ポーランドから場面緘黙の画期的な治療法?

<感情的なスピーチブロック(発話の壁)を打ち破る>

SMIRAコンファレンスの2人目の講演者は、ポーランドのシレジア大学で「言語と感情」について研究しているソニア・ツァラメック-カルツ(?)教授。吃音も場面緘黙も「感情的な発話の壁」に阻まれて起こる症状であり、全く新しい発声・発話方法を習得することによって、緘黙を克服できるというもの。

最初におことわりしておきたいのですが、私はこの講演の内容について、実はよく理解できていないのです。いきなり「吃音」と「場面緘黙」が出てきて解りづらかったうえ、ポーランド語訛りが強い英語と私の聞き取り能力のなさが重なって、最後まで??でした。後からメールで確認して、多分こういうことだろうと思って書いています。

私は吃音症については全く知識がありません。なので、吃音症の子ども/人が、ある場面ではスラスラよどみなく話せるのに、ある場面では吃ってしまうものなのか--また吃音の程度が場面によって違うものなのか、その辺りがよく判らないのです。場面緘黙の場合は、だいたい学校などの公の場で言葉がでないことが多いのですが、話せる相手も場所も人によって違いますよね?

ソニア教授は、吃音や場面緘黙の症状が起こるのは、「Emotional Speech Block Syndrome」(直訳すると「感情的なスピーチブロック症候群」)のためと捉えています。最初は吃音が原因で場面緘黙になった子どもや人のケースを話しているのかなと思い、会場で質問したのですが、なんだか要領を得ないまま…。で、メールで確認した結果、どちらの症状も同じように感情的な要因が大きいと理解しているとのことでした。

場面緘黙は不安のために「話せない」訳ですが、「言葉がうまく出てこず吃ってしまう」のも不安のせい?どちらも原因はメンタル面にあるんでしょうか?「うなく話せない」と焦れば焦るほど、吃音がひどくなる傾向にあるのは解るような気がするんですが…。そして、何故Psychological (心理的/心理的)Speech BlockでなくEmotional(感情的)という単語を使っているのか?

ソニア教授のチームは、体を完全にリラックスさせ、従来とは異なる新たな発声・発話方法を習得することで、吃音や場面緘黙を克服するというユニークなプログラムを発案。すでに多くの子どもや大人に試して、成功例を重ねているようです。

人は恐怖や不安に襲われると、声帯が閉まったようになって声が出にくくなります。場面緘黙になるきっかけも、こういった不安体験が絡んでいそう。もしくは、声を出そうと不安のなかで頑張りすぎて、どうしても声がでない状態で固まってしまい、緘黙症状が持続することもあり得るのではないでしょうか?

そう考えると、体と心を完全にリラックスさせれば、声帯もリラックスするため、声は出しやすくなりますよね。映像で新たな発声方法を見せてくれたのですが、最初は言葉を長く発音し、徐々に普通の長さに調節していくという感じだったように記憶しています。

早い人では2日くらいで、遅くても12日間で声が出るようになるということ。Youtubeの”Nowa Mowa”というチャンネルで映像を観ることができます。が、ポーランド語なので何を行ってるのか分からないんですよね…。

下の映像は新たな発話方法によって吃音が治った例のようです。

なお、4月2~4日にポーランドのカトワイスで「言語と感情」と題した国際的なコンファレンスが開催される予定だそう。シレジア大学の主催でソニア教授も講演する他、『場面緘黙リソースマニュアル』の共著者であるアリソン・ウィンジェンズさんの講演も予定されています。場面緘黙治療の新しい方向性を示唆するものになるかもしれませんね。早く英語の翻訳が欲しいです。

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