息子の緘黙・近況報告

一昨日、息子の大学の卒業式に行ってきました。当日はあいにくの雨で最高気温が19度と肌寒く、薄手のコートを着ていって大正解。イギリスでは6月に例年より大幅に暑くなり、7月に入ってから通常運転に。一方、南ヨーロッパは40度超えの猛暑に襲われていて、まだ雨のほうがマシかなと思ってしまった私でした^^;

   

実は、イギリスの公立学校って日本のような入学・卒業式のようなフォーマルな式典ってほとんどないんです。校長がちょっと挨拶して、保護者が普段着で集まるような感じで。息子の小学校(5~11歳)とセカンダリースクール(12~16歳)では入学式もなし…。

だから、学士のガウンと帽子を纏って、格式ある卒業式に出席するのは息子の人生初。私達親にとってもフォーマルな装いで式に参加というのは初めて^^; だから、感激もひとしおでした。日本のように大切な区切り区切りで正式な式典を行うのって、人生の折り目を実感できてとてもいいと思います。

  

息子の大学はヴィクトリア女王が開校したイギリス初の女子大(現在は共学)で、ロイヤルの名がついています。そのためか、卒業式では4名の近衛兵がトランペットを演奏してビックリ。大学がある町のお隣がウィンザーなので、ウィンザー城から出張してきたものと思われます。

  

息子たちの学年は運が悪く、コロナ禍と大学生活がもろに重なってしまいました。専攻がコンピューターサイエンス科だったためか、授業はいち早くオンラインに。対面授業を充分に経験しないままの卒業となったのですが、今度は大学職員のストで卒業試験の採点が式典に間に合わず…。なので、成績が出る前に式を済ませることになったのでした^^;

それでも、小学校低学年のころは緘黙のため学校ではほとんど話せなかった息子が、こうして無事に大学を卒業するのか(多分)と思うと感無量。

 

息子が場面緘黙症を発症したのは小学校入学してすぐのこと(4歳6ヶ月、詳しくは『息子の緘黙・幼児期4~5歳  滑り台事件おこる』をご参照ください)。それからSMiRA(英国の場面緘黙支援団体)の助けをかりて、スモールステップのサポートを続けました。

緘黙を克服することができたかなと思えたのは、友達グループが固定し、出席の返事ができるようになり、教室でみんなの前で話せるようになった小学4年生の頃から。

でも、昨日本人に訊いてみたら、「小学校時代の幼馴染たちと別れ、新しい学校で自分から話しかけて友達を作れるようになった16歳ころかな」と言っていました。

色々なことを考慮して、「違う学校でもいい」という息子の意見を却下して、幼馴染たちと一緒のセカンダリスクールに進学させた私達。偶然にも同じクラスで5年間を過ごすことになったのですが、新しい友だちを積極的に作っていく彼らに引け目を感じていたよう(一緒にいたので、息子も仲間に入れてもらっていた様ですが)。

もしかしたら、親が先回りしすぎちゃったのかも…。

人前で話したり、必要な時に自発的に話すことはできても、息子の引っ込み思案な性格は今でも変わっていないような気がしています。自意識過剰で人目を気にしすぎるところも。

息子の交際範囲がちょっと狭いのが気になるところ――といっても、私の交際範囲もかなり狭いので人のことは言えませんが…。

どこで独り立ちさせるか親としては難しいところですが、親元を離れて地方の大学に行ったことで、自分なりに人間関係を築き、料理や洗濯もできるようになりました。でも、卒業後は当分ロンドンの我が家で暮らすことになりそうです。

イギリスは今物価の上昇が激しく大不況に見舞われているため、就職したら独立して部屋やフラットを借りるという通常のパターンは大崩れ。特にロンドンは家賃が高騰しているので、よっぽどサラリーが良くないと独立できません。昨年、息子より早く卒業した小学校時代の友達も、実はみんな実家にUターンしているのです。

イギリスでは日本のように在学中に就職活動を行い、卒業前に就職先が決まっているということはめったにありません。息子の友達の殆どはまだアルバイト生活で、本格的な就職を後回しにしているのが現状。

息子がこれからどうするのか不安ではありますが、自分で考えて進んでいってくれたらと願うばかりです。

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息子の緘黙・学童期6~7歳(その20)  プール恐怖症と水泳のステップ

あっという間に6月が終わり、すでに今年も後半に入りました。時間が経つのが異常に早く感じられる今日このごろ…。

  今年は6月中旬の花の見頃にリージェントパークの薔薇園に行くことができました

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またまた、息子の緘黙話しの続きです。

小学校入学直前にプール恐怖症になった息子(詳しくは『息子の緘黙・幼児期(4~5歳)プール恐怖症になる』をご参照ください)。体育のカリキュラムの一環として、水泳の授業が始まったのは1年生(5~6歳)から。

小学校幼児部(Infant 5~7歳)では、保護者がボランティアで着替えなどを支援するシステム。心配だったためボランティアに立候補しようとと思ったのですが、意外にも本人が「絶対やだ!」と拒否。その代わり、2年間パソコンの授業のヘルプで週1回1時間ほど学校に行っていました。

息子の小学校にあったこの保護者ボランティア制度は、子どもが学校でどんな風に過ごしているか垣間見ることができる絶好のチャンス。また、クラスの子ども達の行動や性格、息子とどう接しているかなども判るので、とても有益でした。

息子は水泳の授業には欠かさず参加していましたが、それについては家で何も言わないのです。だから、一体授業中どうしているのか全く不明…。

水泳のヘルパーをしているママさん達とはあまり付き合いがなかったため、息子の様子を探ることも憚られ…。水泳の先生(常勤ではなかった)からも、担任からも、何も言われないまま2年が経ってしまったのでした。

それでも、水に恐怖を感じているだろうこと、泳げていないだろうことは判っていました。だから、なんとか恐怖症を和らげようと、地元のプールに行こうと誘うんですが…これがなかなか。主人に頼んでやっと出かけてもすぐ帰ってきてしまうので、私が粘って水に慣らすしかないーー自分が泳がないのにプールに入るのは嫌でしたが、仕方ありません^^;

なかなか進歩がなくてもんもんとした時期が長かったのですが、水が怖くなくなるにはどうしたらいいのか? 色々考えて準備したのは以下の小道具でした:

  • ゴーグル
  • プールが楽しくなるような絵本

毎晩寝る前に本を読んであげる習慣だったので、子どもがお父さんと一緒にプールで泳ぐ練習をする絵本を借りてきました。これは水を怖れていた子どもが、だんだん水に慣れて楽しく泳げるようになる様子を描いたもの。

それから、ゴーグルを購入して、まずはお風呂で顔を水につける練習を開始。これは平気だった様で、すぐ顔を水につけて口から泡をブクブクして遊ぶように。自信がついたのか、「プールに行きたい」と初めて自分から言いだしたのでした!やった!!

次にプールに行った時、絵本のシーンを真似して手を引っ張ってもらって泳ぐ練習をしてみました(本当は絵本の様に主人にやってもらいたかった^^;)。いつもより積極的に取り組んでくれて、いっぱい誉めることができました。

このプールは時間帯によって波を立てるんですが、この日は浮き輪をつけて自ら一番強い波が来る場所へ。ゴーグルをつけているだけでこんなに大胆になれるんだ、とビックリしました。もしかして、目に水が入るのが怖かった?!

また、帰る間際になって、水がザーザー出ているところへ行き、何度も頭から水をかぶって大はしゃぎ。それまでには考えられない変化でした。

この日はゴーグルをずっとつけていたので、「ゴーグルがあれば大丈夫」と感じていたのは確か。小道具一つでこんなに変化があったのは驚きでした。

とは言っても、別にすぐ泳げるようになった訳ではなく、授業で「◯◯m泳げました」という証明書をもらってくることはありませんでした。もしかしたら、もらえてない子は息子だけだったかも^^;

それでも、緘黙と同様にスモールステップで少しでも前進できたのは、親にとっては大きな喜びだったのでした。

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