2019年SMiRAコンファレンス(その8)SMとASDが併存している子どもへの介入


6月も半ばに近づいてきましたが、イギリスはここのところ雨模様の天気が続いています。今日は一日中雨で、最高気温が14度…寒っ。先週の土曜は午後から雨があがって天候が回復したので、ハイドパーク内のSerpentine Sackler Gallery に行ってきました。

    ギャラリー&カフェをデザインしたのは、東京の国立競技場の初回コンペで選ばれた建築家、故ザハ・ハディド氏。曲線の遊び心溢れるデザインは、昔流行ったTeletabbiesという子ども番組に出てくるTeletabby House(右)に似てる?

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SMとASDが併存している子どもへの介入

<SMを併発するASD児への対応>

ASDは理解されているが、SMは理解されていないケースの問題点

  • ASD児には、期待されていることを明確にする(例:ソーシャルストーリーなどを使って、社会性を身につけさせる)対応がとられる。しかし、SMを併発している子どもに対しては注意が必要。それがプレッシャーになると、不安による反応を誘発し問題が深刻化することもある
  • 言葉が出ない理由を、何を期待されているかを理解できていない(例:社会的な理解の問題)、会話をする気持ちの欠如(社会的コミュニケーションの問題)と限定して考えると、間違った指導方法に結び付きやすい(「何をしなければいけないか解っているのに、やりたがらない」と考えがち)。不安が原因、また話さない状態を持続させている要因だということを考慮すべき
  • 話さないこと、対話/ 自分の意見をいう課題をやらないことを、「頑固」「拒否」と誤解される可能性がある。賞罰式の指導に結び付いたり、長期に渡ってネガティブな評価を受けかねない

★早期介入がなされないと、緘黙状態が固定してしまう傾向が強い

SMは理解されているが、ASDは理解されていないケースの問題点

  • 表出している行動・言動のみに焦点が当てられ、ASD児が持つ三原則(TRIAD)と感覚過敏を背景にした通常とは異なる情報処理の方法や社会的理解のニーズが理解されにくい。子どもの行動・言動をひきおこしている要因への対処がないため、介入の成功がより難しくなる
  • 時間割変更などの問題に積極的に対処する支援が得られにくいため、学校での不安が続きやすい
  • 学校で一日中我慢し続けているため、家で「爆発」しやすく、保護者は子どもをネガティブに評価する傾向が強い。また、特別扱いしがち
  • 学校側は「単に言葉の問題だけではない」ことを理解できず、頑固な子と誤解されやすい

<結論>

  • ほとんどのASD児はSMを併発していない
  • ほとんどのSM児はASDを併発していない
  • しかしながら、重複する部分がある――根源に不安があり、コミュニケーションに影響を与えている
  • 表出している行動・言動の根底にある要因を探る
  • 子どもの幅広いコミュニケーションに着目する
  • 常に不安を減らすサポートを心がける――現時点からのスモールステップで可能なチャレンジを

クレアさんの講演はSMとASDの併存について、以下の点に着目して、今後のさらなる研究が必要ということで締めくくられました。

  • 2018年リサーチの結果と男女比に対しての更なる研究
  • SMとASDが併存する若者の支援
  • ASD児(人)が抱える社会不安がSMを引き起こす可能性
  • SMの若者に対して、適切なASD診断プロトコルが必要

みく備考:

ASDに関しては、「発達障害」という概念のもと1980年代くらいから一般に広く知られるようになりました。これに反して、SMの知名度はまだまだ低いように思います。

ただ、「自閉症」が一般に知られているといっても、ASD児は「人に興味がない」「一人でいることを好む」「視線が合わない」「会話ができない」など、ステレオタイプにはめ込んでいないでしょうか?実は、私がそうでした。

私が今働いている特別支援学校は、いわゆるアスペルガーの子どもを対象にしています。最初、「人に興味がない」はずのASDの子どもたちが、友達同士でゲームをしたり、校庭で一緒に遊んだりしているのを見てびっくり。一方的ではあっても「会話」は通じるし、視線を全く合わせないということもありません。「友だちが欲しい」と思っている子、「自分は人と違う」と違和感を持っている子が多いことも、だんだん判ってきました。

SM児もそうですが、ASD児にも色々なタイプの子がいて、一人ひとり個性が違います。また、発達の凸凹を持った子も多くいることが解ってきています。子どもの個性や特性を良く見極めて、困っている部分をうまくサポートしてあげたいですよね。

SM=ASDではないし、例えSMのお子さんがASD診断を受けたとしても、お子さん自身は今までと全く変わりません。最後にクレアさんが、「グレッグがASDじゃなかったら、今の彼じゃなくなるから、ASDで良かった」「今の彼が好き」と、息子さんをありのまま受け止めていたのに、とても共感できました。

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