不安のメカニズム(その4)

不安のメカニズム』は(その3)で終了したつもりだったんですが、思い出したことがあるので追記します。

前回、私の小学校時代の思い出として、授業中に挙手する時の心境を書きました。手を挙げている間は、当たったらどう言うかを頭の中で何度も繰り返してました。が、いざ当てられると極度にアガってしまい、回答だけをぶっきらぼうに述べることに…。頭のなかで用意していたことの半分も言えませんでした。

こういった体験は授業中だけではなく、普段でもあったように記憶しています。特別親しい場合を除き、3人以上のグループで何かを話す時、「間違えてはいけない」と緊張してしまうんです。基本的にはおしゃべりなので、仲良しの子と1対1だったら、ただ思いついたことをベラベラしゃべるんですが…。

そして、調子に乗ってくると活舌が良くなり、徐々に声のトーンが高くなって、知らないうちに大きな声になってるという。(そういえば、緘黙を克服しつつあった息子が、全校集会中に友達と無駄話をしていて注意されたことが何回かありました。きっと話す音量が調整できてなかったんでしょう)

一方、授業中に発表しなければならない時は、大きな声で話しているつもりなのに、「もっと聞こえる声で」とよく言われたものです。小学校時代の私の印象は、多分「おとなしくて声が小さい子」だったのではないかと…。

普段、私たちは周りの状況に合わせて無意識のうちに声の音量を調整していると思うんですが、不安になったり、緊張したり、興奮したりすると、調整がうまくいかなくなります。また、「聞こえる音量」も心理状況によって変わってくるんじゃないでしょうか?

例えば、テストをしている時、いつもは気にならない時計の音がやけに大きく聞こえたという経験はありませんか?神経を使ったり、緊張している時は、周囲の音が大きく聞こえるものです。

学校でずっと沈黙している緘黙児の耳には、先生の声や友達の声、教室のざわめきがどんな風に聞こえてるんでしょう? 聴覚過敏があれば、音が気になって普段より疲れるはず。抑制的な気質が強いと、「心配症」や「取り越し苦労」の傾向が強くなるので、色々思い巡らせてどどっと疲れるのでは?

だからこそ、自宅では自由にのびのびと過ごさせたいですよね。

抑制的な気質の緘黙児にとって、家の外=社会は「神経が高ぶる」場所です。エレイン・アーロン博士の『ささいなことにもすぐ動揺してしまうあなたへ』には、HSP(とても敏感な人)には、「神経の高ぶり」を収める時間の必要性が説かれています。引きこもりにならない程度に、「毎日ひとりになる時間をつくる」ことを勧めています。多分、普通の人より長く「自分でいられる時間」が必要なんだと思います。

子どもが自分の部屋に閉じこもってしまうと親は心配です。でも部屋に閉じこもったり、ぼーっとしたり、PCゲームに没頭したり、TVや動画に見入ってる時間が、実は子どもにとって「ほっとできる時間」なのかもしれません。私にとっては、それが少女漫画や本だったように思います。つい没頭しすぎて、宿題やお手伝いの時間を忘れ、父に叱られた思い出が…。

子どもによって「自分でいられる時間」が違うと思いますが、そういった時間を適度に許可してあげることが重要かなと思います。また、あまり長時間自分にこもってしまうと、外に出て人と関わる気持ちが薄れたり、社交が不安になるかもしれないので、なるべく社会的な時間とのバランスが取れるよう注意したいですね。

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不安のメカニズム

不安のメカニズム(その2)

不安のメカニズム(その3)

不安のメカニズム(その3)

前回、不安から起こる様々な症状とその原因に関する記事の翻訳を載せました(『不安のメカニズム(その2)』)。一般的な症状の中には、場面緘黙の特徴的な症状「声が出なくなる」や緘動の症状である「動けなくなる」はありませんでした。

これらは一般的に出る症状ではないため、不安からおきる症状として広く認識されていないということ…。だから、「わざと話さない」とか「意固地」とか思われてしまうんですね――その反面、家庭や学校外では普通に話せるので、保護者は「今は恥ずかしがり屋でも、成長すれば大丈夫だろう」と思いがちです。

子どもが自分から「学校で話せない」と言い出すことは殆どないと思うので、担任に「学校でひとことも話しません」と指摘されて驚愕する保護者も多いのでは?だからこそ、学校側が「あれっ」と思ったら、放っておかないで保護者に相談して欲しいと思います。

子ども自身は「自分と他の子との違い」に早い時期から敏感に気づいているよう。「なぜ自分は他の子のように話せないのか?できないのか?」――幼児の心の中でそれはとても大きな問題です。が、幼心に「話せないことは悪いこと」と感じ、そのことに触れられることを嫌がる子が多いんじゃないでしょうか?

問題に気づくまでに時間がかかると、かかった時間だけ緘黙が定着してしまい対応がより大変になる可能性があるので、とにかく早期発見が第一。専門家の助言がなくても、子どもの不安を減らす工夫はできるはず。気づいたらすぐ、どうしたらその子が安心できるのか、よく観察してその子に合った対応をすることが大切だと思います。

Country Living誌の記事を翻訳していて気になったのは、「何種類かの症状が重ねて出る人もいる」という部分。不安だから緘黙状態になっている訳ですが、重症の場合は「身体全体が硬直」「動きが緩慢になる」、いわゆる「緘動」の症状が出てしまうことも(これは筋肉の緊張に関係在るんでしょうか?)。

他にも、心臓がドキドキしたり、緊張でお腹が痛くなったり、頭が真っ白になったりすることもあるかと思うんです。そういう時、子どもはそれを隠そうとして、身体がこわばって姿勢がぎこちなくなったりするのでは?授業中にそんな状態だと、相当疲れるはずだし、授業が耳に入らなくなるでしょう。

以前にも書きましたが、私は中学生になるまですごい内弁慶で、非常に大人しい子どもだと思われていました。学校ではとにかく目立ちたくなかったです。

小学校2年生くらいのある日、授業中にお腹が痛くなったんです。「お腹痛~い」「先生に言わなくちゃ、でも怖い」「保健室に連れて行かれるかも」「もしかして盲腸?死んじゃうかも」などと、頭の中は不安でいっぱい。

心臓ではなく頭が鼓動してるような感じで、冷や汗まで出てきたのですが、絶対に気付かれたくない。とにかく平静を装うよう努力しました。休み時間まで多分20分ほどだったと思うのですが、時間が永遠に過ぎないのではないかと思うくらい長かったです。

ところが、チャイムが鳴って授業が終わった途端、私の腹痛はきれいサッパリなくなってしまったのです!(きっと不安のために腹痛が増長されたんでしょう)たしか国語の時間だった覚えがあるのですが、全く授業どころじゃありませんでした。

(この時の先生はそれほど神経の細やかな人ではなかったと思うんですね。まあ、当時はひとクラス45人くらいいたので、授業を進めるのに集中してたのかもしれませんが…。子どもの細かな変化に気づく先生、さり気なく支援できる先生というのは、それほど多くないのかもしれません)

あと、私は授業中に手を挙げることはありましたが、いつも当たらないように願ってました…。答えが解っていても、立ち上がってみんなの前で言うのは恥ずかしい。でも、手を挙げないと解ってないと思われる――胸の中には常にこんな葛藤があったんです。でも、「当てて欲しくない」という気持ちが強いほど、当てられるんですよね…。きっと、隠れよう隠れようとする態度が、かえって悪目立ちしてたんでしょう。

それから、自分ではちゃんと手を挙げてるつもりでも、傍から見ると中途半端な挙げ方だったんだろうなと…。よく観察すれば自信がないのがミエミエだっただろうと思います。小学校までは、休み時間に自分が属する「おとなしい子小グループ」にいる時だけが、ほっとできる時間でした。

緘黙であっても、授業中でも割とリラックスして見え特定の友達となら小声で話せる子、話せなくても休み時間は友達と元気に遊べる子から、緘動で授業中は先生に手を添えてもらわないと字も書けない子まで、緘黙の状態は様々です。

だからこそ、ひとりひとりの子どもをよく観察して、その子にあった対処法・支援法を考えてもらいたいと思います。

緘黙が長期間に渡ると、社会不安障害、パニック障害、強迫性障害(OCD)など不安に起因するメンタルヘルスの問題を併発することが多くなるよう。多分、思春期に入ると「集団の中の自分」を客観的に捉えるようになり、人と比較して「自分ができないこと」を自覚し、自己否定したり、自信をなくして悩み・苦しむことが大きな原因じゃないかと思えるのです。

(緘黙であっても、自己肯定感をキープできることが重要になってくると思います。のびのびできる家庭環境、得意なこと、打ち込めることがあるといいですよね)。

それまで抱えてきた他の不安の症状も、緘黙と同じように悪化したり、固定化してしまうのではないか?そうなると、もう自分ひとりでは克服が難しくなるかもしれません。

複数の不安の症状が表面化し、勉強面で遅れが出たり、登校拒否や不登校になってから保護者が動き出しても、子どもが思春期だと支援に抵抗を覚えることも..。

小学校の低学年くらいまでは、周囲の子どもも「他者と自分の差」にそれほど頓着しないもの。大人のような疑問や偏見はまだなく、「この子はこういう子」と丸ごと受けとめる年齢だと思います(反面、あまり考えずにストレートにものを言うので要注意ですが)。

やはり、早期発見・介入は大切だなと思わずにはいられません。

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不安のメカニズム

不安のメカニズム(その2)

 

不安のメカニズム(その2)

何だかあっという間に2週間以上が過ぎてしまいました。年度末で仕事が忙しかったのと、やっと家のDIY内装を終え、家中の大掃除と片づけに追われていたからなんです。先週の月・火曜日に主人の従弟と初めて会う彼のお嫁さんが家に泊まりに来たんですが、階段のカーペット施工もギリギリセーフ。10日は親戚が6人集まって手巻き寿司を楽しむことができました。さて、不安のメカニズムの続きです。

不安の科学:不安が身体に及ぼす影響 (Country Living誌の記事をざっと訳したものです)

人が不安になるような状況に陥ると、自動的に「Fight or Flight(闘争か逃走)」と呼ばれる連鎖反応が起こる。この反応は神経系が引き起こすため、思考とは無関係に起こる。「自律システム」と呼ばれるこの部位は、交感神経系と副交感神経系との2つに分かれ相互に作用する(例えば、呼吸や心拍など)。不安が引き起こされる状況に陥ったとき、交感神経系が支配し始め、「闘争か逃走」の反応が始まる(これは時に「アドレナリンカスケード」と呼ばれる)。

まず、不安体験は人によってそれぞれ違うことを覚えておこう。以下に並べた症状すべてが出る人もいれば、全く症状がない人、もしくは何種類かの症状が重ねて出る人もいる。また、ここに列挙されていない特異な身体的症状が出ることもある。

1. 胸の痛みや心臓の動悸

  • 心臓発作の兆候だと思うかもしれないが、そうではない。不安を感じている、またはパニック発作を抱えている場合、「Fight or Flight(闘争か逃走)」に備えるため、心臓はより速く鼓動し体により多くの血液を送り込む。
  • この作用は過換気(不安による過呼吸)を引き起こし、酸素過多になることがある。これが、胸の痛みにつながる血管の収縮を引き起こす。
  • 不安によって引き起こされる胸の痛みは、胸の異なる部位で感じられることが多く、痛みは現れたり消えたりする。
  • アドレナリンの急激な上昇は、心臓を傷つけることはない。
  • もし心臓発作ではないかと疑ったとしても、恥じ入る必要はない。多数の人が心臓発作を起こしていると信じ、救急病院に行った報告がある。彼らはそこで問題が完全に心理的なものであると説明される。

2. 息切れ

  • 上記と同じことが、息切れや胸の圧迫感を感じる理由にも当てはまる。
  • また、呼吸することを意識しすぎて、過呼吸になり酸素を摂取しすぎることもある。

3. 肢体への影響や筋肉の痛み

  • 不安は様々な方法で肢体に影響を与える。まず、胸痛と同じ様に酸素を摂取しすぎると、筋肉に刺激や痛みを引き起こすことがある。また、痛みは以下の原因によって引き起こされる可能性がある。
  • ストレスの増加により引き起こされる筋肉の緊張:日常的にストレスを受けると、筋肉が固まって痛みの原因となることがある。
  • 姿勢:不安は人の姿勢にも影響を与える。体の保ち方、座り方、眠り方、歩き方などに影響を及ぼし、筋肉の感じ方を変えるかもしれない。これは身体全体が緊張状態にあるため、通常より動きが速くなったり、遅くなったりして、完全にリラックスできないからだ。
  • 生活の質の低下:不安なときは、身の回りの管理を怠りがちになる。健康的な食事や適度の運動、水分補給など、これらのすべてが肢体の感触に影響を与えうる。

4. 皮膚の痒みや痺れ/ふらつき

  • 不安になると、痺れや疼きのような感覚を覚えることもある。身体のどこでも発生する可能性があるが、顔、手、腕、足に感じることが最も一般的だ。これは「闘争か逃走」を支援する身体の最重要部に血液が急送されることにより起こる。あまり重要でない部位は血液が回らず、脆弱さや、麻痺、痺れを感じたりする。
  • この症状は過換気や酸素摂取量の増加によって、特に肢体や顔に起きることもある。

5. 体温:暑さ、発汗、震え

  • 「アドレナリンラッシュ」に起因する覚醒状態が体温の上昇につながる。体は冷やそうと反応するため、これが発汗に繋がる。
  • こうした発汗が、身体を寒く感じさせる。特にパニック発作の後、体が冷え始めると同時に過熱を防ぐため汗が流れるので、寒さや震えを感じやすい。

6. めまい

  • アドレナリンが増加しパニック状態になると、心臓がより強く鼓動するため血圧が上昇。この血圧の上昇が、ふわふわした感覚やめまいを感じさせる。

7. 頭痛

  • 不安やパニック発作により、ストレスが蓄積されて緊張型頭痛を引き起こす。鈍い痛みも鋭い痛みもあり、さまざまな部位で発生する。

8. 睡眠の問題

  • ストレスや緊張が蓄積すると、心配が絶え間なく続き、気持ちの切り替えができないため、睡眠が困難になることもある。最善の対処法は、心と体を落ち着かせるためにマインドフルネスや瞑想テクニックを試みること。
  • 一方、パニック発作や長びく不安は、身体的にも精神的にも人を疲労困憊させる。このような場合は、体の声に耳を傾け休むべきだ。

9. 胃の不快感

  • 「闘争か逃走」状態の間、血液の流れは必要ない部位――例えば胃から迂回する。このために、不安に襲われると頻繁に胃の中で「蝶」がはためくような感覚にみまわれる。
  • パニック状態になると、急にトイレに行きたくなることもよくあることだ。これは、「闘争か逃走」状態にある時、体がその動きを減速させるかもしれない不要な重量を取り除こうとするからである。
  • 胸の痛みが心臓発作だと誤解されるのと同様、胃に蝶がいるような感覚は嘔吐と誤解されることがある。

10. 聴覚の変化

  • 不安を感じ心臓の鼓動が速くなると、周囲の音に集中するのは難しいかもしれない。反対に、潜在的な危険を過度に警戒している場合は、普段は気にならないような音に非常に敏感になったりする。

11. 目のかすみ

  • アドレナリンラッシュの間は、視力がぼやけることも多い。これは、「闘争か逃走」に備えるため、より多くの光を取り込もうと瞳孔が拡張されるからだ。しかし、光をより多く取り入れることで、視界がぼやけることもある。目のかすみは、過換気によっても引き起こされることがある。

12. 吹き出物やニキビ

  • 不安やストレスが吹き出物を誘発する理由は複数ある。
  • ストレスホルモンが増産され、皮脂の分泌が増えることがある。
  • 発汗が増すため、毛穴が詰まることがある。
  • 気持ちが落ち着かずイライラしているため、顔、首、肩など肌を触ることが多くなる。これによって手についた汚れが肌に移り、吹き出物が出やすくなる。
  1.  過剰な心配や杞憂
  • 不安な状態のとき、最悪のシナリオを思い描いてしまうのはよくあること。自分が狂ってしまうのではないかと恐れる人もいる。今までにないような不安やパニック状態に陥ったとき、この未知の感覚が脳を刺激し、その原因について過剰に心配しすぎることがある。

<不安の症状>

人は心配したりストレスを感じたりすると、多くの場合、身体的、心理的、行動的症状が出る。

最も一般的な身体症状:

  • 心拍数の増加
  • 筋肉の緊張の増加
  • 足の震え
  • 手足の痺れ
  • 過換気(過剰呼吸)
  • めまい
  • 呼吸困難
  • 頻尿感
  • 気分が悪くなる
  • 胸が苦しくなる
  • 緊張性頭痛
  • ホットフラッシュ
  • 発汗が増える
  • 口が渇く
  • 震え
  • 窒息感
  • 動悸

不安がもたらす最も一般的な心理的症状(思考または変化した認識):

  • 抑制力を失うかも/ おかしくなってしまうかもしれないと思う
  • 死んでしまうかもしれないと思う
  • 心臓発作を起こしているかもしれない/病気かもしれない/気分が悪い/脳腫瘍かもしれないと思う
  • 自分の不安を人に見透かされていると感じる
  • 物事がスピードアップ/スローダウンしているように感じる
  • 環境とその中の人たちから隔離されたように感じる
  • 逃げたい/ その状況から抜け出したいと思う
  • イライラして周囲のすべてが危険だと感じる

私たちが不安なときに行う最も一般的な行動は回避である。不安を引き起こす状況を避けることは、即時の救済をもたらすものの、それは短期的な解決策に過ぎない。その時は回避することが最良の策であるように見えるかもしれないが、次に同じような状況に直面したとき不安はまた戻ってくる。回避することは、「危険だ」というメッセージを心理的に強化するだけだ。回避することの問題点は、その状況に対する恐怖の実体や直面したときに何が起こるかを、実際に確かめられないことだ。

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「声が出なくなる(酷い時には体が動かなくなる)」という場面緘黙の症状は、一般的な不安の症状には入っていません。でも、人前で話すことへの不安・恐怖を回避するのが緘黙です。

最後の部分を読むと、回避を繰り返すことによって「人前で話すことは危険」というメッセージが強化され、よりいっそう話せなくなるということが理解できます。緘黙が強化され、固定してしまわないうちに、少しずつ実際に声を出してみて「な~んだ、思ったほど怖くないぞ」という体験を積み重ねていくことが大事なんだなと改めて思います。

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不安のメカニズム

 

不安のメカニズム

私は英国カントリー調の暮らしを紹介する『Country Living』という月刊誌が好きで、昨年から定期購読しています。購読者にはウエブ記事のリンクが送られてくるんですが、その中の『不安が身体に及ぼす影響』というタイトルが目に留まりました。

その記事はイギリスのチャリティ団体、Anxiety UKの資料をもとに書かれたもので、この団体のサイトに行ってみたところ、ものすごい情報量とサポート!(会員になると大量の資料にアクセスでき、セラピーが割引に!)

列記された不安の病名・症状名だけでも、社会不安障害やパニック障害から、予見不安症(Anticipatory anxiety)やアグロフォビア/広場恐怖症(Agoraphobia)まで30を超える数。知らない症状名もいっぱいあって、奥が深いなあと…。ちなみに、場面緘黙は『若者と不安(Young People & Anxiety)』のカテゴリーに入ってました。

Anxiety UK によると、最近のリサーチでは6人に1人の若者が何らかの不安の症状に悩まされる(もしくは、された)経験があるとのこと。

  • イギリスでは16-18歳の10人にひとりが何らかのメンタルヘルス症状を経験 (Green et al 2005)――これには引っ込み思案や母子分離不安、不眠傾向、テスト前不安といったものも含まれています。
  • メンタルヘルス問題の半分以上が14歳までに発症し、75%は18歳までに固有の症状が出る(Murphy and Fonagy 2012)
  • 不安の症状は成績、ストレスへの耐性、自信、モチベーション、交友関係に大きく影響する(Layard 2008)
  • 不安と鬱が最も多く、他の症状との併発率が高い(Green et al 2005)

記事を読んでみて、「え~っ!!」とうなってしまいました。

多くのメンタルヘルスの問題は児童・青春期に発症し、その後の人生に大きく影響するにも関わらず、本人が助けを求めるまで平均10年もかかるんだそう!ということは、10年もの年月を不安の症状に悩まされ続け、成人してから耐えられなくなって相談や受診をするということ?

10代・20代という人生の一番いい時期に一人もんもんと苦しみ続け、その間に症状が固定してしまったり、悪化してしまったり、さらに合併症や二次障害を発症してしまう可能性もあるのです…。

誰にも緘黙の相談ができずひとり苦しみ続け、高校や大学で自力で話せるようになった後、社会人になってから鬱病や社会不安障害で病院を訪れたという話をききます。小中学校で受診するケースでも、発症から数年経って学校での問題が大きくなった後というデータがでているよう…。

多感な年ごろの子ども達は、親に自分の問題を言いたがらないし、16、7歳になれば親も口を出せない雰囲気になってきますよね。自らネットで色々調べることができる反面、それが裏目に出てますます不安を増大させることもあるかも…。

子どもが何かおかしいなと感じたら、親は早期に介入したいですよね。でも、メンタルヘルスに関する世間の目は、まだまだ偏見に満ちているというのが現状。身体の病気は平気でも、心の病気となるとちょっと言いにくい雰囲気があります…。

でも、大人の世界で考えてみても、職場で虐めにあって鬱気味になったり、極度の緊張や不安で眠れなくなったり、疲れて体調がおかしくなったりというのは、本当に誰にでも起こりうることです。

私自身のことでいえば、2ヶ月ほど前に全く知らない人から急遽翻訳の仕事を頼まれ、生活のリズムがガタガタに…。引き受けた後に文字数がどんどん増えて、結局4倍くらの長さになってしまったのでした(私は頼まれると「イヤ」と言えない性格で、息子もその傾向が強いです)。

週末を挟んで4日間くらいで何とか終えたのですが、他の仕事もあるし、失敗してはいけないとめっちゃ緊張。毎日夜中の2時位まで頑張っていたら、疲れているのに眠れなくなって、不眠症気味になってしまいました~!ついでに胃腸の調子もおかしくなって、踏んだり蹴ったり。

1週間くらいでやっと普段のリズムに戻ったんですが、あのストレスがずーっと続いていたらと思うと、ちょっと怖い。不眠が続くと肉体的にも精神的にもシンドクなって、心のバランスが崩れてしまいますよね。これは息子の赤ちゃん時代の経験で身にしみたことですが、長く続くとホントに辛いです。

以前にも書きましたが、イギリスでは比較的簡単に様々なセラピーを受けることができます。ヒーリングパワーからCBTまで個人で仕事をしているセラピストが大勢いて、「ちょっとセラピーを受けてみようかな」と気軽に相談できる空気があります。私の周りでも「スピーチが上手くなるように睡眠療法を受けた」とか「別居する前に夫婦でカウンセリングを受けた」というような話がちらほら。

「問題があったらプロに相談してみる」というのが普通というか、民間のチャリティ団体など相談できる機関がけっこうあるように思います。特に、イギリスではNHS(国民健康保険)を使うと待ち時間が長い・医者や専門家の選択肢が少ない・自分で選べないため、プライベート治療やチャリティの支援が充実しているよう。最近では、Skypeなどを利用したネット経由の治療も定着しつつあります。

場面緘黙に関しては、プライベートの治療を提供するセラピストが増えてはいるものの、まだまだ数が少ないのが現状。料金が高いことや、学校との連携の問題がネックになっている状態です。

前置きが長くなってしまったので、不安のメカニズムの内容については次回に書きます。