恐怖症の克服は認知行動から?

TAの仕事も2週目が終わり、やっと子どもの名前と顔が一致するようになりました。私は人の名前を覚えるのがすごく苦手で、今回もなかなか覚わらず…。

クラスには黒人の男の子が4人いるのですが、そのうちの2人が顔も背格好もよく似ているんです。クリクリした目も単髪ヘアスタイルもそっくりで見分けがつかず、毎回「◯◯君だよね?」と確かめるという情けなさ…。昔、イギリス人ママ達が日本人の男の子2人を見て、「兄弟なの?よく似てる」と言っているのを聞き、「えっ、全然違うのに」と思ってましたが、きっとこんな感じだったのかも。

今のところ、私の仕事はASD児のA君とB君から目を離さないようにしながら、教室内または外の子ども達の活動を監督するというものです。先週はA君が体調を崩して3日間休んだので、他の子ども達の相手をする時間がたくさん取れました(B君は幼稚園時代から特別支援を受けているせいか、A君ほど問題はありません)。

火曜日、5人ほどの男の子が初めて専属校庭の片隅にある「泥んこコーナー」に足を踏み入れました。持参した長靴を履き、わいわい言いながらショベルやスコップで土を掘り始めたんです。私がテーブル席で数人の女の子達に名前の書き方を教えていると、「見て見て~!カタツムリがいた!」という声が。どれどれと思って見に行くと、男の子が差し出すスコップの上に乗ってたのは、小さなミミズでした!

《実は、私ミミズとかナメクジとか、ヌメヌメした軟体・環形動物がダメなんです。恐怖症に近い感じで、見ると背筋がゾゾッとなるんですよね…。単に形態が気持ち悪いのと、小学校の頃の強烈な記憶が恐怖心と結びついてしまったようです。私の通っていた小学校は確か3年生のころ鉄筋の新校舎に建て替えたんですが、旧校舎は県下で最も古い木造の建物でした。古くて暗い保健室にガラスのフレームに入った上半身の内蔵模型(?)があって、その中にぎょう虫の模型が!!(書くのも嫌ですが、形態が似てますよね)「こんなのが体の中に入ったらどうしよう」、と心底恐怖を感じたんです》

話を子ども達に戻すと、私は一瞬何も言えず、固まってしまいました…。別の子が、土の中にミミズを発見して、指でほじくり出すのも見てしまいました(涙)。でも、私の気持ちにはお構いなしに、子ども達は次々にミミズを掘り出し、小さい可愛らしい手のひらにのせて、「また、見つけた~っ!」と、嬉々として見せに来るんです。

ミミズが近くに来た時、教育関係者という本分をついつい忘れ、後ずさりして逃げました~!子ども達は面白がって、追っかけてくるし。いつの間にか、クラスの3分の2ほどを巻き込んだ、追いかけっこ大会になってしまったのです。子ども達の歓声があまり大きかったためか、担任が出てきて「そんなに大声を立てたら駄目でしょう!」とお説教されるハメに。スミマセン、私の責任です…。

翌日、雨上がりの道を学校に向かう途中、アスファルトの上に何やら不気味なものが…。5~7cmくらいの大きなナメクジが、何匹も何匹もいるのです!それも、オレンジがかった色やら、グリーンのやら、うわ~っ。校庭にいないことだけを祈りながら教室へ入り、昨日の失敗を担任に再度謝りました。この日から、子どもがミミズを見せに来ても、「よく見つけたね。でも、土の中に戻そうね」と冷静に言えるように。何事も経験、経験。というか、心の準備をしておくと、何とか対処できるみたい。

でも、担任から「実は、来週wormery(ミミズの観察キット)が来ることになってるのよ。でも、プラスティックの器に入ってるから大丈夫よ」と告げられているんです。うわ~っ、教室内でも気が抜けない。明日(というかもう今日ですが)学校に行くのが怖いです。

薬の威力(その2)

この夏私たち家族は、イングランド南西部に位置するエクスムーア国立公園で、1週間のコテッジホリデーを楽しみました。その帰り道、SMIRAコンファレンスで出会ったティーンの女の子の家を訪ねたんです(彼女は家族と一緒にコンファレンスに参加していたので、ご両親とも顔見知りでした)。

今回私は家族連れだし、コンファレンスで話さなかった姿を見られているため、彼女が話すことはないだろう  そんな風に予測してました。緘黙の法則というか、一度話さない姿を見られている人には心理的に話しずらいだろうなと思ったので。

その予測の通り、1時間半ほどの滞在中ずっと筆談のみ。でも、彼女の姿勢や態度には大きな変化が見られました。薬の影響に加え、自分が一番安心できる自宅という環境、そして両親が側にいたことがプラスに働いたと思います。

まずお母さんに案内されて居間に入ると、彼女はちょっと固まった感じでうつむいて立っていました。前と印象が全然違うなぁと思ったら、長かった前髪をばっさりカットし、メガネをかけた彼女の顔がはっきり見えたからなんですね。後でお母さんと二人になった時、「薬を飲み始めてすぐに、自分から切るっていったのよ」と。もう前髪で顔を隠す必要はないと感じたんでしょうね。

彼女の家はかなり田舎にあって、家のすぐ横には大きな河が流れ、広い庭の向こうは林という、自然に囲まれた環境。お父さんの趣味で、庭には珍しい種類の鶏が何羽も駆けまわっていました(囲いはあるんですが、とにかく広い!)。挨拶が終わったあとは、お父さんの提案ですぐ庭に移動(グッドアイデアですね)したんですが、その頃には彼女の姿勢も態度もごく自然な感じに。

お父さんが彼女に話をふると、手に持った小さなホワイトボードに返事を書いてくれます。そのうちに、鶏を抱っこして私に見せてくれたり、息子と私の手にエサを入れてくれたり。ふと気づくと、私と二人きりになっていたのですが、鶏たちが小屋の中ではなく河のほとりにある樹の高い枝にとまってで眠ることや、キツネに襲われた時、何羽かは河向こうまで飛んだことなど、自分から色々教えてくれました。

隣にいて、彼女がリラックスしてお喋りしたい気分なんだなというのが伝わってきました。もし私が一人で訪問し、もっと長い時間滞在していたら、もしかしたら声が出ていたかもしれません。でも、そんなことよりも、彼女から人と接したいという気持ちが伝わってきたこと、少しはにかんではいるものの本来の彼女の姿が垣間見られたことが大きかったです。

最初の出会いで感じたネガティブな要素(カチカチに固まって、私に話しかけないでオーラが漂っている)が消え、「大人しくて、ちょっとはにかみ屋の女の子」という良い印象だけが残りました。

これって、人付き合いをする中で結構重要じゃないでしょうか?

私達がおいとまするのと入れ替わりに、彼女のご両親の知り合いがやってきて、「頑張って社交の機会を増やしてるのかな」と感じました。多分、彼女を色々なところに連れて行って、見知らぬ人と話す機会を作っているんではないかと小さな村だから、知り合いばかりですものね。

彼女の家を訪問してみて、こんなに小さな村の学校から、少し離れた町のマンモス校に移るのは、相当大きな負担になったんだろうなと思いました。ご両親は、彼女が特別支援学校で話し始めても、今のところ授業は一日3~4時間にとどめているとか。「焦らず、少しずつ」をモットーに、娘の気持ちや体調によりそいながら、サポート体制を整えているようです。

関連記事:

薬の威力(その1)

 

薬の威力(その1)

昨日は秋分の日だったので、本格的な秋が始まりましたね。今年の夏もあっという間に過ぎ去ってしまったのですが、とても嬉しいニュースがありました。

春に開催されたSMIRAコンファレンスで出会ったティーンの女の子が、薬を服用することで話し始めたというのです!時々メールのやり取りをしていたんですが、8月始めにこのニュースを聞いた時は、本当に嬉しく思いました。本人の承諾を得たので、彼女について書きますね。

最初に会った時まず気になったのは、前かがみになって縮こまったような姿勢でした。大勢の人がいる公の場で、しかもテーマは場面緘黙。緊張して、自意識過剰になっても無理はありません。顔を隠すように前髪を長く垂らし、父親の後ろでうつむいて座っている姿を見て、なんだか緘動で固まっているみたいだなと思いました。

隣に座って筆談した際、時折指で前髪を少しだけかき分けて、私の方をチラっと見るのですが、前髪のせいで彼女の表情は殆ど読み取れませんでした(というか、顔が見えなかった)。でも、私の言ったことに対してペンはサラサラと進み、自分の思いをはっきり伝えてくれました。

緘黙や抑制的な気質の人って、目立ちたくないという気持ちが強いと思うんですが、その気持が姿勢や雰囲気に現れてしまい、損してしまうんじゃないでしょうか?なんとなく話しかけにくい雰囲気というか、私に構わないでオーラが漂ってしまうというか。本当は、楽しくおしゃべりしたいのに、不安が強く前面に出てしまう。

もっと酷くなると、緘動で動けなくなって姿勢が固まったり、顔が無表情になったり。こういった状態が固定化すると、「なんか暗い人」、「周りを無視している人」とレッテルを貼られてしまいそう

彼女がいつから緘黙になったのか、詳しいことは聞いていません。でも、セカンダリースクール(1216歳)に進学してから、徐々に学校に行けなくなってしまい、ホームスクールに切り替えたと聞きました。現在は特別支援校に毎日短時間通っているとのこと。

イギリスの公立校システムでは、小学校はどこも規模が小さく、1学年に1クラスということもザラです。そんなアットホームな環境が、セカンダリーからは1学年710クラスのマンモス校に。ベースになる教室はなく、日本の大学の様に教科毎にどんどん教室を移動していかなければならないんです。

校内の騒音、人の多さ、授業ごとに替わる教室・先生・生徒 – デリケートな彼女にはそれが大きな重荷になったんだろうなと想像しています。考えてもみてください。自分の教室も、机も、椅子もない状況って、すごく不安になるんじゃないでしょうか?

また、彼女は物事を深く考える性質のようで、クラスメイト達と話が合わなかったとも。周囲の女の子達が子供っぽいと感じていたようです。学校でずっと黙っている分、思考がどんどん内に向かっていったんでしょうね。

薬(どの抗うつ剤を使用しているかは不明)の服用を始めたのは6月頃からだそうです。彼女自身の言葉によると、「自分でもびっくりするくらいリラックスできた」とのこと。まるで自分じゃないみたい、とまで思ったそうです。それを聞いて、よっぽど症状が酷かったんだなと思いました。

リラックスできたお陰で、特別支援校の先生達と話せるようになり、知らない人達の前でも殆どの場合話せるようになったそうなんです!すごい進歩ですよね。

熱心に支援を続けてきた両親は、薬の服用を始めると同時に、特別支援学校の先生に相談して家庭訪問をしてもらったとか。まず、自宅で先生と話せるようになり、学校でも話せるようになっていったんですね。また、彼女を色々な場所に連れて行って、知らない人の前で話す練習をしたんだと思います。

アメリカのシポンブラム博士も「薬だけでは効果がない」と主張されていて、薬物治療をする際には支援プログラムと同時進行させないと十分な効果は得られないようです。「薬を飲めば何とかなる」というのものでは、決してありません。

また、抗うつ剤の効果には個人差があり、服用しても普段とあまり変わらない、副作用が酷い、というケースもあるので要注意です。色々試してみたけれど効果があがらず、最後の頼み綱としてトライするという感じでしょうか。

薬物治療に関しては、かんもくネットでアメリカの支援団体、SMG~CANの薬物治療に関するQ&Aを翻訳していますので、参考にしてください。

http://kanmoku.org/ask-the-doc.html

 

イギリスの小学校

実は、1週間半前から地元の小学校でTA(教育補助員)の仕事を始めました。近隣の学校の新学期が始まったばかりの月曜日、所属するSEN TA(特別支援員)のエージェントから連絡があり、10月頭まで単発の仕事をしないかとのこと。翌日面接に行き、1週間のトライアル期間を経て無事雇ってもらえることになったのです。

最初は、「4年生クラスのTA」という話だったんですが、実際はASD児が2人いるレセプションクラス(1年生の前の学年)に配属されることに。学校側はASD児がひとり入学することは把握していたものの、蓋を開けてみたらもっと大変な子がもうひとりいて、急遽人員が必要になったようです。今学期いっぱい、毎日午前中だけ勤務する予定です。

昨年度のASD児専門校での体験と、レセプションクラスでの研修体験を評価してもらえたようで大感激。それと、エージェントの信用も大きいですね。英語がネイティブではない中年の日本人を雇ってくれるなんて、イギリスの学校って太っ腹!男女雇用均等法どころか、人種・性別・年齢均等雇用法ですよねまあ、急遽TAが必要になって困ってたんでしょうが。ちなみに、担任は英国生まれの若いイスラム教徒の女性です。

もし私が海外からイギリスに来たばかりの母親で、子どもの先生達が白人のイギリス人じゃなかったら、複雑な気持ちになると思います。ちゃんとした英語の発音を学べるのか、それに「せっかくだからイギリス人の先生がいいな」って思うんじゃないかな。でも、イギリスは英連邦諸国から大量の移民を受け入れてきた歴史があり、インド系やカリブ系移民の2世や3世は、れっきとした英国生まれのイギリス人なんです。最近では東欧からの移民も多いし、イギリスの大学で学んだ外国人がそのまま就職するケースも。なので、職員室もクラスも多国籍なところが多いようです。

イギリスの小学校職員は女性が多くて、校長先生も女性ということが珍しくありません。独身の先生も多く、先日ふと周りを見回してみたら多分私が最年長かも。でも、担任はとっても親切で、まだ慣れない私に気を使ってくれてるよう。うっかりミスをしないよう、頑張らなくては。ちなみに、ASD専門校では、校長も副校長も若い独身女性でした。

レセプションクラスの子どもたちは45歳で、日本だとまだ幼稚園の年中さん。遊びながら、徐々に集団生活や基礎学習の準備に慣れ、しっかりと基礎学習を始める1年生に備えるという感じです。どの子も本当に可愛くて、母性本能を刺激されまくり!かなり困ったちゃん状態のASD児のお世話を中心に、泣いてる子をなだめたり、一緒に遊んだり、殆ど保母さんみたいな感じですね(笑)。現在は、担任の他にもうひとり先生がいて、TAの私を含め常に34人の大人がついています。

教室の外にはクラス専用の小さな校庭があり、今のところは全員揃ってカーペットに座り、担任の話を聞いたり、本を読んでもらったり、歌ったり、踊ったりする時間(カーペットタイム)の他は、自分の好きな活動を選べます。4つのテーブルに毎日違うアクティビティが用意されている他、絵本コーナーやPCコーナー、キッチンコーナー、水遊び、砂遊び、ペイント、遊具などなど盛りだくさん。だんだん文字や数字のアクティビティを増やしていって、遊び感覚で国語や算数などを学んでいくんですね。

男の子がかなりリアルな赤ちゃん人形を入浴させたりしてるのを見ると、ああイギリスだなって思います(笑)。赤ちゃん人形は、ちゃんと白人・黒人、女の子・男の子と分かれているんです。残念ながら、黄色人種の赤ちゃん人形はまだ見たことはありませんが。でも、キッチンコーナーにはにぎり寿司の玩具があります。

学校が始まったばかりですが、社交的な子、友達とくっついてる子、大人しい子、ひとりでいる子など、かなり個性が出てきています。引っ込み思案な男の子が2人いて、ひとりでいることが多いのが気になっていたんですが、話しかけると小さい声で答えてくれるし、萎縮している様子はなく、マイペースな感じ。最近になって、グループで遊べるようになってきたので、ほっと一安心。今のところ、緘黙になりそうな子はいないようです。

2人の先生は、先週から1週間に3人ずつ子ども達のアセスメントを始めました。身体面、心理面、性格、集団生活の様子、学習能力など、一人ずつ観察しながら細かくチェックしていて、とてもいいシステムだと思います。私がお世話をしているASD児は幼稚園では全く問題なしと言われたらしいのですが、小学校ではすぐに気づいて、私が雇われた訳です(もうひとりのASD児は、それ程問題なく学校生活をこなしています)。これからアセスメントをして、特別支援チームと共にしっかりとした対処法を決めていくのだろうと思います。

ところで、学校は車で20分くらいのところにあるんですが、6車線道路に乗って信号付の大きなroundabout(円形交差点)を通らないと辿りつけないんです。毎朝心臓がギューっとなる思いをしたくないので、私は6車線道路の近くに車を止め、地下道を使って道路の反対側にある学校に歩いて通っているのでした

 

お詫びと訂正

”マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』”の記事に関して、前書き部分に誤りがありましたので、お詫びし訂正させていただきます。

間違えていた箇所は、マギー・ジョンソンさんがアリソン・ウィンジェンズさんと共著している『場面緘黙リソースマニュアルSelective Mutism Resource Manual Speechmark)』の説明についてです。

 

なお、年が上の子どもへの支援は、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアルSelective Mutism Resource Manual Speechmark)に詳しく書かれています

                      ↓

なお、 年が上の子どもへの支援は、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアルSelective Mutism Resource Manual Speechmark)の第二版(2015年春/夏出版予定)に新項目として掲載される予定です

 

今年のSMIRAコンファレンスでマギーさんが講演された『小学校中・高学年&ティーンの支援』の資料を翻訳し、Knetの掲示板と拙ブログに掲載する許可をいただいた訳ですが、質問が出てきたのでマギーさんにメールしてお返事をいただいた際、過去のメールを読み返して間違いに気づきました。年が上の子どもへの支援については、来年出版が予定されている『場面緘黙リソースマニュアル』第二版に掲載されるということです!ですので、現在発売されている『場面緘黙リソースマニュアル』第一版には、掲載されていません。すっかり誤解していて、どうも申し訳ありませんでした。

私は昔から神経質な割におっちょこちょいで。マギーさんが快く翻訳・掲載の許可をくださったので、既にリソースマニュアルに掲載されていると思い込んでしまったんですね(マニュアルを持っているので、チェックすれば良かったんですが)。本当にすみません。

なお、私が翻訳の許可をいただいた資料は、SMIRAコンファレンス用に作成されたものです。来年出版予定の『場面緘黙リソースマニュアル』第二版に掲載される内容は、更に詳しいものになるということ。

さて、『小学校中・高学年&ティーンの支援』の続きに関してですが、ついこの間届いたマギーさんの返事は、「返事をしている余裕がないの!ごめんなさい」という短いものでした。多分、SLTの仕事の他に、リソースマニュアルの原稿加筆の締め切りやワークショップなどが重なり、超ご多忙なのだと思います。(そんな時に余計な質問をしてしまい、申し訳なかったです)

私の質問は、治療セッション例としてあげられていたジェイ君に関することでした。彼のケースだと、セッションのごく初期から「話す」課題が入っていたため、どの子もかなり早い段階で話し始めるものなのか、確認したかったのです。緘黙期間が長い子ども達なので、もっと時間がかかるんじゃないかと思ったので(多分、子どもによってすぐ話し始める子もいれば、なかなか声がでない子もいるんじゃないかと思うんですが…)。

「お返事はいつでも結構です」と伝えたため、いつ答えをいただけるか判らない状況です。ということで、続きについてはしばらく保留させていただきますので、どうぞご了承ください。

 

9月の夏休み(その4)

今回コテッジを借りたダンスター村の西隣には、その辺りではちょっと大きなマインヘッド(Minehead)という町があります。チェーン展開している大型スーパーやガソリンスタンド等があって便利ですが、観光やショッピングには物足りないかな

金曜日に地元の特産品市が開かれると知り、いそいそと出かけてみたら、「あれ、これだけ?」という感じでがっかり。それでも、コーニッシュパスティとスコッチエッグを買い、近くのスーパーで果物と飲み物を調達して、車で5分ほど西に行ったところにあるセルワージー村(Selworthy)へ。

可愛らしい集落や村、農地、牧場、ムーアランドを含むその周辺50k㎡は、ハニカットエステート(Holnicote Estate)と呼ばれ、ナショナルトラストの所有地です。そのためか、昔ながらの藁葺き屋根の家屋や牧草地が、ベストコンディションで保存されているよう。

IMG_6013

緑の樹木のトンネルを抜けてドライブ

IMG_5990 - Copy

セルワージー村のナショナルトラストショップ近くでテーブル付ベンチを発見

IMG_6005

朝調達した食品を並べてピクニックランチ。手前が炭鉱夫のランチだったコーニッシュパスティ

食後にクリームティーで有名なペリウィンクル・コテッジのカフェの営業時間を確認してから、近くの港町ポーロック(Porlock)へ出発。

IMG_6016

美しい町並みに旗飾りがはためいていました

IMG_6056

IMG_6033IMG_6051

        断崖の多いエクスムーアの海岸は石がゴロゴロ。写真右に見える石垣のようなものはPill Box     と呼ばれる掩蔽で、第二次世界大戦に上陸してきたドイツ軍を銃撃するために造られたそう。右はTorr Stepsを真似て海中に橋(足場?)を建設中の息子

IMG_6000 - Copy

    午後4時頃、再びセルワージー村に戻り、絵葉書に出てくるような茅葺き屋根のペリウィンクル・コテッジでティータイム

IMG_6064IMG_6057

    噂のクリームティーは今まで食べた中で2本の指に入る美味しさ。地元のおばあちゃんが1日3回焼いているというスコーンは、ほんのり温かく軽くて上品な味。セッティングも素敵です

IMG_6079

腹ごなしにボシントン村(こちらもナショナルトラスト所有)をぶらぶら散歩

IMG_6088

日が沈む前に海まで歩きました。浜の石はポーロックの海岸よりも小さめ

長くなってしまいましたが、夏休みシリーズはこれで最後です。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

関連記事:

9月の夏休み(その1)

9月の夏休み(その2)

9月の夏休み(その3)

9月の夏休み(その3)

1週間のコテッジホリデーの後半は、ブリストル海峡を臨む港町や村を周りました。仕事疲れに運転疲れが加わったためか、主人が肩凝りに悩まされ、なるべく近場でということに…。本当は、風光明媚といわれるデヴォン州の海岸をもっと見たかったので、ちょっと残念。

(おそるおそる「私が運転しようか?」と申し出てみたんですが、家族からキッパリと却下されました(笑)。というのも、曲がりくねった狭い田舎道でバッタリ対向車に出遭うと、10m以上バックする羽目になることもざら。おまけに、交通量が少ないためか、みんな結構スピード出してるんですよね。ご近所ドライバーでトロトロ運転してる私には、とてもとても…)。

まずは、ダンスターから西へ40分ほどの距離にあるデヴォン州の港町、リンマス(Lynmouth) とリントン(Lynton) へ。切り立った崖のくねくね道を走っていると、道の真ん中に羊がいてビックリ!本来なら海の向こうにウェールズが見えるはずなんですが、濃い靄のせいで全く見えず…。木・金曜日は朝からずっと靄がかかっていて、海辺の写真は全部ぼんやり霞んでいました。

IMG_5898

IMG_5912

        ごろごろした石だらけのリンマスの浜辺。水は美しく澄んでました。息子が凧を買って揚げようと          するも、足場が悪くて断念

IMG_5900IMG_5914

      崖の下にあるリンマスと崖の上にあるリントンの町は、水動力のケーブルカー            で結ばれています。高低差は150mだとか

IMG_5927IMG_5945

リントンのアート&クラフトセンターとエクスムーア博物館

IMG_5940IMG_5939

IMG_5934

      ティーガーデンがあるカフェでランチ。私と主人は海の町恒例のフィッシュ&チップス、        息子はガーモンハムを巻いた鶏肉にチーズがとろけるハンターズチキンを堪能

ひなびた感じのエクスムーア博物館(入場料1ポンド・約170円)は2時に開館というので、先にランチにしたのですが、ゆっくり話しながら食べていたら、崖の下の駐車場の駐車券が時間切れになりそう…。どうしても博物館をのぞきたかった私は、主人と息子に車を取りに行かせたのでした。携帯で連絡しあうということにして別れたんですが、そこから問題が発生!

博物館に行ってみたら、”Open” のサインが出てるのにドアは閉まったまま。入口の前に人か集まってたんですが、ノックしても応答なし…。電話番号もない小さな博物館なので、夏休みが終わって平日は閉館になったのかもしれません。急いで主人の携帯に電話したら、電波が届いてなくてかけられず!別れる前にチェックした時は大丈夫だったのに…。イギリスの田舎では携帯が繋がらない場所がけっこうあるのです。

小さな町なので、20分ほどして何とか巡り合えたんですが、「あ~、良かった!」と思ったのもつかの間。主人が、「博物館の前に駐車したんだけど、鍵を差し込んだままロックしちゃった」と…。探し回ってクリーニング屋さんで針金製のハンガーをもらい、僅かに開けてあった窓から針金を入れて色々試した後、何とか鍵を釣りあげることができました~。

ちょうど小学校が終わる時間で、お迎えのお父さん・お母さんに注目されてしまいました(汗)。まるで泥棒 – でも、こういうハプニングが旅の醍醐味かもしれませんね。

IMG_5948IMG_5953

帰り道の風景。途中で車を止めて灯台まで歩きだしたのですが、あまり遠いので途中で挫折

IMG_5957

IMG_5969

半野生の馬がいる平原で凧揚げを楽しむ息子

おまけ:

エクスムーア国立公園内の道には、鹿や野生馬に注意!の道路標識がたくさん立っています。水曜日の夕方、コテッジに戻る道にはキジが何羽もいて、もう少しで轢きそうになりました。

 IMG_5880

   10月~1月のキジ狩猟シーズンに備え、養雉農家で育てているキジが自由に歩き回ってるんです

関連記事:

9月の夏休み(その1)

9月の夏休み(その2)

 

 

9月の夏休み(その2)

私達家族が滞在しているサマセット州西部は、その大部分が広大なエクスムーア国立公園(Exmoor National Park) に含まれています。イギリスにはムーア(Moor)と呼ばれる、酸性土壌の上に低木や背の低い草のみが繁る広い荒野が点在しているのですが、エクスムーアもそのひとつ。ムーアという名前はついていますが、ムーアランドだけでなく、森林や緑の丘陵、ドラマチックな海岸線や湖、複数の河など、損なわれていない自然を楽しめる地区です。

IMG_5785IMG_5738

IMG_5974

       今回借りたコテッジの外観とメインベッドルーム。季節外れなのでお値打ち価格でした。お隣が聖ジョージ教会で、息子が使っている寝室の窓の向こうは墓地!

エクスムーア国立公園内には数多くのウォーキングコースがあり、私達もそのいくつかに挑戦。近くの森に「イングランドで一番高い樹」を見に行ったんですが、そこは”Tall Tree Trail”という名の通り、高い木ばかりなので「えっ、これ?」という感じでした(笑)。

IMG_20140902_140657IMG_20140902_140801

        イングランドで一番高い樹は、高さ60.05m(2009年計測)のモミの木。右の写真の人(主人)と比べると、その大きさが分かります

IMG_5790

IMG_5797

        「コウモリ城サーキット」では靄のかかる丘をゼイゼイいいながら登ること40分あまり。              コウモリ城跡という説明にワクワクしていたら、鉄器時代の砦(集落)跡と説明があるだけ…      丘の麓でクマさんがゴメンナサイ

 IMG_5807

『嵐が丘』に出てくるヒースの荒野も

IMG_5828

      ターステップス(Tarr Steps)は紀元前1000年に造られたとされる古代の橋。流れの         速いバール河に大石版を渡した橋は2012年の洪水で流され、再築されたばかり

IMG_5868

サマセット州とデヴォン州の堺にある町、Exbridge のパブでランチ

IMG_5861

フィッシュ&チップスの魚が巨大!ビール入の衣がカリッと揚ってました

IMG_5862

3種類の魚の燻製プレート。西洋わさびのソースが美味でした

IMG_5748

こちらはダンスターの海辺。引き潮で遠くまでこんな感じ

IMG_5759

IMG_5766

海岸に沿ってホリデー用コテッジ?が立ち並んでいました

IMG_5765

間取りは、キッチンとトイレと部屋がひとつのよう

IMG_20140902_162505

       コテッジに帰る途中、「自家製ハチミツあります」の看板を発見。普通の民家の庭先にハチミツを      入れた棚が置いてあって、買った分のお金をカゴに入れるシステム。味見もできました

IMG_20140902_162452

「徐行してね」のサインも手描き

IMG_20140902_163057

            地元Styles社 のアイスクリームは羊のミルク製。濃いクリームとブラックベリーの酸味がベストマッチでした

IMG_20140902_183529

             Scrumpy社のアップルサイダーは「サマセットの味」?アルコール分6%

別に取り立てて有名な場所に行ったり、ものすごく美味しいものを探して旅してる訳では全くないのですが、家族で森林や緑の丘を歩きながら話をしたり、普段ない体験をしたりするのが、我が家のホリデーです。

関連記事:

9月の夏休み(その1)

9月の夏休み(その1)

息子の学校では、2016年の完成を目指して校舎の建て替え工事が行われています。そのため、去年から夏休みが他校より3、4日長くなることに。9月に入ってそろそろ学校が始まる時期ですが、うちは8月30日からイングランド南西部に位置するサマセット州の西側で1週間のコテッジホリデーを楽しんでいます。

土曜日の朝ロンドンを出発し、最初のストップは温泉で有名なバースの南東にある小さな市場町、ブラッドフォード・オン・エイボン(Bradford on Avon)。小高い丘に古い石造りの住居が並び、町の中央をエイボン川が流れる、人口1万人弱の可愛らしい観光地です。

IMG_5625 IMG_5617

主人の大学時代の友達2人の家族と合流して、まずバートンファーム・カントリーパークで、タイズバーン(Tithe barn)と呼ばれる有名な14世紀の穀物倉を見学。

IMG_5635     教会みたいな外観と思ったら、教会の所蔵でした。当時は農場の農産物の10分の1を教会に収めていたんだとか。その規模の大きさに、教会が一大勢力を振るっていた時代が忍ばれました

IMG_5648

      散歩の後は、橋の袂にあるティールームThe Bridgeへ。お茶とケーキの味もさることながら、16世紀の建物と、ヴィクトリア王朝風のエプロンドレスを身につけたウエイトレスが売り

IMG_5643IMG_5639

   伝統的なヴィクトリアスポンジケーキ。ケーキもマシュマロ入のホットチョコレートも半端ない大きさ!

午後6時に他の家族たちと別れ、我々はグラストンベリーの町を抜けて、夕日の落ちるなか海に向かって西へ西へと車を走らせました。8時半過ぎに、やっとダンスター(Dunster)の村にたどり着き、ちょっと迷いながらもコテッジを見つけることができました。

IMG_5728      中世の家並みが残る小さな村。写真左上がダンスター城、右端に見えるのは聖ジョージ教会の塔

翌日は、まずナショナルトラスト所有のダンスター城(Dunster Castle)へ。小高い丘の上に聳えるこのお城は、中世に建てられたノルマン王朝時代の要塞。何度か改築が重ねられ、現在の建物は19世紀にルトレル家のカントリーハウスとして改造さたものだそう。

IMG_5680IMG_5682IMG_5686 IMG_5694 IMG_5687

IMG_5709広大な庭園の北側には川が流れ、水車小屋もあります

IMG_5730

ついでに近くにあるコニガーの森(Conygar Wood)も散策

IMG_5722IMG_5725

頂上には18世紀の塔の廃墟がありました