息子の緘黙・幼児期5~6歳 (その7)1学期の個別指導プラン

どんよりと曇った日が続く中、ちょっと晴れ間が出たので久しぶりにハイゲートの森の向かい側にあるQueen’s Woodに行ってきました。枯葉の間から色々な茸がニョキニョキ生えていて、冬に向かう森の生態系を感じることができました。

   

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前の記事で「学校の支援が最も手厚かったのが小学校1年生」と書きましたが、それだけ問題児だったということなのかも(^^;)

小学校では7年間ずーっと同じクラスだったためか、男子ママ友(7人のグループ)の団結は強く、今でも年に複数回集まる仲。先日も集まって昔話に花を咲かせていたら、教師をしているひとりが「あのクラス、担任泣かせだったと思う」と…。

それまで、「いいクラスだった」という意見で一致していたので、「どうして?」とみんなビックリ。

「だって、中等部になって落ち着いたけど結構暴れるASD児(Z君)がひとり、学習障害の女の子がひとり、何にも言わない子が二人(F君とうちの息子。最初は緘動もありました…)。途中で摂食障害になった子もいたし。その上、日本からの編入性(駐在員のお子さん)も多かったしね」

およよ…そういわれると、その通りですね。担任の先生方、当時は本当にお世話になりました。

さて、初めて担任が変わったこともあり、1年生の1学期は前年度のIEP(個別指導プラン)を継続。その内容は下記のようなものでした(通常IEPは1学期に1回更新します)。

2005年6月~10月までのIEP(Individual Educational Plan)

ターゲット1:学校内でひと言、もしくはジェスチャーやサインで自分の意思を伝える

  • 達成目標:10回以上
  • リソース&テクニック:はい/ いいえ の二者選択のQ&A/ 絵本/ 絵カードなど
  • 作戦: 簡単な答えを誘導するリソースを使用
  • 担任とTAへの提案:どのような形のコミュニケーションも奨励する

ターゲット2:自発的なコミュニケーションを促す

  • 達成目標:?回(タイプミスか数字ナシ)
  • リソース&テクニック:好きな玩具、興味のあるもの、ジェスチャー
  • 作戦:話しかけ、なんらかの返事を奨励する
  • 担任とTAへの提案:できたら必ず言葉をかけ、さらに後押しする

ターゲット3:大人+子ども数人による小グループで、インタラクティブなゲームを行う

  • 達成目標:8回
  • リソース&テクニック:小グループ活動/ ボールゲーム/ パラシュートゲーム/ 順番にできる活動/ 人形を使ったロールプレイ/ 「話す+聞く」ゲームなど
  • 作戦:SENCoが行う社会的スキル習得のための小グループ活動に毎週参加させる。
  • 担任とTAへの提案: 小グループで「話す+ 聞く」ゲームや順番に行うゲームを行う

このプランの作成時まだ場面緘黙は診断されておらず、SENCo(特別支援教育コーディネーター)と担任が息子の状態を見ながら計画したもの。レセプションクラス時代はまだ専門家が支援に加わっていなかったため、学校内のスタッフだけで支援するSchool Actionというカテゴリーになっています(現在は法律が変わり、IEPを作成しない学校もあるよう)。

一番最初のIEP(『息子の緘黙・幼児期4~5歳(その13)学校での取り組み』をご参照ください)と比べると、徐々にターゲットをステップアップさせていることが判ります。

ところで、イギリスの小学校は校長(公募制)の方針によって校風や校則が随分違います。幸いなことに、息子の学校ではインクルージブ教育に力を入れていました。そのため、ASDを主に様々なSEN(特別支援のニーズ)のある子どもを積極的に受け入れていたのです。

障害の深刻さが認定されると、地区の教育委員会から学校に補助金が下ります(残念ながらSMだけでは無理)。そのため、他校よりTAが多く、設備も支援も整っていたと思います。ASD児が多かったせいで社会性を促すプログラムもあり、息子とF君もその中に加えてもらうことができました。

また、クラスのASD児、Z君に専用のTAがついていたので、Z君のグループに入れてもらい目を配ってもらえました。今考えると、すごくラッキーだったなと思います。

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