日本では発達障害と見なされやすい?(その3)


日本では場面緘黙児がPDD(広汎性発達障害)と診断されやすいという印象はどこからきているか?

これはイギリスに住んでいる私の印象なので、もしかしたらそうではないのかもしれません。ただ、勉強不足で間違っているかもしれないのですが、日本の小児科医の論文や書籍からも、その傾向が読み取れるような気がします。そういう学会の傾向が、医師や心理士の考え方に影響を与えているとは考えられないでしょうか?

まず、2009年に日本小児科医会会報(日小医会報)で発表された、山口県小児科医会の金原洋治氏の研究報告『選択性緘黙例の検討-発症要因と併存障害を中心に』を見てみます。

抄録によると、かねはら小児科で経験した23例の選択性緘黙例について、主に発症要因と併存障害を中心について検討したとあります。

●発症時期: 幼稚園や保育園入園時が圧倒的に多かった

●初診時年齢: 3~14歳(平均7、8歳) 発症から3~4年経過した例が多かった

●緘黙経過中に完全な知能検査が可能だった例: 12例

IQ60~69: 3例
IQ70~99: 7例
IQ100以上: 2例

●併存障害の有無:

社会不安障害: 15例
広汎性発達障害: 12例(他に疑い4例)
精神遅滞: 3例
LD: 2例
登園・登校しぶり/不登校 10例

●受診理由:

緘黙: 5例
緘黙以外: 17例 (不安障害、発達障害、心身症など)

『選択性緘黙例の検討-発症要因と併存障害を中心に』かねはら小児科・金原洋治著(2009年 日小医会報)より引用

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

23例中、広汎性発達障害が12例、またその疑いがあるケースが4例(合計16例)と、半数を超えています。これを最初に見た時は、「ええっ?!」と驚きました。また、平均IQが低いのも気になります。

ただ、かねはら小児科は発達障害で知られていること、場面緘黙のために受診した例が5例しかないことを考えると、症例のデータが偏っていることが考えられると思います(これは報告書にも記してありました)。(アメリカ精神医学会の診断基準DSM-Vに従えば、この場合の場面緘黙はPDDの二次障害となるので、場面緘黙には含まれないことになります)。

それから、初診の平均年齢が7、8歳で、発症から3~4年経った後というのも引っかかります。場面緘黙が固定化して、学校生活で不適応を起こすような他の問題(不登校など)が表面化してから受診しているように思えるからです。多分、緘黙が固定化しても、学校でしゃべらないだけでコミュニケーションは取れており、友達関係も勉強面もそれほど問題がないケースの場合、発症から数年経って初めて病院に連れて行くという保護者は少ないのでは?

また、今年更新されたアメリカ精神医学会の診断基準DSM-Vで、場面緘黙は不安障害の中に含まれるようになったんですが、社会不安障害が15例しかないのも不思議です…。

以後、またまた続きます。

P.S. 今、仕事やKnetの任務など、色々なことが一度に重なって時間がない状態です。少し書きためたノートを元にブログを更新しようと考えてますが、途切れがちになるかもしれません。(また、うっかりミスや誤字脱字も多くなりそうです)

気長につきあってくださると嬉しいです。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です