息子の緘黙・学童期6~7歳(その4)小2の放課後の教室

もう2月も残りわずかですね。先週からの嵐が止んで早春の気候になってきたところで、ロシアのウクライナ軍事侵攻が始まりました…。NATOや欧米の牽制でロシアが踏みとどまると思っていたのに――自分か生きている間にこんな戦争が起きるなんて、信じられません。一刻も早く停戦して欲しいです。

イギリスでは感染者数が一日4万人以下に減ってきて、2月24日からコロナ規制を全て解除。感染しても自宅待機しなくてOK(政府は5日間の待機を奨励してますが)、なんと雇用主に申告する必要もないんです(*_*; 濃厚接触者になっても連絡は来ないし、どう行動するかは本人次第。「コロナとの共存」というのは、全てが自己責任になるということで、政府は国民の良識に任せるらしい…。もう公共の場でマスクする必要もなく、4月からは無料のPCR検査と抗原検査も打ち切り(*_*; また新株がでてきても、しばらくは判らないんじゃ?!

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さて、ものすごく久しぶりに息子の緘黙の続きです。

IEPミーティングで2人の担任がしぶしぶ承知してくれた放課後の教室訪問。IEPに場面緘黙と明記されているし、事前にSMiRAの本は渡したし――なんとか協力してもらえるだろうと期待してました。

でも結論から言うと、なんだか空回りしてしまい、息子も私も担任と打ちとけるところまでいきませんでした…。担任たちの忙しさ(無関心?)もあって、両者とも尻切れトンボで終わってしまい、反省点がたくさんあります。

(ジョブシェアをしていた担任2人は、幼児の子育て中で忙しい身。放課後は勤務時間外なので、自分の時間を割きたくないという心境だったと思います。それなのに「10分くらい会話する時間を」と頼みこむなんて、今思うとほんとうに図々しいですね。でも、その時はせっかく改善してきた息子の緘黙を停滞させたくなくて、必死でした(^^; )

まず行ったのは、

1) 週に1回ずつE先生とL先生に会いに放課後の教室へ行く

2) 先生の様子をみながら挨拶して、時間がありそうだったら話し相手になってもらう

E先生の場合:

いつも忙しそうで、挨拶してからだいたい一言二言くらいで会話が続かず。先生、笑顔だけど息子の沈黙がかなりつらそう…。あとは教室の展示などをみて私が息子に質問したりしていたのですが、先生を意識して声がでなかったり、ひそひそ声になったり。長居しては悪いので、そそくさと教室を去るというパターンでした。先生に馴染ませる意図もあったのですが、ほとんど効果は見られず(先生側も馴染もうとはしてくれてなかったように感じました)。

1か月くらい経ったところで、E先生の方から「忙しいから、もう無理」と断られてしまったのでした。

L先生の場合:

自分の意見をはっきり言うL先生は、好き嫌いが解れるタイプ。ちょっと恐くてとっつきにくい印象だったのですが、何故か息子はL先生の方が安心度が高かったんですね(詳しくは『息子の緘黙・学童期(その2)』をご参照ください)。

L先生はE先生と違って、息子が返事をしなくても、どんどん話しかけてくれました。そのせいか、息子もE先生の時より返事がしやすかったよう。また、先生の息子さん(同じ学校のレセプションクラス(1年生の前の学年)が教室に来ることも多く、おいかけっこをしたりして遊ぶようになりました。これでかなり緊張が解けたと思います。

そのうちに息子が家で書いたマンガや創作文(?)をL先生に見てもらい、私はすぐ退出して教室の外で待つようにしました。その様子がどうだったのか、、先生は何も言ってくれないし、息子も何も言わないので、少しは進歩したのかしなかったのか、全く不明のまま…。それでも、L先生との10分間セッションは2学期の終わりくらいまで続いたように記憶しています。

<反省点>

・場面緘黙とは何か、放課後の活動の意味を簡潔に伝えておくべきだった

・事前に担任たちと話し合いを持ち、何をしたいか、どうしたいか明確にしておくべきだった(担任たちは放課後の教室訪問の意味が解っていなかったと思う)

・たとえ10分であっても、活動を決めスモールステップの目標を立てておくべきだった(でも、それには担任の協力が不可欠)

思い起こせば、SENCOを巻き込んでしっかり計画を立て、IEPの一部にすればば良かったですね…でも、それには関与する人全員が同じ方向を向いている必要がある訳で。ジョブシェアをしている、あまり評判の良くない担任に当たってしまったのも時の運だし、自分が上手く対応できなかった点も多くあると思います。

息子の学校では毎年担任が変わる(クラスは7年間同じ)システムだったのですが、担任にも自然に子どもに寄り添えるタイプ、勘がいいタイプというのがあるような気がします。緘黙のことを何も知らなくても、クラスの中で孤立しない様にさり気なく振舞える担任だと「当たり」かな(^^;

<関連記事>

息子の緘黙・学童期6~7歳(その1)小学2年の心構え

息子の緘黙・学童期6~7歳(その2)進歩の停滞

息子の緘黙・学童期6~7歳(その3)2年生1学期の指導プラン

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SM H.E.L.P. サミット マギー・ジョンソンさんの講演(その7)

あっという間に2月も中旬ですね。昨日はバレンタインデーでしたが、イギリスでは男性が女性に赤いバラの花束を贈ったり、レストランでロマンチックなディナーを食べたり。うちの場合は、たまたま2人とも今日休みだったので、外でランチを楽しみました。

   

     先週末、すごく久しぶりに主人の友達2人(男性と女性)が泊りに来て、球根花のブーケをいただきました。赤いバラの花束よりず~っと嬉しかったです

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さて、マギー・ジョンソンさんの講演の続きです。

保護者へのアドバイス

  • 2つの重要なポイント:

1) まず、保護者は子どもの自立を応援すること。多くの親は自分たちがどれほど先回りして子どもを助けているか理解していません。自らが成功体験を重ねることで、子どもは自信をつけていくのです。その機会を奪わないよう注意して。ただ褒められたり、奨励されるだけでは、本当に自信を積み重ねていくことにはなりません。

実際のところ、ティーンは自分の親に褒められることは好きではないのです。できることは自分でやらせないと、いつまでたっても自信はつきません。

例えば、5歳の子どもに何か手渡そうとして、子どもが躊躇したとします。多くの親は自分でさっと手に取って、子どもに手渡すでしょう。でも、それは良くありません。

まず下記のような声掛けをしてみて。

① 大丈夫よ、受け取りなさい

② じゃあ、一緒に受け取ろうか?いい、1、2、3

③ じゃあ、後で受け取ろうね

セッション中に保護者が手助けしようとした場合、マギーさんは「じゃあ、あのテーブルの上に置くから、後から取りに来て」などと、子どもができそうな方法を提案するそう。

2) 子ども自身が自分で対処することが重要。だから、子どもの代わりにやってあげるのではなく、子どもがやりやすいように援助してください。子どもにとって何が難しいかを察知し、よりやりやすい方法を考えましょう。

ティーンの場合、本人が望むなら、教師やTA、保護者がメールを書くのを手助けすることに問題はありません。ただ、メールを送る時は本人にやらせること。緘黙の人は自分からものごとを始めるのが難しいからです。すぐしそうになかったら、「今送らなくてもいいよ」「送りたくなったら、送ればいいよ」と声かけをして、時間をあげましょう。その間はティーンを放っておくことが大切。

徐々に自立できるようサポートしていけば、いずれは全部自分でできるようになります。初めは非言語でOK、社会的な場面で居心地悪さや引け目を感じさせない様な配慮ができるとベスト。

例えばマックに行って、ケチャップをもらい忘れたとします。「ママ、取ってきて」と頼まれて、取りに行くのは簡単。でも、そこでやってあげないこと。

「自分で取りに行きなさい」ではなく、「ママ買い物で疲れちゃって、もう歩きたくないの。どうやって取ってくればいいか教えるね。あそこまで行って、紙カップを取ってケチャップのレバーを押せばいいのよ。大丈夫、できるよ」とアドバイスしてみて。

兄弟がいたら、一緒に取りに行くように提案してもいいでしょう。子どもがゴネたら、「別に行かなくてもいいよ。でも、ケチャップが欲しかったらあそこにあるからね」。そういって、自分は食べたり、携帯を見たりして、子どもから視線を外します。こうすると、だいたいは自分で取りに行くそう。

親は自分で気づかない内に、色々やってあげることが習慣化していることも多いのです。やってあげることで、子どもは「自分はできない」「ママがやってくれるから」と思い込んでしまい、自分から動こうとしなくなることも..。

こうしたアドバイスに対し、「あら、私息子がもう14歳になるのに学校のかばんをずっと持ち続けているわ。迎えに行くと、カバンを私の足元に置くから。それに、まだお風呂のお湯も出してあげているし…」と気づいた14歳の男の子の母親もいたとか。

なお、家庭で子どもに手伝いをさせる習慣をつけておくことも大切です。担当を決めて毎週必ずなにか仕事をさせるのでもいいし、何気なく手つだいを頼むのでもOK。例えば、食事のデリバリーを頼んだら、「テーブルにお皿を並べて」「後片付けを手伝って」という感じで。

また、子どもが自分で行動を起こすきっかけを作ることも大切。例えば、ゲーム器の乾電池をわざと切らして、「あ、ごめん、ごめん。来週オンラインショッピングする時に注文するね」とすぐには入手しないこと。子どもがゴネたら、「ここにお金があるから、角のお店で買ってくれば?大丈夫、できるよ。別に話さなくても、レジに乾電池とお金をおけばいいから」、「来週は必ず注文するから、あなた次第よ」と選択肢を与えて、子どもに決めさせるなど。

子どもが自分を信じて行動し、自信を積み重ねていけるよう支援してください。5秒ルールを作って、子どもが自分で対応できるかどうか5秒は待つようにしてみて。できない場合は、「頷き」「指差し」「はい、いいえ」など緘黙症状の度合に応じた返答ができるように誘導しましょう。

これでマギーさんの講演は終了です。振り返ると、子どもの一番近くにいる保護者がどう支援していくかが、とても重要になってきますね。以前は、家ではおしゃべりなので、親にも理解してもらえない子どもやティーンが多くいたと思います。場面緘黙の情報が増えた昨今、そういうことがないといいのですが…。

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SM H.E.L.P.2021年秋サミット マギー・ジョンソンさんの講演(その5)

SM H.E.L.P.2021年秋サミット マギー・ジョンソンさんの講演(その6)

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SM H.E.L.P. サミット マギー・ジョンソンさんの講演(その6)

ついに日本でもオミクロン株の一日の感染者が10万人を超えてしまいましたね…。イギリスでは、ここ3週間ほど8~11万人を行ったり来たり(1月31日は政府のサイトにデータが記載されず…何故???)。オミクロンのピークもピークアウトも早いと言われていたのに、欧米ではまだ下がりきってません…一体どうなっているんでしょう?

  

晴れの日は空が春めいてきました。学校へ向かう途中で出会う猫ちゃん

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さて、マギ-・ジョンソンさんの講演の続きです。

★保護者への助言:自らが不安を抱える17歳の娘さんを支援した経験から

「こうしてみたら? ああしてみたら?」と親が言い続けることで、子どもは親が自分に対して失望していると感じます。「今のあなたではダメだから、変わらなくちゃ」と言われているように感じてしまうのです。親が助言すればするほど、子どもは「あなたはこのままではダメ」というメッセージを受け取ることに…。

ティーンにまだ準備できていない時、親が手を差し伸べようとすると反発しがち。親への拒絶反応を起こすこともあります。

保護者ができるのは場面緘黙が恐怖症であることを説明し、いつでも支援する準備ができていると伝えること。「話すこと」だけに集中しないで。「小さなステップを少しずつ踏んでいけば、絶対克服できるよ。いつでも支援するからね」と伝え、子どもを信じて待ってください。

(なお、本人に気づかれないよう、保護者がしてあげられることはたくさんあります)

親は心配ばかりせずに、子どもと一緒に過ごす時間を楽しんで。将来が心配でも、今のこの時間を大切にして、子どもとの時間を満喫しましょう。

なんでもOKです。例えば、一緒に映画を見たり、料理をしたり、ガーデニングしたり、ウォーキングをしたり。子どもが興味を持っていることを探し出して、子どもの興味に沿って一緒に楽しみましょう。そこから「自分が変わりたい」というモチベーションが生まれてくるかもしれません。

★主導権を持たせることでティーン(子ども)は安心できる

言わないかもしれませんが、どの子も「自分はこれをやりたい」という夢を持っています。どうしたらその夢を叶えられるか――親は子どもを人として尊重し、そのままの子どもを愛してあげてください。子どもには恐怖症があるけれど、それが一生続くわけではありません。必ず克服する道を見つけられるはず。

子どもがモチベーションと緘黙を克服する決意を固めるのを辛抱強く持ちましょう。

情報は与えて、でも押しつけないこと。

★ティーンとの接触を持つための具体例:

緘黙のティーンとのセッションでは、パワポの作り方やどうしたらもっと良いプレゼンになるかを訊いたり、助言してもらったりするとか。そして、「完成したものをPCで見て欲しいから電話してもいい?いつだったら時間がある?」と自然に切り出すのです。こうして、PCを観ながら電話でコミュニケーションを取るきっかけを作るのだとか。

こういった間接的な方法だと顔を見合わせずにすむので、やり取りしやすいそう。まずPCの画面を見てもらい、修正した方がいい点を書いて送ってもらうことからでOK。

ティーンの得意な分野を見つけ、何気なく手伝いを頼むことで、自信をつけさせモチベをあげることが可能です。あくまで本人主導であることを忘れないで。

長い講演だったので、また次回(最終回)に続きます。

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