SM H.E.L.P. 2023 10月サミット(その4)腸内環境を改善して不安を低減

今年もあと2日に迫りました。が、まだごくうっすらと陽性反応が出て、義母宅から帰った家族から隔離されています^^; 明日の大晦日までには陰性になります様に!

   

     今家で一番元気がいいのはビバーナムの小花〈左)。イギリスにもナンテンがありました

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子どもたちのダイエットを改善

トニさんの子どもたちには感覚過敏があり、食べ物にはうるさかったとか。それでも、新鮮な食材を増やし、超加工食品を減らしていった結果、より健康で幸せそうになり、笑うことが多くなったといいます。同時に、子どもたちの不安は驚くほど軽減されたそう。

砂糖は脳内で「ドーパミン」を放出する

まず、トニさんは子どもに甘いものを与える影響や超加工食品が内臓に与える影響について学びました。気にしすぎるのはよくありませんが、朝食を食べなかったり、砂糖いっぱいのシリアルばかり食べるのでは、必要なビタミンやミネラルが採れません。また、砂糖は脳内での「セロトニン」や「ドーパミン」の分泌を促進するため、依存性を助長してしまうとか。

(そういえば、息子が2歳になったころ、友達の誕生会で初めてライビーナを飲んだんです。そうしたら、いきなりシュガーハイになって驚いたことがありました。ママ友達もその頃までは、やれオーガニックだ、手作りだと頑張っていたのに、お誕生会が始まってからジュースやらお菓子やら、ほとんど成分を気にしなくなり…総崩れ状態に)

そこで、小さなご褒美を与えながら、ストレスなくバランスの取れた食事が採れるよう工夫したのだとか。味覚は変わっていくものと考え、加工食品よりも手作りするようにして努力を重ねていきました。

娘さんが12歳のころ、OCD(強迫性障害)ではないかといわれ、そうではないかと思われる行動が散見されました。住んでいる地区では専門家が見つからず、NYの専門家に相談することに。食生活を変えてみたところ、3ヶ月で改善したとのこと。

娘さんは学校生活が合わず、それまで数年間自宅で学ぶホームスクールだったのが、学校に行けるように。トニさん自らのIBSや睡眠不足も改善したそう。

食生活を根本から見直すことがメンタルヘルスの改善に欠かせないと、現在では栄養士の資格を取る勉強もしているとか。

息子が赤ちゃんだった時、一番重要だったのは食事・排泄・睡眠。生きていく上で、基本的にはそれはずっと変わらないんじゃないかと思います。やはり、何はともあれ健康第一ですよね。

ロンドンでは今韓国のキムチがちょっとしたブームなんですが、味はもちろん発酵食品が身体にいいという考え方が浸透しつつあるようです。納豆よりもキムチの方がとっつきやすいんでしょうね^^; ちょっと悔しくもありますが、味噌と豆腐、お寿司とわさび、チキンカツカレー(何故チキン?)、ラーメンとうどんは、イギリス人の間でもすっかり定着しています。

みなさんも健康に気をつけて、良いお年をお迎えください。

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身体と心のリンクを大事にして、身体の声を聞いていきたいですよね。

 

SM H.E.L.P. 2023 10月サミット(その3)腸内環境を改善して不安を低減

今日はクリスマスですね。いつもは義両親宅に行ってお祝いするのですが、昨年は初めてコロナ感染してしまい、自宅でのぼっちクリスマスに(夫と息子は陰性)。今年は2月に義父が亡くなり、義妹とその子ども達も一緒に義母宅に集まる予定。が、昨朝コロナ検査をしてみたら、何とまた陽性(2度目)!! 自覚症状が全くなかったので、もうビックリ!実は、土曜日に会った友達が前日に会ったクライアントがコロナ感染したと連絡がきて、念のための検査でした😲 2年連続でクリスマスにコロナ感染するなんて、めっちゃ確率低いですよね…😢 それで、今年もぼっちクリスマスとなってしまったのでした….。

      ロンドン中心地のXmasツリー。トラファルガー広場も買い物を楽しむ人でごったがえしていました

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腸内環境を改善して不安を低減

場面緘黙でなくても、不安が強い子ども/ 人は緊張するとお腹が痛くなったり、胃腸の調子が乱れたりすることが多いですよね?これまでの研究で、IBS(過敏性腸症候群)はストレスによって引き起こされたり、悪化したりすることが分かっています。

ニュージーランド在住のトニ・パクラ(Toni Pakula)さんは、心理学の修士号をはじめ、ホリスティックウエルネスのコーチ、メンタルヘルスやマイクロ栄養素のアドバイザーなど多数の資格を持つ3人の子どもの母親です。

トニさんが子育てを経験するなか、程度の差はあれ子ども全員が不安に悩まされたといいます。その中にはSM(場面緘黙)も含まれていましたが、自国ではSMに関する情報が少なく、専門家も殆どいない状態。手探りで模索していた時、「腸の健康」という概念に出会ったのだとか。

トニさんのウエブサイト:https://www.calming-voice.com/about-me

「第2の脳」と呼ばれる腸の健康は、感情やメンタルヘルスに直接影響を与えます。内臓と脳の健康、そしてメンタルヘルスは密接に繋がっており、人の感情と行動にも直結しているのです。トニさんはそれを理解することの大切さ、腸の健康の大切さを学んだといいます。

マイクロバイオロジー(微生物学)とは?

マイクロバイオロジーは微生物を研究対象とする学問。 対象によってウイルス学・細菌学・菌類学・原生動物学などに、また、応用微生物学・病原微生物学・土壌微生物学などに分けられます。 私たちの体には100兆個を超える数の微生物(主にバクテリア)が存在しており、内臓のバクテリアのバランスが取れていることが重要となります。

マイクロ栄養素とは?

マイクロ栄養素とは、毎日の生活で身体が機能するために不可欠なごく少量のビタミンとミネラル。体内に留まらず排出されるため、毎日摂取することが必要とされます。ビタミンBやオメガ3などは内臓の膜を健康に保つ他、メンタルヘルスとも密接に関係しています。

不安と内臓の関係

不安や悩みを抱えている状態だと、ストレスによって腸内バクテリアのバランスが崩れてしまいます。また、全ての栄養素は総合的に働くため、一つの要素が足りないだけでも身体は上手く機能しません。脳が上手く働くためには内臓の健康が不可欠。内臓の壁が荒れて栄養素が漏れている状態だと、栄養を吸収できず脳も働きません。

また、「幸せホルモン」と呼ばれる「セロトニン」や「ドーパミン」といった神経伝達物質を作っているのは、実は脳ではなく殆どが内蔵なのです。腸内環境が整っていないと、これらを上手く増やすことができません。

最近になって、プロバイオティックという言葉をよく聞きます。プロバイオティックスは、腸内に生息するバクテリア(善玉菌)の餌になる食品成分で、豆類や緑黄色野菜、発酵食品などオリゴ糖や食物繊維を多く含む食品に含まれています。サプリメントとしてカプセルで購入できますが、注意しなければいけないのは、内臓のバクテリアは人それぞれ異なるということ。ある人に効くからといって、他の人に効くとは限りません。トニさんは専門家に相談することを勧めています。

この続きは次回へ。

 

     老舗店フォートナム&メイソンやシャネルなどの有名ブティックのデコレーションが綺麗でした。もしかしたら、電車の中で感染したのかも…

  

      絶対に感染していないと信じていたので大ショック!症状は殆どありません。昨日マスクして慌てて買い出しに行き、本日ローストディナーを作りました

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SM H.E.L.P. 2023年10月サミット(その2)緘黙と迷走神経

12月もあっという間に過ぎ去って、クリスマスまであと1週間ちょっと。日本では12月を師走といいますが、イギリスでもクリスマス前はめっちゃ忙しくなります。会社や友人同士のクリスマス会(忘年会のような感じ)で外出が増える傍ら、家ではクリスマスの飾り付けをし、クリスマスカードを書き、家族や友人への贈り物を準備し…。

    

    我が家も飾り付けとギフトの準備が大体整いました。これから贈り物のラッピングをせねば

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さて、先回の続きです。(博士とケリーさんの会話を元に、私が説明を加えた感じになっています)

喉が閉まったようになって声が出ない」のはなぜ?

SMの人はよく緘黙になった時の状態を「喉が閉まったようになって声が出ない」と表現します。これは迷走神経と関係があるのでしょうか?

迷走神経は多くの筋肉を支配し、発話や咽頭を開くことにも極めて重要な役割を担っています。扁桃体が危険を察知すると、起こるのは「闘う(Fight)」、「逃げる(Flight)」、「固まる(Freeze)」のいずれかの反応。中でも、「固まる(Freeze)」反応が多く、緘黙状態もそのひとつと考えられます。この状態になると喉を動かす筋肉がうまく機能せず、したがって声を出しづらくなります。本人は実際に喉が閉まったように感じているのです。

そんな風に喉が閉まったようになったら、誰だって怖いですよね。余計に不安になって、ますます動けなくなりそうです。

また、「学校では人前で食べたり・飲んだりできない(会食恐怖症?)」という声もよく聞きます。これも口や喉の筋肉がうまく働かないことが関連しているのではないでしょうか? 上手く噛んだり、飲み込んだりすることができなければ、食べることが難しくなりますよね。

迷走神経は心拍数や体温の調整、空腹感、消化などにも関与しています。学校で十分な水分を取らないのは、トイレを我慢するためもあるかもしれません。でも、緊張と不安によって、様々な身体機能の調節が上手く行かず、空腹感や尿意を感じないケースもあるのかも…。

そう考えると、ロングイヤー博士が唱える「脳と身体の繋がり」、「身体も心も全てが繋がっている」という考え方は合点がいきますね。

博士によると、迷走神経はある程度までは呼吸法などでコントロールが可能なのだそう。

詳細は説明しなかったのですが、ケリーさんの娘さんは舌の神経を刺激する治療を受けたそう。扁桃体が刺激されて「闘う(Fight)か逃げる(Flight)か」反応を起こすと、心拍数が増え、目の瞳孔が開いて大きくなります。舌に刺激を与えることで、瞳孔は小さくなり、心拍数や呼吸数を下げることもできるのだそう。緊張を解いて、通常の状態に戻す訳ですね。

自分でもできる対策として、うがいやハミングが舌の良い刺激になるとのこと。食事の前にレモンやチョコを口に入れて、唾液を促進するのも良いそうです。

緘黙治療で最初にするのは、緊張や不安を取り除き安心できる環境を整えること。ロングイヤー博士は脳を再トレーニングをする可能について言及し、リラクゼーションと笑うことが重要だと語っていました。家でも学校でもなるべくリラックスできる環境作りを目指したいものですね。

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SM H.E.L.P. 2023年10月サミット(その1)

11月も今日で終わりですね。ロンドンでは今週から急に気温が下がり、今朝は路上駐車している車の窓ガラスに初霜が! 予報ではまだ冷え込みが続くらしいので、近いうちに初雪が降るかもしれません。

  

 

   黄色く紅葉した落葉樹もずいぶん葉を落とし、冬の風景に変わりつつあります。街角の花屋さんで季節外れのチューリップを発見

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10月は欧米における場面緘黙の啓蒙月間でした。アメリカではケリー・メルホーンさんが毎年恒例となっているSM H.E.L.P. の秋サミットを開催。今回のサミットでは、より総合的でホリスティックな視点から場面緘黙を捉えているように思いました。

時間がなくて一部しか視聴できず、よく理解できていない部分が多々あるのですが、印象に残った対談の一部概要をお伝えします。

まず、フロリダ州でカイロプラクターの診療所を営む、マイケル・ロングイヤー博士(Dr. Michael Longyear)との対談から。博士はカイロプラクターを養成する私立大学、ライフ大学の神経科学研究所の元所長です。

注:カイロプラティック:骨の歪みを矯正し、体の不調を改善させる施術 

娘さんが場面緘黙を克服できるよう、ケリーさんは心理士や言語療法士のみならず、幅広い分野の専門家に支援を求めました。カイロプラクターのロングイヤー博士もそのひとり。

脳と身体の繋がり

この対談のキーワードは「迷走神経(vagus nerve)」。昨今、脳神経科学の研究が盛んに行われていますが、SM(場面緘黙)においても脳神経の研究は欠かせないものになってきているよう。対談ではステファン・Wポージェス博士が1994年に提唱したポリヴェーガル理論(Polyvagal theory)の話も少し出ましたが、ここでは割愛します。

迷走神経とは何か?

迷走神経は脳と末梢器官を結ぶ神経で、頚部から胸部、腹部の内臓、心臓や血管などに広く分布。感覚・運動・副交感神経として働き、声帯心臓胃腸消化腺の運動、分泌司っています。さらに、メンタルヘルスとも密接に関わっていることが解明されています。

<Wikiの解説>

迷走神経

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%B7%E8%B5%B0%E7%A5%9E%E7%B5%8C

ポリヴェーガル理論:

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%AC%E3%83%AB%E7%90%86%E8%AB%96

ロングイヤー博士が強調するのは、迷走神経の身体をリラックスさせる機能

「迷走神経は身体を休ませ、回復させる機能を持つ、いわば生命維持システムの中で最も重要な部分。注目すべきは、身体がリラックスしている間に身体や神経の再生・再構築を行っていること。例えば、迷走神経はストレスで疲れた身体を回復させる役割を果たす。また、末梢神経は消化とも深く関わっている」

「迷走神経に対し、脳の扁桃体(アミグダラ amygdala)は不安や恐怖を司るセンター。脳が危険を察知すると扁桃体が活性化して、ハイアラート状態になる。扁桃体と迷走神経は緊密に関わり合っており、扁桃体のスイッチが入ると迷走神経のスイッチかオフになる。脳も身体も、全てが繋がっているから、そのバランスを保つことが大切」

SM(場面緘黙)の人は不安や恐怖を感じやすく、扁桃体が過剰に反応してアラート状態が続くといわれています。その間、迷走神経がきちんと作動しないため、身体を休息・回復させることができません。ストレスがたまったままだと、身体的にも精神的にも疲労した状態。また、迷走神経が司る心拍、体温調整、消化などの機能にも影響が出て、身体の不調につながることも。

うちの息子は緘黙が酷かった頃、よく家でかんしゃくをおこしていました。SM児は学校で大きなストレスを抱えているため、抑えられていた感情が家で爆発してもおかしくありませんね…。また、息子は緊張するとトイレが近くなったり、ストレスでお腹を壊すことが多かったんです。ちなみに、私は過敏性腸症候群(IBS)なのですが、3年ほど前息子にも同じ診断が下ったのでした^^;

かなり中途半端で申し訳ないのですが、この続きは次回へ。

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場面緘黙に対する思い ー マギー・ジョンソンさんのポッドカストから

11月も半ばに差し掛かり、季節は秋から冬へと変わりつつあります。今年は日本でもコロナ禍が終焉した(様に報じられていますよね)ためか、この寒くて暗い時期にまだまだ海外からの訪問者が途切れません。

    今週末はブルガリアから友人家族が来訪。イスラエル軍のガザ侵攻に反対する大規模な抗議デモがあったため、街中は避けてテムズ河南岸&バラマーケット付近を散策してきました

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さて、マギー・ジョンソンさんのポッドカストの続きです。

マギーさんは最近NHS(国民保険サービス)におけるSLT(言語聴覚士)の仕事を退職されました。でも、その後もワークブック執筆や他国での講演会、国内でのワークショップなど多忙を極めているとのこと。

場面緘黙の定義や一般の知識については、まだまだ誤解が多く改善の余地があると思っているそう。

まず、Selective Mutismという疾患名について。「selective」は本人が話さないことを選択していると誤解されやすいため、Situational Mutism(状況的緘黙)という呼び方が適切だと考えています。

また、ASD(自閉症スペクトラム)とSM(場面緘黙)が併存するのは周知の事実なのに、DMS-5では併存が認められず(詳しくは『場面緘黙と自閉症(その3)SMiRAの立場』をご参照ください)、改正を望むとも。

マギーさんはDMS-5 (2013年)において、SMセクションのコンサルテーション・パネルに選ばれ、「不安障害」へのカテゴリー変更に尽力しています。これにより成人の場面緘黙が診断されやすくなりました。

現在は「場面緘黙」と「不安障害」との関連について、更に深く考察しているよう。SM児は社会不安を抱えている訳ですが、SMになる前からそうだった訳では無いといいます。

「SMは社会不安による極端なシャイネスと思われることが多いけど、家庭では活発でお喋りな子が多いの。よく考えて欲しいのは、SMは不安が原因で起こる症状ではないということ。恐怖症と同じで、SMは恐怖条件が起因となって起こる症状。そして、SMになったことが原因となって、大きな不安を覚えるようになるんです。

例えば、犬恐怖症の人は犬に対する不安が原因で犬恐怖症になった訳ではない。何かがきっかけがあって、何故だか解らないけれど犬に対して理不尽なまでの恐怖にかられる様になる――そこから、犬を避けたり、犬に遭ったらどうしようと大きな不安を抱えるようになるんです。

生まれつき不安になりやすい気質を備えているとしても、多くの子どもはSMになるまでは不安障害というほど重症ではなかったと思う。SMになったことで、深刻な社会不安になるんです」

そう言われてみると、抑制的な気質を持って生まれた我が息子も、SMになってから社会不安が深刻化したような…。SMはもう随分前に克服しましたが、未だ自己評価がとても低いと感じます。

DSM (米国精神医学会による精神疾患の診断・統計マニュアルDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)におけるSM(場面緘黙)の遍歴:

1980年DSM-3

  • 初めて記載
  • 疾患名はElective Mutism(選択性緘黙)
  • 分類カテゴリー:通常、幼児期・小児期、または青年期に初めて診断される疾患
  • 定義:正常に話す能力があるにもかかわらず、ほとんど全ての社会的状況で話すことを拒否し続ける(”a continuous refusal to speak in almost all social situations” despite normal ability to speak.)

1994年DSM-4

  • 疾患名がelective mutism(選択性緘黙)から現在のselective mutism(場面緘黙)に変更
  • 定義:特定の社会的状況では一環して話すことができない(consistent failure to speak in specific social situations)に変更

2013年DMS-5

  • 分類カテゴリー:不安障害に変更

DSMが改正される度にSMの定義は変わってきているので、今後も変わっていくんでしょうね。専門家・一般に緘黙の知識が広く浸透し、もっと多くの支援が得られるようになると良いですね。

このポッドカストはSMiRAのサイトからリンクされています: http://www.selectivemutism.org.uk/videos/

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マギー・ジョンソンさん出演のポッドカストから

ハロウィンも終わり、午後4時すぎにもう暗くなり始める今日このごろ。雨混じりの曇り空の下、そこかしこに残るハロウィンのジャカランタンがオレンジ色の灯火のようです。

先月天気のいい日を狙って訪れたノーサンプトンシャーの田舎町、オルニー(Olney)

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この5月に新書『保護者や専門家のためのワークブック The Selective Mutism Workbook for Parents and Professionals』を出版したマギーさん。教育コンサルタントのキャシー・ウエストン博士との対談から、印象に残った言葉やアドバイスをご紹介しています。

このポッドカストはSMiRAのサイトからリンクされています: http://www.selectivemutism.org.uk/videos/

どうして場面緘黙になるのか?

緘黙の人が声を出そうとすると、喉の筋肉が動かなくなって、実際に喉が詰まったように感じます。身体が麻痺した様になり、恐怖にかられ、胸がドキドキして、息が苦しくなったり、冷や汗が出たり、吐き気や頭痛がしたりということも…。

この反応が起こるのは、本人にとって安全圏外の人たちから話すことを期待されている時。

人は極度の脅威にさらされると、本能的に「闘うか・逃げるか(Fight or Flight)」反応が起こります。注目したいのは、恐怖のために身体が凍りつく・虚脱したような感じになる「不動化(Freeze)」反応も起こること。

蜘蛛が嫌いな人が蜘蛛を見たら恐怖で固まってしまう――それと全く同じ反応。場面緘黙は正式に不安障害と定義されていますが、マギーさんは恐怖症と捉えるのがいいと提唱しています。

恐怖症の治療はCBT(認知行動療法)のエクスポージャー法が基本。スモールステップで恐怖の対象に少しずつ慣れ、最終的に克服していくのは場面緘黙も同じことですね。

シャイネスとの違い――緘黙児の見分け方

緘黙の子どもは「内気な子」と見過ごされがち。マギーさんは、話さないことだけではなくボディランゲージにも注目して欲しいとアドバイスしています。

子どもは話すことを予期されると、身体の動きや表情まで不自然に凍りついたようになります。内気な子はもっと自然に振る舞うものです。身体やしぐさが極端にぎこちなくなったり、無表情になるということはありません。

また、緘黙児はアイコンタクトを避けて常に下を向いていることが多く、いつまでたっても特定の状況に慣れません。シャイな子どもは(1対1の場合は特に)徐々に打ち解けてコミュニケーションを取り始めるもの。

緘黙児は同じ学校内でも、安心できる子/ 人と一緒の時と、そうでない状況の時とでは、ボディランゲージが全く違います。そして、そのパターンは一貫して続きます。ある子/ 人とは話せても、他の子/ 人とだと凍りついたように押し黙ってしまう――教室では縮こまっているのに、校庭の片隅ではリラックスした表情を見せるなど。ある日は調子良く話せて、ある日は全く話せないということはありません。

保護者だったら家での様子と全く違うことにすぐに気づくはず、とマギーさんは言います。

でも、うちもそうでしたが、親は学校での子どもの様子を知らないため、場面緘黙に気づくのが遅れてしまうんですよね…。反対に、教師は学校での子どもの様子しか知らないため、内気な子なんだと思い込んでいる可能性が高いのです。

緘黙が起こっている場で早期発見してもらうためには、子どもの様子をよく見て、気になる点があったらすぐにアラームを鳴らすことが必要です。そのためにも、学校で緘黙を含むメンタルヘルスの研修をしてもらえたらと思います。

毎年盛大にハロウィンを祝うお向かいさん家

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マギー・ジョンソンさんの新しい実用書

もう10月もあと3日で終わりですね。イギリスでは昨夜時計を1時間進め、夏時間から冬時間へと切り替えました。ということは、日暮れが1時間早まる訳で、どっぷり暗い季節の到来…。暗くて長いイギリスの冬の始まりです。

雲の晴れ間に急いでお散歩。変わりゆく季節の風情を楽しんで

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イギリスで緘黙治療の第一人者と呼ばれ、専門家や一般の教育・支援に貢献してきたSLTのマギー・ジョンソンさん。マギーさんがアリソン・ウィンジェンズさんと共著した『SMリソース・マニュアル第二版』は緘黙治療のバイブルと呼ばれ、このマニュアルに沿って治療プランを立てるのがイギリス式です。

そのマギーさんが今年5月に『保護者や専門家のためのワークブック The Selective Mutism Workbook for Parents and Professionals』を出版。今回は中国の支援協会の代表、ユジュンファ・ライトマンさんとの共著です。世界中の保護者や教育者たちの協力を得て、15の基本戦略と43の活動方法を詳しく解説。学校や家庭ですぐ実践できるスモールステップ法やアイデア、アドバイスが詰まった実用書となっています。

出版を記念して、教育コンサルタントのキャシー・ウエストン博士のポッドカストに出演。その中で印象に残ったマギーさんの言葉やアドバイスをご紹介します。

ポッドカストはSMiRAのサイトからリンクされています: http://www.selectivemutism.org.uk/videos/

場面緘黙とは?

場面緘黙を説明する時、よく「話せないこと failure to talk」というフレーズが使われますが、子ども自身はどう思っているのか?

以下はマギーさんが緘黙の子どもやティーンから直接聞いた言葉です。

「(特定の人の前で)話すくらいなら、死んだほうがマシ」

「どんなに頑張っても声が出ない。まるで話す能力を奪われたみたいに」

「ものすごく怖くて身体が凍りついてしまう。そんな時に誰かに話せなんて言われたくない。月曜日になると頭が痛くて、家を出るのが嫌でたまらない」

「どうして話さないのか訊かれることに耐えられない。頭にピストルを突きつけられて『喋るな!』と言われる方がずっといい」

「母が私の味方をせずに、周囲に難しい子・扱いにくい子と思わせたことを決して許せない。本当に母が大嫌いだった」

「話せない」の影で、子どもたちはこんなに深刻な心理状態に陥っている…。

場面緘黙は成長したら治るものではなく、本人が話す不安に立ち向かい、少しずつ克服しなければならないというのを証明するよう。保護者や専門家、クラスメイトに真に場面緘黙を理解・支援してもらえる環境が整うことがベストですが、そうはうまく行かないのが現実。それでも、少しずつでも支援環境が変わっていくことを願うばかりです。

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提示カード作成をステップに場面緘黙を克服

あっという間に10月も半分過ぎてしまいました。欧米では今月が場面緘黙の啓発月間。でも、イスラエルとハマスの大規模戦闘が始まってしまい、世界中がその緊迫したニュース一色に染まっている感じですね。犠牲になるのはいつも一般市民、一刻も早く戦闘をやめて欲しいです。

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どうしても言葉が出ない時、自分が場面緘黙だということを理解してもらうために提示できるカードをご存知でしょうか?上記のカードを考案したのはエリザベス・ヘルプスさん。自身も場面緘黙でしたが、カードを作成することで回復への第一歩を踏み出すことができたとか。

エリザベスさんは現在29歳。場面緘黙と診断されたのは16歳の時でしたが、それまでずっと軽度の緘黙症状を引きずっていました。「大人しくて目立たなかったから、問題にされなかったのかも」と振り返ります。

診断が下りた頃には症状が悪化していて、ほんの一握りの人にしか話せない状態だったそう。それから事態は更に悪化し、数年後には誰とも話せない全緘黙に。家族とも、ペットのうさぎとも話せない時期が3年も続いたというのです。

そんなエリザベスさんが直面した問題が、話せないために「失礼な人」と誤解されること。自分を理解してもらうために、自分と同じ様に緘黙に苦しむ人たちのために、25歳の時にカードを作成しました。それを場面緘黙のグループに紹介したところ、当事者や保護者から「私も欲しい」と声がかかるように。

「私には言葉が出にくくなる場面緘黙という不安障害があります。言っていることは理解できますが、返事ができないかもしれません」

自らカードを使ってみて、「相手は返事を期待していない」と思えるだけでプレッシャーが減り、人と接することが楽になったとか。不安が減ったこと、仲間に共感してもらえたことに勇気づけられ、少しずつ場面緘黙を克服していくことができました。

現在は場面緘黙を引き起こしていた病院という場所で、週に数時間ボランティアができるまでになっているとか。本人いわく、「緘黙をほとんど克服できた」といえる心境だそう。

プラスティック製のカードは名刺タイプとネックストラップ付のタイプがあり、デザインはそれぞれ4種類ずつ。当事者用と子どもにつけさせる保護者用があり、今ではアメリカやスウェーデンなど海外の購入者も増えているとか。

緘黙児/ 緘黙の人は自分から行動を起こすのが苦手です。緘黙を理解してもらうのもそうですが、まず勇気を出してカードを提示してみることが小さな一歩につながりそう。提示カードがコミュニケーションを取るためのツールになればいいですね。

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場面緘黙と自閉症(その3)SMiRAの立場

イギリスはもうすっかり秋の気候。今日は久しぶりに秋晴れのいい天気になりました。これから落葉樹の梢がだんだんと紅葉していくのが楽しみです。

    雨降りの夕方、東の空にくっきりと円い虹がお目見え。よく見たらダブルレインボウでした。近くの公園でイギリスでは珍しいススキを発見

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場面緘黙の診断に関するSMiRAの立場

a. 診断担当医は、患者がSMの診断基準を満たしていると考える場合、SM(かどうか)の評価を行う必要がある。2018年、ICD-11が発表される前に推奨されていた診断基準は、SMを不安障害として記載していた DMS-5の診断基準でした。ICD-11ではSMを「不安障害または恐怖関連障害」として分類しています。除外疾患として次のものが挙げられます:

  • 統合失調症
  • 幼児の分離不安の一部としての一過性緘黙症
  • 自閉症スペクトラム障害

ICD-11における除外とは、「他(の分野)に分類されるという条件」であり、「ICD内で相互参照として機能し、カテゴリーの境界を定めるのに役立つ」ものです。これはSMとASDが別の障害として分類され、したがって併存疾患として診断できることを意味します。これは「(ASDの経過中)のみに起こるものではない」というDSM-5で使用されている除外の定義とは異なります。

注:解りにくいのですが、DSM-5ではASDの経過中にSMを発症した場合はASDが一次障害として上位診断され、二次障害であるSMは除外されて診断されないことになります。

SMIRA’s position on diagnosis of SM:

a. Diagnosing practitioners should make an assessment for SM where they believe the patient meets the criteria for such a diagnosis.The preferred diagnostic criteria prior to the publication of ICD-11 in 2018 were those published in APA DSM5, which lists SM as an anxiety disorder. ICD-11 classifies SM as an ‘Anxiety or Fear Related Disorder’. It lists as exclusions:

  • Schizophrenia
  • Transient mutism as part of separation anxiety in young children
  • Autism spectrum disorder

Exclusions in the context of ICD-11 are ‘terms which are classified elsewhere’ and which ‘serve as a cross reference in ICD and help to delimitate the boundaries of a category’. This means that SM and ASD are classified as separate disorders and can therefore be diagnosed as co-morbid. This differs from the definition of exclusions used in DSM5 as ‘does not occur exclusively’.

b. 診断担当医は、たとえ他の疾患に対する既存の診断があったとしても、SMについては別個の診断をくだす必要があります。SMiRAではDSM-5の併存診断からSMを「除外」することは、医療従事者とその患者にとって非常に無役だと考えています。これは、特に併存障害がASDの場合に当てはまります。私たちはASDを持つ人はSMの可能性もあると考えており、これはIDC-11の分類を使用すれば〈診断は)許容されます。

このSMiRAの立場は、『場面緘黙リソースマニュアル第2版 The Selective Mutism Resource Manual 2nd Edition』と『場面緘黙支援の最前線 Tackling Selective Mutism』で明らかにされており、後者ではマイケル・ラッター教授(キングスカレッジ・ロンドン精神医学研究所)によって支持されています。

b. Diagnosing practitioners should make a separate diagnosis for SM even if there is a pre-existing diagnosis for another disorder. SMIRA believes that ‘excluding’ SM as a comorbid diagnosis in DSM5 has been very unhelpful to medical practitioners and their patients. This is especially true in the case of ASD. We believe a person with ASD can also be selectively/situationally mute (SM), and this is allowable using ICD-11 classification.

This position is made clear in The Selective Mutism Resource Manual 2nd Edition and in Tackling Selective Mutism, the latter being endorsed by Professor Sir Michael Rutter (Institute of Psychiatry, King’s College London).

SMiRAがこの声明を出しているということは、イギリスでもまだSMの併存診断がつかないASD児がいるということですね…。うちの特別支援学校でも、SMや書字障害などのLD、ADHDを併せ持つ子が大勢います。イギリス国内ではASDの他に、これらも別個の障害として診断がおりているものと思いこんでいました…。

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今週は雨が降ったり・止んだりの肌寒い天気が続いています。雲の合間に陽が射して青空がのぞく時間もありますが、あたりはもうすっかり秋の空気。学校は始まったものの、まだ最終的な時間割が決まらず、ちょっと中途半端な日々です。

      久しぶりに訪れたハイゲートの森。うちの四季咲きのイングリシュローズは色も姿も儚げ

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さて、前回の続きです。

「現在の規定ではASDとSMの併存を診断できないのか?」という質問に対して、匿名で下記のような回答がありました。

DMS-5 (Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders  米国精神医学会が作成する精神疾患の診断・統計マニュアル第5版) においても、ICD-11 (International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems 世界保健機関WHOが作成する疾病及び関連保健問題の国際統計分類 第11版) においても、ASDとSMとが同時に診断することは可能です。ただし、そのためには子供の持つ発話の問題はASDが原因ではないことを確認する必要があります。

DMS-5よりSMの規定の抜粋

The disturbance is not better explained by a communication disorder (e.g. childhood-onset fluency disorder) and does not occur exclusively during the course of autism spectrum disorder, schizophrenia, or another psychotic disorder.

この障害はコミュニケーション障害(例えば、小児期発症流暢症)では説明がつかず、ASD、総合失調症、その他の精神障害の経過中のみに起こるものではない。

DMS-5より(どこに記されているか不明)

Neurodevelopmental disorders Individuals with an autism spectrum disorder, schizophrenia or another psychotic disorder, or severe intellectual disability may have problems in social communication and be unable to speak appropriately in social situations.

ASD、総合失調症、その他の精神障害を持つ神経発達障害の人、または重度の知的障害がある人の中には、社会的コミュニケーションに問題があったり、社会的状況で適切に話すことができなかったりするケースがある。

       ⇑  <上記に対する投稿者の意見>

でも、彼らにSMの症状がある場合、そのコミュニケーション上の問題は別の種類のものだから、ASDだからという理由ではうまく説明ができません。その問題は様々な場面(状況)を超えて持続する、もしくは会話の欠如ではなく会話の内容に関連するかのどちらかです。

ICD-11から

Boundary with Autism Spectrum Disorder and Disorders of Intellectual Development:

Some individuals affected by Autism Spectrum Disorder or Disorders of Intellectual Development exhibit impairments in language and social communication. However, unlike Selective Mutism, when language and social communications impairments are present in Autism Spectrum Disorder and Disorders of Intellectual Development, they are notable across environments and social situations.

ASDおよび知的発達障害との境界:

ASDや知的発達障害がある人の中には、言語や社会的コミュニケーションに問題を抱える人もいる。しかし、ASDや知的発達障害の人に言語や社会的コミュニケーションの障害がある場合は、SMとは異なり、その問題は環境や社会的状況を問わず現れる。

 ⇑   <上記に対する投稿者の意見>

そのため、ASDの子どもが場面緘黙になっている状況でのみ沈黙している場合は、SMとASDの両方を診断することが可能。反対に、彼らが常にコミュニケーションの問題を抱え、その原因がASDである場合はSMの診断はできません。ASDが除外セクションに記載されているのはこのためです(SMと診断する前に、言語の障害の原因としてのASDを除外する必要があるため)。子どもが安全と感じる状況では話し(例:家庭)、不安が強い状況では話さない(例:学校)のはSMに特有な性質で、ASDが原因ではないからです。

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DMS-5の「SMはASD等の経過中のみに起こるものではない」という言い回し、すごく解りにくくないですか? ASD経過中にも起こりうるし、そうじゃない時にも起こりうるということ?

追記:DSM-5では、ASDの経過中にSMが起こった場合、医学的にはASDが一次障害でSMは二次障害という位置づけ。そのため、一次障害のASDが上位診断となり、原則的に併存するSMは診断されないということだそう。

私は高機能ASD児を専門とする特別支援校に8年間勤務しているのですが、ティーンの生徒たちは言語能力が高く目立つ常同行動もないため、一見するとASDだとは分からない子が殆ど。グレーゾーンの子も入れると、学校などで問題が起きなければ、周囲が子どものASDに気づかないということも理解出来るんですよね…。

スレを立てた方の質問は、診察やテストの際にSM児が話さないから診断不可ということでしたが、子どもが家で話している映像を利用したら、少しは手助けになるかもしれないと思ったのでした。

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