生後3ヶ月 — アトピー発症

息子が生まれてすぐ、保健婦さんから乾燥肌と言われました。

主人は肌が弱く、日に焼けるとすぐ赤くなって炎症を起こすため、夏でも長袖長ズボンのひと。一方、うちの家系は花粉アレルギーの傾向あり。姪っ子2人がアトピーに悩まされたこともあり、息子にもアレルギー危険信号が点滅してました。

そして、3ヶ月の予防接種を受けた途端、顔にボツボツ、キタ~!ここからクリームや入浴剤、シャンプー&ボディウォッシュ類をとっかえひっかえ試す日々が始まりました。一番酷かったのが6~10ヶ月頃で、顔が爛れてジクジクになり、膝の裏や足首、腕の柔らかい部分がボロボロ。ただでさえ過敏なのに加え、アトピーの痒みや不快感が機嫌の悪さを後押しすることに。また、痒みのために寝起きが悪くなり、睡眠サイクルにも影響したと思っています。

(ちなみに、最も効果があったのがAveeno 社(http://www.aveeno.com/category/our+ingredients/oat.do)のオート麦を原料にした保湿クリーム。年齢的なものもあると思いますが、3歳頃までにほとんど治まって、季節の変わり目に少し出る程度になりました。(医師に処方してもらうステロイド入クリームは即効で治るものの、1週間もすると再発という繰り返しでした)。

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今では殆どでませんが、これらの製品をずっと使い続けています

抱き癖がつく?過保護?

息子はとにかくよく泣き、抱っこしてあやさないと絶対に泣き止まず…。機嫌がいい時は集中して遊び、よく笑って声を出すようになりましたが、ちょっと疲れるとすぐグズグズ。お腹がすくと大泣き、眠いと大泣きで、特に夕暮れ時がひどかったような。週末になると、主人がいつもベビーキャリアで前向き抱っこしてたのを思い出します。

3ヶ月を過ぎ、夜中の授乳の数が減ってきて喜んだのもつかの間、5ヶ月になる頃に再び夜泣きが頻繁に。ちょっと早いと思いましたが、保健婦さんの勧めで離乳食を始めました。息子がお昼寝している間は家事や離乳食作りで眠れず、夜も続けて眠れないので、睡眠不足で体力も気力もぎりぎり。真夜中の授乳の後も、抱っこしながら揺すらないと眠ってくれず、私の方が泣きたい思いでした。

どうしたら泣かずにいてくれるのか--育児書を何冊も読み、色々試してもみました。あまり激しく泣くので、どこかおかしいのではと心配になり、録音した泣き声をネットフォーラムに投稿して相談したこともあります(笑)。回答は「新生児だったら普通」というものから、「赤ちゃんが疲れきってる」というものまでありましたが、めぼしい解決方は見つからず。

周りのママさんたちはすごく楽しげに子育てしてるように見え、こんな自分は母親失格ではないかとひそかに落ち込んでいました。訪ねてきた友達に「母親が神経質だと子どもに伝わるよ。もっと大らかに」と言われて、めっちゃ傷ついたことも…。思い余って保健婦さんに相談したら、「順調に育ってるんだから、少々泣いても大丈夫よ」と言われ、ついに私の涙の堰が決壊。でも、誰かに聞いてもらえたことで、少しだけ救われたような気がしました。

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誕生後の1週間

超過敏な赤ちゃん

 

超過敏な赤ちゃん

案外楽にやれるかもと思った私の子育ては、生後2週間目に急変しました。

黄疸が治って起きている時間が長くなった途端、泣く、泣く、泣く…。またその泣き声が、新生児ながらデカイんです。生後3週間くらいに結核の予防接種を受けた際、「こんなに泣き叫んだ赤ちゃんは初めて」と言われる始末。

でも、この時クリニックでメキシコ人ママさんと出逢い、私の子育てライフは随分救われることになりました。まだ20代前半の彼女は、息子と5日しか誕生日が違わないのに一回り大きくて髪がふさふさした女の子を片手で抱き、「今日は暑いから」と髪に水をピチャピチャ。ひゃ~、風邪ひかないの?その余裕はどこから? 恐る恐る息子を抱いてる私とは大違い…。

彼女が誘ってくれたので、新米ママのための新生児クラスに参加することに。クラス終了後も7人のママが集まって毎週会うようになり、そのお陰で外国でひとり子育てする心細さを解消できたと思います。子どもの月齢が似通っていたため、成長の目安が分かりやすくてラッキーでした。

息子はいわゆる「かんの強い子」で、機嫌のいい時間が短くて、泣いてばかり。授乳の間隔が3時間空くことがなく、母乳不足が原因のひとつだったと思います。でも、毎日毎日ミルクを作るのに、絶対飲んでくれないんです…。思うに、乳首の感触と味の違いが嫌だったんでしょうね。最初の3ヶ月間は、夜中も2、3時間おきに泣くので、夫婦揃って睡眠不足でヘロヘロでした~。

そして、刺激に対してめちゃくちゃ敏感な赤ちゃんでした。ちょっとした音にすぐ反応し、慣れない場所や人がたくさん集まる場所ではむずがって大泣き。赤ちゃんってベビーカーや車の振動で眠るものと思っていたら、息子はそうじゃなかった!とにかく、自宅以外では殆ど寝ないんです。それも、カーテンを閉めきったいつもの静かな部屋でないと駄目。

お昼寝の時間を過ぎると、疲れすぎて眠れなくなり大泣きするという悪循環が起こるため、ルーティーンを死守するのが日課になりました(笑)。週に1度ママグループで集まってお茶してたんですが、いつも「お先に!」と言い残し、お昼寝に間に合うようダッシュ。お茶の途中で泣き出すのはたいていうちの子で、肩身が狭かったです。ちなみに、実家の母に頼んで宇津救命丸を送ってもらったんですが、全く効き目はありませんでした。

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誕生後の1週間

 

 

春のおとずれ

ロンドンでは全く雪が降らないまま、すでに2月も半ば….。昨年のクリスマスあたりから暴風雨が相次ぎ、南イングランドを中心に各地で洪水の被害が出ています.。うちの辺りは洪水は大丈夫ですが、庭の木塀が風で倒された家が続出。ケント州の友達の家では、屋根の瓦が吹き飛んだとか…。

イギリスの学校には学期の半ばにハーフタームと呼ばれる1週間の中休みがあり、先週末からノーサンプトン州にある主人の実家に来ています。

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高速を走る車の中から撮影した2月の田園風景

暖冬のせいもありますが、空気にはもう春の気配が。義母の庭や散歩にでかけた先で、草春の目印をたくさん見つけました。

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スノードロップはイギリスの春を告げる代表的な花

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       近くにあるブリックスワース・カントリーパークでお散歩。この辺りでは洪水の被害はなかったものの、貯水湖の近くには大きな水たまりがある箇所も

昨日は朝から暗い雲が立ち込めていたので、外出せずに息子とバナナケーキを作ることにました。義母が新しく購入したオーブン付電子レンジで試してみたら、なかなかの出来。

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今日はオレンジの芳香に誘われてキッチンに行くと、義母と息子がママレード作りにいそしんでいました。アーガクッカーにかけたジャム用の大鍋で、飴色のママレードがぶくぶく煮詰まって、本当にいい香り。

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これがジャム用の大鍋

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        煮沸消毒したジャムジャーに入れて、あとは蓋をするのみ。義母が所属する婦人団体Women’s Instituteのバザーで販売する予定だとか

 ところで、先週のバレンタインデーは皆さんチョコレートに縁がありましたか?イギリスでは、バレンタインデーは女の子が男の子に愛を告白する日じゃないんです。反対に、男性が女性への愛情を示す日なのです。愛の証はチョコレートでなく、情熱の赤いバラ(+贈り物)。

そのため、2月14日はフローリストが1年で最も忙しい日となります。店内は赤いバラで埋め尽くされ、バラの値段が急上昇。最近ではスーパーが花販売競争に加わったのでそうでもありませんが、昔は赤いバラの値段が3倍以上になっていて驚いたものです。

恋人同士だけでなく、夫から妻にも花を贈らないと顰蹙もの。うちの場合は今までの苦い経験を踏まえ、事前に欲しいものをリクエストすることにしています。今年は花はなしにして、Hotelというブランドのチョコレートを所望。家族全員で美味しくいただきました。

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赤いバラの代わりに春の花のブーケを購入。ヒヤシンスの静謐な香りが大好きです

 

 

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その8)

これまでイギリスの小学校の制度や教育システムを長々と綴ってきましたが、ASD児が場面緘黙を発症しにくいと考える根拠をまとめてみます。

<イギリスの学校の利点>

●登校しぶりや登校拒否が少ない = 適応障害を起こしにくい環境

イギリスでは小学生の登校しぶりや登校拒否が殆ど話題になりません。実際にかなり少ないようですし、私の身近でも聞いたことがありません。その背景には、能力に合わせた学習体制に加え、支援の多い馴染みのあるクラス環境があると思います。学校に対する不安や恐怖、学校生活のストレスが少ない環境は、ASD児はもちろん全ての子どもに優しい環境といえます。

(ちなみに、この国で社会問題となっているのは、ワーキングクラスや移民の子どもが集まる地区の学力低下の問題。いまだに階級制度が存在し、英語が第二言語の子どもが多いため、地区や学校によって学力の差が激しいのです。また、イギリスでもセカンダリースクール(12~16歳)にあがると、登校拒否やドロップアウトの問題が出てきます。セカンダリーでは急に学校の規模が大きくなり、大学のようなシステムに変化し、学校と保護者の繋がりが希薄になることが原因と考えられます)。

●特別支援システムが浸透していて、保護者と学校の繋がりが強い

イギリスの学校には専属のSENCO(特別支援コーディネーター)が存在し、ひとりひとりの子供にIEP(個別教育プラン)を立てて支援します。支援は学習の遅れや態度・行動の問題から、何らかの障害がある子どもまで、かなり広範囲。学校の予算と子どものニーズに合わせ、心理士や言語療法士、作業療法士といった専門家の支援を追加することも(その多くは学校ベースで行われます)。

SENCOを中心に、担任とTA、必要であれば専門家、そして保護者で支援チームを結成します。こう書くと理想的なようですが、学校によってサポートの質や量が大幅に違うのが難…。それでも、問題が起きた時の対応は日本より早いのではないかと思います。

IEPがあると、周囲の大人が子どもの持つ問題や特徴、支援方法を把握することが可能です。それが、他の子ども達へのフォローや、子どもがクラスに溶け込めるような支援に繋がるように思います。

保護者と学校との連携が義務づけられ、通常は学期末にSENCO(+担任や専門家)と保護者がIEPの達成度をチェックし、次の目標を決めます。インファントでは送り迎えが必要なので担任と顔を合わせる機会が多く、ジュニアでも普段から担任やSENCOに相談しやすい雰囲気があります。

<ASDの二次障害としての緘黙>

●二次障害の定義

子どもが抱えている困難さを周囲が理解して対応しきれていないために、本来抱えている困難さとは別の二次的な情緒や行動の問題が出てしまうもの。

●ASDの特徴

社会性、想像力、コミュニケーションに障害があり、対人関係で問題を起こしやすい傾向があります。また、発達の凸凹が大きいため、学習面でできることとできないことの差が大きかったり、学習障害などを併発していることも。環境の変化に弱く、集団生活に不安を感じる子が多いようです。

●ASD児が場面緘黙になるケース

ASD児の中でも、やはり抑制的な性格や学校への不安が大きい子、比較的受動的な子が場面緘黙になりやすいのではないでしょうか?不安の少ない学校環境で、対人関係に対する大人の支援やフォローが多いことを考えると、ASD児が場面緘黙を発症する頻度は、日本の小学校と比べ少ないのではと思います。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その6)

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その7)

 

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その7)

3) クラス運営と特別支援のシステム

<クラス運営について>

イギリスの公立小学校は1~6年生(6~11歳)の前にレセプションクラス(5歳)を加えた7年制。通常、クラスの定員は30名です。一体どんな基準でクラス編成するのか不明ですが、息子の学校では、7年の間ずっとクラス替えなしでした。ちなみに、担任は1年ごとに交代します。

最初、「えっ、友達関係がうまくいかなかったら、ずっとそのまま!? おとなしい子が自分の殻を破るチャンスがないのでは?」と、すごく心配だったのですが、息子の場合はこのシステムがプラスに働きました。

7年間も同じクラスだと、仲間意識が強くなり、子ども達はそれぞれの個性を当たり前に受け止め、認め合うようになります。困った時どんな風にフォローすればいいのか皆解っているので、自然な助け合いができるというか…。例えば、杖をついている子がいたら、一緒に歩く時にどんな風に振舞えばいいのか自然に身につく感じです。多分、マイナス面もあると思うのですが、総合すれば利点は大きいように思います。

SM児もそうですが、ASD児は変化に弱く、新しい環境に馴染みにくいのが特徴のひとつ。また、内気な子どもにとっても、日本のように毎年クラス替えをすることは随分負担になるのではないでしょうか?

<特別支援教育について>

イギリスの公立校ではインクルージブ教育(健常児と障害児の統合教育)システムを採用していて、全ての子どもが普通クラスで学ぶ体制になっています。もちろん例外もあって、何らかの重い障害がある子どもは、保護者の希望などにより特別学校に行くケースも。

息子の学校では、他校と比べて特別支援が必要な子どもを多く受け入れていました。発達の障害や身体的な障害がある子が、クラスに1~2人くらい。校内では、杖をついて歩く子や車椅子の子の姿も(校内にエレベーターがあるのです!)。基本的に、特別支援用の通級クラスというのはありません。それぞれの子どものIEP(個別教育プラン)に合わせ、定期的に授業を抜け出して小グループ活動、個別の学習セッションやセラピーを受けに行くという感じです。

ちなみに、インファント(5~7歳)では各クラスに担任とTA(教員補助)がつく体制。特別支援(SEN)を必要とする子どもの中でも、症状が重くステートメントと呼ばれる法的評価を受けている子に対しては、地方の行政局から学校に予算が下りるので、専属のTAがつくことが多いです。加えて、科目によってはエキストラで学習支援員がついたり、保護者ボランティアが参加したり。

息子をイギリスの公立校に通わせてみて、子どもに能力以上の無理をさせないようなシステムという感想を持ちました。学習面では能力別にグループ学習させることが多いと前の記事で書きましたが、体育とかも同じなんです(笑)。例えば、逆上りや縄跳びをする場合、全員ができるように支援するというのが日本。でも、イギリスはそうじゃないんです。

小3の時に学校で縄跳びの授業があったんですが、息子を含めできない子が複数人いました。で、担任に相談したら、「男の子は跳べない子も多いから」と言われ、なんの対処もなし….。結局、夏休みに家で練習して跳べるようになったんですが、学校ではできるまで支援という発想はないようでした。

私の感触では、「できる子はもっと、できない子はそれなりに」というシステムかな…。これって保護者にとっては困った傾向ですが、子どもにはストレスが少ないと思います。

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チャイナタウンの旧正月

今年の旧正月は1月31日(金)でした。ロンドンでは旧暦元旦の後の日曜日に、チャイナタウンで「春節」の祝祭イベントが行われます。今年は2月2日(日)に行われたこのイベント、イギリス人にもお馴染みになってきたためか、それとも中国人留学生や旅行者が増えているためか、年々規模が大きくなってきているよう。

Chinese New Year 005久しぶりに朝から良い天気だったので、我が家でもチャイナタウン行ってきました。ロンドンは今年に入ってから雨の日が多く、毎日、毎日、雨ばかりで 本当にウンザリ。気象庁によると、先の1月はイギリス南部で観測史上最も降水量が多かったとか。でも、これで終わった訳ではなく、まだしばらく続くそうです…。

正午を少し回った頃にレスタースクエア駅に着いたのですが、すでに構内もすごい人。チャイナタウンに隣接する主要 道路が遮られ、広い範囲が歩行者天国になっていました。通りには赤い提灯が飾られ、食べ物や新年の飾り物などを売る屋台もたくさん。お祝いの爆竹があちこ ちでパンパン鳴って、お祭りムードを盛り上げます。

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私たちの目的は、獅子舞を見学しがてらDumplings’ Legendというレストランで点心を食べることでした。ここは小籠包が美味しいことで有名なんです。2年前に偶然入って初めて小籠包を食べ、それ以来のお気に入りとなりました。少々高めですが、味が良く量も多いのでお勧めです。

さて、レストランのある通りに辿りついたのはいいんですが、ちょうど獅子舞がこの通りを練り歩いていて、前に進めないほどの大混雑。通りの隅っこの、獅子舞が行われているのと反対側に立っていたら、ラッキーなことに太鼓の大音響と共に獅子が私たちのいる方へ。でも、背の低い私は人の頭で見えない!

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獅子が次のお店に移動し、少し人波が引いたすきに、私たちは目的のレストランへ直行。でも、予測どおりレストランの外には長い行列が…。「1時間待ちじゃない?他に行こうか?」と弱音をはく夫を尻目に、どうしても小籠包を食べたくて踏ん張りました(笑)。

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<店内ではガラス越しに小籠包を作る様子を見学できます>

30分ほど並び続けて、やっとレストランの中に入りもう少しというタイミングで、何と再び獅子舞がやってきました!その時、息子が撮った映像です。

このレストランでは、入口にレタスとお祝儀の入った赤い封筒(紅包)がつるされていて、獅子舞を終えた獅子がぐーんと背伸びしてレタスをパクリ。他のお店では2階からレタスがするする降りてくる場面も。獅子が食い散らかしたレタスの残骸(?)を受けたのは、お店のスタッフ!これって縁起がいいのかな—彼は周りにいたお客さんの肩をぽんぽん触って、幸運のお裾分け(?)をしてました。

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<お待ちかねの小籠包が出てきたのは3時頃でした>

しかし、何故に白菜でなくレタス?中国語でレタスは「生菜」と書いて「ションサイ」と発音。「成財」と同じ発音になるため、縁起が良いということらしいです。息子の肩にもレタスのかけらが飛んできたので、今年は何かいいことあるかも?

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その6)

2) イギリスの教育システムと学習形態

かつてはイギリスでも日本と同じようなシステム・学習形態だったそうですが、現在ではクラス全員が同じスピードで同じことを学習すべき、という概念はないようです。大まかなガイドラインはあるものの、子どもの成長速度や能力はそれぞれ違うので、ガイドライン内でその子のレベルに合う学習を、という方針のよう。

ジュニアになると主要科目(算数と国語)は、能力別のグループに分かれて学習することが多いようです。といっても、各グループで全く別々のことをやっている訳ではなく、新しい項目を導入する際は、ホワイトボードを使って全員に説明し、それぞれのグループに難易度の違う課題をさせるという感じです。

例えば、算数の掛け算で、2と5の段のみの問題をやっているグループもあれば、1~5段までの問題をやってるグループも、全部を含めた問題をやってるグループもある、といった具合に。読本はグループ別に難易度が異なる本を読み、同じ課題をさせたり。

たいていの場合、一番下のグループにはTAがついて支援。その一方で、飛びぬけて上の子ども(グループ)はギフテッド(gifted)と呼ばれ、特別に英才教育の支援をすることも。真ん中にいるその他大勢の子どもたちは、普通に進めるので支援は殆どありません。

日本人の感覚からいうと、一定の子ばかりが支援されるようで不公平に思えるかもしれませんが、別に保護者への説明もないのです。ちなみに、私がこういうシステムなんだなと気づいたのは、随分後になってからでした(笑)。

それから、驚くことに自分の教科書がない!(私立校はちゃんとあるらしいです)日によって、学校においてある古い教科書を使ったり、プリントを使ったり…。科目別に学科のノートがあるんですが、それも自宅に持ち帰ることはできません。だから、カバンの中には教科書もノートも入ってないんです。

また、日本と比べると宿題が少ない!学校にもよりますが、息子の小学校では金曜日にまとめて宿題が出て、火曜日に提出するという方式でした(これは働いている保護者が週末に監督できるように)。そして、宿題も能力別なんですよね~。

困ってしまうのは、教科書がないので予習・復習ができないこと。そして、子どもが今何を勉強してるのか、さっぱり解らないことです。読本は家に持ち帰りますが、国語の授業で何をやってるのかは謎…。テストしても学期末にしか返ってこなかったり。

で、子どもは家でどんな勉強をしてるかというと、書店で参考書やドリルを買って保護者の方針でめいめい勝手にやってる感じです。熱心な親は早くから家庭教師をつけて、どんどん先のレベルへ。塾というのはないんですが、大体どこの町にも公文があります。やらない子はそのまま、やってる子はものすごく進むので、その差は歴然!

成績表はクラスや学校で何番とかではなく、文部省で定められた学年の水準と比較してどのレベルにいるか、という相対的なものなんです。最初のうちは何がなんだか訳が判らず、実は今も完全には理解できていないという(笑)…。

不思議なことに、同じ公立小学校でも校長の方針によって平均成績に格差があり、評判のいい学校とそうでない学校の差が激しかったりします。学区制なので、子どもがまだ小さいうちに、お目当ての学校の近くに引っ越す人も多いです。

子どもにとってみると、こういったシステムは精神的に楽なんじゃないでしょうか?特に、学習面で困難のある子にとって、皆と同じスピードで同じ様に学習することは大変なストレスになります。周りの目や態度を気になるでしょうし、自己評価も下がってしまう…メンタル面でかなりの負担になると思うのです。グループ学習の場合、できなくてもそれ程目立たないし、クラス中から注目が集まることもありません。

次回はクラス運営や特別支援などのシステムについて説明したいと思います。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その5)

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イギリスの小学校と日本の小学校の違い

1) 学校や教室の雰囲気

イギリスの小学校(5~11歳)に行ってみて、まず思うのは規模が小さいこと。都会でも1学年に1クラスのみ(30人)のところがあり、3クラスあると「大きい学校」とみなされます。平均は2クラスくらいでしょうか。小学校(Primary School)はインファント(5~7歳)と呼ばれる幼児部とジュニア(8~11歳)に分かれていて、同じ学校内に両方あるところもあれば、全く別々の学校として独立していることもあります。

息子の小学校は1学年3クラスでしたが、担任はもちろん、殆どの先生と学校職員が全校生徒だけでなく、母親の顔と名前も知ってることに驚きました。インファントのうちは子どものお迎えが義務なので、自然と親の顔を覚えるのかもしれませんが…。そのせいか先生と話しやすく、日本より親しみやすい感じです。

そして、校内・教室内がとってもカラフルで、日本よりずっとカジュアルな雰囲気なんです。生徒が作った壁画、図工の作品、写真などがそこら中に飾られ、学習用具や図書コーナーはラベルや絵つき。大きな行事があると、学校中を飾りつけたりします。

話がそれますが、息子の学年がエジプト文明のワークショップをした際、手伝いにいってビックリ。担任たち全員が「コスプレですか!?」みたいな出で立ち(笑)!お隣のクラスの男性教師が、長い黒髪のカツラ+オレンジ色の衣装+化粧で美女に変身していて、生徒にも大うけ。先生方のハッスルぶりも半端ないです。

教室を見回して一番違うな~と思うのは、机がグループ毎に固めてあること。インファントでは、自分の机というのはなくて、テーブルを囲んで座ることが多いようです。学校によって違うと思うのですが、私の経験では概ねそうでした。

出入口は前方にひとつ。前方の壁にはPCと直結したホワイトボードがあり、ホワイトボードを使う際は、子どもたちを床に座らせることも多いようです。

イギリスの小学校の画像を見つけたので貼り付けますね。幼稚園みたいな玩具のある教室は、レセプションクラス(1年生の前の学年)のものです。

イギリスでは、グループで学習しているところに、先生がまわってくることも多く、授業中も割とガヤガヤしてます。日本よりも寛容な感じがするというか、何か失敗してもそれほど気にならない雰囲気があるような気がします。

次回は教育システムについて説明します。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その3)

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その4)

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その4)

さて、ここからやっと本題に入ります。

私は日本の学校に比べ、イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい(=二次障害としての緘黙を発症しにくい)のではないかと考えています。なお、ここで言うASD児の中には、ASD系の発達凸凹のある子どもたちも含めています。

マギージョンソンさんが「複合的な場面緘黙」のカテゴリーにASDとの併存症を含めていること、またDSM-IVで触れていることからも、ASD(及び広汎性発達障害)の二次障害として場面緘黙が発症するケースがあることは周知の通りです。

場面緘黙とは?(その2)

場面緘黙とは?(その3)

でも、二次障害としての場面緘黙がどの程度の割合で発症しているのか、その発症率は環境や文化の違いによって異なるのか、というような研究は殆どなされていません。

二次障害については、「子どもが抱えている困難さを周囲が理解して対応しきれていないため、本来抱えている困難さとは別の二次的な情緒や行動の問題が出てしまうもの」と定義されています。また、軽度の発達障害を持つ子どもは、他の軽度発達障害の合併や二次障害を併存することが多いといわれています。

私は2年ほど前からSENTA(特別支援助手)専門のエージェントに登録しています。仕事はASDなどの発達障害児を中心とした、学習に困難のある子どもの支援が中心です。希望としては場面緘黙の子どもを支援したいのですが、緘黙だけで地区の行政局から学校に支援金がおりることは稀で、学校には緘黙児のためにSENTA(日本でいう加配)を雇う予算がないというのが現状です。

エージェントの仕事はフルタイムが殆どだし、イギリスで教育を受けた訳でもなく、英語にもハンデがあり、経験も不足してる私…。今まで受けた仕事は、小学校での短期TA勤務と家庭教師的なものばかり。ASD児の支援の仕事を何度か打診されたのですが、時間などの都合と自信がないのとで、お断りしてました。

経験を積むため、昨年9月から小規模なASD児専門の私立校(8~17歳)で、週に1回研修をさせてもらっています。一昨年前の夏には、息子が通っていた公立小学校のレセプションクラス(5歳児)と小4のクラスで1学期間お手伝いさせてもらいました。

専門校に在籍する30人のアスペっ子のうち緘黙症状がある子はゼロ。息子の出身校は全校生徒約700人中10人程度のASD児がいるということでしたが、緘黙を併存している子はここでもゼロ。配属されたクラスに回復中のハーフの緘黙児がいたんですが、ASDではありませんでした。

また、エージェントを通じて、移民の多い地区の小学校で2人のASD男児のサポートと小3クラスのTAを担当しましたが、2人とも緘黙傾向はありませんでした。

今までSMIRAの保護者会や緘黙のワークショップに参加したり、イギリスの学校で働いてみて、環境に適応できないために二次障害を起こすASD児が少ないのでは、という感想を持った次第です。

ちなみに、SMIRAの会員にはASD児が殆どいない印象ですが、ASDと緘黙を併発している子どもがいることは確かです。それは、SENTAのエージェントが主催する『発音・言語・コミュニケーションの困難を持つ子どもの支援(Supporting Children with Speech, Language and Communication Needs)』の短期コースを受講した際に実感しました。受講者はフルタイムで働いている35名ほどのTAで、うち70%程度がASD児専門ユニットやASD児を含む支援をしていました。緘黙児がいるかどうか訊いてみたところ、2名から「いる」という答えが。両方ともASD児でASDの症状が重いため、緘黙はそれほど問題になってない様子でした(SMIRAの資料を渡しましたが、反応が薄かったです)。

偶然にも、コース受講中に懇意になったTAの中に、「息子(14歳)は現在の担任になってから話さなくなった」というASD児の母親がいたのですが、彼女は「学校が息子を理解してくれない。環境が悪い」と嘆いていました。子どもの性格や気質が第一の要因だと思いますが、ASD児が学校の環境に適応できるかどうかも大きな要因だと思います。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その3)

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その3)

発達凸凹という考え方

杉山登志郎氏著の『発達障害のいま(講談社現代新書 2011年)』を読み、発達凸凹という考え方を知って、目からウロコの思いでした。

「自閉症スペクトラム」という概念では、健常人からカナータイプの典型的な自閉症の人まで、人類全員がそのスペクトラム(連続体)の中に含まれます。連続体なので各カテゴリーの境界線は曖昧で、さらに他にも様々な濃淡を持つ要素が複雑に絡み合っているものと思われます。

杉山氏の解釈では、《一般人 - 発達凸凹 - 自閉症スペクトラム障害 - 自閉症》という順番で、下記のような三角形の中に、一般人のグループを左端、自閉症のグループを右端にして入れています(この説明では解りにくいかな…。直角三角形の画像を探したんだけど、直角マークが入ってるのしかなかった…)。 triangle

認知に高い峰と低い谷の両者を持つグループを発達凸凹とし、その中で適応障害があるグループを自閉症スペクトラム障害としています。典型的な自閉症ではなく、知的障害のない、より軽度の、しかし社会的な問題を多発させている人たちの中で、適応障害がない状態(=困っていない状態)が発達凸凹という説明。

この図は自閉症スペクトラム障害についてですが、LDやADHD、言語障害、協調運動障害など、それ以外の障害に関しても、凸凹といえる状態の子ども達がいるのではないか?場面緘黙は社会不安がベースになっていると言われていますが、社会不安や脅迫感が強すぎるのも、ある意味で発達の凸凹ではないかな?と勝手に考えています。

自閉症スペクトラムだけでなく、他の発達の凸凹を持つ子ども達も、社会的に適応できていれば個性や苦手の範囲にとどまるケースや、二次障害を発症せずにすむケースが多くなるのでは?と考えたんですが….どうでしょう?適応できるかどうかは、子どものニーズに合う対応と、子どもが置かれている家庭や学校の環境要因に大きく左右されそうです。つまり、小さい頃から凸凹に優しい環境や周りの理解・サポートがあれば、社会に適応しやすくなるということ。(これがイギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくいのでは、という私の考えの根拠になってます)。

私が学生だった頃は、「自閉症」、「ADHD」、「学習障害」などという言葉は聞いたことがありませんでした。カナーが自閉症を発見したのが1944年頃、「Developmental Disorder (発達障害)」という言葉がDSM-III-Rに初登場したのが1987年と考えると、「発達障害」という概念自体がまだ比較的新しく、これからもっと研究が進みそうですね。

『ドラえもん』じゃないですが、クラスメートの中には個性の強い子が複数人いたような気がします。いつもオチャラケてて先生に注意されてる子とか、算数は得意なのに国語は全然できない子とか。今思えば、もしかしたらADHDやLDの傾向があったのかもしれません。でも、それが彼らの個性で、それほど問題になることなくクラスに溶け込んでいました。かくいう私も、低学年の頃は先生から見ると「極端におとなしい子」だったと思います。

小学校の頃は地区の「子ども会」があり、行事などで集団で活動することが多かったし、低学年の頃は近所の子どもが集まって一緒に遊んでいました。学校とはまた別の子ども社会があったのです。地域コミュニティの繋がりが濃く、大人と関わる機会も今の子ども達よりずっと多かったし、親戚関係ももっと濃厚でした(しがらみが強くて面倒な部分も多々あったんですが….)。

当時の社会的な環境が子どもの社会性を育て、発達に凸凹のある子が適応障害になるのを防いでいた部分が大きいかもしれません。一緒に遊んでいるうちに仲間意識が育ち、それぞれの個性を受け入れ、自然と小さい子や困った子の面倒を見るようになります。それが学校での生活にも繋がっていました。

『発達障害のいま』の中で、「発達障害が増えている」ことを取り上げていますが、こういった社会の移り変わりもその原因のひとつなんだろうなと思います。

追伸: 時差ぼけやら何やらでぼーっとしている内に、あっという間に1月も半ばになってしまいました~。これからもう少し頻繁に更新しようと思ってますので、よろしくお付き合いください。

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