託児所体験 - 息子の緘黙・幼児期2~3歳(その5)

 

すっかり忘れていたんですが、息子は2歳8ヶ月から3歳になる頃まで1週間に2回ほど託児所に通っていました。そこは、仲良しの日本人の友だちのママが推薦してくれた、イギリス人女性が自宅で経営するモンテッソーリ式の小さな託児所。子供の数は多い時でも5、6人と聞いていたので、息子にはちょうどいいと思ったのです。

この頃、仕事が少し忙しくなったためもあったんですが、息子の性格を考えて入園前に英語環境に慣らしておきたかったんですね。チャイルドマインダーさんに預けた時は長続きしなかったので、幼稚園でちゃんと集団生活できるのか心配でした。

幸か不幸か、息子が通い始めた頃は特に人数が少なく、息子を含めて3人たらず。初日から泣かずに過ごすことができ、わりと早くお弁当持参で一日過ごせるように。モンテッソーリ式というのを特に意識した訳ではなく、先生が「この人なら任せても大丈夫」という姉御肌の女性だったのが決め手でした。

チャイルドマインダーさん宅と比べると、家も庭も広々としていて玩具も多く、とても良い環境。なによりも、ゆったりとした雰囲気が魅力でした。ある日迎えに行ったら、息子がりんごを手に持ってニコニコしながら出てきたのを今でも懐かしく思い出します。裏庭に大きなりんごの樹があって、この日はみんなでりんご拾いをしたんだとか。

今考えると、こういうのんびりした小さなところが息子には合ってたんでしょうね…。息子は人を選ぶ傾向が強く、多分この先生には気を許せたんだと思います。抑制的な気質の子どもにとって、人と環境は特に重要で、それによって緘黙になる可能性にも影響が出てきそうです。

ところで、イギリスの公立幼稚園は3歳から始まり、5歳になる歳に小学校にあがるまでの期間です。通常は1日に2時間半で、午前の部か午後の部かどちらか。延長保育の条件はかなり厳しく、毎日は預かってもらえません。しかも、午前の部からランチタイムを挟んで午後の部までなので、3時半くらいにはお迎えに行く必要があります。まあ、無料なのでその点はとても助かるんですが…。

なので、企業で働く女性が職場復帰するためには、私立の幼稚園・保育園や託児所かチャイルドマインダーに頼るしかありません。でも、これがかなり高額なのです。評判のいい園は1日1万円するところもあり、母親のお給料がまるまる保育代になってしまうケースも…。

ちなみに、イギリスではインファント(幼児部4~7歳)と呼ばれる小学校低学年までは、保護者か責任者が学校に子どもを迎えに行くことが義務づけられています。これは子どもの安全確保のためで、子どもだけの登下校は許されていません。(日本では、ひとりで電車通学する小学生もいるというと、すごく驚かれます)。ということで、子どもがジュニア(中等部8~12歳)にあがってから、フルタイムの仕事に戻る女性も多いのです。

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息子、犬恐怖症に陥る

3歳になる少し前のこと。いつものように、日本人の友達母子と一緒に近くの公園に出かけました。

楽しそうにちょこちょこ走りまわる息子たちの後を、彼のママとお喋りしながら歩いていた時です。低木の茂みの中から、いきなり3匹の犬が飛び出して来ました! 犬に追いかけられ、悲鳴をあげて泣きながら走りだす子どもたち。

あまりに突然のことで、びっくりして咄嗟に声が出ず…。私たちは一瞬顔を見合わせて、すぐ息子たちのところに走りよりました。同時に、遠くで飼い主の声がして、犬たちは疾風のように走り去って行きました。

飼い主は私たちのところに謝罪に来ず、気づいた時には既に犬を連れて立ち去っていました。子どもの多い公園で犬を放しっぱなしにするなんて、マナー悪すぎ!(息子たちが小さかったので巨大に見えましたが、犬たちは小・中型犬でした。もしかすると、まだ仔犬で子どもたちにじゃれてたのかもしれませんね。それにしても、監督不行届きですが)

息子は割とすぐに泣きやみましたが、それ以来というもの、大の犬嫌いになってしまいました。それまでは、積極的に犬に近づくことはなかったものの、私が一緒なら撫でたり・触ったりしていたのに…。犬を見つけると、私の影にかくれたり、手をぎゅっと握るようになり、極力近づかないように。

イギリス人は犬好きが多く、ベビーカーを押しながら愛犬を散歩させてる人も多いし、公園の遊び場のゲートに犬がつながれていることもしばしば。特に、公園内は犬だらけなので、避けて通るのは楽ではありませんでした。また、息子が目ざとく見つけて警告するので、「あーまたか」とため息が出ることが多かったです。

うちの息子だけかもしれないんですが、不安の強い抑制的な気質の子どもは、恐怖症に陥りやすいんじゃないかと思っています。これまでに犬恐怖症と水恐怖症(水泳プール)を経験(ありがたいことに、どちらも治りましたが、まだ苦手意識はあるかも)。また、極度に緊張するとお腹が痛くなったり、トイレが近くなる時期がありました。

ちなみに、息子の犬恐怖症が治ったのは、仲の良い友達が犬を飼いはじめた10歳のころ。犬がいる友達宅に遊びに行くか・行かないか — 究極の選択に迫られ、遊びに行く方を選んだのです。

友達の家のラブラドールは、偶然にもとても臆病で淋しがり屋の性格。ママ友からは、「○○君(息子の名)に似てる」と言われてました(笑)。

彼女は子ども達がまとわりついても、いきなりシッポを掴んでも、決して吠えないんです。実に気立ての優しい良いワンコだったので、息子は徐々に慣れて一緒に遊べるようになりました。そのお陰か、息子はボクサータイプの大型犬がいる別の友達宅にも行けるようになり、それほど犬が怖くなくなったよう。

友達は違う学校に進み、もっと郊外に引越してしまったのですが、彼の犬には本当に感謝しています。

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引っ込み思案が定着?

息子が生後6ヶ月を過ぎた頃から、少しずつ少しずつ仕事に復帰し始めました。幸いにも殆どが在宅ワークで、外出する日数は限られていたので、最初は夫と義母、そして親しいママ友に頼んでやりくりしていました。自宅に来てもらえれば、大体は機嫌よく過ごせていたと記憶しています。

2歳半になった頃、近くに住むチャイルドマインダーさんに1週間に1度預けることにしました。お弁当を持参し、彼女の自宅で同年代の女の子と2人一緒に一日お世話してもらうというもの。初めは、「今日もいい子にしてたわ」と、ほとんど問題はありませんでした。

が、2ヶ月目に入ったところで、「急に泣き出して、全くおさまらず本当に困った」と、迎えにいった途端に訴えられ…(その気持は痛いほど解るけど)。この日は新メンバーが入り、いつもと違う環境だったとか。

「普段他の子ども達と遊ばせてるの?」と訊かれ、ちょっとカチンと来てしまいました。息子が集団に溶け込めるよう、私なりに頑張ってきたのに~!

翌週は少しマシだったようですが、息子が行くのを嫌がるようになったため、預けるのを断念。次からは、必要な時だけ臨時でベビーシッターさんに来てもらうようにしました。若い日本人女性が来てくれた際は、もうべたべたに甘えまくり!彼女が帰る時に大泣きするという事態も発生しました。

こうして、公の場では引っ込み思案、でも気を許せると思った人とはすぐ親しくなって自己主張する、という不思議なパターンができあがったのでした。

この頃から、親しかった日本人の友達が3歳になって私立の幼稚園に通うようになり、今までのように頻繁に遊べなくなってしまいました。また、それまで通っていた小規模のプレイグループが閉鎖し、少し遠くですが日本人もいる規模の大きいグループに参加することに。

大体2時間半くらいの会で、前半は私の側を離れず、大抵はミニカーで遊ぶというパターン。おやつタイムを挟んだ歌の時間は、みんなで集まって円座に座り、曲に合わせて振りをつけながら”Old McDonald”などの童謡を歌います。でも、息子はやる気全くナシ…。仕方がないので、ずーっと手を添えてやらせていました。

それが家に帰ると、お気に入りのアニメ番組の曲を大声で歌いながら踊ってたりするんですよね….。君は一体何なんだ~?! その後も、できないのかと思っていたら、人目につかないところでやってたりと、母親としてはフラストレーションがたまる状況が重なりました。

さて、プレイグループも後半になると徐々に緊張も解けてくるのか、だんだん行動範囲が広がります。そして、お片づけの時間になって母親達が玩具を倉庫に運び始めると、やる気全開になって、他の子ども達と追いかけっこごっこに夢中になるという…エンジンがかかるのが遅すぎ。

このプレイグループが公園に面した教会で開かれていたので、帰り際に公園で残った子達と少し遊ぶのが楽しかったようです。

その頃、日本人親子が集まる絵本の会にも参加していたんですが、スイカ割り大会ではただ一人頑として動かず…涙。その後、誕生会でスイカ割りをしてみたら、先頭に立ってやってました….やぱり、公の場だと 「できないかも?」「失敗したら嫌」という不安が人一倍強いようでした。

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初めての室内遊戯場

息子が2歳半のころ、初めて大型の室内遊戯場に連れて行きました。かなり広い空間に、年齢別のソフトプレイエリアが複数あり、カフェも併設。よちよち歩きの幼児から、7・8歳くらいの子どもまで、大勢の子どもと母親達でごったがえしていました。

最初に受けた印象は、人の多さと騒音のすごさ。天井が高いので雑音や子どもの声が反響して、厚い雑音の壁の中にすっぽりはまり込んだような感じでした。

一緒に行った日本人の友達は、遊具を見るなりすぐ駆け出して行きました。彼のママも後を追って行ってしまい、ポツンと取り残された息子と私。でも、息子はちっとも動こうとしません。大好きな車の乗り物があるのに、私の傍らを離れないのです。いつもなら、私の手を引っ張って連れていくのに…。

慣れてないからと思い、まずは一緒にフカフカの滑り台へ。色々誘ってやってみたのですが、全然のってないんですよね…30分くらいして、やっと大好きな車の乗り物にチャレンジしたものの、いつものようには楽しめてない様子…。ノロノロと車を動かしていたら、よその子が押してきた車にぶつけられ、半ベソ状態。

ノリノリで汗をかきながら走り回っている友達と比べ、息子はもう家に帰りたいモードで、ちょっと情けなく…。お昼に大好きなハンバーガーとポテトを食べて、やっと元気を取り戻したところで、帰途に着いたのでした。

後で気づいたのですが、遊技場の騒音が息子にはキツかったんだと思います。初めは私でも耳障りだったくらいだから、彼の敏感な耳にはもっと大きく、恐ろしく聞こえたでしょう。騒音に囲まれていると、不快感から不安になることもありますよね。

また、他の子ども達がエキサイトして動き回っているあの雰囲気に、溶け込むことも難しかったのでしょう。普通だったら、すぐに慣れて順応するのに対し、感覚過敏のある抑制的な気質の息子は、慣れるのにかなりの時間を要するようでした。

ちなみに、2度目からは、出だしは遅いものの楽しく遊べるようになり、ほっとしました。というのも、冬場は公園だと寒いので、室内遊技場は手ごろに子どもを遊ばせられる、お助けスポットなんですよね。

こんな調子だったので、3歳から4、5歳くらいまで、子どもだけで遊ぶ遊園地のような場所では、場の雰囲気に慣れるのに時間がかかりました。やっと元気に遊べるようになる頃には、他の子が帰る時間になっているのです…。うちでは長丁場になるのを覚悟して、子どが満足できるまで付き合うようにしてました。

不安が強い抑制的な気質の子でも、慣れてくれば楽しめることが多いと思います。最初は親が付き合って、少しずつ慣れてきたら、体も心もリラックスしてくるはず。「うちの子はこういう場所が嫌いだから」と連れて行かないと、いつまでたっても慣れないし、行動範囲も広がりません。親も一緒に楽しんで、ポジティブな体験を積み重ねていくことができたらいいですね。

人は人、うちはうち。子どもが楽しければ親は嬉しいし、人生は長いんだもの、マイペースでいきましょう。

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息子の緘黙・幼児期2~3歳(その1)

イギリスでは2歳児のことを”Terrible Twos”というんですが、日本では「魔の2歳児」と呼ぶようですね。第一次反抗期が始まり、何でも「イヤイヤ」と駄々をこねて、親の言うことをきかない時期…。

ご多分に漏れず、うちの息子にも魔の2歳がやってきました。2歳になりたての頃、人前で何度かものすごく激しく駄々をこねて、ほとほと困り果てた思い出があります。

一度は、プレイグループにあったミニカーの玩具がひどく気に入り、それを手放すのが嫌で大絶叫!見かねた責任者さんが、「来週返してくれればいいから、持っていけば?」と親切に言ってくれたのに、ちゃんと躾けねばとお断りしたのが間違いでした。

玩具を返し、バギーに乗せてしばらく歩いても、全く泣き止まないんです。サイレンの様に泣き叫ぶ息子を連れて、大通りを歩く私….またもや穴があったら入りたい、の心境でした。

いつまでたっても泣き止まないので、根負けして途中にあったオモチャ屋さんに駆け込み、同じような消防車のミニカーを買ったのでした。弱い母です…。

その次は、風邪を引いて連れて行ったクリニックで、またもや電車の玩具を見つけて放さず…。「さ、おうちに帰るから、電車は返そうね」と言った途端に、バギーの中で体をのけぞらせて大泣き!今では想像もつかないのですが、その声がすごくデカイんです。

また、いつまでもいつまでも泣き止まないのかと思っただけでゲンナリしてしまい、今度は勇気を出して、受付の女性に「すみません、必ず返しますから少しお借りしていいでしょうか?」と訊いたのです。すると、「子どもを甘やかしちゃ駄目!」と注意されてしまいました…。

(イギリス人って、結構ストレートにものを言う人が多いです。見ず知らずの人に、しつけが悪いと注意されたことが何度かあるんですが、この時は初めてで大ショック。それでも、大謝りに謝ってお願いし、玩具を借りて帰りました)。

息子はなんというか、「これが欲しい」、「こうしたい」と心に決めると、それについてどんどん想像を膨らませるクセがあるようでした。そのせいか、それが適わなかった時の癇癪は半端なかったです。いつまでも、いつまでも、しつこく泣き叫ぶのです。そういう時は、何を言おうと、どう優しくなだめようと、全く効果なし…。

このしつこさの故に、「こだわりが強い、頑固な子」と思ってました。その反面、自分にとって大切ではない事柄については、あまり執着しません。何が癇癪の原因になるのか良く判らなくて、混乱したものです。

しつこいくらい頑固な性格は、反対にいうと柔軟性がないということで、この性格も緘黙になった一因なんだろうなと思っています。思い込みが激しいというか…。よく、緘黙児には完壁主義者が多いといいますが、息子もそうでした(今は成長したためか、自分なりに折り合いをつけられるようになりました)。

ちなみに、緘黙症状が重かった4歳半~6歳くらいは、癇癪も輪をかけて酷かったように記憶しています(家でのみ)。あまりに激しいので、小1(5歳)の頃から癇癪を起こした時は、「自分の部屋に行って頭を冷やしてきなさい」と2階に行かせるようにしました。ひとりになると冷静になれるのか、割とすぐに泣き止み、5分くらいで落ち着いてダイニングキッチンに戻ってくるのです。

息子は元来とてもオシャベリで、常に話しかけてきたり、歌を口ずさんだりと、小学校までは一緒にいると煩いくらいでした。一人遊びに夢中になる反面、結構淋しがり屋のところがあり、人と一緒にいたがる傾向も強かったように思います。

(余談ですが、幼い頃こんなに癇癪がすごかった息子は、13歳のいま、世を悟った老人のごとく落ちついています。カースティーさんのお母さんが、「カースティはうちで一番落ち着いてるの。何があっても慌てず、頼りになるのよ」とおしゃってましたが、よく考えるとうちもそうかも….。第二次反抗期は、いつ来るんでしょう?)