クリスマスの憂鬱

12月の日々はあっという間に過ぎて、今日は既にクリスマスイヴです。今年のクリスマスは義妹家族とは合流せず、義両親の家で静かに過ごすことになりました。主人は今日まで仕事だったため、明日、クリスマスの早朝に車で高速を飛ばして行く予定です。殆どの人は今晩までに移動を済ませていることと推測してるんですが、なるべく早く出発しないとダメかな…。

IMG_7431イギリスのクリスマスで何が大変かというと、クリスマスを一緒に過ごす家族や親族や友だちに対して、ひとりひとりにしっかり贈りものを準備しなくてはならないことです…。日本だと、クリスマスって子どもと若いカップルが祝う日みたいになってますが、イギリスでは大人・子どもに関係なく、プレゼント交換は必須。

うちの場合、本命プレゼント+おまけプレゼント(チョコやお菓子、ちょっとした小物など)の各自2個以上ずつ。毎年、毎年、何を買えばいいのかすご~く悩み、街や大型ショッピングセンターを何時間も行ったり・来たりすることになるのです。プレゼントを買うのはいつも私の役目――主人に任せると最後までやらないので、めっちゃ焦って大混雑するショップを巡るハメに…。ネットで注文すればいいんですが、グズグズしているうちにデリバリー期限が過ぎちゃうんですよね~。で、それらを梱包するのに、また時間がかかるのです。

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今年もまたショッピングセンター巡り…

例年は、一番大きく部屋数が多い義妹夫婦宅に集結するんですが、それぞれの家族が持参したプレゼントをクリスマスツリーの根本に積むと、本当に壮観(義妹夫婦は友人たちとも贈りものを交換し合うのですごい数です)。ラッピングにも趣向を凝らしたプレゼントの山を見て、毎年すごいなあとため息をつくのでした。

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ミンスパイとカフェオレでちょっと休憩

でも、でも、もらって嬉しいものって、なかなかナイんですよね――ラッピングペーパーのゴミだけで、黒いゴミ袋2つ分…。各自一個だけ好きなものをもらえたら、嬉しくて楽でいいのになあ…。

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今年のラッピングはこれ

もうひとつ憂鬱なのは、どうも私が料理長になりそうなこと…クリスマスくらい誰かに作ってもらったものが食べたい!と思うんですが、義両親は熱心なキリスト教信者なので、イヴの夜もクリスマスの朝もしっかり教会に行く予定なんです。日本のお正月と同様、イギリスのクリスマスは家族団らんのイベント。公共交通機関はストップし、レストランもショップも全部閉まってるから、自分たちで料理するしかないんですよね…。

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前庭のバラ。暖冬なので、12月末までポツポツ咲いてました

話は変わりますが、先週末久しぶりにハムステッドヒースの森林公園を歩いてきました。このところずーっと曇り空と雨ばかりで、この日も靄がかかったようなぼんやりした天気。でも、湿った空気と落ち葉や木樹が放つ芳香に、とてもゆったりした気分になれました。

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名前不明の渡り鳥?向こうに見える建物がケンウッドハウスです

帰り際にケンウッドハウスのクリスマスショップに寄って、最後まで決まらなかった義父へのプレゼントをゲット。贈りものがやっと全部揃って、ほっと一息つけました。

 

 

 

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それでは、みなさんも素敵なクリスマスをお過ごしくださいね。

 

冬休みにできること

お久しぶりです。あっという間に時間が経ってしまい、私が日本語を教えている特別支援校も、息子の学校も先週末からクリスマス休みに突入しました。ちなみに、日本の2学期に当たるSpring Term は1月4日(月)から始まります。イギリスではクリスマスが一年最大のイベントなので、お正月はオマケみたいなもの。来年はたまたま月曜日が4日なのですが、通常は元旦が祭日となるだけで、2日から仕事始めという年もあるのです。

冬休みは、親族や友達が集まる時期だし、ショッピングや映画など出かける機会も多いですよね。そういった機会を最大限に利用して、緘黙児が社会的な体験や人とのコミュニケーションを多く持てるようにできるといいなと思います。というのも、学校外で話せる大人や子どもがいることが、緘黙児にとってとても重要だからです。

従兄弟や親類の人と親しく付き合ったり、話すことができれば、家族以外の人との信頼関係が築けるだけでなく、子どもの視野が広がり、自己評価もあがります。緘黙児は社会不安を抱えていることが多く、自分から話しかけたり、友達を作ることが苦手なことが多いので、従兄弟や親戚の子との繋がりは大切にしたいですね。

緘黙児の中には、親戚や従兄弟たちとも話せないという子もいるでしょう。でも、なんとなく親しみは感じてるんじゃないでしょうか?無理にとはいいませんが、将来も長い付き合いができるよう、なるべく一緒に過ごす時間を作りたいものです。年下の子だったら一緒にいても安心、という緘黙児も多いと思います。まずは、兄弟姉妹も一緒に少人数で遊ばせたり、ファーストフード店などに連れて行ってみてはどうでしょう?

うちの息子は年下の子に「いいところを見せたい」気持ちが強くて、マメにお世話したり、従妹弟たちの分までアイスクリームを注文したりしていました。年が上になるにつれて、家族と一緒に行動しなくなってくるので、できるうちに楽しく無理のない範囲でトライしてみてください。

この時期はお正月映画がたくさん上映されてます。友達や兄弟・姉妹、家族と一緒に観に行く計画を立てるのも楽しみですよね?学校では話せなくても、同世代の子たちと同じ話題を持つことはとても大切。子どもの好きなこと、趣味や活動が緘黙克服のきっかけになるかもしれません。

出かけるときは、なるべく学校の友達に遭遇しないよう、ちょっと遠くまで足を伸ばすのも一考です。自分に注目が集まらないような、騒がしい公の場所だったら、子どもは声を出しやすいはず。家族と一緒に外出して、いっぱいおしゃべりする機会を増やしましょう。緘黙児は顔見知りの近所の人との挨拶や、「ありがとう」「ごめんなさい」を言うことが苦手です。遠くのデパートや大型スーパーなどで、お年玉で好きなものを買い、「ありがとう」を言う練習をしてみてもいいかもしれません。

ものを言えない学校生活からしばし開放されて、のびのびした時間を過ごせますように。

 

14歳まで緘黙と診断されなかったケース

11月15日に投稿した記事『場面緘黙が増加の傾向?』の続きです。10月26日付のDaily Telegraph紙で紹介された記事の後半に、14歳まで場面緘黙と診断されなかったダニエルさんについての記述がありました。幼少の頃から長年緘黙に苦しみ続けた彼女の体験も、お伝えしておきたいと思います。

リンク: http://www.telegraph.co.uk/wellbeing/health-advice/selective-mutism-health-parent-child-advice

ダニエルさんは現在21歳.。カーディフ大学で数学を専攻する大学生です。緘黙と診断されたのは今から7年前の2008年。イギリスでも、ようやく場面緘黙が一般に広まり始めた頃のことです。その1年前の13歳の時、受診した12人目の心理士から、まずうつ病の診断を受けたとか。その後14歳で場面緘黙と診断がおりましたが、それまでクラスメイトや先生からのイジメや重度のパニックアタックに耐え続けていたそうです…。

13歳までに12人もの心理士を訪ねたということは、保護者が早くから異変を察し、治療を求めて奔走したんでしょうね…。イギリスの国民保険制度NHSを使うと、薬代以外は全て無料ですが、専門家とのアポが取れるまで何ヶ月かかることも。その上、クリニックや心理士を指定することはできません。おそらく、家族は私費を投入して(めっちゃ高額です)、色々模索したんだろうなと想像します。

ダニエルさんは現在は知らない人とも話すことができますが、今なお社会不安とパニックアタックに悩まされているそう。ある程度コントロールされた環境だったら平常でいられるものの、誰かが予期せず近づいてきたら、すごく不安になるとのこと。

ダニエルさんは、学校に行くことで緘黙症状がどんどん悪化してしまったと考えています。また、教師が彼女のことをただの恥ずかしがり屋と誤解し、内気さを克服させるためにクラスの前でしゃべらせたことも、悪化の大きな原因だったと…。

先生がよかれと思ってやったことが、二次障害としてパニックアタックを引き起こしてしまった――緘黙の知識がなかったとはいえ、大変胸が痛みます。抑制的な気質が強い子どもの中には、一般的な教育方針でいくと逆効果になる子も…。ちょっとした出来事で学校に行けなくなってしまうこともあるので、要注意です。大変だとは思いますが、関係者の方は子どもの性格や状況をよく見極めたうえで、対策を考えてもらいたいですね。そして、大人しくて問題を起こさないからといって、後回しにしないで欲しいです。

場面緘黙の子どものニーズに即した対応をすると、「特別あつかい」と見なされてしまうかもしれません。特に、クラス全員が同じように進むことを求められる日本では、ひとりだけできないと目立ってしまう傾向が強いかと思います。それでも、担任の先生が普段から「みんな違ってていい」という毅然とした態度を取ると、クラスの雰囲気が随分違ってくると思います。

ダニエルさんは、緘黙の状態を「実際にのどが閉まったようになって、言葉を発することができないの。頭の中では言いたいことがハッキリしてるのに、不安でいっぱいになってしまう」と説明しています。そんな思いを何年も引きずりながら学校に通うのは、相当つらかったことでしょう。

自分の子ども時代にもっと場面緘黙が広く知られていれば、こんな体験はせずに済んだのではないか。自分が受けた試練を他の誰にも経験してほしくない――ダニエルさんはその強い思いで、新聞記者のインタビューを受けたようです。

特別支援教育が根付いているイギリスでも、緘黙児への支援はまだまだ…。もっともっと一般に広く知ってもらって、早期発見・介入が徹底するといいなと願っています。

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