イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その4)

さて、ここからやっと本題に入ります。

私は日本の学校に比べ、イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい(=二次障害としての緘黙を発症しにくい)のではないかと考えています。なお、ここで言うASD児の中には、ASD系の発達凸凹のある子どもたちも含めています。

マギージョンソンさんが「複合的な場面緘黙」のカテゴリーにASDとの併存症を含めていること、またDSM-IVで触れていることからも、ASD(及び広汎性発達障害)の二次障害として場面緘黙が発症するケースがあることは周知の通りです。

場面緘黙とは?(その2)

場面緘黙とは?(その3)

でも、二次障害としての場面緘黙がどの程度の割合で発症しているのか、その発症率は環境や文化の違いによって異なるのか、というような研究は殆どなされていません。

二次障害については、「子どもが抱えている困難さを周囲が理解して対応しきれていないため、本来抱えている困難さとは別の二次的な情緒や行動の問題が出てしまうもの」と定義されています。また、軽度の発達障害を持つ子どもは、他の軽度発達障害の合併や二次障害を併存することが多いといわれています。

私は2年ほど前からSENTA(特別支援助手)専門のエージェントに登録しています。仕事はASDなどの発達障害児を中心とした、学習に困難のある子どもの支援が中心です。希望としては場面緘黙の子どもを支援したいのですが、緘黙だけで地区の行政局から学校に支援金がおりることは稀で、学校には緘黙児のためにSENTA(日本でいう加配)を雇う予算がないというのが現状です。

エージェントの仕事はフルタイムが殆どだし、イギリスで教育を受けた訳でもなく、英語にもハンデがあり、経験も不足してる私…。今まで受けた仕事は、小学校での短期TA勤務と家庭教師的なものばかり。ASD児の支援の仕事を何度か打診されたのですが、時間などの都合と自信がないのとで、お断りしてました。

経験を積むため、昨年9月から小規模なASD児専門の私立校(8~17歳)で、週に1回研修をさせてもらっています。一昨年前の夏には、息子が通っていた公立小学校のレセプションクラス(5歳児)と小4のクラスで1学期間お手伝いさせてもらいました。

専門校に在籍する30人のアスペっ子のうち緘黙症状がある子はゼロ。息子の出身校は全校生徒約700人中10人程度のASD児がいるということでしたが、緘黙を併存している子はここでもゼロ。配属されたクラスに回復中のハーフの緘黙児がいたんですが、ASDではありませんでした。

また、エージェントを通じて、移民の多い地区の小学校で2人のASD男児のサポートと小3クラスのTAを担当しましたが、2人とも緘黙傾向はありませんでした。

今までSMIRAの保護者会や緘黙のワークショップに参加したり、イギリスの学校で働いてみて、環境に適応できないために二次障害を起こすASD児が少ないのでは、という感想を持った次第です。

ちなみに、SMIRAの会員にはASD児が殆どいない印象ですが、ASDと緘黙を併発している子どもがいることは確かです。それは、SENTAのエージェントが主催する『発音・言語・コミュニケーションの困難を持つ子どもの支援(Supporting Children with Speech, Language and Communication Needs)』の短期コースを受講した際に実感しました。受講者はフルタイムで働いている35名ほどのTAで、うち70%程度がASD児専門ユニットやASD児を含む支援をしていました。緘黙児がいるかどうか訊いてみたところ、2名から「いる」という答えが。両方ともASD児でASDの症状が重いため、緘黙はそれほど問題になってない様子でした(SMIRAの資料を渡しましたが、反応が薄かったです)。

偶然にも、コース受講中に懇意になったTAの中に、「息子(14歳)は現在の担任になってから話さなくなった」というASD児の母親がいたのですが、彼女は「学校が息子を理解してくれない。環境が悪い」と嘆いていました。子どもの性格や気質が第一の要因だと思いますが、ASD児が学校の環境に適応できるかどうかも大きな要因だと思います。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その1)

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その2)

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その3)

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その3)

発達凸凹という考え方

杉山登志郎氏著の『発達障害のいま(講談社現代新書 2011年)』を読み、発達凸凹という考え方を知って、目からウロコの思いでした。

「自閉症スペクトラム」という概念では、健常人からカナータイプの典型的な自閉症の人まで、人類全員がそのスペクトラム(連続体)の中に含まれます。連続体なので各カテゴリーの境界線は曖昧で、さらに他にも様々な濃淡を持つ要素が複雑に絡み合っているものと思われます。

杉山氏の解釈では、《一般人 - 発達凸凹 - 自閉症スペクトラム障害 - 自閉症》という順番で、下記のような三角形の中に、一般人のグループを左端、自閉症のグループを右端にして入れています(この説明では解りにくいかな…。直角三角形の画像を探したんだけど、直角マークが入ってるのしかなかった…)。 triangle

認知に高い峰と低い谷の両者を持つグループを発達凸凹とし、その中で適応障害があるグループを自閉症スペクトラム障害としています。典型的な自閉症ではなく、知的障害のない、より軽度の、しかし社会的な問題を多発させている人たちの中で、適応障害がない状態(=困っていない状態)が発達凸凹という説明。

この図は自閉症スペクトラム障害についてですが、LDやADHD、言語障害、協調運動障害など、それ以外の障害に関しても、凸凹といえる状態の子ども達がいるのではないか?場面緘黙は社会不安がベースになっていると言われていますが、社会不安や脅迫感が強すぎるのも、ある意味で発達の凸凹ではないかな?と勝手に考えています。

自閉症スペクトラムだけでなく、他の発達の凸凹を持つ子ども達も、社会的に適応できていれば個性や苦手の範囲にとどまるケースや、二次障害を発症せずにすむケースが多くなるのでは?と考えたんですが….どうでしょう?適応できるかどうかは、子どものニーズに合う対応と、子どもが置かれている家庭や学校の環境要因に大きく左右されそうです。つまり、小さい頃から凸凹に優しい環境や周りの理解・サポートがあれば、社会に適応しやすくなるということ。(これがイギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくいのでは、という私の考えの根拠になってます)。

私が学生だった頃は、「自閉症」、「ADHD」、「学習障害」などという言葉は聞いたことがありませんでした。カナーが自閉症を発見したのが1944年頃、「Developmental Disorder (発達障害)」という言葉がDSM-III-Rに初登場したのが1987年と考えると、「発達障害」という概念自体がまだ比較的新しく、これからもっと研究が進みそうですね。

『ドラえもん』じゃないですが、クラスメートの中には個性の強い子が複数人いたような気がします。いつもオチャラケてて先生に注意されてる子とか、算数は得意なのに国語は全然できない子とか。今思えば、もしかしたらADHDやLDの傾向があったのかもしれません。でも、それが彼らの個性で、それほど問題になることなくクラスに溶け込んでいました。かくいう私も、低学年の頃は先生から見ると「極端におとなしい子」だったと思います。

小学校の頃は地区の「子ども会」があり、行事などで集団で活動することが多かったし、低学年の頃は近所の子どもが集まって一緒に遊んでいました。学校とはまた別の子ども社会があったのです。地域コミュニティの繋がりが濃く、大人と関わる機会も今の子ども達よりずっと多かったし、親戚関係ももっと濃厚でした(しがらみが強くて面倒な部分も多々あったんですが….)。

当時の社会的な環境が子どもの社会性を育て、発達に凸凹のある子が適応障害になるのを防いでいた部分が大きいかもしれません。一緒に遊んでいるうちに仲間意識が育ち、それぞれの個性を受け入れ、自然と小さい子や困った子の面倒を見るようになります。それが学校での生活にも繋がっていました。

『発達障害のいま』の中で、「発達障害が増えている」ことを取り上げていますが、こういった社会の移り変わりもその原因のひとつなんだろうなと思います。

追伸: 時差ぼけやら何やらでぼーっとしている内に、あっという間に1月も半ばになってしまいました~。これからもう少し頻繁に更新しようと思ってますので、よろしくお付き合いください。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その1)

イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その2)

 

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その2)

やっとのことで、イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その1)の続きです。

杉山氏の意見について、私なりに考えてみました。

1) 緘黙はASD(自閉症スペクトラム障害)ではないと考えられてきたため、国際的な診断基準にもそのための除外診断の記載があるが、最近になって重症の緘黙児には高頻度にASDの子どもがいることが明確になってきた

DSM-IVでは、ASDと場面緘黙が併存している場合、場面緘黙はASD(広汎性発達障害)の二次障害と見なします。そのため、一次障害としての(独立した?)緘黙からは除外しています。

・E コミュニケーション障害(例えば、吃音)が原因ではなく、また、広汎性発達障害、総合失調症やその他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものは含めない。(詳しくは場面緘黙とは?(その2)を参照してください)。

上記の文面から判断すると、杉山氏は一次障害と二次障害の区別はしておらず、「重症の緘黙児は、ASD児である頻度が高い」という事実から、場面緘黙=ASD、という可能性を示唆しているように思えます。

2) 軽症の緘黙児は不安感が強いとか、家族の中で見えない対立があるなどの家庭環境の要因がみられる。しかし、コミュニケーション全体に遅れを認める難治性の緘黙児は、殆ど実はASDの併存症として生じている

ここでは、コミュニケーション全体に遅れがある難治性の場面緘黙=自閉症スペクトラムの併存症、としています。別の視点で捉えると、ASD児が二次障害として場面緘黙を発症した場合、治りが悪いと言えるのではないでしょうか?とすると、マギージョンソンさんの下記の説に通じる部分があるのではないかなと思います(詳しくは場面緘黙とは?(その3)と(その4)を参照してください)。

純粋な緘黙の場合は、緘黙に対する取り組みだけでいいが、その他の場合(ASDがある場合は、4の複合的な場面緘黙に当ります)はそれぞれ併存している問題への対処が必要になる。純粋な緘黙に比べ、回復はゆっくりになる傾向が強い。

ただし、難治性の緘黙児は全員ASDを併発しているとは言い切れないのではないでしょうか?が、場面緘黙だけでなく、何らかの問題・障害が併存している可能性は高いのではと思います。

また、軽症の緘黙児について 「不安感が強い」、「家庭環境の要因がみられる」とありますが、不安感の強さは症状の強弱に関係なく、緘黙の子供にも大人にも共通していると思います。ちなみに、ASD児も不安感は非常に強いことで知られていますよね?また、「家庭環境の要因がみられる」というのは古い定説で、正しくないと思います。

追記:マーキュリー2世さんにコメントをいただき、「家庭環境の要因」については不透明だなと考え直しました。ただ、「親の育て方のせいで緘黙になるのではない」と思っていますし、「見えない対立」というような家庭環境が要因になっていることは稀なのではないかなと思います。

3) このグループは思春期に転帰が分かれ、外でコミュニケーションが取れる子と、取れないままの子に2分される。

これに関しては、調査や研究を読んでいないので何ともいえません。

4) ASDの併存症としての緘黙症に対しては積極的な治療、つまり入院治療を行うと成果があがる。入院して家族と離れて生活するだけで、早い子は2週間、粘る子でも1ヶ月、最悪の場合は3ヶ月あれば、家庭外でも会話によるコミュニケーションが可能となる。

イギリスでは緘黙の入院治療というのはありませんし、日本以外の国でも聞いたことがありません。日本だけの特殊な治療方法ではないかなと思います。

日本の学校教育システムを考えた場合、担任やTAがひとりの子供のために頻繁に時間を取ることは、放課後を除いて難しいのではないでしょうか?(イギリスでも住んでいる地区や学校によって、取り組みはまちまちです)。海外のようにIEP(個別教育プランIndividual Educational Plan)が設置されていない場合、担任の自己責任の範囲で協力ということになりますし…。イギリスでは、学校や学年によっては母親が学校に通ってキーワーカー(架け橋的な役割)になるケースもありますが、これも日本では難しいでしょう。そう考えると、学校内での取り組みや治療というのは、かなり限定されてくるような気がします。クリニックや児相などでの定期的な治療と比較すると、入院治療というのはもっと集中して場面緘黙を治療できる良い機会じゃないかなと思えます。

私は入院治療に関する情報を持っていないので、病院の小児病棟でどのように緘黙治療をするのか見当がつきません。多分、1対1もしくは、小規模なグループセラピーのような感じかなと想像しています。家族と切り離して病院の環境に慣れさせ、毎日同じ看護婦さんたちやと医師たちと触れ合って信頼関係を築くことで、不安を減らして言葉を引き出すことができるんだろうなと思います。家だったら暗黙の了解だったり、母親がやってくれていたことなど、何らかの意思表示をしなければならないサバイバル的な部分も出てきますよね(例えば、トイレに行きたい時や欲しいものを選ぶ時など)。家族の助けなしに緘黙児が自分でコミュニケーションを取り、話し始めることができたら、きっと大きな自信になるはずです。ただ、場所が病院なので、学校でも同じように話せるかというと、どうなんでしょう…?

ここでは、「ASDの併存症としての緘黙症に対しては」とありますが、決してASD併存のケースだけが入院治療に向いているということではないと思います。多分、どんな緘黙児にも入院治療は効果があり、特にASD併存の緘黙児には成果が期待できるということなのかなと。

私は全くの想像でものを言っているので、もし入院治療をされた方、子供を入院治療させた方がいらしたら、是非その体験をおききしたいです。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その1)

 

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新年、明けましておめでとうございます

みなさん、明けましておめでとうございます。

昨年7月末に始めたこのブログ、止まりそうになりながらも何とか細々と続けることができ、無事年を越せました。のらりくらりと遠回りしておりますが、本年もどうぞよろしくお付き合いください。

30日の飛行機でロンドンに戻る際、何故か再びチェックインで引っかかり、「30分ほどお待ちください」とのお達し…。でも、さすが日本!ロンドンのBAカウンターで日付変更をした際、帰りの便も操作したらしいのですが、時間内にきちんと処理してくれました。ヘルシンキまでの10時間弱は、足を伸ばせる壁に面した席をあてがわれ、とってもラッキー!

朝11時55分に出発し、夕方5時半過ぎにロンドンに辿りつきました。夫の実家でクリスマス休暇を過ごしていた子供と夫が迎えに来てくれて、久々に我が家へ。ほっとした反面、翌日は大晦日というのに、床は荷物でいっぱい、冷蔵庫はからっぽ…。

昨日は洗濯機を3回まわし、スーパーで食料品の買い出しをし、夜3人で鍋を囲むことができました。あまりに眠かったため食後ひと眠りして、夜10時に起きてお土産に買ってきた抹茶チョコやお煎餅を食べながら年越し。今年もテムズ河の花火は見事でした。

そして、今日元旦は雨、雨、雨…。お雑煮を食べてから出かけようと張り切っていたのに、家でゴロゴロする羽目に。勤め人の夫は明日からもう出勤です。私も今年こそはもう少し頑張りたいと思ってます。

余談ですが、最近日本に帰ると、どうも餡子のお菓子に目がいってしまいます。喫茶店よりも甘味処に惹かれる今日この頃…。

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地元でお気に入りの喫茶店。抹茶アイスの餡蜜が美味

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名古屋の友達の家で食べたイチゴ大福は最高でした

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          名古屋ではもう水仙の花が咲いていてびっくり。どんよりした曇りの日が多いロンドンに比べ、寒くてもからりと晴れるのがいいですね

2014年がみなさんにとって良い年となりますように。

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ロンドンのクリスマス

12月15日になんとか無事帰国できました。が、忙しさとネット環境不備のため、今日までブログの更新ができませんでした。クリスマス前にと思っていたのに、結局ギリギリです…。でも、文章と写真はすでに準備しておいたので、投稿しますね。

2週間ほど前、友人に会うためにウエストエンドの繁華街に行ってきました。デパートが建ち並ぶオックスフォードストリート界隈は、普段も買い物客で混雑するのですが、クリスマス時期はそれに輪をかけたすごい人混み。クリスマス直後には恒例の大バーゲンセールが行われ、デパート前に寝袋持参の強者たちが行列を作ります。

イギリスではクリスマスが一年で最も大きなイベントで、日本のお正月のような感じ。11月下旬には街にクリスマス飾りやイルミネーションが灯され、どんよりした灰色の街がぱっと華やぎます。でも、今年は….なんかとっても地味–もしかして予算がないのかな、と勘ぐってしまったほど。それでも、それぞれ趣向を凝らしたデパートのショーウィンドーは今年も楽しめました。

IMG_3616         1909年創業の老舗デパート、Selfridgesの正面玄関で待ち合わせ。                         最先端を行くファッションとグルメ賞賛のフードホールで評判です

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今年のXmasディスプレイはミニュチュアのサンタクロースが主役

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       庶民派デパート、John Lewisではクリスマスにちなんだ動物などのディスプレイ。                                タオルで作った七面鳥

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コンピューター関連の機器で作った白熊?

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John Lewis の店内ディスプレイ

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ミンスパイなどクリスマス食品のハンパー(詰め合わせバスケット)

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ウエディングドレスの専門店

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オックスフォードストリートの飾り付け(地下鉄駅入口から)

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                         明かりが灯るとこんな感じ。この通りを走れるのはブラックキャブと呼ばれるタ              クシーと2階建バスのみ IMG_3638

オックスフォードストリートの脇道

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我が家の植木鉢入りツリー。3年前に2000円くらいで買った小さな木が年々育ってます。IMG_3663  IMG_3665

皆さん素敵なクリスマスをお過ごしください

 

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ヒースロー狂想曲--こんなのアリですか?

本当は、昨日の朝11時20分の便で日本に向けて発つはずでした。

が、まだロンドンの自宅にいます….。そうです--飛行機に乗れなかったのでした。「乗り遅れた」、といえばそうなんですが、全く私の責任ではありません。

一昨日、昨日と、ロンドンは久しぶりに濃い霧に包まれました。複数の便がキャンセルになり、ヒースローは混乱気味。

霧のせい?  いえ、ヒューマンエラーだと思います。

元々フィンランド航空で予約したチケットでしたが、コードシェアをしているBA(英国航空)に変更されたということで、BAのカウンターでチェックイン。これが出発の1時間50分ほど前。ヘルシンキまでの搭乗券を印刷したところで問題が発生したらしく、階下の事務所から確認が入るまで待つことに。

新しい人達が次々とチェックインしていく中、待てども待てども呼ばれず…途中で担当者が代わり、新担当の手が空いた際2回かけあったのですが、「昨日キャンセルが続出して事務所は大混乱してるから、もう少し待って! 待ってるのはあなただけじゃないのよ」とけんもほろろ…。かなりオーバーブッキングがあった様子で、周囲には10名弱の人が集まってスタッフと押し問答に。

結局、私達は「階下からマネージャーが来て説明するから」と無視され…待つこと1時間。「えっ、もう搭乗時間過ぎてる?!」という状態になってからマネージャー氏がやってきて、「この便は定員がいっぱいになったため、搭乗は締め切りました。皆さんの便を変更します」と…。

「ええええ~っ!」と皆怒って文句を言った後、マネージャー氏が皆のアイテナリーをチェック。私の搭乗券を見た途端、「早く、搭乗しなさい!」と。でも、スーツケースも預けてないし、ヘルシンキからの搭乗券もないし、何せもう出発20分前でしょ?!

彼が無線でチェックした時、既にもうラストコール状態でした。それなのに、搭乗しろと主張するんです!一緒に待ってた中国人の女の子達に「グッドラック!」と背中を押され、走りましたよ~。

クリスマス前の忙しい時期です。セキュリティチェックには長蛇の列…係員にお願いして前へ走り、ようやくチェックを終えて、搭乗口へひた走る私。何故か高校時代に現国で習った太宰治の『走れメロス』を思い出してました(笑)。

で、やっとのことで24番ゲートに辿りつき、階段を下って搭乗口に行くと--誰もいな~い!! もう出発した後だったのです。こんなのアリですか?!

仕方なくお隣のセクションの受付に事情を話すと、「トランジットにBAのカウンターがあるから、そこに行って」とそっけない返事。同じBAの職員だけど、「私の責任じゃないから」と、誰も謝ってくれないのでした…。イギリスでは何か問題が起こると万事がこんな感じ。カスタマーサービスがしっかりしてないので、仕方ないと諦めるしかないことが多いのです(クレームするにも、自分で全部しなきゃならない)。

探し当てたBAのカウンターにはやっぱり列ができていて、待つこと40分。皆さん問題がある方ばかりで、ちっとも進まないのでした。やっと私の順番が来て事情を説明し、色々調べてもらって14日の便に振り替えた時には、正午をとっくに過ぎてました。ちなみに、この担当者は大変一生懸命やってくれて、感じも良かったです(きっと、こういうクレーム処理にも慣れているのでしょう)。

そこから、パスポート審査でまた並び、スーツケースを取り返し、カフェでひと息入れ、荷物預かり所を探して大きいスーツケースを預け、地下鉄で家に戻った時には4時を回っていました。朝家を出たのは8時20分…何のための一日だったのか…もうクタクタ。

イギリスではクリスマス時期が日本の師走と同じで、よく”run round like a headless chiken (やみくもに走り回る)” という表現を使うんですが、まさにそのもの。いい大人が必死こいて空港を走る姿は、見られたものではなかったでしょう…。

ipadを操作しながら、おやつを食べてソファで寛いでいた息子に紅茶を淹れてもらい、やっぱり家はいいな、とつくづく思ったのでした。

 

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しばらく更新できなくて、すみません

家庭の事情で12日に急遽帰国することになり、先週からバタバタしています。イギリスのクリスマス風景をお伝えしようと思い写真は撮ったのですが、「明日は更新しよう」と思いつつも、次から次へとやることが増えて全くできず…。

明日は学校勤めなのですが、実はまだパッキングもできてなくて…。夕方、息子の学校で初の進路懇談会もあり--超焦っています。

また帰国して落ち着いたら、ぼちぼち書き始めますね。

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イギリスの学校ではASD児が場面緘黙になりにくい?(その1)

『日本では発達障害と見なされやすい?』のシリーズでは、日本では場面緘黙児がPDD(広汎性発達障害)と診断されることが多いように思えること、またその理由について考えてきました。今度は、イギリスの学校環境やシステムの中では、ASD児が二次障害として場面緘黙を発症する率が低いのではないか、という私の勝手な仮説について考えてみたいと思います。

その前に、『日本では発達障害と見なされやすい?(その5)』でも触れたのですが、杉山登志郎氏の著書『発達障害のいま』に着目したいと思います。日本における高機能自閉症の権威のひとりといわれる杉山氏は、あいち小児保健医療総合センターの心療科(児童精神科)の部長として、2010年まで9年間、臨床の最前線にいた方です。

2011年夏にこの本が出版された時は随分話題になったようですが、読まれた方はどの様な感想を持たれたでしょうか?私は2011年秋に帰国した折、Knetのおしゃべり会 in 名古屋に行く途中立ち寄った書店で、偶然にこの本と出遭いました。読んでみて、難解な中にも目からうろこの発想が沢山あったように思います。特に、発達障害が何故増えているのか、発達の凸凹とトラウマについては興味深く何度も読み返しました。

ご存知かもしれませんが、この本の中には「選択性かん黙」についての記述があります(P170)。      要約してみると、

1) 緘黙はASD(自閉症スペクトラム障害)ではないと考えられてきたため、国際的な診断基準にもそのための除外診断の記載があるが、最近になって重症の緘黙児には高頻度にASDの子どもがいることが明確になってきた。

2) 軽症の緘黙児は不安感が強いとか、家族の中で見えない対立があるなどの家庭環境の要因がみられる。しかし、コミュニケーション全体に遅れを認める難治性の緘黙児は、殆ど実はASDの併存症として生じている。

3) このグループは思春期に転帰が分かれ、外でコミュニケーションが取れる子と、取れないままの子に二分される。

4) ASDの併存症としての緘黙症に対しては積極的な治療、つまり入院治療を行うと成果があがる。入院して家族と離れて生活するだけで、早い子は2週間、粘る子でも1ヶ月、最悪の場合は3ヶ月あれば、家庭外でも会話によるコミュニケーションが可能となる。

(『発達障害のいま』 杉山登志郎 講談社現代新書 2011年)より抜粋&要約)

ここから、またまた続きます。

関連記事:

緘黙は発達障害なのか?

 

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日本では発達障害と見なされやすい?(その6)

イギリスにおけるASD(自閉症スペクトラム障害)のアセスメント

この間、セカンダリースクール(12~16歳)に通うSMの女の子のお母さんと話す機会がありました。娘さんは幼稚園入園時から場面緘黙になり、小学校低学年で一端回復したものの、5年生の頃から徐々にまた緘黙傾向が強くなったそうです。娘さんの社会性を心配して最近ASDのアセスメントを受けたと聞き、その経過を教えてもらいました。アセスメントの際、日本のようにWISCなどの知能テストが行われるかどうか知りたかったからです。

言語療法士経由で学校に相談したのは、娘さんが6年生の時。学校から地区のCAMHS(Child and Adolescent Mental Health Service 子どもと青少年の心の健康を専門とするクリニック)に紹介してもらい、実際に精神科医に会うのに2年もかかったとか!イギリスの国民医療サービス(NHS)は無料だし、専門医の質も高いんですが、システムが複雑で待ち時間が長いのが玉に瑕…。同じNHSの医師に私立の病院で診てもらうと、目玉が飛び出るほど高額なんです(万単位)。

まず、CAMHSに紹介された時点で、オンラインの申し込用紙に娘さんの情報などを記入。その後、学校側と専門家がミーティングを行い、精神科医に診断してもらう必要があるかどうか相談する予定だったそうですが、CAMHS側が診断必要ありと判断したため、10ヵ月後に最初のアポが入ったとか。

初診は何と医師ではなく精神科のナースによる面談。その結果を専門家たちが話し合い、ASDの可能性があるのでアセスメントが必要と判断されたそうです。

それから次の受診日を待つこと1年。精神科医が両親に問診を行い、その結果ASDではなく社会不安障害という診断がおりたそうです。娘さん個人にも別個に質問する予定でしたが時間が足りず、そちらの方は次回に回されたそうですが、まだそのセッションは行なっていないとのこと。

CAMHSからの報告書によると、ASDのアセスメントに使われたのは、Dimensional Developmental and Diagnostic interview (3DI) Observational assessment

不安障害の診断に使われたのは、SCARED (Screening for Child Anxiety Related Disorders)
だそうです。

言語療法士たちは、最初からASDではなく不安障害ではないかという意見で、これはASDの疑いを除くためのアセスメントではないかと話していたそう。やはり、日本のようにWISCなどの知能テストで自閉症スペクトラムかどうかを判断することはないようですね…。

「日本では発達障害と見なされやすい?(その2)」で触れたのですが、うちの息子も主治医(GP)に頼んでCAMHSに紹介してもらい、7歳の時にASDのアセスメントを受けました。その際は5ヶ月後に診察してもらえたので、私が住む地区は待ち時間が短い方なのかもしれません。結果からいうと、問診してすぐにASDの心配はないと言われました。

受診の理由は、当時かんもくネットでPDDと診断されるお子さんが多く、心配になったこと。息子には感覚過敏があり、学校で男子のグループの中に溶け込めなかったり、家で意固地になることが多かったためです(友達関係に関しては、診察を待っている間にかなり改善されました)。

うちの場合は、私と医師、(父親が隣について)子どもと医師が別々に問診を受けました。多分、彼女の家族が受けたのと同種類の質問だったと思いますが、報告書には「アスペルガーシンドロームのスクリーニング質問表使用」とあるだけ…。加えて、学校での様子や友人関係、成績などについて担任からの情報と、それに対する医師の所見も記載されていました。

スクリーニング質問表は既成の自己診断テストをもっと具体的にした感じかな。息子の普段の生活の態度や性格など、細かいところまで具体的に訊かれた記憶があります。

「軽度発達障害フォーラム」というサイトでPDD(ASD?)自己診断テストを見つけました。気になる方は参考程度にトライしてみてください。自己診断で特に問題がないようであれば、それ程心配することはないように思います。もし心配な場合は、早急に児童相談所などに相談に行くことをお勧めします。どんな問題であれ、子どもが直面している困難を見極めて、どの様なサポートが必要かを知ったうえで、早めの対策を練ることが大切かと思います。

PDDオンライン自己診断

http://www.mdd-forum.net/check_sheet/checksheet_pdd.htm

PDD・アスペの定義と診断基準

http://www.mdd-forum.net/asp_teigi.html

ASDの定義自体が一般の健康な人を含んだスペクトラム(連続体)なので、少々社会性に欠けるとか、コミュニケーションが苦手であっても、環境に適応できていれば、個性の範囲に入るのではと私は思っています。また、そういう傾向を持つ子どもには、その傾向に対するASD児への対応を参考にできると思います。

私は9月から自閉症児専門の小規模な私立校で、週に1回TAの研修をさせてもらっています。生徒は殆どアスペの男児ばかりでなんですが、会話をしていると、話題が一方的で視野が狭く、会話のキャッチボールができないという共通点があるように感じます。視線は合うし、質問にもちゃんと答えるものの、こちらのボディランゲージや周りの状況を全く読めないよう。話題が自分の興味に集中して、話が膨らまないんですよね。ちなみに、30名強の生徒のうち、場面緘黙の子はひとりもいません。

緘黙は発達障害なのか?

日本では発達障害と見なされやすい?(その1)

日本では発達障害と見なされやすい?(その2)

日本では発達障害と見なされやすい?(その3)

日本では発達障害と見なされやすい?(その4)

日本では発達障害と見なされやすい?(その5)

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ハリーポッターの魔法

先週末、息子と一緒にロンドン郊外にある『ハリーポッタースタジオツアー』に行って来ました。このアトラクションは昨年3月にオープンしたのですが、我が家は興味がなくて、日本の友達に訊かれるまで知らなかったという(笑)。ラッキーなことにタダ券をいただき、一日かけて楽しんできました。

当日は余裕をもって家を出たのに、Euston駅が大混雑していて切符を買うのに長蛇の列。予定していた急行を逃してしまい、あわてて次の電車に飛び乗ったら大失敗!鈍行だったぁ…。目的駅まで20分のはずが50分もかかってしまい、私は焦りまくり。一方、息子は落ち着き払って座っていました--というか、恥ずかしいから他人の振りをしてたのか…。

Watford Junction駅についたのが12時10分ころ。本当は専用のシャトルバスに乗る予定だったのですが、20分前に会場入りするよう言われていたため、慌ててタクシー乗り場へ。運転手さんに「何時のチケット?」と訊かれ、「12時半」と答えると、「余裕、余裕。遅れたって、ちゃんと入れてもらえるから」とのことでした。

考えてみれば、大人£29(約4900円)、子ども£21.50(約3500円)とけっこう高価なので、まあ少し遅れても門前払いはないですよね…。ちなみに、チケットは完全予約制で、当日券は買えません。

最初に映画館仕様の席に座って映像を観た後、銀幕のスクリーンがさっと上がると、現れたのはホグワーツの大広間へと通じる大きな木の扉。なかなか心憎い演出です。この日誕生日の人達が呼ばれて(複数人いた)、彼らが扉を開けました。

IMG_3411         クリスマス飾りを施した大広間。床は本物の石ですが、壁はプラスティック製で本         物そっくりに彩色してあるんです。自由に撮影できて触れるものもいっぱい

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         ダンブルドア校長をはじめとする先生達がお出迎え。手前の”The Owl Podium”は本物の金でメッキしてあるとか

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 それぞれの映画で使用したコスチュームもいっぱい展示されてました

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ダンブルドア校長のオフィスとキャビネットのディテール

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魔法薬の教室の一部と、これ誰?

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            ウィリアム王子とキャサリン妃もトライしたという魔法の杖を振るレッスン。                    ギフトショップには各キャラクターの杖がちゃんと販売されてました

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中庭には3階建ての夜の騎士バスやホグワーツの橋などが

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映画に出てくるクリーチャーも勢揃い。ダイアゴン横丁は歩いて抜けられます

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圧巻はホグワーツ城の1/24スケールモデル

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帰りはちゃんとシャトルバスで駅に戻れました

本物の舞台セットの中を実際に歩くこともでき、コスチューム、小道具から特殊効果テクノロジーに至るまで一挙に公開されていて、とてもよくできてるなと感心することしきり。子どものお付き合いで最初と最後の映画しか観ていない私でもかなり楽しめたので、ファンには必見ですね。ハリーに扮した子どもも結構いましたよ。

息子はというと、私よりもクールな感じだったかな(笑)。ハリーポッター本は初版から空前のブームを巻き起こしましたが、息子(グループ)はそれほど興味を示さず。映画は友達と一緒に全部観てるんですが…。関連グッズを買い集めることもなかったので、私もほとんど知識がないという訳です。ちなみに、息子のマイブームはというと、3~4歳の頃『サンダーバード』、6~9歳『ドクターフー』、9~10歳『スターウォーズ』という感じでしょうか。昔からメカに心惹かれるようです。

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お土産はパンフとチョコレート

 

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