息子の緘黙・幼児期5~6歳(その25)水泳の授業

先週は息子の誕生会もかねて、湖水地方での夏休みを楽しんできました。イギリスでは7月中旬に1週間ほど真夏日が続いたあと、秋のような気候に。夏の雰囲気を楽しめないまま、夏休みが終わってしまいそうです。コロナ感染は相変わらず世界トップ5を走り続けていますが、政府はもうロックダウンは考えず、予防は個人任せでコロナと共存していく方針のよう…。

  

   天気が悪かったためか、水をやらなくても庭の植物が元気で助かりました

赤しそが大豊作で、収穫後もこんな感じ

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すっかり忘れていたのですが、息子の学校には温水プールがあって、1年生から水泳の授業が始まりました。実は、息子はその1年ほど前にプール恐怖症になっていたのです(詳細は『息子の緘黙・幼児期(4~5歳)プール恐怖症になる』をご参照ください)。

「はたして水に入れるのか?」と心配でしたが、「学校の授業でみんなとやるなら、大丈夫かもしれない」という期待も。

また、私が付き添って市民プールに行き(最初に主人と行かせたら、嫌がってすぐ戻ってきてしまいました😢)、身体を支えて水に浮く練習、顔を水につける練習、バタ足の練習などはしていました。だから、水に入る恐怖は少し減っていたんじゃないかなと。

プールに入れるようになってから、水泳を習いに行くよう何度誘ったことか…。でも即座に拒否されてました。

忘れもしない水泳の授業の初日。朝、息子のおなかに蕁麻疹のようなブツブツができているのを発見し、「これじゃあ、水泳は無理だね。今日は見学させてもらおう」と、息子に言ったのでした。

それで、水着を持たずに学校に行き、担任(見返してみたら、名前を書かずにずーっと「担任」ですませてましたね(;^_^A)に事情を説明したところ、

「ああ、原則的に医者の手紙がないと休めないのよ。それくらいなら大丈夫」

「えっ?でも、すごい湿疹だし、水着を持ってこなかったんですが…」

「学校のを使えばいいわ」

という感じで、きっぱりと押し切られてしまいました…。水泳の授業は1時間目だし、水着を取りに行く時間はもうない。

「息子よ、頑張れ~!」と、心の中で祈りつつ家路につきました。

心配しつつ午後のお迎えに行くと、息子は割と平気なかお。でも、水泳の授業についてはまったく触れません。多分、不安で嫌だったものの、授業だから仕方なく水には入ったんだと思います。

帰宅して学校で借りた水泳パンツを洗濯しようとビニール袋から出してみると、「えええっ?!」めっちゃ大きい! Sサイズの子がLサイズのパンツをはいているような感じで、これじゃ水の中で脱げちゃうよねという大きさ…。

「授業の間ずり落とすことなく、どうやってはいてたんだろう????」とプール恐怖症のことより、こっちの方が気になったりして。

それ以降も、息子は水泳の授業には欠かさず参加しましたが(通学に関してはいつも皆勤賞)、その話題についてはひと言も触れないので、授業中に一体どうしてるのか全く分からず。

担任に訊いても、「大丈夫」と言われるだけで、実態は不明のまま。水泳の先生は常勤ではないので、多分話す機会もあまりなかったんだと思うのですが。

それでも、「水に入らなくて困ります」とか「問題があります」などと注意されることはなかったので、プールに入っていたことは確かでしょう。本人のプライドもあるし、息子が自分からいいだすまで、こちらからは訊かないことにしていたのですが。

でも、2年生の終わりに判明したのは、息子はその時点でも10m・25m・50m泳げたという証書がもらえていなかったということ(クラスでも数少ないひとりだったはず)。本人は何も言わないし、ママ友の話題にものぼらなかったので、そのままにしておいたんですが…。ちっとも進歩してなかったんですね(;^_^A。私は証書の存在すら知りませんでした。

水泳の先生はものすごく大柄の怖そうな中年女性(男性みたいだった)で、学校で出会う機会はほとんどなく、声をかけずじまいで2年間が終わってしまったという。

息子本人は自分は水が怖くて泳ぐところまでいかず、きっと肩身の狭い思いをしたり、コンプレックスになっていたと思います…。

息子が泳げなくて困っていたのなら、親に伝えてくれていたらなあ、と今でもせつないです。

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もう8月に入ってしまいましたね。イギリスでは7月中旬に猛暑日が1週間ほど続いたあと、「もう夏は終わっちゃったの?!」と感じるような肌寒い気候に。地中海周辺では記録的な猛暑で山火事が多発しているのを考えると、まあ文句は言えないんですが…。

サリー州のヴァージニアウォーターにて。雨が降る前にピクニック

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なんとか学校で息子をサポートできればと、私はこの学年でも週1回の保護者ボランティアを引き受けることにしました。また、新担任たちが落ち着いてきたら、放課後の教室を訪問する許可を得ようと待ち構えていたのです;^_^A。

1年生からの進歩が少し後退し、大人に対しては囁き声に戻ってしまったとはいえ、息子はそつなく学校生活をおくっていました。クラスメイト達は息子の緘黙状態に慣れているので、通常運転ですね。

11月に入ってやっと2年生最初のIEP(個人指導プラン)が作成されました。

2006年11月からのIEP Y2・No1

ターゲット1: 大人に聞こえるよう、もっと大きな声で話す

  • 達成目標:異なる小グループ活動で3回
  • リソース/ テクニック:小グループでのディスカッション
  • 作戦:聞き手を意識して、より明確に、人に聞こえるように話すよう促す
  • 担任とTAへの提案:グループ内で発言するよう促したり、テープレコーダーを使ってみる(これは一度も試されなかった)

ターゲット2: 大人に聞こえる場所で、友達と小グループでゲーム遊びをする

  • 達成目標:5回
  • リソース&テクニック:ロール(役割)プレイ、ドラマ、小グループでのディスカッションやゲーム
  • 作戦: 仲のいい友達といっしょに座らせ、安心して話す自信がでてくるまで待つ。参加できたら褒める。
  • 担任とTAへの提案:小グループでロールプレイを使い自信を持たせていく。トライできたら肯定的なフィードバックを返す。

この時のIEPミーティングには、担任のE先生とSENCo(特別支援コーディネーター)と私が出席。SENCoは息子が新しい担任に慣れてきたら、だんだん声が大きくなると楽観視していました。が、私としては1年生で「囁き声」から普通の声に進歩したのに後退してしまってモヤモヤ。また、あまり熱心には見えない担任たちになんとなく不安を感じていました。

このミーティングで、放課後に教室を訪問してもいいか話を切り出したところ、E先生はあまり乗り気ではない様子…。前担任のF先生は学年主任をしていたため、教室で会うことはほとんどありませんでした。が、E先生とL先生は放課後少し教室に残って、翌日の引継ぎなどの仕事をすることが多いとのこと。

先生が教室にいるのなら、先生たちと話すことに慣れるチャンス!

ずうずうしくも、「仕事のお邪魔はしないようにします。でも、できたら10分くらい会話をする時間を作っていただけないでしょうか?」と頼み込んだのでした。

E先生は相変わらず渋い顔でしたが、SENCoがいた手前か「週に1回くらいなら」とOKを出してくれました。やった! L先生にも伝言してくれるということで、翌週から放課後に教室訪問ができることになったのでした。

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息子の緘黙・学童期6~7歳(その2)進歩の停滞 

イギリスは昨日からロックダウン解除の第3弾として、4か月ぶりにパブが再開し外庭での飲食が可能になりました。その他、生活必需品以外を扱うショップや美容室、ジムなども再オープン。2週間後の感染率がちょっと心配ですが、やっと普通の生活に一歩近づいた感じです。

 

4月なのに何度も降雪…我が家ではワイルドに育った塀のアケビが花盛りです

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E先生とL先生のジョブシェアで始まった2年生。前評判があまり芳しくなかったのですが、実際会ってみたら前任と比べてどこかそっけない印象…。

当たり障りなさそうなE先生と、実務的でちょっとむっつりした感じのL先生。なんとなく不安なスタートを切りました…。

そして、その予感が的中したかのように、息子はちょっと後退・停滞気味に。

必要事項や聞かれたことへの返答は、新学期が始まってすぐ先生たちに囁けるようにはなりました。でも、前学年でできていた「小声で話す(結果的には大きめの囁き声だったような)」から「小さめの囁き声」に後退してしまい、それが継続することに。

話すこと以外でも、作文の課題をする時など、「促されないとやらない」、「書く分量が少ない」など、1年生で乗り越えた問題がまた出てきてしまいました。

友達に関しても、安心できる特定の子とだけ喋る傾向が強くなりました。また、日によっては担任と一言も話さないこともあったようです。週中に担任が交代するためか、担任から息子に関する情報があまり入らなくなりました。

やはり、1対1の読本やグループセションなど、1年生の時に受けていた手厚いサポートがなくなったせい?

今思うに、新たな環境での不安や緊張で緘黙症状が後退しても、新担任たちにはそれが判らなかったんでしょう。クラスメート達は息子の緘黙症状に慣れていて、対処の仕方も判っているし、本人も困ったり、都合が悪かったりすることはなかったんじゃないかと。要するに、慣れですね。

学校にしてみたら、予算不足や人手不足があって、前年度かなり進歩した息子は「あまり問題のない子」とみなされていたような…。

また、息子は新学期のざわざわした雰囲気や友人関係の変化にも敏感に反応していたように思います。特に親しかった友達2人に対しても、少々引っ込み思案になっていました。(ちなみに、先学期にすごく進歩したのは、夏休み前の開放的な雰囲気も手伝っていたかと)。

新学期の忙しさのためか、SENCOや担任と話し合う機会があまり取れず、息子の状態が判らなくて段々とフラストレーションが溜まっていきました。現状が掴めないと、どう対策を立てていいかも判りません。

そこで、Knetの『資料No.5 場面緘黙児が自分の不安を把握するためにをやってみました。「学校の先生がどのくらい恐いか教えて」と、5段階評価で。

そうしたら、私が思っていたのとは随分違う評価だったのです。

超恐い(5)のは校長先生、かなり恐い(4)のは担任のE先生と1年の時に読本を1対1で教えてくれていたA先生、そして前担任のF先生。ええっ? 結構恐い(3)のはTAのS先生、ちょっとだけ恐い(2)はSENCOと担任のL先生…。

意外でした。A先生とは個室(カーテンで仕切った部屋)で普通に話せていたし、E先生にも必要事項は囁けます。

新担任に関しては、息子の安心度はE先生よりL先生の方が圧倒的に高いことが解り、ちょっと驚いたのでした。

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息子の緘黙・学童期6~7歳(その1)小学2年の心構え

早いもので3月も半ばを過ぎてしまいました。ロックダウン解除第一段階のイギリスでは、ここ3週間毎日の感染者数が5,000~6,000人と高止まり…。多くの地区で感染率が下がっているものの、改善がみられずリバウンド傾向の地区も。それでも、ワクチンのお陰で集中治療室の使用率はかなり減ってきたよう。

そこかしこの前庭で春の花がほころんでいます

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夏休み中に6歳になった息子は、小学2年生に進級しました。日本だと小学校に入学する年齢ですね。

今度の担任は女性2人のジョブシェア。2人とも小さな子どもがいて子育てが忙しく、保護者の評判はあまり芳しくありませんでした。噂では、2人の間の連絡がうまく取れていないとのこと…。

その上、予算の関係で1年生の時に受けていた主な支援が終了してしまったのです。TAとの1対1の読本セッションがなくなり、ASDの子ども達のためのソーシャルグループからも外されました。

小1でかなり緘黙が改善したのに、この学年で停滞してしまったらと不安に。「まだ幼くて自覚がない内に治してやりたい」という気持ちも強く、私からもっと積極的に先生たちに働きかけようと決心しました。

(息子は「緘黙」という言葉は知らなくても、自分が皆と違うことは幼稚園時代から解っていました。だから、自覚がない内にというのは無理だったんですが…)

新学期の初めに二人の担任に会いに行って息子の緘黙状態を説明し、対応と支援をお願いしました。そして、緘黙児の学校での様子が見られるDVDがついたSMiRAの本、『Silent Children(日本では、場面緘黙へのアプローチという題名で翻訳本が出ています)』を二人に貸したのです。

E先生とL先生は、その時「じゃあ、読んで勉強するわね」と笑顔で本を受け取ってくれました。

が、結果的に言うと、本は一読もされないまま、ずっと教室に付属する準備室の片隅に押しやられていたよう…。

どうしてそれが判ったかと言うと、Knetで『Silent Children』を翻訳することになり、2学期の終わりに返してもらいに行ったところ、

「えっ、どこ行ったかしら? 準備室にあるかもしれないから、探してみるわ」

という返事が返ってきたんです。

ガビ~ン! あのぉ、本を失くしてしまったかもしれないということ?!

結局、本は出てきたのですが、返してくれた時「読んだ」とも、内容についての言葉も全くなく…。まったく悪びれた様子もなく。

(どうもこの国では「本を貸す」は、「本をあげる」に近い傾向にあるような。頼まれて貸した本でも、催促しないと返って来ないことが多いです…)

この事件から得た教訓:

  • ただでさえ忙しい教師には、本や資料を読む時間がない(負担になるので、要求されない限り多くの資料は渡さない)
  • 学期が始まる前に、子どもの症状と対処法を簡潔にまとめたもの(A4の紙に箇条書きが良い)を提出する
  • 記録に残るようメールで送り、返事を確認・子どもの様子を随時確認する
  • 手渡しの場合はコピーを残し、 継続的に子どもの様子確認する

イギリスでは、何も言わなければ問題がないと思われることが多く、学校や教師によってはSEN(特別支援)リストに載っていても、それほど気にかけてもらえないことも。まあ、他にクラスで問題を起こす子がいれば、その対応で精いっぱいになってしまいますよね。大人しい緘黙児は問題をおこすことはまずないので、見過ごされてしまうことが多いかもしれません。

担任達に直接お願いに行っただけでなく、他にも何か息子を手助けできることはないものか? 今考えると図々しいですが、息子の緘黙のお陰で私もたくましく鍛えられていったのでした(笑)。

息子の緘黙・幼児期5~6歳(その24)小1の夏休み

イギリスではロックダウン解除の第一弾として、3月8日から全国で学校を再開(大学を除く)させました。ここのところ、毎日の感染者数は5,000~7,000人の間で高止まりしていて(イギリスにしては低いんですが…)、まだまだ安心できません。

感染拡大を防ぐため、各学校で週2回コロナ感染の簡易検査を行うことに。私の勤めている特別支援校では月・木曜日が検査日なのですが、私は両日とも授業がないので、検査キットをもらってきて自宅でしています。

2度とも陰性でひと安心

学校再開とともに、戸外で家族以外の人ひとりとコーヒーが飲むこともOKに。今までダメだったんですよ(;^_^A さっそく初日に友人の市民農園にポットを持ちこみ、ふたりでお茶したのでした。ちょっと肌寒かったけれど、誰かとお茶できるのがこんなに嬉しいとは…。

さて、息子の緘黙話の続きです。

夏休みの前半は、クラスの仲良しB君と再びサマークラブに参加。とってもありがたいことに、前の年にアルバイトで来ていた女子大生が、この年もまた来てくれていました。前年、彼女がこまめに声掛けしてくれたお陰で、ポツポツと言葉が出るようになったのです!(詳しくは『息子の緘黙・幼児期5~6歳(その2)社会的な機会を増やす』をご参照ください)

日本人の親友、T君は帰国してしまいましたが、今回は同じクラスの仲良しB君が一緒。さらに、この女子大生さんがいたので、けっこう楽しく過ごせたようでした。

迎えに行くと彼女が声をかけてくれ、その日の出来事をだいたい把握できました。やはり、自分からは自発的に動かないので(B君がやるとついていく感じ)、彼女が指示を出して色々やらせてくれていたよう。ありがたや。

やっぱり「慣れていて、心を許せる大人」がいることで、ずいぶん安心できたんだと思います。緘黙の知識があればそれに越したことはありませんが、自分のことを気にかけてくれている人が側にいるだけで、子どもの不安はぐっと減ります。

この夏休みには、学校で行われるサマークラブに参加するついでに、新しい教室に何度か行って慣れさせる計画も立てていました。休み前にSENCo(特別支援コーディネーター)にお願いしたら、「休み中でも教室は開いてるから、いつでも入れるわよ」との返事。

ところが、イザ教室に入ろうとしたら、ドアに鍵がかかっていたのです!

「やられた~!」と思いました。きっとSENCoはそこまで調べてなかったんでしょう。

学校だけじゃなくて、イギリスでは割とこういうことがよくあるんです…。

SENCoに文句をいう訳にもいかず、次からはきちんと最後まで詰めるようにしようと心に誓ったのでした。

T君が帰国してから初めての夏休みでしたが、後半は祖父母の家に泊まりに行ったりと、かなり落ち着いて過ごせました。

   

 今週は私の誕生日だったのですが、息子が花束を贈ってくれて大感激!

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その23)トランジションの支援

2月も今日で終わりですね。イギリスではやっと変異種の感染拡大がおさまってきて、ここ1週間は毎日の感染者数が1万人を切るように。今日は6,035人まで下がったのですが、なんと昨年の9月以来だそう。

3回目のロックダウン解除の第一弾として、来月8日から大学を除く学校を一斉に再開する予定です。リバウンドが心配なので、来週は感染者数がもっともっと下がるといいんですが。

 

 公園に咲き乱れる黄金色の水仙たち。春の陽気が希望を運んでくれます

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さて、久しぶりに息子の緘黙話の続きです。

2年生に進級するにあたり、小1・3学期のIEP(個人指導プラン Y1・ No2)には、「次に進むクラスの新しい担任たちと良い関係を築き、2年生にスムーズに移行する」というターゲットがありました(詳しくは『息子の緘黙・幼児期5~6歳(その18)』をご参照ください)。

緘黙児が進級したり、新しい学校に進学・転校する際は、トランジション(移行)の準備が大切になってきます。新たな学年・学校では環境が大きく変わるため、まずは子どもが安心して学校に行けることが重要。

抑制的な気質を持つ緘黙児は変化に弱く、新しい環境に慣れるまでに時間がかかります。どの子にとっても不安と期待が入り混じる時期ですが、繊細な緘黙児にとってはかなり試練の時?

新学期の前には長めの休みが入るため、学校環境から遠ざかることで不安が増すことが多いのです。4月入学制の日本では春休み、9月入学制のイギリスでは長い夏休みを挟むので、それまでの進歩が大きく後退したり、停滞したりするかもしれません。

反対に、スモールステップを積み重ねて自信をつけた子、自分を変えたい気持ちが強い子にとって、新たな環境は話し始める絶好のチャンス。新しいクラスの中で、より自分を出せるようになる子もいます。

幸いにも、息子の学校ではクラスは7年間持ち上がり。毎年担任だけが変わる制度で、クラスの顔ぶれがガラリと変わるような大きな変化はなし。それでも、休みの間に学校のことを忘れないよう、家庭でも色々な作戦を考えました。

学校の支援:

息子の学校では3学期(夏休み前)に次学年の担任を発表。クラス全員が早く新しい環境に馴染めるよう、新教室で新担任と交流する機会を作ってくれます。

2年生の担任は、女性教師2人がジョブシェアという形で担当。実は、彼女たちは幼稚園時代の親友T君のクラス担当だったので、あまり評判が良くないということは聞いていました。

(双方とも小さな子どもがいて忙しく、二人の間で密な情報交換ができていないと…。私から積極的にアプローチしないと、1年生のような手厚い支援は受けられないかもと心配でした)。

それでも、1年の担任に「囁き声だけど、新しい担任達にもしっかり返事ができています!」と言われた時には、ほっと胸をなでおろしました。

2006年7月にIEPの見直しが行われた結果、2つターゲットは達成できていました。

<2006年4~7月 IEP Y1・No2>

ターゲット1:TAと一緒にグループでのゲームに参加し、グループの子どもたちの前でTAに囁く

  • 達成目標:5回   ← 達成

ターゲット2:次に進むクラスの新しい担任たちと良い関係を築き、2年生にスムーズに移行する

  • 達成目標:新担任たちに囁き声で話せるようにし、自信をつけさせる ← 達成

家庭の支援:

  • 夏休みは再びB君と一緒に学校で行われるサマークラブに参加

少しでも学校環境を体験でき、同年代の子ども達と遊べる機会を作る

  • SENCOに頼んで夏休みでも教室に入れるよう許可をもらう

新しい教室で話す練習をする

  • 夏休み中に息子の誕生会れ)8月生を開き、クラスメートを招待
  • 休み中も、なるべくB君やS君らと遊ぶ機会を作る

クラスメートとの交流を継続させ、家でも話題にする

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その22)みんなの前で声が出た!

イギリスではロックダウン後に少し感染率が下がったものの、1万人を切ることなく反転!ロックダウン前はイングランド北部中心だったのが、今度は南西部で感染が拡大しています。

私が住むロンドンでも東部で感染が爆発し、他の地区へもじわじわと拡大している状態。ハンコック大臣によると、変異種が猛威を振るっているらしく、始まったばかりのワクチン接種が効くのかどうか…。

科学者や医療関係者の大反対にかかわらず、政府はクリスマス休暇の自由な移動を取り消さず…。個々の良識に任せるということで、もし感染したら自己責任?!

専門家や個人の間でも意見が分かれ、どうしたらいいのか迷ってしまいます…。義父母は来て欲しいというのですが、もし感染させたらと思うと不安だし…。

クリスマス飾りは出しましたが、あまりそういう気分になれないですね…

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さて、息子の緘黙話の続きです。

1年生の3学期からは、私と放課後の教室を訪問し始めたと同時に、仲良しのB君と学校の放課後クラブに週2回ほど行き始めました。

B君と一緒だったお陰で、嫌がることなく2時間ほどクラブで過ごせるように。常にB君にひっついていたようですが、トイレなど要求がある場合は、スタッフに囁いて伝えることができていました。

幼稚園時代の親友、S君は2学期の終わりに日本に帰国。その1年位前にも、入園前まで仲良しだった初めての日本人の友達が帰国…。仕方がないとはいえ、突然いなくなって全く会えないのは大人の私でも辛く、地元の友達ができてひと安心でした。

(どういう訳か、息子は同じクラスにいた日本人駐在員の子ども達とは、それほど親しくなりませんでした。タイプが全然違ってたせいだと思うのですが。それでも、S君にくっついて、彼のクラスの日本人の子ども達と遊んでいた時期もありました)

さて、3学期も終わりに近くなったころ、教室の庭(低学年クラスの教室は専用の庭付)で、クラスのお楽しみ会がありました。保護者も招かれ、ひとり一品食べ物を持参。私は提供されたリストの中から、ニンジンスティックを選びました(超簡単(;^_^A )。

好天に恵まれ、賑やかな雰囲気の中、子ども達は遊びまわり、大人は並んでおしゃべり。しばらくして、お待ちかねのおやつタイムがやってきました。子ども達は好きなお菓子や食べ物を取りに、我先にとテーブルに集まってきます。

息子も来たなと思ったら、

「それ、僕のマミーが持ってきたんだ!」

ニンジンスティックを手に取った子どもに向かって、息子がいきなりこう言ったのです!それも周囲に聞こえるような大きな声で。

心臓が飛び出るくらい驚いた半面、内心「やった~!」と興奮し、それを顔に出さないようにするのが大変でした。

周囲がガヤガヤしていたせいか、息子が大きな声を出したことに対してのリアクションは別になし。ほっ…。

そうしたら、隣にいたB君ママが「声が出たね」とにっこり。また、あとからTAがやって来て、「皆の前で、あんなに大きな声を出したのは初めてよ」と。

ちゃんと見ててくれてる人はいるんだなあと、また感激したのでした。

野外での賑やかで楽しい雰囲気、皆の中で目立たないことや、B君や私がいる気安さから、意識せずに声が出たんじゃないかなと思います。それにしても、ニンジンがバリアを超える力になるとは…。

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息子の緘黙・幼児期5~6歳(その21)しゃべれない親族

時間がビュンビュン過ぎて、11月も今日で終わりです。イギリスの二度目のロックダウンも明日で終わりですが、今日の感染者数は12,330人とまだまだ多い状況。今日、食料の買い出しに行ったら、クリスマスショッピングを抱えて歩いている人が大勢いて(オンラインで注文し、ショップで受取り可)、「こんな緩いロックダウンで大丈夫?」と心配になりました。

 

まだまだ頑張って咲いている前庭のメアリーローズ

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少し話が戻りますが、息子が緘黙になってから義両親宅に親族(私たち家族と義妹夫婦)が集まる際、息子は義妹夫婦(私から見て)と口がきけなくなりました。

2005年の春休みから、夏休み・クリスマス休みとそれが続き、彼らにとっては「自分たちには話さない甥っ子」となってしまった訳です。

最初はびっくりされましたが、そのうちに「しゃべらないのが普通」という概念が定着…。そればかりでなく、息子が彼らと視線を合わせるのを避けるようになったのが、母親としては辛かった…。

最も心を許せる存在だったグラニー(息子にとって祖母)とは、会って少し時間が経てば話せるようになるのです。厳格で近寄りづらい雰囲気のグランダディ(祖父)とは、滞在終盤になると片言の返事くらい。

皆で集まっている場で、彼らに聞こえないように私たち夫婦や義母にヒソヒソ耳打ちする息子。グラニーと話をしていても、他の人が入ってくると固まって口を閉じてしまうのです。知らない人が見たら、息子が話す人を選んでいるように見えたことでしょう。

2005年の夏休み前に場面緘黙ということが判明したので、親族には症状の説明をしました。返事をしなくても話しかけ、普通に接してくれるように頼みましたが、義父も義妹夫婦も自分たちを無視するような態度の息子に、いい気持ちはしなかったはず…。

こういう状況って、けっこう辛いですよね。せっかく親族が集まる機会に息子が水を差しているようで、申し訳なく思っていました。

当時はイギリスでもSelective Mutism という言葉は知られておらず、一般はもちろんのこと医師など専門家でも知識がない人が多かったのです。だから、息子の行動は謎だったことでしょう。

(義母が息子の症状を義伯母に話したところ、トリイ・ヘイデンさんの著書を紹介されました。まず『檻の中の子(Silent Boy)』を購入したのですが、けっこうショック(;^_^

その後、『幽霊のような子(Ghost Girl)』や『ヴィーナスという子(Beautiful Child)』等も読みましたが、作品中の緘黙児の背景にはASDや虐待といった複雑な問題が絡み合っています(詳しくは『トリイ・ヘイデンさんの緘黙治療法』をご参照ください)。緘黙児はそれぞれ違うので、自分の子をよく観察した上で適切なスモールステップを考案する必要があると思います)

ラッキーなことに、息子は1年後の春休みから少しずつ親戚と話せるようになりました。学校で囁き声で話せる人の輪が広がっていった時期と重なります。この頃から、親戚での息子の評価は「恥ずかしがり屋」くらいになったかな?

あと、このブログの冒頭にある場面緘黙のドキュメンタリー動画『うちの子は話さない』に登場する8歳のレッドちゃんは、祖父と話す取り組みをしています。孫娘の症状を理解し、どうにか声を聞きたい、いい関係を築いていきたいと望む祖父。その期待に応えてレッドちゃんも懸命にスモールステップに取り組むのですが…。

結論からいうと、レッドちゃんはその後も祖父と話すことができていません(詳しくは『10年後のレッド』をご参照ください)。そして、今後も祖父に口をきくことはないだろうと…。あの時に頑張りすぎて、それが反ってトラウマになってしまったのかも。

頑張って話そうとするのも、自意識過剰につながって心理的にあまり良くないのかもしれません。さじ加減が難しいですね。

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イギリスでは先週土曜日の深夜に冬時間に切り替わり、4時半ころになるともう日暮れ。寒くて暗くて長~い冬への助走が始まりました。今週はハーフタームで1週間学校が休みなんですが、コロナ感染拡大のせいでロンドンでは家族以外の人と室内で会うことは禁止…。変わりやすい天候が続く中、日が差して来たら友達や主人を誘って近所の公園に散歩に行きます。

  

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さて、息子の緘黙記の続きです。

何とか囁き声から普通の声に移行できないものか--私が関与して学校で何か取り組みができないものかと色々考えました。そして、図々しいかなと思いつつも、担任に頼み込んで1年生の3学期から放課後の教室に入る許可をもらいました。

ただ、イギリスの教師にとって放課後は翌日の授業やイベントの準備をしたり、担当する職務等に関わったりする貴重な時間。教師によっては、週1回ほど保護者から相談を受ける日を設ける人もいますが、当時息子の担任はすごく多忙な方でした。なので、息子が緘黙を克服できるようスモールステップに関わって欲しいとは言い出せなかったのです。

ちなみに、運がいいとTAが積極的に緘黙克服のサポートをしてくれる学校もありますが、サポートは仕事の一部。放課後ではなく授業中に行われることが殆どです。SLT(言語療法士)や心理士などの専門家が学校に来る時でも、授業中に子どもを呼び出して別の小部屋でセッションをするのです。

息子の小学校では、放課後30分位なら校庭で遊ぶことが可能でした。インファント(幼児部 レセプションクラス~2年生)の間は保護者の送り迎えが必須なので、放課後の校庭は保護者と子どもたちでごったがえします。

友達を家に招いたり、招かれたりした日、またクラスが違う幼稚園時代の親友T君と校庭で遊ぶ時を避け、なるべく目立たない様に息子を呼んで、二人でこっそり校舎の中へ。

息子に教室まで案内してもらい、まずは飾ってあるポスターや図工の作品・絵を見たり、置いてある本やポスターについて質問したり。

「うわぁ、これ凄いね。今日作ったの?」「これは何?」

息子が会話の主導権を握れるよう、わざと知らないふり、判らないふりをしつつ言葉を引き出すようにしていました。

はじめは誰か入ってこないか気にして口の中でボソボソ。でも、だんだん慣れてくると体がリラックスしてくるのが判ります。そうすると、声も大きくなって普通の声で話すようになるというパターンでした。時間はだいたい15~20分位でしょうか。

私以外の人と話すわけではありませんが、「自分は教室の中でも普通に話せる」という自信を持たせたい、というのが狙いでした。

ただ、ガランとした教室で二人きりなので、それほど話は盛り上がりません。今考えれば、声を出して本読みとかすればよかったのかもしれませんが、遊び感覚・冒険感覚が大事だと思い、座ってじっくり何かに取り組むことはしませんでした。

ただ、この頃息子はビデオカメラを操作することが好きだったので、担任の許可を得てカメラを持ち込んでみたら、息子がもっとリラックスできることが判明。特別に何を撮影するという感じではなかったのですが…。

自分が被写体ではなく、撮る側(主導権を握る側)であること、カメラを持っていることが、安心材料の様でした。自分がコントロールできる立場にいたい、という緘黙児は多いと思います。

放課後の教室訪問は、だいたい週に2回くらいのペースで続けました。かなり慣れてきたところで、友達のB君にも参加してもらうと、私と二人の時よりずっと話が弾みました。ふざけて笑いあう二人を見て、ほっとしたのを覚えています。

この試みが実際にどんな効果を発揮したのか、学校でのコミュニケーションや不安の軽減、囁き越えからの脱出に役だったのかどうかは定かではありません。それでも、「教室の中で話している自分」のイメージを自分の中で少しずつ定着させることができたのでは、と思っています。

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早いもので、10月ももう後半ですね。イギリスでは雨や曇り空の日が続く中、新型コロナの感染がどんどん拡大しています…。今月末には冬時間に切り替わるため、日照時間が極端に短くなって暗い日々が続くのに、今のところ明るいニュースが全く見当たりません。それでも、深まる秋の美しい風景を楽しまないとですね。

 

住宅街を通って学校に行く途中、家々の前庭の花や植物が目を楽しませてくれます

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2006年3月には、初めてSMiRA定例会(保護者会)に親子で参加しました。当時は定例会の会場に緘黙児や兄弟姉妹が参加できる託児所が設けられ、SMiRAコミッティーのメンバーが様々な活動を準備してくれていたのです。

計画では、私は最初から講演会に参加し、主人は息子に付き添ってまず託児所へ。息子がひとりでも大丈夫そうだったら、主人も講演会に参加する予定でした。

当日は、SMiRAの拠点であるレスターまで車で北上。会場は大きな教会のホールで、緘黙児と保護者の他、学校関係者(TA他)やSLT(言語聴覚士)など70名ほどの方が参加していたように記憶しています。初めてだったので、私自身もすごく緊張していました。

肝心の講演の内容はよく覚えていないのですが(;^_^、気になったのは息子がどうしているのか。主人はいつまで経っても講演会場に現れず、ランチブレークになっても二人の姿が見つからない!どこに行っちゃったの?!

不安になってきた頃、二人が外から会場に戻ってきました。

「どうしたの?」

「参加するのが嫌だっていうから、近所を探索してたんだよ」

「え~っ、そうだったの…」

親子でバイキング式のランチを食べ、結局二人は午後からも時間を潰しに外に出て行ってしまいました。

確かに、息子は全く知らない子たちの中に入って活動することは大の苦手。でも、しぶとく会場に残っていたら、少しは場に慣れて、何か自分の気に入った遊びができていたかもしれません…。

私だったら、息子が嫌がっても一定の時間はしぶとく居座るんですが、主人は粘っても無駄とすぐ諦めるタイプ。きっと自分も居心地が悪くて、すぐに場を外してしまったものと推測できました。

(ちなみに、夫婦の子育てスタイルが違うのは良くないと、後に心理士さんに指摘されたことも)

スモールステップに挑む際は、子どもと伴走者の間での微妙な駆け引きがあります。背中を押すタイミングや言葉をかけるタイミングがとても重要。例え失敗しても、「ここまでできた。次は頑張ろう」と子どもが肯定的な気持ちになれることが大切だと思います。

この定例会では、お隣に座っていた保護者の方と少しお話ができた程度。もっともっと、情報交換したかったのですが、何せ私も元恥ずかしがり屋。でも、講演された『SM リソースマニュアル』の共著者、アリソン・ウィンジェットさんとトイレで偶然出会い、「頑張って」と声をかけていただいて嬉しかった覚えが…。

毎日子どもと向き合い、学校や子どもの友人関係で悩んでいるうちに、保護者も疲弊してきます。あまり進歩がなかったり、後退してしまったりとガッカリすることも多いかもしれません。一人で抱え込まずに、同じ悩みを抱える誰かと情報を共有できたらいいですよね。

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