場面緘黙のセラピー SM Therapy
SMiRAのホームページを見ると、『場面緘黙の支援の求め先一覧』は1で、その後に2『SMのセラピー』、3『SMについて学ぶ』、4『SM情報』と続きます。この4つの情報があれば、子どもの場面緘黙を発見したばかりの保護者や大人の当事者が、すぐ行動を起こすことができそうです。
ただし、すぐ行動したからといって、緘黙克服は長期戦だし、学校や担任に当たり外れがあるので、速攻で支援を得られるという保証はありません。また、全部の項目をスルスルとクリアできる訳はなく、いっぱい壁に突き当たりながらの長旅になると予想されます。
それでも、まず家族が理解して周囲に支援を求める姿を見れば、子どもは心強いし、親子の信頼も深まるはず。学校や専門機関とのやり取りは、時間もストレスもかかりますが、とにかく早いスタートを切ることが肝心だと思います。
SM児に対するセラピー(英国の場合)は、下記のプロセス(かなり簡略化されてます)を踏んで行われます。
- 家庭と学校でのSM教育
- 家庭、学校、その他の身近な場所で、子どもに対する大人の応答や行動を変える
- 子どもに場面緘黙について説明し、治療・克服方針を決める際にできるだけ子どもに関与させるようにする(子どもの意見を取り入れる)
- 『新SMマニュアル』に沿って、学校で*定期的な介入セッション(週3回が理想的)を行う。セッションは保護者(もしくは子どもが自由に話せる人)と学校のキーワーカーによって行い、子どもがキーワーカーに自由に話せるようになったら、保護者はセッションから退く。定期的なセッションを一貫した一貫して行えば、子どもがキーワーカーと話せるようになるまでに何か月もかかることはない
- 保護者はスモールステップ方式で、学校外でも話せるようにしていく
- より多くの場面・人と話せるようになるよう、機会を増やしていく(一般化)
注:4)の学校における定期的な介入セッションは、スライディング・イン法(Sliding In:SM児が自由に話せる人を架け橋に、徐々にキーワーカーに話せるようにしていく)ですが、他にシェイピング法(Shaping:徐々に声を出せるようにする)から始める方法もあります。
スライディング・イン法で、キーワーカーと自由に話せるようになったら、次はキーワーカーを介して話せる人を徐々に増やしていきます。その速度や人数などは、進行状況や子どもの状態によって異なるため、その子にとって現実可能なチャレンジを行うことが重要。
(みく注:3)子どもにSMについて説明する――保護者にとって子どもに緘黙のことを告げるかどうかは、悩むところだと思います。以前これについて書いたので、良かったらご参照ください(『告知するかしないか(その1)』)
スライディング・イン法で、キーワーカーと自由に話せるようになったら、次はキーワーカーを介して話せる人を徐々に増やしていきます。その速度や人数などは、進行状況や子どもの状態によって異なるため、その子にとって現実可能なチャレンジを行うことが重要。
要となる 4) の学校でのセッションについてですが、これは日本ではすごく難しいですよね…。イギリスでも実際にやってくれる学校はそれ程多くなくて、途中でうやむやになったり、うまく進まないケースも耳にします。保護者が放課後の教室や校庭を借りて、自己流のセッションをするケースも。
また、一番下の欄に、「SMは子ども(人)が誰とでも不安なしに話せるようになった時、真に克服できたといえる」とあります。
これも以前も書きましたが、私自身は緘黙ではなかったものの、小さい頃はかなりの内弁慶で、小学校では常に緊張していました。特に、授業中に発言しなければならない時、緊張がマックスに。当時は、先生にため口をきける子が信じられなかったです。イギリスの小学校では、先生と生徒の距離が近いと感じますが、それでも全く不安なく話せるようになれるのかは疑問です――子どもの性格によると思うので。緊張はしても普通に受け答えできるようになったらOKじゃないかな?)
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