場面緘黙とは?(1)

かんもくネットが2008年に出版した『場面緘黙Q&A』に掲載されている場面緘黙の定義です。

  • 発症時期  多くは2~5歳、入園や小学校入学時、また小学校低学年までに発症します。
  • 出現率  男子より女子の方が多く、日本のこれまでの調査では0..2~0.5%くらい、近年の海外メディアでは0.7%をあげることが多いようです。仮に0.5%と考えると、200人に1人の割合です。
  • 特徴  場面緘黙は不安から生じる状態であり、恐怖症のひとつではないかと考えられています。子どもは話しているところを見られたり、聞かれたりすることに恐怖を感じます。
  • 原因  複合的な要素がかかわって生じます。子どもによって影響している要因が異なるが、多くの緘黙児が不安になりやすい気質を生まれつきもっているのではないかと言われています。

『場面緘黙Q&A』 かんもくネット著/角田圭子編 (学苑社 2008年)より引用

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うちの息子の場合、

  •  発症時期: 4歳半で小学校に入学して3週間後
  •  発症要因: 生まれながらの抑制的気質 + バイリンガル環境
  • 引き金となった要因: 込み合う滑り台の上でおしくらまんじゅう状態になり、押されて地面に落下

落ちたショックのためか、全く口をきかず泣きもせず、その場に立ちすくんでいたとか。一緒に遊んでいた幼稚園時代の親友(クラスは別)が先生を呼んできてくれました。

その翌日から教室で話せなくなり、更に緘動で動けなくなっていたようです。

息子のように、目立った出来事が引き金になる子もいますが、周りが気づかないうちに緘黙になっていたという子も多いようです。普通の感覚ではなんでもない友達や先生の言動が、不安が強く繊細な子どもには、恐怖体験となり得ます。

いつの間にか口をきかなくなっていても、家では話しているので親はすぐには気づけません。先生もすぐ気づいてくれないかもしれないし、情報が素早く保護者に伝わらないこともあるかと思います。

でも、緘黙治療は早期発見・早期支援が大切。

今年2月に放送された『ザ!世界仰天ニュース』で場面緘黙が取り上げられ、一般にも緘黙のことが少しずつ知られるようになってきたのでは?緘黙の正しい知識がもっと学校関係者にきちんと広がり、早期発見に繋がるようになればいいなと思います。

 

 

はじめに

私が初めて場面緘黙という言葉に出会ったのは、日本語のブログでした。

小学校に入学したばかりの息子が、ある事件をきっかけに教室でひと言も話せなくなり、情報を求めてネットを彷徨っていた2005年の春のことです。

「ダイニングホールで耳を塞いでいた」と担任に告げられ、驚いて検索すると出てきたのは自閉症という言葉。またまたびっくりして色々調べてみましたが、どうも違う感じがする…。

だから、場面緘黙という言葉を見つけた時は、「これだぁ」と本当に嬉しくなりました。息子の症状に名前がついたのです。英語名がSelective Mutismと判ったおかげで、イギリスの支援団体SMIRAにコンタクトすることもできました。

それから3年くらいかけて息子は少しずつ回復していきました。その間に、かんもくネットに関わり、SMIRAとの親交を深めることになるとは思いもよりませんでした。よもや、自分が特別支援助手を目指すことになるなんて。

ブログを始めたのは、息子の緘黙を通じて経験したこと、学んだことを忘れないうちに記録しておきたかったから。ここ2年ほどスパム対策が強化され、海外からかんもくネット掲示板へのアクセスが困難になったのも一因です。

自分が見知らぬ人のブログで救われたように、どこかで誰かの役に立てたらいいなと願っています。