2018年SMiRAコンファレンス(その2)


日本語の生徒さんと初めてのGCSE試験に取り組んでいる間に、すでに10日が過ぎてしまいました。イギリスは晴天が続き、今日は飛び切りの青空の下で、ハリー王子とメガンさんの結婚式が無事終了。式の時間帯に食料を買いに出たら、お店はガラガラで人通りもまばらでした(笑)。

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「恐怖の顔を変える Changing the Face of Fear」

2018年SMiRAコンファレンスの1番バッターは、SLT(言語療法士)でSMのための臨床ネットワーク団体事務局長のアナ・ビアバディ・スミスさん。

まず、「花という言葉から何をイメージしますか?」という質問からスタート。

「真っ赤なチューリップ」

「野に咲く白いデイジーの群」

など、会場からは様々な花のイメージが出ました。日本人だったら、季節がら桜の花を連想したかもしれません。

と、導入は楽しかったのですが、そこから脳科学の領域に突入。「ニューロプラスティシティ Neuroplasticity 神経の可塑性(かそせい)」という難しい言葉が飛び出し、頑張ってメモを取ったものの、進行が速すぎて後から見たらチンプンカンプン…。文章のつながりがおかしな部分もあると思いますが、どうぞご容赦ください。

簡単にいうと、以下の脳の働きに着目して「話すこと」への不安・恐怖のイメージを変えることができるというお話でした。

  • 同じ言葉でも人それぞれ持っているイメージが違う。
  • 人が言葉を発する(連想する)までには、イメージやそれにまつわる感情、そこにたどり着くまでの思考がある。
  • 人の行動や決定は意識的にコントロールされるだけでなく、無意識的な機能(潜在意識)による部分もかなり大きい(それまで蓄積された膨大な認識や体験が行動や決定の基盤となっている)。
  • 人にはそれぞれ「世界(外界?)」に対する自分のモデル(世界観?)があり、その「世界」の範囲内でものごとを理解しようとする。
  • 脳は適応可能な状態を維持し続ける → 人は誰でも脳を改善していく能力を備えている → 自助的な神経可塑性が備わっている。

周囲が子どもを「恥ずかしがり屋」「内気」とみなし、そう呼んでいると、子どもは自分がそうだと思い込んでしまう。大人のボディランゲージを読み取り、負のイメージを受け取ってしまう。その結果、塗り重ねた「自分は恥ずかしがり屋」という観念から抜け出すのが難しくなる。

また、不安が強い人・子どもは癖や習慣を持ちやすい傾向にある。

同じ思考や行動を何度か繰り返しているうちに、新しいシナプス(脳の神経細胞を繋ぐ回路)ができあがる。回を重ねることで回路が強化され、その思考や行動が癖になったり、習慣化してしまう。時に、習慣化した癖・行動はやめようと思っても、やめられないほど強くなることもある。

(みく注:場面緘黙の場合を当てはめてみると、最初は反射的に声を出せないことが多いのではないかと思います。次に同じような場面に遭遇した時、黙っていることで少し安心できた(無意識かもしれませんが)と感じる――「黙る」という不安・恐怖への対処法を繰り返していくうちに、それが強化され習慣化してしまう。自分も周囲もそれが「当たり前」になると、周りの反応が気になって声を出すことがますます難しくなります)。

しかし、これらのシナプスは固定化された回線ではないので、癖・習慣を変えていくことは可能。急に変えることは無理なので、スモールステップで少しずつ改善させる。それには、まず周囲が子どもへの見方を変え、態度を変えることが重要。

(みく注:まず、子どもが安心できる環境づくりをすることによって、周囲だけでなく、子ども自身の意識や考え方を変える → 子どもの心の準備ができたら、スモールステップに取り組む)

<スモールステップの注意点>

子どもが不安・恐怖を感じない「安全地帯」から少しだけ出て不安と向き合い、実現可能な目標を作ること。

その時に、子どもの学習タイプが役立つ。

  • 視覚優位型
  • 聴覚優位型
  • 体感優位型

学習タイプにリンクさせると、不安・恐怖のイメージを変えやすい。

まず、不安・恐怖がどんな風に見える/聞こえる/感じるかを探り、子どもの持つイメージ/音/フィーリングなどを変えていく。

不安・恐怖に名前をつけ、「脳の中の小部屋に怖がりのチャーリーが隠れてるのよ」と子どもに説明する。不安や恐怖は子ども自身ではなく、別の存在だと認識させる。その存在のイメージ/音/フィーリングなどを変えていく。

(みく注:緘黙の子どもは、「話すこと」以外にも、「トイレに行けない」「給食が食べられない」「体がうまく動かない」「人の目が気になる」など、他の不安・恐怖も抱えていることが多いです。これらに名前をつけて、絵を描いて可視化することも有効だと思います。

家庭でできることは、「できない部分」ではなく「できる部分を」に着目して、それを言葉にして伝える。例えば、「大人しい」の代わりに、「繊細でよく気が付く」など。人と比べず、その子の良さを見つけ、いいところを伸ばしていくこと。難しいですが、子どもがのびのびできる家庭環境を作れればベストですよね)

ちょっと尻切れトンボになってしまいましたが、主旨はこんな感じでした。脳の可塑性は生涯続くため、何歳になっても自分を変えることが可能とのこと。年齢を重ねると、より時間がかかるということですが、なんだか嬉しく思えました。私たちも、まだ変わることができるんですね。

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