急ぎ足の3月

もう3月も半ばを過ぎてしまいましたね。なんだか「今年は特に時間が過ぎるのが早いなあ」と思っていたら、先週15歳の生徒さんからも同じセリフが…。こんな若い子が同じ感覚?! きっと加速度は私の方が数倍大きいんでしょうけど。

もうラッパ水仙が咲き始めていますが、今週末はまた雪が積もりました!

今月に入って、どういう訳かエージェントの方の仕事で問題が続き、ストレスいっぱい。そんな中、誕生日がやってきて、続いて母の日が過ぎていきました。気分を変えようと、誕生日の午後は、友達とギャラリーに行き、夕方もうひとりの友だちとドリンクして、夜は家族とコベントガーデンで晩御飯。でも、同じレストランの違う支店に行ってしまい、落ち合えるまで雨の中を歩き回ったという…。

花は誕生日前日に自分で購入。夫と息子からは当日チョコレートとカードが

       午前中に授業を終え、Hayward Galleryでまずアンドレアス・グルスキーの写真展を鑑賞

  

小雨が降る中、テムズ河岸で砂の彫刻を制作する人が

      Tate Galleryで始まったばかりのピカソ展。50歳だった1932年の作品群と同年の個展の出店作(青の時代を含む)が集められていました。1週間で複数の作品を仕上げる、その情熱とエネルギーは圧倒的

Mothering Sundayと呼ばれるイギリスの母の日は、復活祭の3週間前の日曜日(今年は3月11日)に当ります。毎年日付が違うのですが、最近ではスーパーに母の日コーナー(花束やギフト)が設けられようになり、「あっ、そうだった」と気づくのです(ちなみに、イギリスではカーネーションを贈る習慣は全くありません)。

 

といっても、うちの家族はイベントや記念日が嫌いで、放っておくと何も起こりません。だから、いつも私が事前に計画を立てているという…。で、先週の日曜日は乗り気でない家族を引き連れて、ケントにあるナショナルトラスト所有のノールハウス(Knole House)に行ってきました。

(息子が小さい頃、祖父母からナショナルトラストの生涯会員カードを贈られ、2人分の入場料は無料なんです。このメンバー料金は年々上昇し続けていて、今や24万円くらい!息子も成長して一緒に行動する機会が減ってきたので、今のうちに彼のカードを最大限利用したいと思っている母なのでした)

        15世紀にカンタベリー大司教、トーマス・ブーシェの住まいとして造られたノール邸。正面に見えるのはゲートハウスですが、四方が建物でぐるりと囲まれ、中にも建物があります

ノールハウスは、昨年夏に訪れたシシングハースト城&庭園(『ケント&東サセックス州のコテッジホリデー(その5)』をご参照ください)の持ち主、詩人で作家のヴィタ・サックヴィル=ウェストの生家。サックヴィル男爵家の一人娘だったヴィタはこの英国最大の邸宅をこよなく愛しましたが、男系子孫という相続条件により、父親の死後に継承を許されませんでした。(ちなみに、ヴァージニア・ウルフの小説『オーランド』の主人公が住む家は、この邸宅がモデルにしているそう)

      1,000エーカー(4km2)の広大な緑地公園には狩猟用のディアパークも。現在でもダマシカや日本シカが500頭ほど生息

そのため、シシングハーストにノール邸を再現しようとしたといわれています。でも、ヴィタの美意識や郷愁がそこかしこに感じられるロマンティックなシシングハーストの方が好み、という人は多いのではないでしょうか?

オランジェリーから見た中庭の風景とクラシックなストーブ

ヴィタによれば、英国最大の邸宅ノール邸は「カレンダー・ハウス」と呼ばれていたそう。1週間を象徴する7つの中庭、1年の週数を象徴する52の階段、そして日数を象徴する365室の部屋――「でも、それを誰か確かめた人がいるかは知らないわ」という言葉を残しています。

中庭には大司教が15世紀に建てたというブーシュ・タワーが

実際には、365室には足りないそうですが、1,000エーカー(4km2)という広大な森林公園に囲まれたカントリーハウスは、一家族が住むには巨大すぎるサイズ。人件費、光熱費、食費だけでもとんでもない金額だったんだろうなと、庶民の私は想像してしまいます。

季節外れだから混み合わずゆっくり観れると踏んで出かけたんですが、実は3月末まで本館の方は修復作業をしていて、見学不可でした~!ちゃんと調べずに出かけたので、拝観料が£3.50(約520円)と言われるまで気づかなかったという…。結局、内観はゲートハウス内しか見学できなかったのですが、興味があるのがヴィタの時代なので、ボランティアの係員さんの説明がきけて面白かったです。

     1930年代には、作家や芸術家などが集ったそう。ゲートハウス内の内装はその当時を再現

ヴィタの従弟で、作家&音楽評論家だった5代目男爵、エドワード・サックヴィル=ウェストが1926~1940年に住んでいた寝室等も公開。でも、写真撮影はXでした。彼もゲイだったそうですが結構だらしなかったらしく、ヴィタはエディの暮らしぶりや服装に批判的だったとか。

公園内は無料のためか、天気がすぐれないのに家族連れで大賑わい。ディアパークのシカ達は、かなり近づいても全く逃げようとせず、随分人馴れしてました。カフェでランチをしたらここもいっぱいで、早めに帰宅することに。

ショップ内には今月末にやってくる復活祭のチョコがいっぱい

3月頭に予定されていたSMiRAの定例会は、雪のため4月21日に延期になりました。今月に入ってから2回も寒波に襲われ、春が行ったり来たりという感じです。