プラハの夏休み(その2)

初日の体験を活かし、翌日から「外歩きは午前中と夕方過ぎ、午後は冷房が効いた(多分)美術館などで過ごす」という計画を立てました。まずは、メニュー豊富なホテルの朝食バーでしっかり腹ごしらえし、近くのミニスーパーでミネラルウォーターを買い込んで出発。

2日目は徒歩で「ユダヤ人街」へ。中欧最古の「新旧シナゴーグ(ユダヤ教の会堂)」を訪れる予定が、ちょっと道をそれたら「スパニッシュ・シナゴーグ」が目の前。無計画でブラブラ行くのが我が家式なので、複数の見学コースの中で一番お得なファミリーチケットを買って、シナゴーグ内を見学しました。

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   高級ブティックが立ち並ぶ通りを抜け少し東に行くと、ちょっと違和感を感じる小説家カフカの銅像に遭遇。お隣にあるのが「スパニッシュ・シナゴーグ」

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  ユダヤ人街で最も美しい会堂。19世紀半ばに、スペインのアルハンブラ宮殿を模して設計・建築されたとか。2階にはプラハにゆかりのある著名なユダヤ人たちの資料が。恥ずかしながら、カフカ(1883-1924年)がユダヤ人だったこと知りませんでした

内装はものすごく美しかったんですが、それより印象に残ったのは、第二次世界大戦時にホロコーストの犠牲になったユダヤ人の子どもたちの絵や日記など。この子たちは、誰ひとりとして息子のように15歳の誕生日を迎えることはできなかったんだと思うと、なんともいえない気持ちになりました。

実は、SMIRA代表のアリスさんは、ナチス党政権下のドイツがチェコスロバキアを解体する直前、チェコからイギリスに亡命してきたのです。当時19歳のアリスさんは、たった独りで汽車を乗り継ぎ、船でイギリスに辿り着いたそう。後から合流すると信じていたご両親と弟さんは、アウシュビッツ強制収容所に送られて亡くなられたとか…。それを想い出し、平和な時代に生まれ育ったことを本当に幸運に思いました。現在と未来の子ども達のためにも、戦争のない世界を願ってやみません。

もしアリスさんがイギリスに亡命していなかったら、仕事で緘黙児に出遭って緘黙の研究をすることもなかったでしょう。リンジーさんと共にSMIRAを設立することもなかったんだと思うと、人の運命や出遭いって、本当に不思議ですね…。

この後、旧ユダヤ墓地に行ったところ、猛暑の中でチケットを求める長~い列が。家族全員が即「やめとこ」と諦め、近くのカフェでひと休み。主人はビール、私はレモネード、息子は100gのハンバーガーとフレンチフライをパクリ。ちなみに、ハンバーガーは4段階・400gまであって、チェコ人ってお肉好きなんだなと感心した次第です。

ひと休みした後、地下鉄に乗って国立美術館へ。街に貼られたエゴン・シーレのポスターを見て、「あっ、シーレ展やってる!」と思い込んで出かけたら、実は『アーティストと預言者たち』と題したグループ展でした。

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観光客が殆どいないHolesovice地区は、ちょっと寂びれた雰囲気

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  国立美術館の中は涼しくて人もまばら。たっぷり時間をかけて周り、シーレの絵もじっくり堪能出来ました

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最後は切り絵でスライド遊び(これは息子による配置)

トラムに乗ってホテルへ戻り、夜はイギリスで予約しておいたバレエ公演『白鳥の湖』を観に出かけました。街には劇場やホールが多数あり、教会や会堂の中でも毎晩のようにコンサートが行われているよう。

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「百塔のプラハ」と呼ばれるだけあって、石畳の街のいたるところに尖塔が。大戦の戦火を逃れることができたため、中世以降1000年に渡る様々な建築様式が残っています

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バレエ鑑賞した劇場。演目は『白鳥の湖』のハイライト場面を集めたもの

値段がイギリスの三分の1くらいだったので文句は言えませんが、幕が開いてダンサー達が出てきた途端に、「う~ん、これはイマイチかも」と素人の私でさえ思いました。特に、男性陣のジャンプ力と回転が…熊哲氏の三分の1も跳べてなかった。しかも、会場にはエアコンがなくて、もう蒸し風呂のような暑さ!

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私のワガママで一番高いチケットを取ったのにどうしようと思っていたら、主役のバレリーナだけが群を抜く上手さ――というか、それが当たり前なんでしょうが、ひとりだけ動きが全然違ってました。彼女が白鳥と黒鳥役を踊り分け、ひとりで舞台を引っ張っている姿に感動。後でネット評を見たら、やっぱりケチョンケチョンに酷評されてましたが…

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私たちが行った劇場の真向かい側にあったのが、『のだめカンタービレ』が撮影されたスメタナホールのあるプラハ市民会館。ミュシャが内装やステンドグラスを手がけた瀟洒なアールヌーボー様式です。黒ずんだゴシック様式の建物は15世紀に建てられた火薬塔

夜11時近くなのに観光客がぞろぞろ。きれいな夜景を眺めながら、夜更けの旧市街をぶらぶら歩いてホテルに戻りました。

長くてすいませんが、また次回に続きます。

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