マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その6)
この3月に開催されたSMIRAコンファレンスで、イギリスの緘黙治療の第一人者、マギー・ジョンソンさんが、小学校中・高学年&ティーンのための支援方法について講演されました。その内容をKnetと拙ブログに公開する許可をマギーさんから得ましたので、概要を少しずつ翻訳してご紹介しています。
内容の著作権はマギーさんに属しますので、この記事の転記や引用は固くお断りします。なお、年が上の子どもへの支援は、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアル(Selective Mutism Resource Manual Speechmark社)』に詳しくカバーされています。
《緘黙に苦しむ小学校中・高学年&ティーンへの支援》
場面緘黙 アドバイザリーサービス 言語療法士マギー・ジョンソン著 ケント州コミュニティヘルスNHSトラスト
篇桃体(アミグダラ)のスイッチを切ることは可能です
- 自らの恐怖について理解する
- リラクゼーション – 笑い、深呼吸、(ほどよく)忙しくする、身体を動かす
- スモールステップで恐怖と対峙し、危険がないことを篇桃体に示す
- 怖いと感じるからといって、脅威となるものが存在するに違いないと思い込むのをやめる – 「自分は嫌われている。もし話したら、みんなに笑われる」といった愚かな理由に結びつけるだけです
次に、
- 自分自身の考え方や行動によって、恐怖が現実のものとなり、危険な状況を創りだしていることに気づくこと(例えば、微笑みかけられた時に顔を背けたら、その人たちはあなたに嫌われていると思い、次は無視するでしょう)
- (最大の恐怖である)ネガティブな思考を、肯定的または中立的な考え方(事実)に置き換える
このディスカッションを進展させるのに、2〜3回以上のセッションが必要かもしれません。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・みく注: ここでマギーさんが強調しているのは、まず身体と心をリラックスさせて、ネガティブな思考から抜け出すこと。簡単なようですが、感受性が強く、気にしいの抑制的な性格の人には、なかなか難しそうです。
私自身そうなんですが、何か事件が起きると、悪いほうへ悪い方へと考えてしまう…。そして、人の何倍も凹んだり、落ち込んだりする傾向が強いように思います。誰かにちょっと何か言われると、ずーっとそのことが気になってしまう訳ですが、相手の人は既に忘れてたりして(笑)。
小学校の卒業式の前に、息子がちょっと情緒不安定になった時期があったんです。寝つきが悪くなったので理由を訊いてみたら、「あの時○○君にあんな風に接しちゃった。どうしよう」と、過去の出来事を心配してました。相手の子は元気に家にも遊びに来てたし、明らかに「気にしすぎ」…。
「くよくよせず、ぱっと切り替えなさい」と言っても、不安になりやすい気質は変えられない。でも、周囲の理解があったり、家族や友達との信頼関係ができていれば、ひとりでずっと落ち込むことはないのでは?そう考えると、学校で緘黙していても、友達がいたり、趣味があったり、家庭で楽しい時間を過ごせることが、本当に重要だなと思います。
マギーさんは「自己評価をあげること」を緘黙克服の第一歩にあげていますが、それが気持ちの持ち方に大きく影響してくるんですね。何でもいいので、趣味、特技、得意科目があったら、どんどんやらせて自身をつけさせましょう。
あと、好きなアニメを観るとか、ペットの世話をするとか、美味しいものを食べるとか、人生の「小さな喜び」を感じられる一時があると、気分転換できますね。実は、昨日嫌なことがあってずっとクヨクヨしてたんですが、先ほど黒澤映画『夢』を観たら、気分がすっかり晴れました。
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『誰かにちょっと何か言われると、ずーっとそのことが気になってしまう訳ですが、相手の人は既に忘れてたりして(笑)。
小学校の卒業式の前に、息子がちょっと情緒不安定になった時期があったんです。寝つきが悪くなったので理由を訊いてみたら、「あの時○○君にあんな風に接しちゃった。どうしよう」と、過去の出来事を心配してました。相手の子は元気に家にも遊びに来てたし、明らかに「気にしすぎ」…。』
というところが興味深く思いました。不安になりやすい?人というのは相手からのネガティブな言動だけでなく、自分の相手に対する言動もくよくよ考える傾向にあるのかもしれません。もっとも、前者では相手にネガティブなことをしたという意識すらないのかもしれませんが、後者ではその意識が過剰に働いていると考えられますね
。
これは、自分の中で新しい発見です。ありがとうございます。
マーキュリー2世さん
コメントありがとうございました。
緘黙になる子は、自意識が過剰な子が多いのではないかと、私はずっと思っています。
特に、緘黙の期間が長くなると、この自意識過剰が邪魔をして、ますます人前で話すのが難しくなるように思います。転校がきっかけで話し始める子が多いのは、話す準備が整っていて、かつ「誰も今までの自分を知らない」ために自意識過剰にならずに済むからじゃないでしょうか?