イギリスの場面緘黙啓発月が終了しました

イギリスでは、先月が場面緘黙を一般に広めるための啓発月間でした。どうやら、同時にADHDやダウン症、乳ガンなど他に9つの症状・疾患の啓発月間でもあったようです。ということは、大声で主張しないと注目度が低い状況だったのかな…。

そんななか、場面緘黙はラジオや新聞を中心に多くのメディアやSNSで取り上げられ、また少し知名度があがったように思います。支援グループSMiRA経由で申し込まれた各種メディアの取材に多くの会員が応え、自分の住むエリアのラジオ局や地方紙に登場していたのが印象的でした。それぞれが、学校での緘黙児の問題や家族の悩みなど、支援の必要性を具体的に訴えていました。実名での、しかも家族や緘黙児の写真入りの記事というのは、とても勇気がいることだと思いますが、だからこそ説得力があるのかもしれません。

SMiRA (Selective Mutism Information Research Association)では、10月15日(木)に本拠地レスターで一般参加型のオープンイベントを開催。市議会委員でレスター市長アシスタントのマニューラ・スードさんを招き、歴史あるギルドホールで講演会と懇談会を行いました。

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  チューダー王朝時代に建てられた歴史あるギルドホールと中庭のからくり時計

私も参加させていただいたのですが、SMiRA役員、保護者、教育関係者など、参加者は30名ほど。週中だったためか、思ったより小規模なイベントでした。会長のアリスさんの挨拶から、和気あいあいとした雰囲気の中でプログラムが進行。

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      開会の挨拶をする会長のアリスさんと、学校での支援方針について話す学校心理士のルィーズ・サンダーさん。

<プログラムの内容>

  • SMiRA会長、アリス・スルーキンさんによる挨拶
  • レスター市長アシスタント、マニューラ・スードさんによる挨拶
  • SMiRA役員、シャーリー・ランドロック-ホワイトさん講演『場面緘黙とは何か』
  • レスター市学校心理士、ルィーズ・サンダーさん講演『レスター市の緘黙支援』
  • 保護者ジェーン・ディロンさん講演『保護者の視点』
  • 懇談会

なかでも、SMiRA役員シャーリーさんによる最新の場面緘黙の簡潔な説明が良かったです。SMiRA会員にアンケートを取ったところ、緘黙状態になっている時、実際に喉が締まるような、身体的な症状のある人が多いという統計が出たそう。身体面で何らかのサポートができないか、今後の課題として追求したいとのこと。

息子に訊いてみたところ、緘黙している時は安心なんだそう。喉が詰まったようになったり、体が固くなるのは、話さなければいけない状況に立たされた時だということ。息子が5歳の頃、「ずーっと黙ってるなんて、不安だし怖いよね。強いね」と言ったら、「色々空想してるの。そんなに怖くないよ」とアッサリ言われ、「えっ、そうなの?」と驚いた記憶があります。どうなんでしょう?

また、学校心理士のルィーズさんの講演では、予算が打ち切られた後も、場面緘黙の傾向を持つおとなしい子どもを含めたスクリーニングを実施しているという現場の声が。さすがSMiRAのお膝元のレスター市だけあるなと感心していたら、手を挙げて「うちの学校では何もしてくれない」と訴える保護者が…。場面緘黙の支援が進んでいるといわれるイギリスですが、まだまだ全国で規定に沿った支援とまではいきません。学校、先生、専門家、そして資金によって支援の内容はまちまちなのが現状。もっともっと広く場面緘黙を知ってもらい、すぐ充実した支援に繋げられればいいなと願っています。

色々と忙しかったため、記事の更新が大幅に遅れてしまいました。啓発月間で取り上げられた場面緘黙の番組や記事については、これからもちょこちょこ付け加えていきたいと思っています。