英国のロックダウンは続く(その3)

イギリスではイースターの祝祭を含む春休みが終わり、今週月曜日から新学期が始まりました。といっても、まだロックダウン中なので、授業は全てオンラインです。

 

   桜が終わり、今はライラックの季節。前庭のイングリッシュローズの一番&二番花が咲きました。

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新型コロナのパンデミックと最前線で戦い続けるNHS(国民保健サービス)の医療スタッフ。その彼らを感染から守るPPE(個人防護具)の不足が極限状態に達しているよう…。

全国に5万8000あるというNHS関連の施設にPPEを配布するのは、イギリス政府の責任。世界各国でPPE争奪戦が激化している中、イギリスでは先週末から政府のPPEの確保・配布能力に厳しい批判が向けられています。

政府は毎日午後5時から会見を開き、新型コロナ感染の現状や今後の対策・展望などを報告。その際にリモートで記者会見が行われ、担当大臣や政府の専門家3人がメディアの質問に応えます。その会見の場で、先週末からPPE不足に対する政府の責任追及が続きました。

毎日のニュースではNHSの医師がPPE不足を訴えたり、感染が広がり犠牲者が激増している介護施設の状況を伝えたりと、現場から切実な声が。政府は「最善を尽くしている」と釈明しているものの、複数の国内企業がPPE提供を申し入れているのに、反応が鈍いという事実も判明。

先週土曜日にトルコから届くはずだったガウン40万枚――結局月曜日なっても届かず、その夜に英国空軍がエアバス3機をトルコに飛ばすことに。水曜の午後、やっと1機が半分だけ荷物を積んで戻ってきました。後の2機は残り半分を輸送するため、トルコの空港でスタンバイ中。その間にミャンマーからの15万枚が届いたようですが…。

全国のNHSで必要なガウンは1日になんと15万枚!40万枚では2日半しかもたないんですね…。

PPEを必要としているのは、病院の医師・看護師だけでなく、GP(主治医)クリニックやホスピスを含む医療機関のスタッフ、救急隊員、ケアホームの介護士や訪問看護師など。その他、清掃員、ポーター、事務員たちも忘れてはならない要員ですね。

メディアがPPE不足を追究するなかで、PPE確保のためにEUとの協定に即参入すべきだったという批判も出てきました。これは、EU加盟国が危機に対処するため公共医療に不可欠な機器などを共同で購買するというもの(イギリスはまだEU離脱の移行期なので参加できるらしく、どうも途中から入ったっぽい?)。

また、自国産のPPEを他国へ輸出しているという事実も判明。過去の援助に対する返礼など、政治的な事情もあるようです。「自国が大変な時に何故?」と思ってしまいがちですが、PPEや食料などの生産国が輸出を止めてしまったら、世界中がパニックに陥ってしまいますよね…。

でも、こういう風にメディアが問題点を取り上げ、会見の場でジャーナリスト達が政府に厳しい質問をあびせるのはとてもいいことだと思います。政府にプレッシャーを与えたことで、空軍が専用機を飛ばしたことに驚きました。

これまで緊縮でNHSの規模や病床を減らしてきたイギリス政府。政治家や裕福層はプライベート医療を利用できるため、実際にNHSの医療を体験したことがない人も多かったかもしれません。でも、ジョンソン首相自らが新型コロナに感染してNHS病院のICUで治療を受けたことで、その重要性が再確認されたと思います。

まだまだ厳しい状況が続くイギリスですが、なんとか感染がおさまってくれることを願ってやみません。

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