり。お隣の小学校への入学も決まっていて、かなり落ち着いた状況でした。

でも、実は上手くいってると思っていたのは身内だけで、その頃息子は園でものすごく寡黙だったらしいのです。知らぬは家族とその周辺のみだったよう…。

当時、『サンダーバード』の実写版映画が流行って、再々々ブームが起きていました。人気バンドによる主題歌も大ヒット中。息子は声が出るトレーシーアイランドの玩具で、毎日ごっこ遊びに熱中。そのお陰で 英語もかなりスラスラ出てくるようになっていました。

イギリス人の子とも交友した方がいいと思い、入園時に乗り物遊びで仲良くなった子とママを自宅に招いたんです。その時、そのママから「ふうん、家では喋るんだね」と言われ、「???」。彼女はよくクラスで手伝いをしていたんですが、「あ、そうなんだ。園では大人しいんだ。私も保育園の頃はすごい内弁慶だったしな」位にしか思わなかったのです。

その後に、新しく同じクラスに入った日本人の女の子(母子ともに付き合いなし)のママに何気なく挨拶したら、「お宅の子、すごいユニークなんですって?」という謎の言葉が…。追いかけて質問するのも気が引け、大きなハテナマークを抱えることになったのでした。

あと、お迎えの時に延長保育の先生に、けっこう英語も話すようになったことを告げると、「園ではT君(親友)に代弁させることが多いので、自分でもっと発言するといい」と。後にT君のママ経由で、この先生が息子とT君を離した方がいいと言っていたことを聞きました。

1年3ヶ月の幼稚園生活の間、若い担任の先生からは特に何の助言もなく、まあまあ楽しくやってるんだとばかり…。その先生は1年終えた時点で退職し(海外に行くため)、新学期からは新しい担任になったばかりでした。

早生まれの息子は、新学期が始まる9月からではなく、1月から小学校に入学する予定でした。その1ヶ月ほど前、つまり卒園の1ヶ月前に、幼稚園で初めての懇談会が行われたのです。

担任が開口一番に言ったのは、「○○君、話せますか?」でした!

その時は主人も一緒だったのですが、二人とも驚いて「は?」という感じ。「もちろん話せます」と即座に答えたのですが、私は「内気で先生に何か言われない限り、言葉を返さないんだろうな」と捕えました。しかし、こういう大事なことはもっと早く言って欲しかった…。

息子は私がお迎えに行くと園内(教室の外)でもすぐに話し始めるので、そこまで寡黙だということには全く気付いてませんでした。それは、息子の親友&そのママも同じだったと思います。多分、大人のいないところでは、M君と普通に話していたんでしょう。

卒園の少し前に、1月から小学校にあがる早生まれの子のための卒園会みたいな催しがありました。10人くらいの子どもと保護者が集まって、担任が子どもの園での歩みを発表。ひとりづつ前に出て担任のところに行き、話す機会が設けられました。

恥かしいのか、全員が小さ目の声で先生の質問に答えていたという記憶があります。息子の番になってカメラを向けると、短かい言葉ですが、 ちゃんと聞こえる声で答えてました。なので、幼稚園では緘黙ではなかったと思ってます。

ちなみに、この幼稚園は自由主義で、子どもが好きな遊びを自主的にどんどんやらせ、遊びを通して学ばせるという方針。みんなで一緒に何かする時間は、読み聞かせをするストーリータイムくらいのもので、先生やスタッフの大人と話す時間はあまりなかったように思います。

今考えると、抑制的な気質が強い息子には、もっと家庭的で面倒見の良い、こじんまりした幼稚園の方が向いてました。でも、当時そんなことは全く思いつきもせず…。

小学校入学に一抹の不安を覚えた私たち夫婦は、小学校の校長に手紙を書くことにしたのでした。

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癇癪が悪化ー息子の緘黙・幼児期4~5歳(その1)

癇癪が悪化-息子の緘黙・幼児期4~5歳(その1)

またまた記事の更新が遅れてしまいました。息子の緘黙記、やっと4歳に突入します。

イギリスでは5歳になる年から小学校が始まります。新学期は9月からなので、8月生まれの息子は学年でも一番若い早生まれちゃんのひとり。入学予定の小学校では、6月以降に生まれた子ども達を、9月ではなく翌年1月に入学させるいうシステムでした。そのため、幼稚園にもう1学期だけ行くことに。

ラッキーにも、4歳になった9月から週に2回延長保育してもらえることになりました。イギリスでは公立幼稚園の保育時間は1日2時間半。延長保育だと朝9時半から午後3時半まで預かってもらえるので、仕事で外出しなければならない時は大助かり。

園にいる時間が2倍になって、初めての給食も食べることになったのですが、割とすんなり順応できました。日本人の親友T君が一緒だったので、不安が少なかったと思います。また、夏休み中に、お弁当持参でT君、M君と一緒にサマープレイグループ(幼児を預けて、様々な活動を楽しませるもの)に参加できたのも、プラスになったかもしれません。

ただ、4歳を過ぎた頃から、家で癇癪を起こすことが多くなりました。夕飯前に遊んでいて切り上げるように促すと、嫌がって大泣きしたり、外出させようとするとものすごく抵抗したり――ささいなことで頻繁に腹を立てていたような…。何がそんなに嫌なのか、どうしてそんなに抵抗があるのか訳が解らず、私のほうが困惑して腹を立てることも多かったです。

これについては、「息子の緘黙・幼児期2~3歳(その1)」でも触れましたが、息子は行動や場面を切り替えるのがすごく苦手でした。自分のこだわりが強いとき――「こうしたい」「こうなるはず」と思い込んでいる時や、その時の状況が気に入っている場合は特に。

まあ、子どもだから当たり前といえばそうなんですが、癇癪が激しすぎ…。そして、癇癪をおこすのは、だいたい家にいる時や家族と一緒にいる時に限られていました。今思えば、幼稚園や友達の前では我慢していたのかな。あるいは、公の場でそんな大それたことはできなかったんでしょうね。幼稚園に長くいるようになって我慢することが増えて、それが家で爆発してたのかも…。

今でもハッキリ覚えているのですが、一度だけ園の前庭で大癇癪をおこして、周囲にいた子どもやママ達を驚かせたことがありました。園を出たところでミルクを飲もうとして、パックにストローを刺したら、曲がって入らなかったんです。見かねて代わりに刺してあげたら、いきなり大泣き!大人しいと思われてる息子がめっちゃ大声でわめいたので、皆さん目が点になってました(笑)。

後日、幼稚園で心理士の講演があり、癇癪について相談してみたら、次のようなアドバイスをしてくれました。

  1. 子どもは急に切り替えをするのが難しいので、事前に警告する
  2. 癇癪を起こしている間は何か言っても無駄。落ち着いてから、静かに話をする

大人でも何かに夢中になっている時、いきなり制止されたら頭にきますよね?だから、子どもが何かしてる時には、傍まで行って顔を見ながら「ご飯だから、もう少しで遊びはお終いね」と警告するといいそう。「あと1回ゲームしたら終りね」という風に、具体的に言ってあげると解りやすいですね。

また、泣き叫んでいる時に、なだめたり怒ったりしても、子どもは聞いてません。少し距離をおいたり、黙っている方が早く泣き止むそう。少し落ち着いたら、必ず声をかけて泣いた理由を訊いたり、子どもの行動が何故いけないかを話すといいようです。

切り替えが苦手なのは、新しい場所や行動に対する不安もあったと思います。ただ、実際にその状況に遭遇すると、割と平気なんですよね。「こうなったらどうしよう」と考えすぎてものすごく不安になるものの、イザやってみたら「な~んだ」と安心するパターンが多かったような。

心配性というか、想像しすぎというか――子どもなのに取り越し苦労が多い…。なんかとっても損な性格だなと思うのですが、考えてみると息子ほどではないにせよ、私もその傾向が強かったです。

子どもが癇癪をおこすと大人は困りますが、自分でどんな風にコントロールしていくのかを、学んでいく過程でもありますよね。うまく援助してあげられるといいですが、なかなか難しいです。