前回の投稿が元旦だったのですが、今日はもう2月14日バレンタインデーです!1月は締切が複数重なって、すっかりブログを怠けてしまいました。その間に、早春の花がそこかしこで咲き始めています。ちなみに、イギリスのバレンタインデーは男性から女性に花やチョコを送る日で、花屋さんもスーパーの花売り場も赤いバラだらけ。主人には「青いヒヤシンスが入った春の花束がいい」と念をおしておいたんですが、くれたのは何とヒヤシンスの鉢植え…相変わらずです。
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さて、SM H.E.L.P.2024年10月サミットの続きです。
ケリー・ハドック博士(Dr. Kerry Haddock )は、学校やグループ診療所で神経心理学的評価の経験を積み、現在はニューヨークで診療所を経営する公認心理学者です。専門は不安障害や強迫性障害(OCD)など、慢性的なメンタルヘルスの問題を抱えるティーンや成人。この対談では社会不安障害(Social Anxiety Disorder: SAD)について話しています。
社会不安障害(Social Anxiety Disorder: SAD)とは?
社会不安障害は社会恐怖症とも呼ばれ、人前で注目が集まるような場面で強い不安や恐怖を感じる不安障害のひとつ。恥をかいたり失敗したりすること、人の目や人の評価を過度に恐れ、そのような状況を避けたり、苦痛を感じながら耐え忍んだりします。
シャイネスと社会不安障害との違い
同じ様な症状に見えますが、社会不安障害は上記の様な状況が6ヶ月以上続き、毎日の生活や学業・就労に支障をきたしている状態です。
何故社会不安障害を発症するのか?
脳内の神経伝達物質であるセロトニンなどのバランスが乱れ、不安を誘発することが考えられます。恐怖や不安に関与する脳内の扁桃体が過敏になって刺激に反応しやすくなり、少しの不安や恐怖でも強い身体症状が起きてしまうように。遺伝的要因や環境的要因など、様々な要因が絡んでいると考えられています。
場面緘黙と社会不安障害
緘黙児の90%が社会不安障害を併発していると言われ、場面緘黙は社会不安障害の一部と考える研究者もいます。慢性的なものと考えられていますが、対処・克服することは可能です。
子どもは3歳頃から周囲との関係を意識し始め、4歳頃から友人関係を築き始めます。しかしこの年齢では、まだ自分の感情を客観的に把握することはできません。
一方で、保護者は子どもに現れる身体症状や睡眠の問題、分離不安などから、子どもの変化や他の子どもとの違いに気づくはずです。
社会不安障害の治療方法は、認知行動療法(CBT)を使って、それぞれの心配事への対処スキルを身につけること。エクスポージャー法を使ってスモールステップで不安に対峙し、少しずつ自信をつけていきます。
保護者はセラピーに積極的に参加し、不安になることは恥ずかしいことではないと子どもに告げてください。子どもの不安障害と向き合う上で保護者が注意すべきことは、自分達が不安になったり、過保護になりすぎないようにすること。
遺伝的に保護者は心配性の傾向が強いかもしれません。従って、保護者も自身のケアをすることを忘れないでください。その意味で、保護者同士が話せる場所を見つけることが大切といえます。
なお、不安障害は新しい学校への移行など、強いストレスを受ける時に再発する可能性があるため注意が必要です。
みく注:この対談の中では場面緘黙と社会不安障害を併発している場合、どの様に見分け、どの様な注意・治療が必要なのかは語られませんでした。でも、場面緘黙の治療も認知行動療法(CBT)やエクスポージャー法が主軸です。社会的な場面でスモールステップを積み重ねていくので、治療法が重なる部分が多いかもしれません。
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