『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』

先週の水曜日、緘黙関連の新書、『どうして声が出ないの?マンガでわかる場面緘黙』が私の手元にも届きました。

かんもくネット事務局の仲間であり、著者であるははさんが、忙しい中郵送してくださり、こんなに早く読めると思ってなかっただけに大感激。

改めて紹介すると、この本はかんもくネットのHPとツイッターを担当しているははさんこと、はやしみこさんが、9月5日に学苑社から出版した2冊目の著書です。

→ 概要をかんもくネットHPでチェック

1冊目の『なっちゃんの声』は、場面緘黙の女の子、なっちゃんの学校での様子を描いた絵本。場面緘黙の子どもを主人公に、感じていることや不安になった時の身体の反応などを、優しさあふれる絵と文章で綴っています。

緘黙の子どもに「話せないのは自分だけじゃないんだ」と伝えると同時に、周囲の大人や子ども達に緘黙児の気持ちや状態を理解してもらえる内容。保護者の方には、子どもの様子を見ながら、ぜひ非一緒に読んで欲しいなと思います。クラスメイトへの理解促進にも役立ちそう。

2冊目の本書、『どうして声が出ないの?』でも、主人公はなっちゃんです。前半はマンガという媒体を使い、どうして声がでないのかその理由を解りやすく説明しています。信号機を使った例えと、階段を使った経験値の説明が秀逸。先輩たちからのアドバイスも、緘黙の読者自身に語りかけてくれているようです。

更に、後半にはどのように場面緘黙を克服していけばいいか、身近なところからすぐ始められる丁寧なガイド付き!スモールステップの取り組み例を見ながら、それぞれ自分に合った取り組みを考案できそうです。支援者にとっても、ためになるアドバイスがいっぱい。

緘黙児がひとりで読んで、何故自分は話せないのか理解することができ、博士や先輩たちからのアドバイスに希望をもらえる素晴らしい内容。何よりも、なっちゃんという同士の存在が励みになるんじゃないでしょうか?そのうえ、どうしたら緘黙を克服できるか、子どもが自分で考え、動き始めるきっかけを与えてくれそう。すぐ始められるスモールステップ、先生とのやり取りなど、きめ細かな説明やアドバイスも嬉しいですね。

海外でも例がない、子どもの気持ちに寄り添った画期的な作品だと思います。(この本にひとつ難があるとすれば、1500円という価格はちょっと高いですね…発行部数が多ければ割安になるんでしょうけど)

緘黙を克服するためには、年齢があがってくるほど、子ども自身の意思が重要になってきます。自分の緘黙状態を一番良く把握しているのは子ども自身。無理のない取り組みを設定し、納得しながらスモールステップを上がって行くことが、肯定的な自己評価と自信につながると思います。

幼稚園児であっても、繊細な緘黙児たちは「黙っているのは良くないこと」と感じ、他の子ども達と自分との違いを認識しているようです。息子もそうでしたが、子どもは自分ができないこと、話せないことに引け目を感じていると思います。

それ故に、親にも言えずに黙っていることが多い--誰にも言えない不安を心に抱えることがどれだけストレスになるか…。自己評価も低くなりがち…。子どもを安心させてあげるためにも、自信をつけさせるためにも、なっちゃんの本をうまく活用できるといいですね。

 

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