遺伝的な要因 — 引っ込み思案

私自身、とても大人しくて内弁慶な子どもでした。

思い出すのは小学校1年生のとき。教員仲間だった父を訪ねてきた担任に、「えっ、家ではこんなに活発なの?!」とものすごく驚かれたエピソードが。

緘黙でこそなかったけれど、学校ではなかなか本当の自分を出すことができず、いつも縮こまっていました。特に、入学したての頃は、毎日がとても不安だったように記憶しています。

広くて迷路のような校舎、大勢の人、安心できる居場所がない…。先生たちは厳格で怖い大人のように感じていました。

ちなみに、小学校時代の通知表にはお決まりのように、「ちゃんと自分の意見を持っているのに、なかなか発言できません」と書かれていました…。低学年のころは、指名されない限り授業中はほとんど発言しませんでした。

引っ込み思案な性格は、中学に入ってから徐々に変わり、完全に自分の殻を破れたのは、短大に進むために家を出た頃だったと思います。

うちの家族はというと、私以外とても社交的です。とくに、兄は小さな頃からリーダー格で、いつもクラス委員に推薦され、児童会長になるような人望のある子どもでした。

親戚縁者を見渡してみると、内気な性格なのは父方の叔父と母方の祖母くらい。確率としてはかなり低いのに、何で息子に遺伝しちゃったのかと考えると、ちょっと申し訳ないような…。まあ、仕方ないですね。

ポジティブに考えると、私も内気だったからこそ、息子の気持ちや行動を理解し、共感できるという利点があります。

「マミーが小1の時、学校や先生が怖かったなあ。先生に何か言われると、ドキドキしたよ」

息子ではなく、私の体験や不安だった気持ちを話してあげることで、息子は自分だけじゃないと解って安心できたようです。大人でも同じですが、「解ってくれる人がいる」と感じるだけで、心が温かくなりますよね。

息子は学校で話せないことを、「いけないこと、駄目なこと」と感じていたようでした。緘黙児は、みんなと同じように話せないことで自己評価が低くなっていると思います。

直接自分のことを話題にされるのは嫌がる傾向があるので、まだ小さいうちは第三者のこととして話してあげるのがいいかもしれません。「世界中に同じような思いをしている子がいる」と知らせてあげてください。

恥かしがり屋さんを題材にした絵本を、親子で一緒に読むのも効果的だと思います。緘黙の少女、なっちゃんを描いた絵本『なっちゃんの声』(はやしみこ作、学苑社)はお勧めです。

 

 

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