息子の緘黙・学童期 6~7歳(その18)2年生1学期のIEPの評価

学校の春休みが終わって、最終学期が始まりました。5月中旬からGCSE(General Certificate of Secondary Education 国家試験)が始まり、私の生徒2人も日本語の試験を受ける予定です。が、大事なこの時期に生徒の一人は病院の受診でたて続けに欠席…😢 でも、仕方ない。祝日も続くし、天候も回復してきたし、「なるようにしかならないさ」と自分にいいきかせています。

     今年もイギリスの春の風物詩、ブルーベルの青い絨毯を見ることができました。野生と園芸用(右)では花姿が異なり、色はピンクと白も

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さて、2年生では1学期も終りに近い11月に最初のIEP(個別指導プラン)が作成されました(詳しくは『息子の緘黙・学童期6~7歳(その3)2年生1学期の指導プラン』をご参照ください)。その見直しと評価が行われたのは2学期の終わり(3月末)のこと。

2006年11月からのIEP (2年生No1)

ターゲット1: 大人に聞こえるよう、もっと大きな声で話す

  • 達成目標:異なる小グループ活動で3回
  • リソース/ テクニック:小グループでのディスカッション
  • 作戦:聞き手を意識して、より明確に、人に聞こえるように話すよう促す
  • 担任とTAへの提案:グループ内で発言するよう促したり、テープレコーダーを使ってみる(これは一度も試されなかった)

評価:大きな声を出すことに抵抗がなくなってきている。母親の報告によると、以前よりも積極的になってきたということ。

ターゲット2: 大人に聞こえる場所で、友達と小グループでゲーム遊びをする

  • 達成目標:5回
  • リソース&テクニック:ロール(役割)プレイ、ドラマ、小グループでのディスカッションやゲーム
  • 作戦: 仲のいい友達といっしょに座らせ、安心して話す自信がでてくるまで待つ。参加できたら褒める。
  • 担任とTAへの提案:小グループでロールプレイを使い自信を持たせていく。トライできたら肯定的なフィードバックを返す。

評価:ゲームをしている時、大人が聞いていても気にせず話せるようになった。もう問題ではない。

彼は新しい友人関係を築きつつあり、自信を持ち始めている。話す機会や話題が増えてきて徐々に進歩しており、スタッフ一同大変うれしく思っている。

次学年への移行について:

母親がジュニアスクール(別校舎で別組織)への移行について心配していたため、彼女が安心できるよう移行について説明し、問題のないことを話した。もし必要が出てきた場合は、CHAMS (Child and Adolescent Mental Health Services 児童&青少年メンタルヘルスサービス) へもGP (主治医) を通してアクセルできることを説明した。

IEPミーティングに参加して(担任のE先生、SENCo (特別支援コーディネーター) と私)、なんとなく担任の熱意が見られないなと…。う~ん、今までの担任達と違って、どうも距離をおかれていつような気がする…。

小さい子どもがいるため、ジョブシェアで息子のクラスを担当していたE先生とL先生。実は保護者間では、二人の間の連絡が上手くいっていないんじゃないかと不満が出ていました。

息子のIEPを実行しているのは、担任達ではなくASDのクラスメイトに着いていたTAでした。というのも、息子はこのTAが担当する小グループに入れてもらっていたので。彼女は1年の時に1対1で息子の読本を見てくれた女性で、息子の緘黙や教室での様子も良く知っていました。

どうも、IEPの評価やレポートはこのTAからの報告だけで書いたのではないか?という疑問が…。担任達がどれほど息子に関わってくれているのかは不明で、「ちゃんと緘黙を理解してくれているのかな?」という不安が常にありました。以前のように、担任と保護者がタッグを組んで取り組んでいる、という雰囲気はナシ。

L先生は放課後の教室活動に関わってはくれていたものの、私がやろうとしているスモールステップに関して、質問やアイデアを出してくることも全くなく、あまりピンと来ていないような…。

このIEPミーテンングの後、担任の関心の薄さが判明したのでした(詳しくは『息子の緘黙・学童期6~7歳(その5)持ってる先生と持ってない先生』をご参照ください)。

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息子の緘黙・学童期 6~7歳(その17)自意識過剰と気おくれ

春休みもついに最終週になってしまいました。イギリスでは相変わらず雨模様の肌寒い天気ですが、今日は一日快晴の予報。先週は同じく一日中快晴だった貴重な日に、少し遠くの公園まで行ってきました。

    北ロンドンにあるTrent Park、遅咲きの水仙が風に踊る『水仙の路』やオベリスク、湖などがあって、カフェのサラダが本格的でびっくり

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さて、息子の緘黙話の続きです。

2年生になってから一時的な後退・停滞はありましたが、教室でも徐々に話せる人の範囲が広がってきた息子。春休み明けには「学校に行くのイヤ !」と2日ほど涙を流したものの、ちゃんと登校できました。

長い休みのあとは、すんなりと学校や教室の日常に戻るのが難しいんですよね…。再び学校の環境に身体と心を馴染ませる必要があって、精神的にも大変なんだなと。だから学校に行くのを渋ったり、疲れて機嫌が悪くなったりしても仕方がないことだったのかも。

だからこそ、長い休み中にはクラスメイトと遊ばせるようにはしてたんですが…。

新学期の始めは、学校に近づくにつれて息子の身体が緊張で固まって無口になるのが判るんです。知り合いに声をかけられてもロクに返事ができず、私の手をギュっと握ったりして…。その緊張感は日が経つにつれてほぐれていくのですが…(イギリスでは小2(6~7歳)まで学校の送り迎えが必要です)。

息子はほとんど病気になったことがなく、ラッキーなことに体調不良で学校を休んだことはありませんでした。そもそも、学校を休んではいけないという気持ちが、とても強かったと思います。

緘黙児は基本的に目立つことを嫌うので、毎日同じように行動することが安心につながるよう。学校を休むと目立つし、何か言われるかもしれないという自意識と常に戦っているんですね。

息子がなにをしようが、自分が考えているほど注目されることはないはず。でも、どうしても自意識過剰になってしまい、かえって悪目立ちしてしまうような(^^;

(緘黙だけが理由で不登校になることはないと思うので、もし子どもが強い登校拒否になった場合は、他に理由がありそう。例えば、友達や先生に何か言われた・されたとか、何らかの変化があったとか。そういう時のためにも、担任と密に連絡を取り合えるといいですよね)

抑制的な気質の子どもは、新しいことに挑戦するのが苦手です。また、新しい環境に慣れるのに時間がかかるため、他の子よりテンポが遅れがち(^^;

息子の場合、それは新学期や新学年の始まりだけでなく、普段の学校生活の中で起こることでした。

保護者ヘルプで何度か息子のクラスの行事に付き添った際、即行動できなかったり、気おくれしてしまっている場面に何度も出くわしました。親としては歯がゆいですよね。

例えば、クラスで地下鉄に乗って出かけた時、地下鉄に乗るまでは大人の誘導通り普通にできる訳です。でも、他の子ども達が競って席を取り合う傍ら、息子は突っ立っているだけ。完全に乗り遅れてる…(^^;

みんなが一斉に行動する空気感に飲まれちゃう感じかな?!

先生が「〇〇を取りにおいで!」と声をかけると、みんな我先にと取りに行くのに、息子は引いてしまう。ビビっている間になくなってしまい、結局もらえなかったという体験も多くて。帰宅してから「僕だけもらえなかった」と、ひとり傷ついているのでした。

ひとりっ子なので、家で競争することがないせいもあったのかもしれません。

20歳を過ぎた今はそうかというと、必要ならささっと動ける様にはなっているようです。

実は、私も来週から学校に行くのが嫌なんですよね…(;^_^A

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あっという間にもう4月。日本では桜の開花が例年よりずいぶん早かったようですね。3月末に2度目の来日を果たした元生徒さんから、散りゆく東京の桜の画像が送られてきました。イギリスでは雨模様の寒い気候が続き、今日も花曇りです。  

  イギリス中部にある義両親宅の庭と室内から。

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息子がまだ6歳だった16年前(もうそんなに経った?!)のこの季節。私たち家族は学校の春休みを利用して、久々に日本に帰国していました。

当時の記録によると、セントレア空港から岐阜県の田舎にある実家にたどり着いた日の夜、息子が話したのは英語のみ。でも、翌日からすぐじぃじとばぁばに懐き、日本語で話すように。毎日TVを観ていたせいか、ものすごい勢いで語彙が増えてビックリ。

3月31日には父の誕生日をみんなで祝ったり、くるくる寿司に行ったり。畑仕事をする父のそばにくっついて昆虫を捕ったり、小川をせき止めて遊んだりもしました。息子のことを知っている人は皆無だし、実家は息子にとってとても安心できる環境だったんだと思います。

しばらく実家に滞在したあと息子と主人は2日ほど私の友人宅に泊まり、そのあと兄一家を訪ねて神奈川へ。憧れていた新幹線に乗って大興奮し、日本のハンバーグの大ファンに。ただ、初めて会った兄一家には、最初はほとんど口がきけませんでした。

大丈夫かな?

でも、やはり親族だからなのか、慣れるにつれて話せるように。特に、年が離れた2人の従姉にはすぐ懐き、色々と世話を焼いてもらっていました(昔から若い女性に甘えるのは得意)。マクドやコンビニでお弁当を買って、公園で満開の桜を見ながらピクニックを満喫。兄夫婦に息子が場面緘黙であることは伝えておらず、普通に「大人しい子」という印象を受けたよう。

イギリスに戻ってきたあと、初めて日本の祖父母と電話で話すことができました。父が「初めてだな」と感激していたことが今でも忘れられません。

そして、5月のハーフターム休み(学期の真ん中にある1週間の休み)には主人の実家へ。いつもの様にグラニー(祖母)とはすぐに打ち解けておしゃべりする一方、厳格そうなグランダディ(祖父)には近づこうとしません。

それでも時間の経過とともに慣れてきて、最終的にはそれまでになく自然な感じで話せるように。もたれかかって本を読んでもらう姿を見て、感激もひとしお。やっぱりスモールステップもだけど、旅行など社会的な体験の経験値を上げていくことも緘黙の改善に繋がるのではと思います。

義両親には息子の緘黙のことは初めから伝えてありました。でも、義母は「最近では、なんでも病気にして症状名をつけたがる傾向がある」と否定的。配慮などせずに普通に接していればいい、という考え方なのです(今でもそれは変わっていないよう)。

この滞在では、小さな進歩がいろいろ見られました。

みんながいる居間で宿題の読本をやらせようとしたところ、息子はしりごみ。が、側で見ていた義母は「〇〇が本を読むところを聞いたことがないわね。読めないの?」と、挑戦させようとするのです(^^; もちろん、息子は後で私に「絶対読むのイヤ!」とゴネました。

でも、翌日「今日は知らん顔して他のことをしていてください」と、あらかじめ義両親にお願い。部屋の片隅に息子を連れて行き、ちょっとプッシュしてみたら、小さな声で読むことができました。また、遊びに来た叔父と従弟に応答し、彼らの前で初めてコルネットを吹くこともできたのです(これは人数的に味方が多かったためと、自慢したかったため?)

そんな息子を見て、義母は「ほら、成長したから治ったわよ」と。

「それは違います。この子は絶え間なく努力を続けているんです」

そう説明したものの、どうもきちんとは理解されていないようでした…。でも、気にしない、気にしない。

ちなみに、ヴィレッジフェア(村のお祭り)では誰かと積極的に話すことはありませんでしたが、周りに聞こえていても私とはずっと日本語で会話。日本語なら言っていることが解らないので、息子にとっては隠れ蓑だったんですね。

「緘黙児は人に話しているところを見られるのが怖い」といわれますが、息子の場合は「言われていることを理解されるのが嫌」?! なかなか複雑ですね(;^_^A

実は先月末に義父の葬儀をすませ、息子の祖父母の中で残っているのはグラニーのみとなってしまいました…。淋しいばかりですが、できる時にできることを。できる時に、できるだけその時間を楽しむしかないですね。

音楽家の坂本龍一氏が他界したのは、義父のお葬式の日でした。あいにくの雨で、「空が泣いている」と言っていたのですが…。ご冥福をお祈りいたします。

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