あっという間に7月も中旬に差し掛かろうとしていますね。 イギリスでは猛暑の第三波がやって来て、今日ロンドンは32度を超える真夏日となりました。日本と比べ気温は低いかもしれませんが、何せエアコンが普及していないので汗だく! 夕方になるともうぐったり疲れてしまい、少々忙しかったのもあって、ブログの更新をずっと怠けていました^^;
暑い日が続くせいか庭の花の開花も例年より早いよう。ミニトマトは青い実がつき始め、ブルーベリーは今食べ頃です
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さて、かなり間が空いてしまいましたが前回の続きです。
通常とは異なるSM(場面緘黙)の要因
アンディは自分が支援するASDのティーンの中で、通常とは異なる要因でSMを発症するケースが多いことに気づきました。ASDの子どもが極度のストレスを受けると、ストレス受容のキャパが許容量を超え、フリーズ反応を起こすといいます。この状態になると、身体が硬直して言葉を出すことができなくなる――つまり、SMの状態になるというのです。
アンディはASD児が緘黙になる主因が、話すことへの恐怖心からではないことに着目。SMとの併存グループには、ストレス過剰でフリーズ状態になって話せなくなる子が大勢いることに気付いたのです。
(もちろん、ASD児の中にも話すところを人に見られることを極端に恐れ、緘黙になる子もいると考えられます)
「極度のストレスが原因で起こるSMは、感覚への過負担(sensory overload)が起きてフリーズ状態になっていると思う。このケースには環境的な要因や虐め、過去のネガティブな体験など、明確なストレス源がある。それは現在起こっていることかもしれないし、過去の出来事かもしれない。学校にいることで既にストレスを感じている子どもは、常に緊張状態にある。それに加えて、周囲が騒がしすぎたり、光が眩しすぎたり、過去に怒鳴られた恐怖経験を思い起こしたりして、感覚への過負担(sensory overload)が起きると、フリーズ状態になり話せなくなる。ASD児は次に何が起こるか予測できないため、不安でストレスレベルが極度に上がってしまうことも起因していると思う」とアンディは言います。
これに対して、一般的なSMに関しては、何故話しているところを人に見られるのが不安なのか理由ははっきりしていません。
通常、SMの治療はCBTを用いたスモールステップ法によって行われますが、環境が強いストレス源になっている場合は、まず環境を変えることが先決だといいます。治療の第一歩は、不合理な恐怖ではなく、実存するストレスの原因を取り除くこと。場面緘黙になった原因によって支援方法を変えるべきだと強調しています。
アンディはASD児のフリーズ反応についてマギー・ジョンソンさんに相談したそう。話し合いをした結果、新たに「リアクティブミューティズム(Reactive Mutism 反応的な緘黙)」という名称を使うのが良いのではないかという意見が出ているのだとか。
実は、これは過去に使われていた用語ですが、現在は使用されていません。この用語の使用については、英国の主な支援団体であるSMiRAとも話し合っているそうです。
自らもASDであるアンディが、ASDの子どもやティーンの支援を行う中で見えてきたASDとSM併存ケースにおけるSMの特徴。これからの緘黙治療の大きなヒントになるかもしれません。
追記:
Reactive Mutism(反応性緘黙症)は1980 年に作家のトリイ ヘイデンさんによる研究で、場面緘黙の 4 つの「サブタイプ」として特定されていました。説明には、トラウマや虐待に対する反応であり、全ての子どもがうつ病の症状を示し、通常は無表情で引きこもりがちとあります。
扇風機をかけながらここまで書きました^^;
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