マギー・ジョンソンさんの『小学校中・高学年&ティーンの支援』(その8)
この3月に開催されたSMIRAコンファレンスで、イギリスの緘黙治療の第一人者、マギー・ジョンソンさんが、小学校中・高学年&ティーンのための支援方法について講演されました。その内容をKnetと拙ブログに公開する許可をマギーさんから得ましたので、概要を少しずつ翻訳してご紹介しています。
なお、内容の著作権はマギーさんに属しますので、この記事の転記や引用は固くお断りします。なお、年が上の子どもへの支援は、緘黙支援のバイブルと呼ばれるマギーさんとアリソン・ウィンジェンズさんの著書『場面緘黙リソースマニュアル(Selective Mutism Resource Manual Speechmark社)』に詳しく書かれていますの第二版(2015年春/夏出版予定)に新項目として掲載される予定です。
《緘黙に苦しむ小学校中・高学年生&ティーンの支援》
場面緘黙アドバイザリーサービス 言語療法士マギー・ジョンソン著/ ケント州コミュニティヘルスNHSトラスト
<全般的なコミュニケーション>
- 肯定的な非言語コミュニケーション
- 直接的な質問は避ける
- 子どもが話すことを期待するのでなく、話せる機会を提供する(保護者の支援を得る)
<本題のコミュニケーションではツールを活用>
- キーボードと画面
- スケール表
- ランキング表
- 質問表
- マインドマップ
治療例 – 15歳の少年、ジェイのケース
<第一回目のセッション/ミーティング>
本題のコミュニケーションでは下記のツールを使用
- キーボードと画面
- スケール表
- ランキング表
<支援者の自己紹介(マギーさんの場合)>
- 名前
- 役割の説明 — 社会不安や場面緘黙の症状を持つティーンを支援する(*症状名に関しては保護者と相談のうえ決める)
- 治療セッションの意義を説明 — 上記の症状があるとコミュニケーションスキルが阻害され、特定の人と自由にやり取りできない
<支援者の役割>
- あなたが人生から多くを学べるよう、社会面・学習面で楽しく過ごす手助けをする
- 上記を妨げているバリアや障害物を特定する
- 自分や他者があなたを支援をしていく上で最良の方法を考案する
<支援者として決してしないこと>
- あなたがしたくないことはさせない
- 違和感がある場合は、行動することを期待しない
- あなたの安全が脅かされない限り、あなたの許可なしに情報を漏らさない
みく注: 「特定の場面で話せない」のが場面緘黙の特徴ですが、「声を出せないこと」や「話せないこと」は氷山の一角でしかありません。表に出ている部分(話さないこと)なので目立ちますが、そこだけに注目せず、背後に潜む不安に目を向け、子どもの心に寄り添うことが大切だと思います。まずは、子どもが一番リラックスできる形で十分なコミュニケーションを取り、子どもとの信頼関係を築くこと。あくまで子どもを中心に、「これからどうしたいか、何ができそうか」を一緒に考えていくと良いようです。年が上の子どもは緘黙している時期が長いので、自分を認めて応援してくれる大人、心を許せる大人が重要な存在となります。
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