2019年SMiRAコンファレンス(その11)緘黙を解ってもらう手紙

もう6月も終わりに近づいてきましたね。今週はヨーロッパ全体が猛暑に襲われているのですが、何故かイギリスは最高気温が22度ほど。でも、明日は33度に達するらしいです。

  

好天に恵まれ、友達の市民農園ではブラックベリーが豊作

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午後の部では、『大学生活をスタートするにあたって』と題して、約2時間に渡り緘黙のティーンの進学・進路について、複数の短い講演とディスカッションが行われました。イギリスの教育システムは日本のシステムと違うため、さらっとまとめたいと思います。

  1. 当事者が場面緘黙の理解を求める手紙/ メール
  2. 16歳からの進路、申請、インタビュー等について
  3. 大学における支援
  4. 緘黙の大学生らによる短いプレゼン

1) 当事者が場面緘黙の理解を求める手紙/ メールのテンプレート  SMトーキングサークル代表 ジェーン・サラザーさん Template for a letter/e-mail

ジェーン・サラザーさんは45歳で緘黙を克服し、成人のための支援グループ、SMトーキングサークルを主催する女性。昨年のコンファレンスにも登場しています(詳しくは『2018年SMiRAコンファレンス(その7)』をご参照ください)。

今回は、サークル活動から生まれた成果、「緘黙を理解・配慮してもらうための手紙/メールのテンプレート」を紹介してくれました。このテンプレートが役立ったというサークル員の声も多数あがっています。

緘黙の人が進学、アルバイト・就職、ボランティア活動、病院の受診などをする際、やはり話せない/うまく言葉が出てこないことがネックになりがち。そのため、事前に手紙やメールで自分について(緘黙・得意分野・希望・配慮して欲しいことなど)説明し、理解と配慮を求めるという趣旨です(テンプレートは状況に合わせて変更可)。

<テンプレートを使う前に、まず考慮すべきこと>

  • 手紙/メールを読んでもらった後、期待することは?
  • 相手に伝えたい自分の特技、才能、ポジティブな態度など
  • 相手に解ってもらいたいことは?(誤解されたり、実際とは異なる印象を持たれる不安を解消)
  • 前回コンタクトを取った際、伝えられなかったことは?

<テンプレートの重要部分>

  • 場面緘黙の説明(SMは公式な障害)
  • 自己アピール(SMが自分の能力の妨げにはならないことを強調)
  • 配慮して欲しいこと(教育、就労の機会均等を強調)

みく備考:

このテンプレートでは、場面緘黙が公式な障害であること(SM-officially a disability)を明記し、そのための配慮を自分からお願いします(例:面接の質問を事前に送ってもらう/ 大学のグループ活動では話すように強要しない等)。

ただ、イギリスでも「そこまで配慮してもらえるのかな?」と思われる事項もあり、日本ではちょっと難しいかなと感じてしまいました…。

自己アピールの箇所では、自分のやりたいことや得意分野を説明。「〇〇する(例:仕事/入学/ボランティアなど)にあたり、場面緘黙が私の〇〇(例:勉強/働き/理解力/責任能力/思考能力など)に影響しないことを保証します」と結んでいます。

緘黙の人は自己評価が低い傾向にあり、特に就活の場合は「保証します」とは言いづらいかも…。日本における緘黙の認識状況や文化的な背景を考慮して、独自のテンプレートを考案できるといいですよね。

進学、ボランティアや病院での受診の際、事前に緘黙のこと・自分のこと・配慮して欲しいことを告げるのは、とてもいい方法だと思います。

2) 16歳からの進路、申請、インタビューについて  SMiRAチーム

3) 大学での支援   レスター大学学生支援サービス、シャロン・スタージェスさん

イギリスの教育システムについてなので、大部分を省きますね。重要部分は緘黙のティーンが持つ権利について:16歳で受ける全国試験GCSEや大学進学のためのAレベル試験では、SMを理由に試験時間の延長や個室での受験などが可能。また、大学やカレッジ(専門科目・就労コースなど)では、教育の均等機会を重視するため、事前に場面緘黙だと告げることで、一定の配慮を受けられます(各学校によって異なる)。

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