場面緘黙とは?(その3)

マギー・ジョンソンさんのワークショップから(その1)

ちょっと昔のことになるのですが、昨年5月に言語療法士、マギー・ジョンソンさんのワークショップに参加しました。

マギーさんはイギリスでは緘黙治療の第一人者と評されていて、アリソン・ウィンジェンズさんと共著した『場面緘黙リソースマニュアル(The Selective Mutism Resource Manual 2001)』は、緘黙支援のバイブルと呼ばれています。

イギリス国内で精力的にワークショップを開催し、SMIRAのイベントにも頻繁に顔を出してくださる、とても優しくチャーミングな女性です。

イギリスで放映された緘黙のドキュメンタリー番組、Channel 4の『Help Me Speak (2006年)』、BBCの『My Child Won’t Speak (2010年)』でもアドバイザーとして登場。『場面緘黙へのアプローチ-家庭と学校での取り組み(田研出版2009年)』のDVDにも登場しているので、ご存知の方もいるかもしれませんね。

マギーさんは独自に場面緘黙のカテゴリーを設けていて、それがとても総括的で解りやすいので、ここでご紹介します。

 <マギー・ジョンソンさんによる場面緘黙のカテゴリー>

  • 1) 場面緘黙の要素を持つ引っ込み思案
  • 2) 純粋な場面緘黙
  • 3) 言語に問題がある、または英語が第二言語であるケース
  • 4) 複合的な場面緘黙 - 自閉症スペクトラム障害(ASD)や学習障害(LD)などの障害が併存していたり、親の死など大きな心理的問題を抱えていたりするケース
  • 5)年齢があがってから発症する場面緘黙 (通常、不安が大きく、大人や子どもによるイジメに合って発症するケースが多い)

 注1: 心的外傷性緘黙 (Traumatic Mutism)と混同しないように注意。心的外傷性緘黙は場面緘黙とは異なり、治療は遊戯療法を中心とすることが多い。

 注2: 1) の「SMの要素を持つ引っ込み思案な子ども」は、「どの場面で話さないか、人や場所が決まっている」という場面緘黙の特徴を持たない。話せるかどうかは「すぐ話さなければならないプレッシャー」、「言われたことの曖昧さや複雑さ」、「話し相手の態度や性質」、「文化的な慣習」などに影響される。

 アメリカ精神医学会のDSM -VやICD-10(国際疾病分類)では、自閉症スペクトラムや学習障害などがある場合は、場面緘黙は二次障害として扱われます。マギーさんはこれを承知の上で、あえて場面緘黙のカテゴリーに加えているということでした。

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