「SMiRAによる『場面緘黙の支援の求め先一覧』の紹介」Introducing SMiRA’s “How to Get Help for SM” chart
次に登場したのは、SLTでSMiRA事務局メンバーのスザンナ・トンプソンさん。彼女はSMiRAのFBグループにおける常連アドバイザーで、とても頼りになる存在。でも、トレードマークのピンクの髪がブルーに変わっていて、一同ビックリ(笑)。日本では考えられないことですが、イギリスの学校には髪を派手な色に染めたり、入れ墨が見える服を着たりしている教育関係者がけっこういるんです(笑)。各学校によって方針は異なるものの、髪型、服装、宗教など本人の趣味や主張に対して寛容だなと思います。
講演は題名の通り、SMiRAが作成した「イギリスではSM支援をどこに求めればいいか」をまとめたチャートの紹介でした。この表はSMiRAホームページで検索することができます。
http://www.selectivemutism.org.uk/info-where-to-get-help-with-selective-mutism/
自分または知っている誰かが、ある場面では自由におしゃべりできるのに、他の場面では全くできないと気付いた時:
1) まず最初にすべきこと → 場面緘黙について学ぶ
(場面緘黙が疑われる場合、環境や対応の仕方を変え始めるのに診断は不要)
2) 次に、気づかないまま緘黙を持続させる原因となっている大人の行動を見分け、その行動を変える
3) どうやって・どこで支援を得られるか見つける
チャートでは、公的・私的な支援を求める前に、まず緘黙の知識をつけることからスタート。そして、周囲が応答や環境を変え始めることが先になっています。
これは、適切な支援を得られるまでに時間がかかるケースが多いためかな?今すぐできるのは家庭での対応を変えることですよね。家族が味方と解れば、SM児(人)は心強いはず。
イギリスでは、子ども(17歳まで)と成人(18歳以上)とで支援先が異なります。子どもの場合は、SMiRAの資料を持参して学校のSENCo(特別支援教育コーディネーター)に相談するのが第一歩。一方、成人の場合は、GP(主治医)を訪ね、SMもしくは社会不安の専門家に紹介してもらう手順。でも、大人の場面緘黙はまだそれほど認知されていないため、治療者確保が難しいかもと注意書きがあります。
表の右下は、専門家の支援を得られないケース。
その場合は、保護者と学校、もしくは本人主導で介入を行います。SM支援のトレーニングを受けたSLTや心理士の支援の有無にかかわらず、『新SMリソースマニュアル』を参考にした克服法は効果大とあります。
イギリスでは住む地区や通っている学校によって、支援体制の有無や支援の程度が全く異なります。現在、場面緘黙の認知度はかなり高くなっていますが、支援や治療が得られるかどうかは宝くじみたいなもの。まずは家庭でSM児(人)の問題を認知し、大人が対応を変え、周囲へも啓発していくことが大切といえそうです。
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