ナターシャ・デールさん (21歳)の緘黙克服

SMiRAコンファレンス2017年の講演内容の続きです。

ナターシャ・デールさん 『SM–My Recovery 場面緘黙――私の回復』

次に登場したのは、ここ4年間でかなり緘黙を克服しつつある21歳のナターシャさん。7歳の頃から緘黙に苦しみ、学校では緘動で動けなかった時期も長かったそうです。緘黙克服への道を歩み始めたのは18歳と、年齢的にはかなり遅い時期。

緘黙期間が長いと社会不安障害やパニック障害、OCDなどを併発する可能性も高くなり、克服はより難しくなるといわれます。でも、ナターシャさんは現在ほとんどの人と話せるようになっているとか。年齢が上の人たちにとって、とても励みになるんじゃないでしょうか。

今回のSMiRAコンファレンスは満席に近く、参加者は90名を超えていたと思います。後ろの方に座っていたナターシャさんが、かなり緊張した様子で登壇した時、大丈夫かなと少々心配になりました。が、原稿を棒読みしている感じは否めなかったものの、しっかり聞こえる声でひと安心。ナターシャさんがスピーチを終えると、会場は温かい拍手に包まれました。

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<スピーチの内容>

場面緘黙だった時は、まるで2人の私がいるみたいでした――学校での私ナターシャと、家での私タッシュ。

学校では緘黙が私を支配し、常に大きな不安に押しつぶされそうでした。体が硬くなって姿勢が悪くなり、たびたび腹痛に襲われて…。世界から自分が隔離されてるような感覚だったんです。

家では不安から開放され、本当に安堵しましたが、ものすごい疲労感も…。

緘黙が私の人生を支配し、私には何の主導権もなかったんです。いつも誰か理解してくれる人が側にいてくれれば、と願っていました。

私が緘黙を克服し始めたのは18歳の時。もちろん、それ以前にも一生懸命話そうと試みましたが、そうできる環境じゃなかったんです。

学校は騒がしくて、そのために不安が増しました。学校スタッフは緘黙についての教育を受けてなくて、緘黙のアセスメントもIEP(Individual Educational Plan 個別教育支援計画)もなかったんです。

もしも、席順を配慮してもらえていたら――

体育や音楽やドイツ語などの授業、ランチを食べる学校のカンティーン(全生徒用の大食堂)など、何らかの配慮をしてもらえていたら――もう少し楽になっていたかもしれません。

転機が訪れたのは、18歳になってカレッジに進学し、動物飼育のコースを始めた時。

5年ぶりに家族以外の人と話せました。動物がいて、微笑んだりジェスチャーを使えることが多かったのが功をなしたと思う――今考えると、アニマルセラピーですね。

でも、話せたからといって、誇らしくは感じなかったし、決して楽しい経験ではなかった…。

とにかく、話そうと試みる回数を増やすにつれて、徐々に話すことが楽になっていきました。

母がウサギを飼わせてくれたこともすごく助けになりました。ブランブルという名前をつけて親しんだことが、ポジティブな効果を生みました。

毎日庭に出て、ブランブルに話しかけてたんです。

あと、TVのコメディ番組からも学ぶことも多かったかな――人生にはポジティブな面もあるって。時には、自分の失敗を笑い飛ばすことも大切だって。

自分の他にも緘黙に苦しむ人が大勢いると知り、自分の話を共有しようという自信が持てました。私だけじゃなかったんだと。

それで、昨年7月にFBに『Selective Mutism Recovery–Natasha’s Story 場面緘黙からの回復--ナターシャの話』を開設したんです。

追記:ナターシャさんの現在のブログは『I am not Shy:I have Selective Mutism』でした。リンク先を追加しますね。

https://www.facebook.com/Iamnotshyblog/

https://iamnotshyblog.wordpress.com/

それまで色々なタイプのセラピーを受けました。でも、殆どのセラピストは私のこと、緘黙のことを理解していなかったと思います。

それでも、セラピーを受けたことで不安を減らすことができ、自分の夢を追うことができました。

ずっと何かを成し得たいと思いつづけてきて、最終的にはカウンセラーになることが目標なんです。

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このスピーチは当時のメモを見ながら書きだしたのですが、抜けている箇所や誤解している箇所もあるかもしれませんのでご了承ください。

長くなってしまったので、続きは次回ご紹介しますね。

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SMiRAの2017年コンファレンス

場面緘黙克服のために抵抗力 Resilience を高める

 

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