先週から、なにやらバタバタ忙しくなり、また更新が遅れてしまいました。なので、今回の記事の内容ももう1週間以上前のこと…時間が過ぎるのが早いです!
先週の水曜日、SMiRAが主催した場面緘黙ワークショップのエクステンションレベルに参加しました。講師は『場面緘黙リソースマニュアル』の共著者、言語療法士のマギー・ジョンソンさんとアリソン・ウィンジェンズさん。
講師のアリソン・ウインジェンズさん
2日間の集中コースでしたが、基本的な対応を学ぶコアレベルは3年ほど前に済ませたので、今回は複合的な場面緘黙やティーンの支援に焦点をあてたエクステンションレベルに挑戦。この日の参加者30名のうち、両日参加した人が9割を占めました。言語療法士、教師、TA、看護師といった専門家が多かったです。
ちなみに、私の隣に座っていたのは、ポーランド出身でアイルランド在住という緘黙児のママ。ポーランド人のための支援グループを立ち上げ、今や会員が2000人近くいるとか。彼女の隣には、わざわざポーランドからやってきた言語療法士が2人。国内に場面緘黙の専門家がいないということで、彼らの熱意が伝わってきました。
ところで、3月14日に『ポーランドから場面緘黙の画期的な治療法?』という記事を書いたんですが、いまひとつピンと来ず。お隣さんに訊ねてみたところーー「私は信用していない!」と否定的な返答が…。実際のところはどうなんでしょうね?
さて、話を元にもどすと、今回のワークショップで興味深かったのは、場面緘黙と併存症、それぞれの対処方について。まずは、併存症とその発症率について、3つのデータを紹介します。
データ1:場面緘黙に併存する症状と併存率(概要)
□ 不安障害全般 ― 全体の61-97%
- 社会不安障害(SAD)― 約65%
- 分離不安 ― 12-32%
- 特定の恐怖症 ― 30-50%
□ 反抗性障害 ― 6-10% (平均より高め)
- 軽度の反抗的な兆候 ― 非緘黙児における不安障害の割合と同じ
*注:反抗性障害の認識は、教師よりも保護者の方がが少ない
*みく注:多分、イギリスにおける最新の統計かと思うのですが、資料にはこのデータのソースがついておらず出典は不明。できたらマギーさんに質問しようと思ってます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
データ2:Hクリステンセン(2000年)による併存症と併存率/(研究対象:54名の緘黙児)
発達障害全般 ― 69% (うち調節障害 13%)
□ コミュニケーション障害 ― 50%
- 音韻障害 ― 43%
- 受容-表出混合性言語障害 ― 17%
- 表出言語障害 ― 11%
□ 排泄障害 ― 30% (うち調節障害 9%)
□ 発達性協調障害 ― 17%
□ アスペルガー(ASD児は除外) ― 7%
□ 軽度の学習障害 ― 8%
不安障害全般 ― 74%
- 社会不安障害(SAD) ― 68%
- 分離不安障害 ― 32%
- 全般性不安障害(GAD) ― 13%
- 特定の恐怖症 ― 13%
- 強迫性障害(OCD) ― 9%
★全体の46%の子どもが発達関連の障害と不安障害を併存
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
データ3:マギーさんとアリソンさんの治療現場から見た併存症
- 分離不安
- 全般性不安
- 問題行動
- 他の恐怖症
- 自閉症スペクトラム(ASD)
- 社会不安障害(SAD)
- 自傷/ うつ
*注:幼児からティーンまで、年齢の低い順から顕著な症状を並べています。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ちょっと長くなりそうなので、次回に続きます。