イースター休暇

イギリスではイースター(復活祭)の祝日の前後に学校の春休みが2週間ほどあります。ちょっとややこしいのですが、イースターは「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」という決まりで、毎年日付が変わるんです。今年は4月16日で、先週の金曜日から月曜日までが4連休。ちょうど春休みの終わりと重なりました。

今年のイースターは、3年ぶりにバース南郊外の義妹夫婦宅に家族が集結。久しぶりに姪っ子と甥っ子に会ったらスラリと背が高くなっていて、特に足が長~い!残念ながら息子は私や父に似てしまい、ハーフなのに足が短くて可哀想…。ごめん!土曜日に着いて、その夜は子どもたちと一緒に巻きずし作りをしました。

イースター当日は、近くにあるナニー(Nunney)という村にイースターパレードを見に行くことに。実は、今回は義母が腰を痛めていて、あまり歩けない状態だったんです。でも、「なるべく近くに車を駐めれば、ほとんど歩かずに済むよ」と義弟。行ってみて、その言葉に納得--本当に小さな村なんです。

     ちょっと暗いですが、17世紀の馬車宿を改造したパブ/ホテルがある村の大通り(中)。パブの向かい側には中世の城の廃墟があります

運良く、大通りのパブ The George の駐車場に空きスペースをひとつ発見。そこからパレードが行われるという広場まで2分ほど歩くと、なにやらカラフルな帽子を被った人たちが集まっていました。広場の真ん中には、三角旗を飾り付けたトラクターと荷車が…。

川沿いにあるNunney村の広場

この村のイースターパレードというのは道を行進するのではなく、荷車の上にあがってイースター飾りを施したボンネット(帽子)を競い合うというもの。老若男女みんなそれぞれ個性的でしたが、今年はティーンの部の参加者はゼロ。「こんなの恥ずかしくてやってらんない」っていうお年頃なんですかね…。

  年齢別に荷車にあがってボンネットのできを競います。左は年少の部、右は5~7歳の部。

8~11歳の部では、ファッションショーよろしく荷台のうえでウォークも

 成人男性と女性の部。圧巻だったのは本物の花飾りとウサギをのせたこの方(中央)

イギリスらしくワンちゃんの部も!みんな凝ってる割にのんびりムード

パレードが終わった後は、川にプラスティックのアヒルを浮かべて順位を競うダックレース。残念ながら、私たちが着いた時にはアヒルは既に売り切れてました。

 川に浮かぶ500匹のアヒル。仲々流れないなと思ったら、ちゃんと流す係の人が

アヒルが橋の向こうに行ってしまうと、ダックレースの途中ですがここで解散という感じ。ぞろぞろ歩いてパブで喉を潤し、家路につきました。ランチの後、ダイニングテーブルの上は箱入りのイースターエッグ型のチョコレートの山。これでもかというほど食べましたが、全く食べきれず…。

夜はお決まりのローストディナー

イースターマンデー(復活祭の月曜日)のお楽しみは、ゆで卵に絵を描いてぶつけあう遊び。息子はもうとっくの昔に卒業しましたが、姪っ子と甥っ子は嬉しそうに興じてました。こうやって伝統が受け継がれていくんですね。

春の海

学校のイースターホリデーが始まった先週末、主人の友達の誕生会に呼ばれて、家族でブライトンまで行ってきました。過去3回ほど行ったことがあるのですが、いずれも結婚する前のこと。街のシンボルとして有名なパビリオン内を見学したことがなかったので、今度こそと楽しみにしてました。

ブライトンの象徴ともいえるロイヤル・パビリオン

運良く好天に恵まれ、そぞろ歩きにちょうどいいくらいの暖かさ。土曜日だったので、歩行者天国でマーケットも開かれてました。

可愛いらしいショップがたくさんあって寄りたかったのですが、男性陣は目もくれず…カフェを探してどんどん先に行ってしまうんです

お昼はイタリアンカフェでお得な3コースランチ。前菜のエビのカクテルはすごいボリュームでした。メインは久しぶりにカルボナーラのパスタを食べたのですが、こちらもたっぷりした量。

  エビのカクテルとスライスしたバナナに甘いトフィーと生クリームをたっぷり加えたバノフィーパイ(右)。1972年にイギリスで発明されたスィーツなんだとか

腹ごしらえした後、ロイヤル・パビリオンへ。元々は18世紀後半にまだ皇太子だったジョージ4世が建てた別荘だったそう。その後、海水浴が流行しブライトンの街はファッショナブルな保養地に発展。国王になったジョージ4世は、1815年に建築家ジョージ・ナッシュに依頼して、手狭になった別荘を現在のオリエンタル趣味の離宮へと大改装させました。

外観はインド・イスラム風ですが、内装はシノワズリ趣味で豪華絢爛。そこかしこに龍のモチーフがあしらわれ、これでもか(笑)というほど金襴の飾りが--当時の東洋に対する興味と憧れに満ちています。あと、召使たちが通る長い廊下が延々と続いているのが興味深かったです。

     天井が高くて明るいキッチン。蓮の花を模った巨大シャンデリアが見事な宴会室へと続きます

ヴィクトリア女王は狭くてプライバシーが守れないという理由で、1850年にこの離宮をブライトン市に売却しています。当時、殆どの家具はロンドンに移されたそうですが、後になってシャンデリアや壁紙などを戻したんだとか。第一次世界大戦時には、イギリス軍として戦い負傷したインド人兵士たちのための病院として利用。インド風の外観から親しみを感じてもらえると考えたそうなのですが、中は中国風でビックリだったかも…。

次はパビリオン内にあるブライトン博物館を見学。陶器、20世紀の家具調度、古代エジプト文明、パフォーミングアートなど、雑多なコレクションが。主人の友だちによると、昔は無料だったそう。

この後、観光客のメッカでもあるブライトンピアーへ。天気がいいので家族連れや若者でいっぱい。ピアーの一番先は遊園地になっていて、ジェットコースターやメリーゴーランドなども。こんなところに造り付けちゃって、安全面は大丈夫なのかな…。

 

ブライトンの海岸は砂浜でなく小石の浜です

  日暮れにホテルのカフェで少し休んで、徒歩で丘の上にある友達宅へ

翌日の朝は、まずサウスダウンズ・ヘリテージセンターに向かいました。展示とかは少なくて、巨大なガ―デンセンターとカフェという感じ。気候が良くなったのでガーデニングを始める人が多いのか、巨大な駐車場が結構いっぱい。

白い蔓バラのクレア・オースティンが枯れてしまったので、代りをゲット

お昼過ぎにブライトンマリーナで主人の友達家族と合流。白い絶壁に沿ってぶらぶら散歩し、先端近くにある小さなカフェでランチとおしゃべりを楽しみました。

その後、ブライトンの北側にあるエドワード王朝時代の屋敷、プレストンマナーに寄りました。閉館時間に近かったためか、ビジターは私たちだけ。他に誰もいなくて、規模も小さかったためか、誰かの家に招かれたような親密な雰囲気。当時の上流家族の暮らしが、肌で伝わってくるようでした。

 

メインの寝室の向こう側には、夜中でもすぐアテンドできるようメイド長の部屋がありました。他のメイド達の部屋は屋根裏に、バトラーを始めとする男性召使いの部屋は中地下にあったそう。地下室では、洗濯やアイロンかけ、靴の手入れ、食事の支度などが行われ、各室で用事がある時は、地下でベルが鳴るという仕組み。

家族の優雅な生活を支えるため、召使いたちが頑張ってたんでしょうね…。

春爛漫

久しぶりに近所のガーデンセンターに行って、「もうすぐ水仙が咲く!」と嬉しくなった先週の土曜日。でも、その翌日に地区で行われたウォーキングに参加したところ、陽当りのいい丘の上ではもう水仙が満開になっていました。

  

ハイゲートの森の入口。野生(?)のスノードロップが咲いてました

このウォーキングは、ヴィクトリア王朝時代から1950年代なかばまで存在していた鉄道の跡(Highgate駅からAlexandra Palace駅間)に沿って歩くというもの。リーダーの男性による説明の他、常連のメンバーによる詩の朗読も。ママ友たちとウォーキングが目的で参加したのですが、どちらかというと地区のスポットを巡るお散歩みたいな感じでした。

小高い丘になっているマズウエル・ヒル地区からはロンドン中心部が一望できます

これは桃の花? この上を列車が走っていたというアーチ

丘の上にあって陽当りのいいアレキサンドラ・パークではクロッカスと水仙が満開

   1875年に建てられAlly Pally(アリー・パリー)の愛称で親しまれるアレキサンドラ・パレスには、展示会場やスケートリンクがあります

公園ではスミレや名前不明の可愛い小花を発見

先週の木曜日が私の誕生日だったのですが、2月末生まれの友達と合同誕生祝いということで、テイトブリテン美術館に行ってきました。お目当てはデビッド・ホックニーの個展。

   私はホックニーの舞台美術が大好きなんですが、常に新たな挑戦をしてスタイルをどんどん変えているのがすごいです。個性的なフォルムと色彩の美しさが際立ってました

   先週ガーデンセンターで購入した水仙が咲きました! そして、昨年花が終わった後シェッドに置きっぱなしにしていたヒヤシンスの鉢から芽が出てました~!

芽吹きの季節

毎日あっという間に時間が過ぎて、もう3月に入ってしまいました。イギリスでは2月中旬あたりから空気に春の兆しが感じられ、家々の庭先に早春の花が咲き始めています。2月はじめにはスノードロップのベル型の白い花、それから黄色と紫のクロッカス。いつの間にか淡いピンクの梅や早咲きの桜も花を開き、水仙の硬いつぼみも大きく膨らんでいます。

近所のお宅の前庭に咲いていた梅とマンサクの花。我が家のバラの木にも芽がいっぱい

春の訪れとともに、嬉しい知らせが。昨年秋から不登校気味で1月は一度も学校に来なかった生徒さんが、新たにできた6フォーム(6th Form 16 ~18歳の子が通う2年制の学校)の校舎に通うことになったというのです。

今までは、小学4年生から高校3年生くらいまでの子どもが、同じ校舎で学んでいました。30名と生徒数は少ないんですが、普通の家を改造・増築した建物なので、教室の配置が入り組んでいて、階段も狭く、いつも込み合っていて、窮屈な感じが否めませんでした。

彼はまだ14歳なので、6フォームに通うべき年齢ではないんですが、本人と学校の話し合いで「そこだったら通う」と決めたそう。

同級生や下級生のことを「ガキばっかり」「騒がしい」と称していたので(笑)、年上の子と一緒の方が落ち着くんでしょうね。今度の校舎は広々としていて、スタッフと共同で使える広いキッチンも。給食がないため、生徒がめいめい自分でランチを作るんだとか。即席スープやカップラーメンからサンドイッチ、パスタの材料までいっぱい揃えてあります。ライフスキルを身に着けるのに最適ですね。

しばらく休んでいたし、本当に登校できるのかなと心配だったんですが、彼は先週からちゃんと学校に来始めました。やった! お母さんもほっとしてると思います。

私の授業も再開した訳ですが、しばらく会っていないのに、照れた様子など全くなし。まるで何事もなかったように、ほんとうに普通なんです。こういうところが、やっぱりASDならではなのかな…。(でも、興味のある話題だったら、嬉しさを分かち合えるASD児もちゃんといます)。

「この学校はどう?」

「まあ、悪くない」

「家で退屈してなかった?」

「ううん、すごくハッピーだったよ。また学校に来なきゃいけなくなっちゃったけど」

彼は表情をあまり変えません。というか、表に出す感情の幅がすごく狭い…。一見しただけだと、「つまらなさそう」に見えます。でも、ボディランゲージや言葉から、今度の校舎や人間関係が気に入っていること、不安な状態ではないことが伝わってきました。彼の「悪くない」は「気に入った」なんですね。まあ、「嫌」だったら断固として動かないはずなので。

他の生徒と一緒の大教室でも、落ち着いて勉強しているのを見て大感激。年齢が上の子達はワーワー騒いだりしないし、先生達も静かに話すし。前の校舎と比べると、静かでゆったりとした雰囲気が気に入っているんだろうなと思います。

「サンドイッチ用のトマトを切らせたら、とんでもない切り方だったわよ」と、作業療法士が苦笑しながら教えてくれました。きっと家でもやったことがなかったんでしょう。でも、スタッフ全員が彼の復帰を心から歓迎しているのが伝わってきます。

このまま、問題なく学校生活を楽しめますように。

そうそう、昨日やっと屋根裏の工事のために組んだ足場が撤去されたので、久しぶりに近所のガーデンセンターに行ってきました。

 

早春の球根花と色とりどりのプリムラ

もう咲く寸前の水仙と葉が出てきたチューリップ

クリスマスローズの種類も豊富

こんな日時計が欲しいけど、うちの狭い庭では無理。プランターやかご類も充実してます

窓辺に飾る水仙と勿忘草を買いました

 

明けましておめでとうございます。

新年、明けましておめでとうございます。あっという間に2017年ももう3日目。イギリスでは今日から学校も会社も通常運転です。といっても、私は木曜日から始動なので、まだまだノンビリしているのですが。

こちらでは大晦日のカウントダウンで盛り上がって、お正月はオマケみたいな感じ。新年を迎えたんだなあという感慨はあまりありません。でも、せっかくのお正月なので、我が家ではお雑煮と里芋の煮っころがしだけは作るようにしています。

   近所の大型スーパーでEddoesという里芋のそっくりさんを発見。調理してみたら、ちとヌメリが少ないんですがまさに里芋でした

クリスマス料理と比べると、随分質素でヘルシーですよね。主人の実家では毎日大量に料理して、みんなで食べまくるを繰り返していたので、ちょうどいいダイエットになるかも。でも、ついお菓子を食べちゃうからダメかな…。

    今年のクリスマスは七面鳥ではなくラムのもも肉のロースト。5人で半分も食べきれず、翌々日にカレー、残りはチャーハンの具に。最後の写真は恐るべき銀色のクリスマスプディングーー重くてめっちゃ甘かった

ずっと暖冬だったのに、クリスマスの翌日から冷え込んできました

昨年の29日夜に主人の実家からロンドンに戻ってきたんですが、息子は咳き込み私は顔がザラザラに…。工事の始めもそうだったけど、多分アレルギー症状ですよね。翌日、ブラシとビルダーのでっかい掃除機を勝手に使って大掃除。壁土の粉塵が山盛りで、ふと気づくとマスクが壁土色になってました。

大晦日の夜はなぜか黒澤明監督の『乱』を、元旦の夜は『レヴェナント:蘇りし者』を観ることになったんですが、とってもとってもヘビーでした。

元旦は森林公園ハムステッドヒースに散歩に行く予定だったものの、雨に降られてあえなく中止。ヘルシーな1年にしようと思っていたのに、最初からくじけてますね。(これではいかんと思い、今日友達と一緒に2時間くらい歩いてきました)。

散歩の代わりにTrivial Pursuitというゲームをしたんですが、あまり盛り上がらず…

2017年がみなさんにとって充実した年となりますように。

 

まったりクリスマスイヴ

昨日主人の実家に着き、まったり静かな時間を過ごしています。居間の水漏れも思ったほど酷くなく、家具や本を動かしたのは部屋の半分ほど。天井に穴を開けて、専用の乾燥機で24時間乾かしている状態なのですが、工事中の我が家と比べたら全然マシ。平和です。

イヴの朝の風景

偶然にも、義母もローリエの木をクリスマスツリーにしていました!(残念ながらiPadで写真の編集ができないので、お見せできません)。

居間はこんな感じです

一昨日、クリスマス休みに入った息子を誘って、久しぶりにテートブリテン美術館に行ってきました。目的は2016年のターナー賞の展示会。この賞はイギリスを拠点に活躍する50歳以下のアーティストを対象にしていて、現在のモダンアートの動向をうかがうことができます。

テムズ河南岸にあるテートブリテン美術館

入口のホールには、逆さまに飾られたクリスマスツリーが

今年のターナー賞候補に選ばれたのは女性3名、男性1名。賞を手にしたのは、ロンドン在住のアーティスト、ヘレン・マーテンさん(31歳)でした。

スクリーンプリントや彫刻に、何気ない日用品や毎日の暮らしの中で見つけた珍しいアイテム、ハンドメイドの手芸品やオブジェなどを組み合わせたインスタレーション作品は、どこか懐かしさが感じられました。

      最も話題をさらったのは、アンテア・ハミルトンさんのこの作品”Project for a Door”。

同じくアンテアさんによる、煉瓦のスーツと午後3時のロンドンの空

マイケル・ディーンさんの作品”The Work”。イギリスで大人2人と子ども2人が1年間暮らすのに最低必要な生活費は、20,436ポンド(約307万円)。この金額を全て1ペンス硬貨で作品に使い、最後に1ペンス(約1・5円)を取り除いたんだそう。4人家族の貧困の風景?

地下鉄までの帰り道は、ちょうど黄昏時でした。冬至を過ぎたばかりなので、これからは少しずつ日が長くなりますね。

テムズ河沿いの風景

ハンドメイドジュエリー店とパブのクリスマス飾り

明日のクリスマスは、世界中平和な1日となりますように。

明日はイヴですね

イギリスではクリスマスが1年最大のイベント。今年は12月24日から27日までがクリスマスの祭日です。日本でも忘年会シーズンだと思うのですが、イギリスでも12月はクリスマスディナーやパーティで盛りあがります。職場や所属するグループ、友人同士など、大規模なクリスマスイベントも多く、パブやレストランは大盛況。

私も先週学校のクリスマスパーティーに参加してきました。人気のパブでクリスマスディナー&ディスコ大会だったのですが、18ポンド(約2600円)の参加料で、3コースディナー+食前のシャンペン、そしてワイン(私は飲めないのでノンアルコール・カクテルを2杯)。食後にはコーヒーとミンスパイも付き、学校側がかなり負担してくれたよう。

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パブのクリスマス飾りとメインのラム肉&マッシュポテト

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帰りのバス停で見上げた空

でも、我が家は下の写真のような状態になっていて、クリスマスの雰囲気とはほど遠く…。外もスゴイですが、家の中(玄関から屋根裏への通り道)もスゴイんです。

  img_20161220_110340仕事を総括するプロジェクトマネージャーは人当たりがよくしっかりしてるんですが、実際に仕事を行うチームはまだ若いイギリス人のお兄さん達。これまで、キッチンの改装は熟練したイギリス人大工さん、部屋の増築はインド系チーム、庭はポーランド人の造園チームと様々だったんですが、若いイギリス人のチームは初めて。

冬季で日が短いためか、彼らは毎朝7時半くらいにやってきます。そして、なかなかよく働いているよう。が、ガサツというか、配慮に欠けてるというか…。大音量でラジオをかけて歌うし、どうも人の家という意識が抜けているような。

たとえば、「あっ、新品の階段が届いてる」と思って見たら、既に黒い足跡がいっぱい!通り道におかずに他の場所に置いておけばいいのに…。工事の始めにバスルームの天井が壊れかけ、古い漆喰が床にパラパラ落ちてくる状態。その上をそのまま歩くものだから、床は傷だらけ、バスタブの中には毎日土埃が。そして、洗面台は汚れ放題、タオルには毎日真っ黒な手の跡がクッキリ、シャワーカーテンも埃だらけ。

どういう訳か、全部家の中で作業をしてるんですよね…。屋根を取り壊して骨組みだけにした時点で、家中土埃や粉塵だらけになった訳ですが、その後片付けをしっかりしないまま、次の作業へと移るわけです。どうせ汚れてるから、最後に片付ければいいやということなのかな?まあ、一日の終りには一応業務用のでっかい掃除機をかけて帰るんですが…。

でも、真ん中の目立つところだけ掃除してるだけなんですよね…。床は常に粉塵だらけだから靴も汚れるし、手も真っ黒なので、新しく買ったものが取り付ける前にもう汚れてるという…悲しい。職人としての自覚はないのでしょうか?

私は彼らが帰った後、毎日マスクをかけて怒りながら掃除をしています。でないと、2階のバスルームは使えないという…。昨日は天井に漆喰を塗る作業をしていたようですが、最高に汚れてました!何故床がこんなになっちゃうのか?! 

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粉塵を吸い込みすぎたためか、ついにうちの掃除機が途中でダウン! 仕方ないので、途中から手動でやりました~。

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でもって、明日がクリスマスイヴなので、今日の午後主人の実家に行く予定です。あ~、やっと寛げる! と思っていたのですが、なんと先週2階のバスルームから水漏れして、リビングの天井が水浸しに…。現在、家具や書籍を全部移動して、大きなドライヤーで部屋を乾燥してる状態だそう。

でも、昨年増築したガーデンルームが使えるので、それほど悲観することはないかも…。

工事が始まって以来、週末に大量の洗濯をして除湿機で乾かさねばならず、今年はクリスマスツリーを飾るスペースがありません。でも、ツリーなしではあまりにも淋しいので、小さなローリエの鉢植で代用しています(今後、料理に使えるし)。

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それでは、みなさん素敵なクリスマスをお過ごしください。

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      一応、ドアにもクリスマスリースを飾りました

 

 

 

草間彌生とその芸術

早いもので、もう11月に突入してしまいました。今年も残すところあと2ヶ月弱と考えると、一体自分は何やってたんだろうと考えてしまいます。

さて、先週末ネットで日本のニュース番組を観ていたら、草間彌生が文化勲章を授与されたというニュースが。今年の夏の北欧旅行で強く印象に残ったのが、ストックホルム近代美術館で観た草間彌生回顧展。コペンハーゲンのルイジアナ近代美術館でも、彼女のインスタレーションがひときわ異彩を放ってました。

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     写真はルイジアナ近代美術館の常設インスタレーション『魂の灯Gleaming Lights of the Soul』。上の映像でその雰囲気を味わえます

これまでにロンドンでも何度か個展が行われたのですが、全部見逃してました。それまで草間彌生に関する知識といえば、水玉モチーフと作品の一部のような奇抜なファッションくらい…。正直、入場料を払ってまで観に行くぞ、という感じではなかったんです。でも、いつか観たいと思ってたので、ストックホルムの友達が「今、一番期待してる展示会!一緒に行こう」と誘ってくれた時は、即OKしたのでした。

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『無限 Infinity』と題されたストックホルムの回顧展。若い頃のスケッチから60年代NYでの作品群やHappeningの映像(自分や参加者の体を水玉模様にするパフォーマンス)、黄色い南瓜のミラールームや真っ赤な水玉オブジェが並ぶ巨大なインスタレーションまで、見どころいっぱい。

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彼女の作品がどんな風に進化していったのか、時代ごとに追っていくことができました。何だかどんどん規模が大きくなり、より強く、より明確になっていったような…。ひとめ見れば、「ああ、草間弥生の作品だ」と判る、強烈なオリジナリティが圧倒的。すぐ側まで行って触ったり、ミラールームに入れたり、作品に手が届くというか、自分も内に入ってその一部になるような距離感も魅力です。

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   真っ赤な水玉マッシュルームは『新たなる空間への道標 』。ステンレスのミラーボールを覗き込むと、そこには無数の自分が映る『ナルシスの庭 』

水玉にしても、網模様にしても、ミラーボールやミラールームにしても、どこまでも反復し、増殖し、無限に反映し続けるーーこれが彼女が創り出す永遠。

私は、彼女が10歳の頃から統合失調症に苦しみ、幻覚や幻聴に悩まされ続けてきたことなど、全く知りませんでした。

河原に行くと、何億という石が宙に浮いて迫ってくる。スミレ畑に行くと、スミレが人間の顔をして語りかけてきて、恐くて家に飛んで帰ろうとすると、途中で犬に話しかけられ、会話している内に自分の声が犬の声になっていることに気づく――。そんな脅迫感や恐怖感を絵に描きとめることで、彼女は精神のバランスを保っていたのです。多分、描くことは本能でもあったんでしょう。

10代の頃に描いたお母さんのスケッチ画は、顔も体も水疱瘡のような細かい点で覆われていました。家族の顔も、日常の風景も、彼女にはこんな風に見えていたのか――そう思うと、心底恐い。そして、その水玉のような点々は、どんどん増殖して自分の体にまで迫ってくるのです…。

誰もいないと、幻覚の方に引きずりこまれて離人症になってしまう――そんな恐怖に襲われて押入れに閉じこもってガタガタ震えていたとか…想像しただけでも壮絶な毎日です。

このインタビューに桑間弥生の秘密が詰まってます

裕福な旧家に生まれた彼女は、早くから母親に「お前は財閥の御曹司と結婚するんだ」と言われ、絵を描くことを止められたそう。でも、芸術家になる志を貫き、京都で日本画を学んだ後、1957年にNYに飛び出しました。

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NY時代の作品

1973年に体調を崩して帰国し、入院した後に執筆活動を始め、小説も多数書いています。病院で寝泊まりしながら、近くのアトリエで創作活動をするというルーティンだったよう。1990年頃から再びアート活動を始め、現在に至る大ブームを引き起こした訳ですが、当時の映像で「私はこれから!」と宣言してました。

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2012年のルイヴィトンとのコラボ作品。「出たっ」って感じですよね。

今年で御年87歳になられたそうですが、全身から放つ圧倒的なエネルギーが凄い。ピカソも晩年になっても衰え知らずの天才でしたが、彼女にはなんだか妖気のようなものまで感じられます。バイタリティーと創作意欲の塊みたい。

インタビューの映像を観ると、話し方は幼児のように舌足らずな印象なのに、大切な部分は直球でズバっと言い切ってる。眼光の鋭さといい、有無をいわせぬ存在感といい、人間を超えてるような(笑)。「永遠の永遠の永遠」を渇望して、渇望して、渇望し続けて制作してるんだな、というのがバシバシ伝わってきます。

統合失調症という病気と戦いながらも、「イケてた女の子だった」「私がファッションで時代を開いていく」と自信満々。おこがましいですが、こんなにも自分に自信を持てるって、羨ましい限りです。こんな性格だったら、緘黙にはならないんだろうな…。

ところで、60年代のNYといえば、オノヨーコも同じように前衛芸術をやってたな…と思い出しました。彼女も裕福な家の令嬢で、草間彌生と境遇が似てたかもしれません。偶然にも、同じ美術館の片隅にオノヨーコの作品が。草間さんの作品と比べると「つつましい」という言葉がピッタリで、複雑な心境に。

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ストックホルム近代美術館に展示されていたオノヨーコの作品

追伸: 今朝、文化勲章親授式のニュースをやってましたね。草間さんは「死ぬ物狂いで芸術をやって、死んだ後も何千年も人々が心を打たれる芸術を作っていきたい」と語っていました。これからも、どんどん凄い作品を生み出していって欲しいです。

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北欧の夏休みーコペンハーゲン編(その2)

北欧の夏休みーストックホルム編(その4)

 

 

 

北欧の夏休みーストックホルム編(その4)

ロンドンはもうすっかり秋の気候ですが、北欧の夏休みの続きをハイライトで。

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現国王一家の住居、ドロットニングホルム宮殿(Drottningholms slott)はストックホルムの西側、メーラレン湖の畔にあります。フェリーでも行けるんですが、友達が車を出してくれることになり、この日は庭園でピクニック。城内の見学は有料なものの、バロック庭園を含む広大な庭は無料で一般公開しています。今回の北欧の旅で感心したのは、観光スポットも公共交通機関も、大体18歳まで子ども料金が使えるところ。子どもの教育のためと思うのですが、随分助かりました。

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    左は宮殿内のチャペル。「北欧のベルサイユ」と呼ばれているそうですが、コペンハーゲンのフレデリクスボー城と比べるとごくシンプル

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窓の向こうはメーラレン湖

フォーマルなバロックガーデンを超え、小さな丘の上に敷物を広げてさあピクニック。友達は何やら重そうなリュックを持ち歩いていたのですが、中から大きなメロンと30cmくらいあるナイフ、コーヒーポット、ミルクのパック、スモモなどが出てくる出てくる..。イギリス人も同じですが、重くて嵩張るのをものともせず、家で使ってるのをそのまま持ってくるんです。大らかというか、あまり気にしないというか…。ちなみに、イギリスでは化粧品やら歯磨きやらの旅行用ミニサイズが登場したのは、ここ10年位のことなんです。

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6羽ほど子どもを連れた白鳥カップルに遭遇

庭園内には中国風の離宮があって、ちょうど時間が合ったのでガイドツアーに参加。アドルフ・フレドリク王が、1753年に妃の33歳の誕生日のサプライズとして建てたんだそう(当初は木造、後に石造りに)。こんなに大きな建物を長期間隠しておけるって、いかに庭が広いかが解りますね 。2階はプライベートな空間になっていて、窮屈なコルセットもクリノリンも着けずに寛げる空間だったとか。1階で食事をセットし、舞台装置のごとくテーブルごと2階に吊り上げていたそうです。

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シノワズリ趣味の離宮の壁紙が素敵でした

市内に戻る途中、夏季しか営業しないという人気のオーガニックアイスクリーム店に立ち寄りました。なんの変哲もない田舎の町並みに、いつも長蛇の列ができるとのこと。

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ヘーゼルナッツとブルーベリーのダブル。濃厚な味でとっても美味

私たちが滞在したソーダマルム島の東側にある写真博物館は、私設のためか何と午前1時までオープン!併設しているレストランの閉店時間に合わせたのかな?メインの展示会はイギリスの写真家、ニック・ブランドの”INHERIT THE DUST”。埃っぽいアフリカの都市部や開発中の荒れ地に、かつてそこに生息していた野生動物の巨大パネルをセットした白黒写真がパワフルでした。ミュージシャン、ブライアンアダムスが撮影したセレブの友人たちのポートレート写真も印象的。

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  夕食は伝統的なスウェーデン料理店で。やっぱり量が多い

モダンアートが好きな方には、シェップスホルメン(Skeppsholmen) 島にある現代美術館もお勧め。数は多くないですが、印象派からダダイズム、アバンギャルドまで20世紀のアートを無料で鑑賞できます。

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小さめのフェリーで出発

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庭にあったピカソの彫刻

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マン・レイとデュシャン(レプリカ)などダダが充実。ムンクもありました

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    中庭のカフェはシナモンロールなどケーキ類が豊富。主人が注文した海老のオープンサンドはとんでもない量でした~

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スウェーデンの嫌われもの、カナダ系ガチョウ。可愛いと思うんだけど…

最後の日に出かけたのは、ノーベル賞の記念晩餐会が開かれるストックホルム市庁舎。毎日河(というかメーラレン湖でした)のこちら側から見ていたので、やっぱり行くべきかなと。朝ボートでガイドツアーのチケットを予約しに行き、ホテルに戻ってパッキングを終えてから、家族全員で出かけました。
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   晩餐会が開かれる青の間。壁につけた星のレリーフを見ながら降りると、姿勢よく見えるんだとか

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              天井の梁と壁の模様が特徴的な市議会場

 

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    晩餐会のダンス会場となる2階の黄金の間は、金箔のモザイクの壁が眩しい!右の食器類は晩餐会で使われるもの

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   おまけ。ストックホルムのアロットメント(市民農園)。イギリスでは野菜や果物畑が中心なのに対し、スウェーデンでは寛ぐための小屋に力を入れているような…

これで、北欧の夏休み紀行はおしまいです。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

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北欧の夏休みーストックホルム編(その3)

 

北欧の夏休みーストックホルム編(その3)

ふと気づけば既にもう9月。イギリスでは8月末には夏らしい気候が戻ってきましたが、昨日から急に気温が下がり、今日は午後に入ってから雨が降り始めました。夏休みもすっかり終わってしまいましたが、今しばしお付き合い下さい。

ボートで島めぐり

市内からストックホルム群島を巡るボートツアーは地元民にも人気。私たちは、フェリーで一番近いFjäderholmarna島(なんと読むのか不明)へ行ってきました。複数のレストラン、ガラスや陶芸などの工房、手作りチョコのショップ、地ビール醸造所やパブ、小舟の展示館などがあって、30分もあれば一周できる大きさ。夏は海水浴を楽しむ人も多いそう。

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   島行きのフェリー。ガムラ スタン(Gamla Stan旧市街)の船着場から25分ほど

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昔の漁民の生活が忍ばれて

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船の形をした滑り台

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       趣のある可愛らしい工房が7、8軒並んでいます。動物の編みぐるみや、洋服、絵なども販売

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     お土産に購入した 小皿は少々 難ありで60クローネ(約 800円)。きざぎざ部分でニンニクをおろし、オリーブオイルと香草を混ぜてパンのソースに

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海に面したレストランでランチ

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息子はサーモン、私たち夫婦と友達はサバのサラダを堪能

夕方、ソーダマルム島の南のÅrstaにある友達のアパートへ。郊外の田園都市というか、緑豊かな公園の中に小さなアパート群が点在している感じ。かつて王家の果樹園だった土地で、近くには森や池がある自然保護地区なんだとか。今年は、森の野生のブルーベリーが豊作だと言ってました。

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    どことなくIKEAを連想させる居間と愛猫のコスモス君

スウェーデンでは何かお祝いごとがある時は、ニシンの酢漬けの前菜にミートボールというメニューが定番だそう。前菜にニシンの酢漬け3種類、メインはミートボールと茹でたジャガイモ、デザートは息子くんが作ってくれたブルーベリーパイをご馳走になりました。

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お肉が柔らかくて美味しかったです

翌日、友達が「しまった~、今ザリガニ解禁の季節だから、ザリガニ料理にすればよかった!」と…。レストランで注文すると5、6000円するので、近くで見つけたスーパーのデリでサラダと一緒に購入。イギリスでもよく見かける食材ですが、海老とはまた違った味わいがあって大好きです。

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